2009年9月20日 (日)

【衝撃事件の核心】卓球台、料亭、コンパニオン…千葉県庁不正経理のあきれた実態とは

 産経ニュース2009.9.20 08:00より以下、転載。

 卓球台に将棋盤、コンパニオンとの料亭遊び…。今月9日、平成19年度までの5年間で約30億円の不正経理が発覚した千葉県庁。不正に捻出(ねんしゅつ)された公金の一部は、将棋盤や卓球台といった職員の娯楽器具などに消えていた。職員の中には、公金を元手に料亭での豪遊を繰り返し、詐欺罪で有罪判決を受ける者も。千葉県では、千葉市でも、市長と市議会議長が相次いで逮捕されるなどしたばかり。公職の立場を利用して利益を得ようとした公務員不祥事の連続に、「千葉は公務員天国か」という批判が高まっている。「公務員天国」の実態に迫った。(西山典男、田中佐和)

■若く博識のコンパニオンが… 料亭で“豪遊”1人3万円の夜

 柔らかな橙(だいだい)色の明かりが客たちを迎え、茶色の板塀に囲まれた厳かな雰囲気が漂う料亭。千葉市中央区の官庁街から車でわずか5分あまりのところに佇(たたず)む。暖簾をくぐり個室に通されると、窓からは見事な日本庭園が見える。慌ただしい日常を忘れるような穏やかな風景だ。

 ここが、千葉県庁の職員が、“豪遊”していたとされる料亭だ。

 提供されるのは季節の素材を生かした懐石料理。店に頼めばコンパニオンを手配してくれる。客2人に対し、和服姿のコンパニオンが1人付くことが多いという。いずれも若く、博識の女性ばかりで、経済や社会情勢についての会話もできる。まさに、県庁に勤める「地元のエリート」たちを満足させる“憩いの場”だったようだ。
 「大事なお客さまなので」と、店に断りを入れれば、極力、他の客との接触がないように気も遣ってくれる。そのため、接待の場所としても重宝されてきた。

 コンパニオンを呼んで楽しむには、飲食代なども含め最低でも約3万円がかかる。しかし、県職員らが、高いと感じることはなかったようだ。

 県職員が利用していたとされる料亭は、ここ以外にも、千葉市内に複数存在する…。

■100万円請求されちゃった 会社のカネで払っちゃう?

 「(料亭から)100万円もツケを請求されちゃったよ。『会社のお金』で払っちゃおうか。こっちで○○さん(県に出入りする事務用品店)からお金を用意するから、そっちも伝票を作ってよ」

 以前、県庁内では県職員の間で、こんな会話が交わされていた。「会社のお金」とはいうまでもなく、県で扱う公金を意味する。詐欺罪に問われ9月14日に懲役3年、執行猶予4年の有罪判決を受けた県職員の公判で、検察側が明かした会話だ。

 この職員は、県農林水産部の物品の購入事務の担当者。平成16年7月ごろから、他の被告や同課の職員らと週1回のペースで、高級料亭に通い、コンパニオンを付けての豪遊を繰り返していた。判決などによると、代金は、事務用品の支払い金のように装って公費から捻出し、上司を欺いて決済を受けていた。不正に捻出した総額は約2150万円に上った。

 もともと千葉県の不正経理疑惑は、20年に行われた会計検査院の全国調査をきっかけに浮上した。その後、公金をだまし取ったとして、この職員を含む県職員3人が詐欺容疑で逮捕され、県庁の独自調査でも一部部署での不正が発覚した。
 県庁のほとんどの部署で総額30億円にも上る不正が行われていたことが判明したのは今月上旬。不正は県庁だけではなく、犯罪を取り締まる県警の一部にも広がっていたことが明らかになり、県庁は大騒ぎになった。

■廃止されたはずのタクシー券が金庫に…驚くべき不正の手口

 県庁職員が公金で購入したものは将棋盤、卓球台、テニスのネットなどさまざま。県庁では10年以上前に廃止されたはずのタクシークーポン券を買い入れ、金庫内に保管して、日常的に使用していたケースもあった。

 ある県議は、こう疑惑の目を向ける。

 「過去に県の職員とゴルフに行ったことがあった。こちらの私物はボールのみで、なぜかクラブは用意してくれた。『良いアイアンがあるので試してみてください』と。どうも、クラブは職員の所属していた課の所有物だったらしいが、よく考えると変だ。どうやって購入したのか。まさか…」

 不正経理には、「一括払い」「差し替え」など、主に6つの手口があった。その中でも、7割近くを占めていたのは、架空伝票を作成して納品したように装い、購入代金を業者の口座にプールする「預け」と呼ばれる手法だ。

 「うちにも20年前から積み立てられた5千万円のプール金がある」

 県庁に長年出入りしていた千葉市内の事務用品業者は、産経新聞の取材にこう証言する。
 プール金さえあれば、物品納入を装って、ほしいものを買うのは簡単だった。というのも、千葉県庁では、職員は物品納入の際、業者からの納品書の受領・保管を義務づけられていなかった。発注から物品検品まで同一人物が担当し、ほかには誰も納品をチェックしないため、架空納品は発覚しないのだ。「プール金があれば、いちいち決済をとったり予算申請は必要なかった」。県側もこう述べており、「預け」によって、庁内の管理態勢が骨抜きになっていたことを認めている。

■消えた?プール金 職員にも業者にも“おいしいカネ”

 現在でもプール金は39業者に計約4億1800万円残っているというが、県では、全額回収は困難だとみている。

 「他の業者も同じだと思うが、プール金が会社の運転資金になっているところもあり、回収すればつぶれる中小企業がでてくる」

 出入り業者はこう打ち明ける。納品の必要もない大金が、一時的とはいえ大量に入るプール金。県職員の求めに応じて、少しずつ支払いや納品をする一方、業者側でも“勝手”に引き出し、流用していたというわけだ。いってみれば、無利子の融資のようなもので、業者にとってもプール金は“おいしいカネ”だったようだ。

 「間違ったことをしているのではないかと思いながらも断れない雰囲気があり、とてもではないが、業者の側から間違いを指摘できなかった」。ある業者はこう話す。

 「県庁の会議で出た寿司の支払いを頼まれ『後日、事務用品代金として請求書を出しといて』と言われた。『請求額を1割ぐらい高くしていいから』と言われその通りにした」

 5千万円のプール金があると証言した前述の業者は、こう明かす。
 プール金は、すべてが県庁職員の娯楽などに流用されたわけではなく、県庁の事務用品納入などにも使われていたが、正式に予算計上されていないため、業者につけ込まれる。「県から事務用品10万円の注文があれば、1万円くらい上乗せした。切手や印紙の納入まで受けているんだから、郵便局に行く手間賃みたいなものさ」。この業者は明かした。

 ある県政関係者は「こんな無茶苦茶な実態を知っている県庁職員はかなりいたと思う」と不正経理について指摘。「特に課の経理担当者とか事務職の連中は知らないというのは不自然。それどころか、自分自身が事務用品の金額をピンハネして請求していた職員もいた。その金がどこに行ったのかは分からない」と話している。

■森田知事は激怒…「県庁職員の誇りはどこにいった」

 「県民に怒鳴られても仕方がない。県職員としての誇りはどうなったんだ」

 県が不正経理の調査報告会見を行った今月9日。その直前の部課長級会議で、森田健作知事は、居並ぶ県の幹部をこう怒鳴りつけたという。

 今年4月に就任した森田知事自身は、不正に直接関係していなかったとみられる。しかし、記者会見では「就任前から噂は聞いていたが…」と述べ、「大変残念だが、しっかり確かめて今後の糧にしたい」と頭を下げた。

 その後、県庁には2千件を超える抗議の電話やメールが殺到。県庁前には街宣車が乗り付け、連日のように大音量で不正問題を批判して帰宅する職員らを罵倒(ばとう)する騒ぎも起こっている。

 県は、不正経理を行った職員や副知事を含む管理職に不正分の返還をさせるほか、職員の処分を行う方針も表明するなど、信頼回復に必死だ。しかし、18日には、新たに20年度分の不正経理約8千万円が発覚。国民や県民の不信感は増すばかりだ。

 長年にわたって県庁に巣くってきた“不正の病理”は根深く、信頼回復の一歩は、そう簡単に踏み出せそうもない。

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2009年9月13日 (日)

【日本の議論】危機に直面する「出産」「子育て」 民主党政権で何が変わる? 本当に必要なのは…

 明治大学の安蔵(あんぞう)伸治教授(人口学)は、「子育ての経済的負担を軽減」することで「安心して出産し、子供が育てられる社会を作る」(マニフェストより)とする民主党の主張に懐疑的な見方を示している。

 それは「なぜ日本で少子化が進んでいるか」という問題につながるという。

 「そもそも、結婚した女性は、以前と変わらず子供を産んでいる」と安蔵教授。日本の特殊合計出生率は1・37にとどまっているが、これは、未婚・既婚を問わない出産可能な年齢の女性が、生涯で何人の子供を産むか、という数値だ。安蔵教授は「1950年代末ごろに『子供の数は1家庭に2人』という『2子規範』ができて以降現在にいたるまで、結婚している女性に限れば、出生率はそれほど大きな変化は見せていない」と指摘する。

 実は「結婚さえしてしまえば、高度経済成長期とほぼ変わらない出生率が保たれている」という現状。このことは、いくら「子育て」の援助をしたところで、少子化を食い止めることはできないことを意味する一方、少子化・子育て問題の“本丸”は、「未婚者に、どうやって結婚してもらうか」にあることも示している。

 では、なぜ現代社会では、未婚化・晩婚化が進んでいるのか。

 「背景にあるのは、現代の女性の考え方や生き方」と安蔵教授はいう。

 女性の高学歴化に伴う社会進出や経済的自立、結婚後の就業継続希望…。こうした価値観や行動を受け入れ、それに適応した社会システムや家族の在り方を容認するのか、伝統的な価値観に重きを置き、これまでの女性の生き方にこそ幸福があると考えるのか。

 安蔵教授は「少子化や子育てを考えるということは、国家や社会の在り方を考えていくことに他ならない」と強調する。

 以上、2009.9.13 18:00産経ニュースから抜粋しました。

 この点につきまして、箸にも棒にも掛からないとある掲示板で、思いもよらず感心させられた意見があったことを思い出しました。

 例によって作者に無断で転載します。

少子化が進んだ背景には、社会構造の変化がもっとも深く関係していると思います。昔に比べて女性の社会進出が進み、共働きが当たり前になったことで、子供を育てる余裕がなくなっているのでしょう。

昔は「女は家庭に入るもの」という風潮が一般的で、結婚したら子供を産み、育て、家事一般をとりしきる事が当たり前でした。従って、保育所などを利用する世帯の割合は現在に比べてとても少なく、そういう意味では子供を育てやすい環境だったとも言えるかも知れません。男性の給与が女性に比べて優遇されていたのも、このような風潮が背景にあったと考えれば当然のことのように思えます。

女性の社会進出が進むと、こういう図式は成り立たなくなります。子供を産んだとしても、両親共に育児をする時間がないんですね。だから保育所等の施設を利用する人の割合が激増し、利用したくてもできない人が多数出てくることになります。子供を産んでも育てる環境がなくなりつつあるというのは、こういう変化も背景にあるのではないでしょうか。

また、昔は男性のみの職場であったところでも女性が活躍するようになった反面、職場の数に対して職を求める人の数が増加し、企業の効率化が進んだことともあいまって失業率の増加という大きな社会問題も発生しています。少子化問題とはこういった社会の変化が原因であり、子供手当てなどで解決できるような単純な問題ではないと思います。

最近、専業主婦を見下すような偏った見方をする女性もいると聞きます。しかし、上記のような流れから考えると、むしろ専業主婦のほうが社会に貢献しているとも言えます。少子化問題を考える場合、その背景にあるものを見ずして根本的な解決はありえないのではないでしょうか。

少子化問題は、子供手当てや高校無償化など、お金で解決できるような簡単な問題ではなく、女性の社会進出という大きな変化が背景にあることを政治家は認識すべきです。

 ・・・と、いうカキコミでした。このような考察ができる人は頭の良い人です。バカの一つ覚えのように口を開けば、特殊合計出生率うんぬんかんぬんしか言えない人とは思考の深さが違うように思います。(ただし、「女性の社会進出」という同じ要因を背景に挙げていますが、先の教授とは違って、結婚しても子供を産まない女性が増えた、という見方をされているようです。)

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2009年9月12日 (土)

衆院議員の日給115万円!? たった2日で満額支給

 産経ニュース2009.9.12 22:07より以下、転載。

 8月30日の総選挙で当選した衆院議員の8月分の歳費が16日、480人の全議員に支給される。同月の在任期間は投開票のあった30日と31日のわずか2日間だが、歳費と文書通信費の計230万1千円が満額支払われる予定だ。日給換算で約115万円、全議員で約11億円という巨額な支出で、「社会常識を逸脱している」「無駄遣いだ」と批判も出ている。

 衆院事務局によると、16日に支給されるのは、8月と9月分の歳費と文書通信費の一部。議員の任期は投開票日にスタートするため、8月30日からが歳費支給の対象となる。

 歳費の額は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」で1人当たり月130万1千円と規定されている。8月の在任期間はわずか2日だが、同法には「日割り計算」などの制度はなく、満額が支給されることになった。

 また、電話代や交通費など政治活動に使う目的で支給されるが、使途報告義務がなく「事実上の歳費」とも呼ばれる月100万円の文書通信費(正式名称・文書通信交通滞在費)についても全額支給される。

 こうした解散総選挙による“歪(ひず)み”は以前から指摘されている。平成12年6月の総選挙では同月2日に解散したため、わずか2日間の在任期間を理由に499人に1カ月分が満額支給され、問題になった。

 歳費の返納は「公職選挙法が禁じる寄付行為にあたる」との理由で認められていない。このため、過去には一部の議員が公選法に抵触しない「選挙区外」の慈善団体に寄付したケースがある。

 民主党新人の横粂(よこくめ)勝仁議員(28)は、「一般的に考えておかしなことだと思う。今回は受け取るが、選挙でかなりのお金を使ったので、恐らくそこに充てることになるのでは」と戸惑い気味に話す。

 近畿地方の民主党の中堅議員も「(8月)30、31日はあいさつ回りで忙しく、国会議員としての仕事はしていない。2日間で1カ月分というのは社会常識を逸脱しており、報酬規定の見直しが必要だろう」と訴えた。

 “政治とカネ”の問題に詳しい日本大学の岩井奉信教授(政治学)は「無駄遣いとしかいいようがない。日割りや返納などの制度を導入すれば済むのに、議員自らのことなので改正に意欲的でなかったのだろう。民主党は無駄遣いの撤廃を打ち出しているが、身近な点から改革しないと、国民の理解は得られないのではないか」と話している。

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2009年8月23日 (日)

ごみ有料化の波 都内に

 家庭から出るごみの回収を有料化する動きが首都圏自治体でも広がっている。ごみの減量やごみ処理費の削減を狙う有料化はこれまで郊外の自治体が中心だったが、東京23区内でも検討する自治体が出始めている。

 東京都中野区はこのほどまとめた計画に有料化を盛り込んだ。区民から「ごみ減量に努めている人とそうでない人のごみ処理が同じなのは不公平」と、量に応じて負担を求める声が上がっていたという。3~4年後に実施する予定だ。

 杉並区もごみ処理に関する基本計画に家庭ごみの有料化を「2010年度の実施を視野に検討」と明記した。都内での有料化は多摩地区が中心だったが、財政が比較的豊かな23区内でも検討する例が出始めている。

 埼玉県幸手市は06年10月から可燃ごみの回収を有料化した。有料化前の05年度に比べ、08年度のごみ排出量は21%減少。同市は隣接する杉戸町に処理を委託しており、有料化後の07年度の委託経費は約2億5000万円と05年度に比べ約1000万円減った。

 家計の負担は08年度で1世帯当たり月平均370円。市環境課は「可燃ごみで出していた菓子のパックなどの雑紙を古紙として出すようになった」と分析する。

 以上、8/20日経より抜粋。

 量に応じて、というあたり賛成です。インフラからの受益は世帯人数が多くなるほど増すのだから、この考えを適用できる部分は積極的に分離を進めてもらいたいと思います。国税なんかも消費税(消費に応じた負担)で一本化すればいいんじゃないかと思うときすらあります。

 しかし、少子化!少子化!などと騒がしいくせ、ごみが増えているのですね。人口って減ってるんじゃないのですかねぇ。

 【参考】『ごみ処理委託 負担金制度 23区、10年度から実施』

 東京23区の区長で構成される特別区長会は、可燃ごみの処理を他区に委託する場合、受け入れ側へ負担金を支払う制度を、2010年度から実施すると決めたそうです。
 08年度のごみ処理量を09年度に確定し、10年度に負担金を支払うそうです。金額は毎年度計算するとのことです。日経2008/5/15より。

 【参考】『多い地域手当や独自制度 26市職員の年収押し上げ』(8/7日経より転載)

 23区の平均より多摩26市の平均が27万円高い--。国の基準を上回る地域手当など独特な給与体系が東京都市部の自治体職員の平均年収を押し上げている実態が日本経済新聞の調査で明らかになった。公務員の世界で「わたり」や「足伸ばし」と呼ばれる昇給制度が残る市も多い。都道府県や23区にはあるチェック機関が市町村にないのも、見直しが進まない一因だ。

 平均年収が全国で最も高い東京・多摩市。日本一高い地域手当や時間外勤務手当が2008年4月時点の多摩市の一般職員の平均年収を845万円に押し上げている。多摩人事課は「平均年齢が高いから」と説明するが、それだけではない。

 多摩市では今年6月まで「わたり」の制度が残っていた。勤続年数が長ければ実際の資格より上の給料がもらえる特別昇格制度だ。例えば主任を長く務めると、試験を受けなくても一つ上の係長並に扱い、主任のまま係長の給料表にわたっていく。

 「今年6月の議会で条例改正し、7月から(特別昇格は)なくなった」(多摩市人事課)とするが、「わたり」をなくす代わりに、7月から主任の給料を4%引き上げた。この賃上げは議会や住民に説明していない

 都内の自治体で「わたり」を認めている自治体は少なくない。小金井市は「主事のなかには4ランク上の給料をもらっている職員もいる」(職員課)。

 地域手当を国の基準より多く支給している自治体もある。平均年収が749万円で全国43位の東京久留米市は本来なら基本給の6%と決められている地域手当を16%支給している。今年1月には羽村市とともに支給率の引き上げまで実施した。

 地域手当は06年に国家公務員の給与水準を下げた際、民間の地域間格差を反映する目的で導入した。東久留米市は国の決めた支給率が近隣市より低いことに不満で、「都に合わせた」(職員課)と説明する。だが、同市の梶井琢太市議は「給料自体は都よりも高い」と指摘する。

 都であれば同じ役職なら給料は頭打ち。一方、東久留米では上昇し続ける。都の給料表にない級を加えているためで、自治体の間では「足伸ばし」と呼ばれる。

 国には人事院、都道府県や23区には人事委員会があるが、大半の市町村にはない。お目付け役がいない状況だ。総務省の原邦彰・給与能率推進室長は「住民にきちんと説明してほしい」と要望する。少なくとも、議会にはきちんと監視する責任がある

 <平均年収の高い都内自治体>

1位 多摩市 平均年齢46.2(歳) 年収844.5(万円)

4位 武蔵野市 43.3 798.3

5位 八王子市 45.3 795.1

7位 千代田区 46.7 781.9

8位 三鷹市 43.3 781.6

9位 国立市 43.6 778.3

11位 町田市 42.5 777.6

12位 福生市 44.4 777.2

17位 武蔵村山市 45.7 769.7

21位 調布市 42.8 766.2

24位 清瀬市 47.3 762.6

25位 昭島市 45.4 760.2

27位 東大和市 44.8 759.2

31位 青梅市 41.4 756.1

34位 品川区 45.7 754.0

37位 江戸川区 44.4 752.3

38位 立川市 43.3 752.1

39位 中野区 46.5 751.9

43位 東久留米市 43.2 749.2

47位 目黒区 44.8 748.3

 【後日記】『多摩地域30市町村 ごみ排出量 最低水準に』(9/9日経より抜粋)

 東京・多摩地域30市町村の2008年度のごみの排出量が、財団法人東京市町村自治調査会の1991年度の調査開始以来、最低水準となった。同会のまとめによると、07年度比3.8%減の128万5000トンで5年連続の減少。資源化量も同3.8%減の47万1000トンと初めて減った。ごみ袋を有料化している自治体は19に上り、今後も減量化が一段と進む見通しだ。

 焼却灰や不燃物の残さからなる最終処分量は二ツ塚処分場(東京都日の出町)で焼却灰をエコセメントの原料にする施設が06年度から稼動したことで激減していたが、08年度はさらに18.8%減の8500トンとなった。

 総量が最低水準となったのは、景気悪化で消費や企業活動などが冷え込んだほか、ごみ減量化のためのごみ袋の有料化が加速したことも背景にあるようだ。

 一方、東京二十三区清掃一部事務組合によると、08年度の23区のごみ量は07年度比5.1%減の305万7000トンだった。

 区が収集する可燃ごみは179万2000トンで9.5%増えたが、不燃ごみが57.5%減の18万4000トンと大幅に減った。23区では08年度にプラスチックごみの分別法が変わり、不燃ごみから可燃ごみや資源回収に回されるものが増えた。

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2009年8月15日 (土)

人口自然減、最大に

 総務省が11日に発表した住民基本台帳に基づく3月末時点の人口調査によると、2008年度の出生数から死亡数を差し引いた人口の「自然減」は4万5914人で、減少幅が過去最大を記録した。企業の海外からの撤退などを受け帰国する人など転入者が多かったため、日本の総人口は2年連続で増えた。主な働き手である生産年齢人口は過去最低を更新した。

 日本の総人口(外国人含まず)は、昨年比0.01%(1万5人)増の1億2707万6183人だった。転入数が転出数を超える人口の「社会増」は5万5919人となり、人口増につながった。総務省は「世界的な不況で日本企業の海外からの撤退や縮小で、外国からの帰国者が多かったため」と分析している。

 08年度の出生数は108万8488人3年ぶりに減少に転じた。死亡数は過去最多の113万4402人に上った。

 年齢を3区分に区切ってみると、年少人口(0~14歳)は1720万6715人、生産年齢人口(15~64歳)は8165万1549人で過去最低となった。

 以上、日経2009/8/12より転載。

 さて、もういい加減、ここいらではっきりさせよう。

 人口自然減は当然なのだ。なぜなら、後期高齢者の数が多いからだ。もっと死ね、というわけではないが、正常な過程だろう。

 それでも、ここ数年ずっと安定的に100万人出生している。出生数が少ないと喚き散らす人々は100万という数をどのように考えているのか。政令指定都市が毎年忽然とあらわれるようなものである。私はそれで十分だと思う。

 医療は進歩している。100万人の子どもはそのまま100万人の老人となる。日本は狭い上、可住地は国土総面積のたった1割だ。また、一億人以上の国民が住んでいる国はほんの数えるほどしかない。

 政府が子づくりを強制せずとも子どもがいなくなることは絶対に、ない。大まかに言って子どもは作りたがるものだ。それが人間の、生物の本能だ。

 むしろ問題は高齢化の方にある。

 もちろん、高齢者の中でも不摂生に不摂生を重ねた一部の老人が、莫大な医療費をせしめている(大まかにな話)に過ぎないが、多くの80、90になっても元気なご老人にしたって、自分がいつ介護される側に回るか分からないと常に不安を感じている。老人予備軍にも同様の不安がある。そんな彼らには政治の方向性を決定するパワーがある。

 そして、既得権益に漬かっている強者側の人間に若者はいない。政治家など大抵2~3人子どもを設けている。

 強者とその子孫がこれからも繁栄を続けるためには大勢の弱者の存在が相も変わらず必要である。強者らは自らを差し出すことなく、「弱者の中の弱者」を痛めつけ、己と「その他の弱者」の可処分資源(地球資源に由来する-詳細は省く)を捻り出す。

 生涯未婚で終わる男は今や7人に1人に達するそうだ。中には結婚したくともできない者も多くいることだろう。が、メディアや政府にとってそれは重要なことではない(彼らの老後を親身になっておもんばかれるのは彼らの子どもだけだ)。「お前らばかり、のうのうと子ども何人も作りやがって!」との予想される、弱者の心理を無意識化する印象操作こそが重要である。

 本来、子どもを作ることは誰しもに認められた正当な権利であるが、それがあたかも義務であるかのように印象操作し、権利を行使できている優遇さ、を国民に意識させないよう努めているのである。

 以上が捏造された「少子化」問題というものなのである。

 【参考】『75歳以上 1割超す』 

 日経2008/8/1より。総務省の発表によると、今年三月末に75歳以上の後期高齢者が総人口に占める割合が10.04%となり、初めて一割を超えたそうです。

 住民基本台帳による人口は毎年三月末時点に住民票に記載されている人の数。総人口に占める65歳以上の割合(老年人口割合)は21.57%となった一方、15歳未満の年少人口は13.62%であったとのこと。

 住民基本台帳に基づく人口・・・総務省自治行政局市町村課が作成。日本人の出生や死亡、社会移動による増減や世帯数の実態の把握ができる。
 人口統計には総務省統計局が五年ごとにまとめる「国勢調査」や、それをベースに毎月の動きを記す「人口推計」もある。これらの統計では日本に定住する外国人も人口に含まれる。
 また、厚労省が出生や死亡動向を「人口動態統計」として毎月まとめている。

 【参考】『日本人の平均寿命 更新』

 日本人の平均寿命が男女とも過去最高を更新したことが厚生労働省の07年「簡易生命表」で判明したといいます。日経2008/8/1より。

 女性は二十三年連続で長寿世界一。男性は二位から三位に下がったそうです。

 女性の二位は香港、三位フランス。男性の一位はアイスランド、二位香港。

 簡易生命表・・・各年齢の人が平均してあと何年生きられるかの期待値をあらわす「平均余命」や、一年以内に死亡する確率について、厚生労働省が毎年公表している指標。その年のゼロ歳児の平均余命が、日本人の平均寿命を表す。日本人の推計人口や人口動態統計を基に、その年の各年齢の人の死亡率が今後も変化しないと仮定して算出する。

 【参考】『女性の人口初めて減少』(2009/3/24日経より転載)

 総務省が二十三日に発表した2008年十月一日現在の推計人口によると、比較可能な調査を始めた1950年以来、外国人を含む女性の人口が初めて減少に転じた。同省では「海外に滞在・永住する女性の増加が一因」と分析している。男性を含めた総人口は一億二千七百六十九万二千人で、前年に比べ七万九千人(0.06%)減った。

 05年の国勢調査をもとに、他の人口関連資料からその後の動向を探ってまとめた。男女別の人口(外国人含む)は、男性が六千二百二十五万一千人(前年比五万九千人減)、女性が六千五百四十四万一千人(同二万人減)。女性の人口は、年間の出生児数が死者数を七千人上回る「自然増」だったものの、出国者数が入国者数より多い「社会減」が二万七千人に達した。

 【後日記】『昨年の出生数2年ぶり増』(2009/9/4日経より転載)

 厚生労働省は3日、2008年の人口動態統計の確定値を発表した。出生数は109万1156人と07年に比べ1156人増えた。増加は2年ぶり。死亡数が3万4073人増えたため、人口の自然増減数は5万1251人のマイナスだった。

 【後日記】『女性、4人に1人高齢者』(2009/9/21日経より抜粋)

 総務省が「敬老の日」に合わせてまとめた9月15日時点の推計人口によると、65歳以上の高齢者人口は昨年より80万人増えて2898万人で過去最高を更新し、総人口に占める割合も0.6ポイント増え22.7%となった。女性の高齢者割合は初めて25%を突破し、4人に1人が高齢者となった。

 国勢調査を基に総務省統計局が推計した。総人口は前年より12万人少ない1億2756万人。このうち男女別の高齢者割合は男性が19.9%、女性が25.4%。

 2008年の住宅・土地統計調査によると、高齢者がいる世帯数は1821万世帯で、5年前に比べて180万世帯増えた。このうち高齢者が単身で住む世帯は414万世帯を数える。

 【後日記】『新生児の過半数 100歳まで生きる?』(2009/10/4日経より転載)

 平均寿命の延びが現在のペースで続くと、先進国できょう生まれた赤ちゃんの半数以上が100歳まで生きる--。南デンマーク大学老化研究センターの研究者らがこんな論文をまとめた。

 英医学誌ランセットに掲載された論文によると先進国で80歳に達した人のうち90歳を迎える割合は1950年に女性15~16%、男性12%だったが、2002年には女性37%、男性25%にまで増加。中でも日本人女性は5割以上に達している。

 その上で報告は、過去2世紀の寿命の延びが21世紀も続いた場合、「日本、米国、英国、フランスなどで2000年以降に生まれた赤ちゃんの多くは、100歳の誕生日を祝うことができるだろう」と予測した。

 報告は一方で、高齢者比率の上昇に伴い社会、経済、医療などで深刻な問題が生じると警告。解決策の一つとして、より幅広い年代に雇用を広げることを挙げ、「20世紀は所得の再配分の世紀だったが、21世紀は仕事の再配分の世紀にできる」と提言している。

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2009年5月 7日 (木)

今日は休みでした

 世が連休中のとき仕事だったものでね。

 近所のスポーツクラブに行って走ってきましたょ。政府はクルマの買い替えや新規購入に税金注ぎ込むくせに、スポクラの会員へは補助してくれないのですね。景気対策と将来的な医療費削減を結び付ける構想はもちあわせていないようですな。環境云々ぬかすくせ、環境破壊の象徴とも言える自家用車を優遇する。まぁ、アホですな。

 本屋にも行ってきましたょ。行くと大抵、買っちゃうんだよね。たまってく一方だ。政府はテレビの買い替えや新規購入に税金注ぎ込むくせに、本の購入者にエコポイントは付与してくれないんだね。本を読んでるとテレビを見る時間がない→テレビは不要、買う必要がない→こりゃ、エコだ!・・・な~んて、発想は政府はもちあわせていないもよう。

 政策など強者=既得権者のいいように決まるもんだ。例えば子どもを一人、二人と既にもうけているカップルが、さらに三人目をつくりやすいように優遇する一方、独身者からは搾り取ってなるたけ浮上のきっかけを与えたくない。正社員の待遇をキープするため非正規従業員から搾取、現状維持に腐心。(ちなみに独身者はもっともエコな存在である。なぜならそいつが死ねばそいつ由来の環境消費がストップするから。他のヤツにその分まわせて、しかも、搾取し放題な存在とあれば、これは大変有難い類のものである。)

 だれかが余分に得るには、持たざる者の存在が必須である(※)。既得権者が損をするようにはならないのである。

 ※一例として定額給付金について考察してみよう。あれを本当に定額二万円で全員に配るとすると、税金を取って返すだけの、穴を掘って埋めるにも似た徒労感が漂うことであろう。が、あれの本当の目的は、誰知れずひっそり効果的に搾取の対象を固定化する意図があったのではないか、と思われる。本来、もっとも資金需要の高いはずの世代の給付を抑えることにより、単身の若者の身分の固定化を図ったのではないか。社会的コンセンサスが得やすいことを承知の上で、今後類した政策を既定路線化するのに効果的と判断した・・・といったあたりが、可能性として考えられる。

 【後日記】5/14の日経にOECD公表の、各国の雇用コストに対する税金・社保料の割合の推計データが載っていました。それによるとG7で日本は、単身世帯と夫婦子二人世帯との負担の格差が最小だったとのことです。

 しかし、注意が必要なのは、各国の、単身世帯の負担割合が一番高いのは当然で、それについて何も感じさせないような報道の仕方が新聞を通じなされている、ということです。むしろ日本の場合、単身世帯は他世帯と比べ優遇されているかのような錯覚すら感じさせます。

 新聞の記事は当局の意図を常に頭の隅に置いて読まねばなりません。当たり前のことですが、誰かが余分に得るには誰かから余分に奪わなければならないのです。

 また、同日の別紙面では、「一家だんらん復活?」、「親子でTV」増える、「親の帰宅早まる」指摘も・・・等々、テレビについて、「両親が早くから帰宅して家族でテレビを見る姿が浮かぶ」など、あからさまに印象操作がなされています。

 【後日記】『エコポイントの皮算用』(2009/5/18日経より抜粋)

 評価が芳しくない定額給付金に比べれば、エコポイントのほうは評判は悪くない。環境対応は重要だし、ポイント制は消費者心理をくすぐる。エコとポイントを重ねた言葉の響きも心地よい。

 問題はその経済効果だろう。新制度は環境省、経済産業省、総務省を中心に約三千億円の予算が充てられる予定。ポイント制にしたことで、省エネ家電購入のポイントが新たに地域特産品などの購入につながるという。一粒で二度おいしい仕組みといえ、経済効果は四兆円に上ると見込んでいる。

 エアコン、冷蔵庫、薄型テレビの対象三製品のうち、テレビだけにポイントが二倍つく。

 テレビだけ割引率が高いのは地上デジタル対策費が5%入っているためだ。その分の財源は約七百五十億円だが、環境の5%と合わせると約千五百億円になる。しかもテレビのリサイクル代金も対象となるため、予算約三千億円のうち約二千億円は事実上、テレビの買い替えに向けられる計算だ。

 給付金の議論の際、地デジ支援金も話題に上ったが、自治体の手を煩わせる販促支援はもうとれない。家電店を支援するにも総務省の管轄外だ。いわばエコポイントは三省の利益が合致した巧みな策だった。

 【後日記】『地デジ11年完全移行 不法投棄急増を警戒』(2009/5/18日経より抜粋)

 2011年の地上デジタル放送の完全移行を前に、市町村が警戒を強めている。年約六万八千台の旧型テレビの不法投棄が増え、回収や処分の負担が膨らむ恐れがあるためだ。消費者が製品を処分する時にリサイクル料を払う現行制度ではこの「2011年問題」を防げないと主張。

 「都市鉱山」と呼ばれる廃家電の金属に注目が集まり、不法投棄は足元では減っている。今後はテレビの買い替えが進むため、全国市長会の猪塚光明・社会文教部長は「旧型テレビの大量発生で再び増加に転じる恐れがある」と警鐘を鳴らす。電子情報技術産業協会によると、06年から五年間にテレビの買い替えで、五千万台超の旧型テレビが不要となる。

 家電のような一般廃棄物は市町村の担当。不法投棄を防ぐ看板や監視員の給与など関連費用を合わせると数千万円に上る場合も。「捨て得」を狙う不心得者のツケを払わされているわけだ。

 国の中央環境審議会の臨時委員を務めた東京都稲城市の石川良一市長は「家電を購入した時点でリサイクル費用を前払いする方式に、家電リサイクル法を改正することが重要だ」と主張する。

 自動車やパソコンはすでに前払い方式を取り入れている。自治体が廃棄問題を話し合う全国都市清掃会議は二十一日の総会で「家電にも導入を」と改めて国に前払い方式の採用を求める。

 廃家電の不法投棄・・・環境省によると、07年度の家電四品目の不法投棄は十一万五千八百十五台と前年比で12%減った。ブラウン管式テレビは約六万八千台と7%減にとどまった。
 01年度に家電リサイクル法が施行。消費者がリサイクル料を後払いするようになり、河川敷や山中などの不法投棄は増えたといわれる。

 【後日記】『世界の食料生産 2030年までに4割増必要』(2009/6/18日経より抜粋)

 経済協力開発機構(OECD)と国連食糧農業機関(FAO)は17日、2009年版の農業アウトルック(見通し)を発表した。新興国での人口増や食料需要の増大をまかなうには、世界の食料生産を30年までに現在の4割増、50年までには同7割増に増やす必要があると予測。新たな農地開拓や生産性の向上が不可欠だと指摘した。今後10年の農産物価格は2割程度上昇すると見通した。

 【後日記】『世界の飢餓人口 10億2千万人に』(2009/6/20日経より抜粋)

 国連食糧農業機関(FAO)は19日、世界的な経済危機や食料価格の高止まりの影響で、十分な栄養が取れない世界人口が2009年に、前年比1億500万人増え、10億2千万人になると予測する報告書を発表した。1970年代にFAOが飢餓人口統計を取り始めて以来最悪で、世界人口の約6分の1が飢餓に苦しむことになる。

 【後日記】『アクアライン800円 「社会実験」 フェリー困惑』(2009/7/30日経より転載)

 「便数も人員も減らしてきた。割引チケットなどの営業努力も重ねた。これ以上、東京湾アクアラインを値下げされたら事業が成り立たない」。東京湾フェリー(神奈川県横須賀市)の長谷川光彦常務は漏らす。

 同社は久里浜(同)-金谷(千葉県富津市)を40分で結ぶ。アクアライン開通前年の1996年度には58万台の車両、199万人の乗客を運んでいた。それが2008年度には25万台、94万人と半分以下に減った。

 平日を含めたアクアラインの常時値下げには、千葉県と国による11年3月までの「社会実験」という名目がある。09年度の費用は20億円。半分は県が国の交付金から負担、残りは国自らが持つ。大半は東日本高速道路(NEXCO東日本)への減収補てんに充てる。

 県は7月、実験の効果を検証する協議会を設けた。会員とオブザーバーには県、国、NEXCO東日本や運送会社団体などが含まれる。だが東京湾フェリーは入っていない。「実験の名目で高速会社に公費を投じるのなら当社に投じたっていいはずだ」と長谷川常務はこぼす。

 実験の狙いの一つが首都圏の車の流れを変えること。アクアラインを使いやすくすれば、首都高や京葉道路、東関東自動車道を走る車が分散し混雑が和らぐ。そんな青写真を関係者は描く。

 しかし、逆にアクアラインに車が集中する可能性もある。実際「休日1000円高速」が始まった3月20日以降、海ほたるパーキングエリアでは休日にマイカーが集中、渋滞が起きた。NEXCO東日本はお盆中、アクアラインで最大15キロの渋滞が起きると予想する。

 そんな負の効果をバス会社は恐れる。都心からアクラライン経由で房総半島行き高速バスを走らせる京成バス(東京・墨田)も5月の連休に渋滞に巻きこまれた。「定時運行が守られないという風評からマイカーにした人もいた」とこぼす。

 値下げをどう還元するかも頭の痛い問題だ。アクアライン経由で房総行きのツアーなどを組むはとバス(東京・大田)は、「値下げ額を単純に1人分に還元すると、44人乗りでは1人100円程度になってしまう」と料金は据え置く。代わりに「お土産を付けるなどの形で利用客に還元したい」と話す。クラブツーリズム(東京・新宿)も「昼食をちょっとグレードアップするような対策を考えたい」という。

 先々最も深刻になりうるのが財源問題だ。関係者は一様に「一度下げた料金を再び上げることはできないはず」と恒久化を期待する。だが、その財源に関する議論は一切ない。千葉県は今年度もらった国の交付金を来年度に回して実験期間中の財源をひとまず確保したが、国は10年度の財源すらおぼつかない。

 6月の千葉県議会。議員からは「千葉県だけが費用を負担するのはおかしい」と、対岸の自治体にも負担を求める声が出た。だが神奈川県の松沢成文知事は値下げへの関与には慎重な姿勢だ。

 「千葉県だけでなく、首都圏に活力が出る」。公約だった値下げにめどを付けた5月22日、千葉県の森田健作知事は上気した顔で語った。だが、その成否が試されるのはこれからだ。

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2009年4月24日 (金)

ベッドも下取りサービス

 本日の日経の記事によれば、大塚家具が、ベッドを購入する客から期間限定で使用済みのベッドや布団を買い取るサービスを始めるようだ。

 私も、若干高くても、お古を下取ってもらえる店で購入したいな、と思う。たとえ、処分費を勘案してもなお、安い商品が他にあったとしても、だ。

 とっくの前から新消費時代に突入していると私は思っているのだが、まだ気の付かない経営者の多いこと。

 本来、政府には新消費時代を喧伝して欲しいのであるが、、、経産省は拡大総生産大量消費の掛け声ばかりである。

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2009年3月30日 (月)

ASEAN 成長に明暗

 タイは2008年十-十二月期の国内総生産(GDP)の伸び率が年率換算でマイナス22.3%と1998年を上回る落ち込みだ。政治混乱に加えて輸出額の減少が響いた。08年通年ではプラスを維持したが「09年は通貨危機時に匹敵するマイナス成長となる可能性がある」(タイ工業連盟のサンティ会長)。

 同国は通貨危機後、バーツ安をテコに自動車や家電産業などが国内販売から輸出にシフトし急回復を遂げた。その結果、輸出のGDPに占める割合は97年の48%から08年は76%に達した。今回の金融危機では輸出依存型経済のもろさが露呈した形だ。

 シンガポール政府は09年の経済成長率見通しをマイナス5-マイナス2%と予測し、減少幅が域内最大になりそう。前回の危機では域内輸出の落ち込みを先進国向けが補い、周辺国よりも被害が軽微だった。同国は輸出額がGDPの200%を超え、今回は主要先進国の経済不振で輸出額は二月まで十カ月連続で前年割れが続く。マレーシアも輸出額は一月に同18%減で、政府は今年の成長率見通しを最悪マイナス1%と予測する。

 一方、インドネシアは世界四位の約二億三千万人の人口を抱え、GDP比約70%を占める内需が金融危機の影響を和らげている。七月の大統領選などを控え「選挙特需」も見込まれ、政府は今年の成長率目標を4.5%と高めに置く。フィリピンも域内二位の約九千万人の人口を誇り、内需がGDP比八割超。消費拡大で今年の成長率は最大4.4%を見込む。

 約十年前の通貨危機ではタイバーツが対ドルで急落。それがインドネシアやマレーシアの通貨に飛び火し、現地企業や金融機関が相次ぎ破綻した。今回は欧米の景気後退がアジアに波及した形で、各国は輸出で現状を打開するのは難しい情勢だ。公共投資による内需拡大など自助努力が必要となりそうだ。

 以上、3/24日経より転載。

 アジア通貨危機・・・1997年七月二日、タイの通貨バーツの暴落に始まるアジア通貨危機は、瞬く間にフィリピンやマレーシア、インドネシア、韓国へと燃え広がった。動揺は翌年、ロシアやブラジルにも飛び火し国際経済に大混乱を引き起こした。
 高成長を続けてきたアジア新興国群。一部では不動産バブルなど変調が見え始めていた各国通貨が実態より過大評価されているとみた投機筋は97年春から売り攻勢を強化。当局は買い支えで対抗したが外貨準備が底をついた。
 通貨安で対外債務は急膨張し、外資は一斉に投融資を引き揚げた。国際通貨基金(IMF)がタイ、インドネシア、韓国を支援したが、見返りに緊縮財政や構造改革を要求したことで一段と景気が冷え込み、三カ国の実質国内総生産は98年に7-13%も減った。韓国は失業者であふれ、暴動が広がったインドネシアではスハルト政権が倒れた。
 それでも製造技術などの底力がアジアに残っていたのは幸いだった。対米輸出が持ち直すと、アジア経済は99年からV字型回復を遂げた。
 その後の10年でアジアは体質改善が進んだ。IMF管理下にあった三カ国の外貨準備高は2007年末で計四千億ドルと97年末の六倍超に。緊急時に域内で外貨を融通しあう仕組みも整えた。97年危機で四-八割に達したアジア通貨の下落率は足元の金融危機では一-三割にとどまる。
 半面、今回の金融危機は米国が震源で、以前のように対米輸出には期待できない。中・東欧などバブルへの免疫がなかった地域がかつてのアジアと似た構図で危機に見舞われている。
 グローバル化の進展で世界経済の”火薬庫”はむしろ増えている。(2009/1/1の日経より転載)

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2009年3月 3日 (火)

マイナス金利 検討を

 日経より転載。

 日本経済研究センター(深尾光洋理事長)は二日、日本経済のデフレが深刻化するのを避けるため、「マイナス金利政策」の導入を検討すべきだとする金融研究報告をまとめた。世界的な景気失速のなかで、中国経済についても「2008年十-十二月期には(前期比で)ほぼゼロ成長に転落した」と推計。外需に頼れない状況下で日本国内の需給ギャップが拡大し、デフレは「1990年代より深刻化する」と警鐘を鳴らした。

 提言は財政・金融政策両面で政策発動の余地が乏しいと指摘。実質的なマイナス金利政策の導入方法として現金、預金、国債など安全な金融資産に対し「課税する」という緊急手段を提案した。株式、社債、耐久消費財、不動産などに資金をシフトさせる。日銀の当座預金にも課税するので、銀行は資金を貸し出しに回さざるをえなくなる。「政治的に大きな困難を伴う」と認めながらも、景気刺激と税収増を両立できると分析している。

 【後日記】『消費より貯蓄に 定期預金、7年ぶり高水準』(2009/7/20日経より抜粋)

 日銀によると、5月末の個人の定期預金残高(国内銀行)は195兆円と前年同月比4.9%増えた。貯蓄志向を示す定期預金の伸びが顕著なのに対し、主に生活費に充てられる普通預金はここ数年、160兆円前後の横ばいが続いている。

 00年代前半には、預金の元本がカットされることもあるペイオフの解禁や政府が「貯蓄から投資へ」を目標に掲げたことを背景に、株式や投資信託などのリスク資産に向かうマネーが急増した。この流れのなかで、定期預金は残高が06年に一時170兆円まで減ったが、06年3月の日銀の量的緩和をきっかけに反転、増加基調が続いている。

 リスク資産に向かったマネーだが、昨秋以降の金融危機に伴う市場の混迷によって逆流が起きている。07年6月に280兆円に膨れあがっていた家計に占める株式と投信の残高は、多額の評価損の発生などもあり、09年3月には126兆円と5割以上減った。対照的なのが定期預金の動きだ。日銀が昨秋以降、2度利下げしたにもかかわらず、残高は一本調子で増えている。

 定期預金の増加は損失を被った個人が運用資金を避難させたのが一因だ。住信SBIネット銀行では「富裕層が(ペイオフの上限である)1千万円を一括で預けるケースも目立つ」という。

 個人マネーが集まる銀行も、貸し出し難からリスクの低い国債での運用を増やしている。マネーが消費に向かわず預金に集まり、銀行が国債中心に運用する構図が続けば、株式投資や設備投資を通じて実体経済に行き渡る資金の流れが滞り、先行きの景気回復の足かせになる恐れもある。

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2009年2月20日 (金)

全職員で4000万円補填 医療費回収不能で登別市

 産経ニュース(2009.2.20 16:34)から転載します。

 北海道登別市が重度障害者らに対する高額医療費の助成制度として医療機関に立て替えた医療費が、市の請求漏れで時効になり回収できなくなった問題で、同市は20日、回収不能額の約4500万円を全職員による拠出金で補填(ほてん)する方針を発表した。

 職員約500人が4月から3年間、月賦で払うほか、昨年8月に退任した上野晃前市長も100万円を拠出。平成16年以降の退職者にも1万円以上の協力金拠出を要請する。

 職員の負担額は特別職の副市長が85万円、教育長が70万円。部長以下の一般職員は役職に応じて18万~3万6000円。小笠原春一市長は36万円で、給与条例を改正し3年間、月給を1万円減額する。

 また市は19日付で職務怠慢や監督不十分を理由に当時の担当者7人を減給10分の1(1~4カ月)、4人を戒告の懲戒処分にした。

 社保庁も見習え。

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2009年2月15日 (日)

家計消費支出1.7%減 昨年、2年ぶりマイナス

 総務省が十三日発表した2008年平均の総世帯(単身世帯を含む)の家計調査によると、一世帯あたりの月間消費支出は26万1306円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年比1.7%減で、二年ぶりのマイナスになった。原材料高や景気後退に伴い、消費が冷え込む状況が浮き彫りになっている。

 品目別にみると、移動電話通信料(携帯電話代)、パソコン、電気洗濯機、テレビなどは増えた。一方で、交際費や食料費などが減り、全体を押し下げる要因となっている。総世帯のうち、二人以上の世帯の月間消費支出は実質1.9%減。単身世帯も同0.2%減少した。

 以上、昨日の日経より転載。

 うーむ、26万か、・・・今の私の月収より多いではないか。くそー、いくら単身世帯だからって貧乏人から税金取るのヤメロよなー、もう。。。

  ところで最近、立ち読みした本に日本のサラリーマンは税金を払っていない、って一文があったのですが、どういう意味なんだろう?もしかしてこういう意味なのかな。。。つまり、

 子持ちの妻帯者がいくら税金を払ってると言ったところで、扶養控除のない独身者と比べれば税率が低い。また、組合健保においては独身であろうが五人家族であろうが保険料はいっしょだから、独身者は既婚者の家族の分まで医療費を負担している。さらに、厚生年金保険料には専業主婦の国民年金保険料が含まれている(だからと言って時々人妻が世話しに来てくれるわけでもない)。加えて、独身には遺族年金がない。子育て関連の予算は独身にとって全くの無関係。インフラ等の公共サービスについて、家族が多い世帯で人数分の税金を払う、なんてこともない。

 要は、行政から受けるサービスをカネに換算すれば、家庭持ちが行政に払っているカネはそれをはるかに下回るってことか?うーん、たしかに公共コストって単純にあたま数・・・ってか、イメージ的には子どもや老人の方がかかりそうな気もするしな。

 【後日記】『世帯所得19年ぶり低水準』(2009/5/22日経より抜粋)

 厚生労働省が二十一日発表した国民生活基礎調査によると、2007年の一世帯あたりの平均所得額は前年比1.9%減の556万2千円と1988年以来十九年ぶりの低水準となった。

 調査は無作為抽出した全国の世帯を対象に、08年六月と七月に実施した。08年は秋に生じた金融危機以降、世界的に景気後退が鮮明となり、雇用情勢が悪化。世帯の平均所得はさらに落ち込んでいる可能性が高い。

 一世帯あたりの平均所得は1994年の664万円がピーク。これ以降はほぼ減少傾向にあり、07年までに16%減った。働く人一人あたりの所得は07年に313万2千円と過去最低となった。

 世帯構成別にみると、高齢者世帯の平均所得額は298万9千円で前年より2.4%減少。子どもを持つ世帯は1.4%減の691万4千円だった。

 【後日記】『非労働人口が4割 消費回復に足かせ』(2009/9/7日経より抜粋)

 7月の完全失業率(季節調整値)は過去最悪の5.7%。非正規社員の割合も2008年に過去最大の34%に達し、5年前から4ポイント、10年前と比べると10ポイントも増えた。「非正規社員と正社員の生涯所得は2.5倍の格差がある」(内閣府)との指摘もあり、消費が伸びない一因となっている。

 非労働力人口は、6月には過去最大の4461万人に膨らみ、15歳以上の人口に占める割合は40.4%に達した。1950年代は30%程度だったが08年には39%台まで上昇し、09年は初めて40%台に乗せそうだ。

 パートなどで家計を補う配偶者収入も減少。7月の総務省の家計調査によると、2人以上の勤労者世帯の実収入は57万3821円あるが、配偶者分は6万2166円と前年同月から7.8%も減った。

 民主党は「子ども手当」を支給し、可処分所得の増加を通じ内需底上げを目指す。ただ手当は減収分の補てんや貯蓄に回る可能性もある。

 非労働力人口・・・15歳以上の人口のうち、主婦や学生、高齢者ら仕事に就いておらず、就職活動もしていない個人のこと。4~6月期平均では4371万人に達する。そのうち仕事に就くことを希望しているが、実際には就職活動をしていない個人は461万人おり、その理由として「今の景気では仕事がありそうにない」ことを挙げる人が増えている。
 通学も職業訓練もしない「ニート」も増えており、就業希望者のうち半数近くが15~34歳。こうした個人が求職活動を始めれば労働力人口は増えるが、職がなければ失業率を押し上げる要因となる。学生や高齢者ら就業を希望していない人口は3833万人。65歳以上が6割弱を占める。

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2009年1月25日 (日)

支援はピンポイントで

 1/21の日経『経済教室』は一橋の川口准教授。抜粋します。

 製造業における派遣労働者の契約不更新や契約期間満了前の契約打ち切りが問題になっている。厚生労働省によれば春までに職を失う派遣労働者は最低でも八万五千人であるが、2008年十一月時点の労働力人口約六千六百五十万人に対する比率でみれば約0.13%と、数字自体は必ずしも大きくはない。しかしながら、職を失った派遣労働者が、住居の喪失も含めた消費水準の激しい落ち込みを余儀なくされていることは深刻な問題だ。

 まず考えるべきは雇用の非正規化の原因だ。非正規雇用には派遣労働者、請負工、直接雇用のパートや期間工などの雇用区分があるが、長期にわたり雇用の保証が得られない点では共通する。労働者全体に占める非正規労働者の比率は長期的な傾向として増加し、1999年の派遣労働に対する対象業種の拡大、04年の製造業派遣の解禁や派遣期間の一年から三年への延長といった規制緩和の年に非正規労働者比率が跳ね上がったことは確認できない

 では何が長期的な傾向を説明するのか。プリンストン大学のファーバー教授は日米の企業が共通してグローバル化の影響で将来の製品需要の不確実性に直面するようになったと仮定。米国では一般労働者(正規雇用者)の解雇が比較的容易なので、どの年齢層をみても一般労働者の平均勤続年数は以前より短くなっているが、一般労働者の解雇が難しい日本では、配置転換、出向、非正規労働者の雇い入れという形で不確実性への対応を行ってきたと指摘する。

 日米の企業が同じ経済環境に直面しているが、それぞれの歴史・制度に依存する形で違う調整が行われたというわけだ。いずれにせよこの長期的なトレンドの裏にあるメカニズムを探し当てないと、派遣労働の禁止という法的対応をとったとしても派遣労働者から請負工やパート・期間工への転換が進むだけで不安定雇用自体は解消しない。

 以上、初めから三分の一ほど転載しました。なお、”非正規の職員・従業員が雇用者全体に占める割合”というグラフが同掲されています。横が1984年から07年までの時間軸になっていて、縦軸が%です。見ると1984年から一貫して上昇しています。

 著者は最後に『保険市場や労働市場には本来経済的なショックを和らげる調整機能が備わっている。政府の雇用政策は、その枠組みから漏れてしまった人々のピンポイントでの救済や市場メカニズムがよりうまく機能するような制度の整備を中心とすべきである。~』と結んでいます。

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2009年1月19日 (月)

深刻化する子どもの貧困

 1/14の日経『経済教室』は阿部彩氏の執筆でした。部分抜粋、転載します。

 日本は相対的貧困率(所得が分布の中央値の半分に満たない人の比率)が15%と、経済協力開発機構(OECD)諸国三十カ国の中でも、メキシコ、トルコ、米国に次いで高い水準にある。

 日本では、高齢者の貧困率が若干の改善傾向を見せる中で、子どもの相対的貧困率は14%と概して悪化傾向にある。中でも母子世帯の貧困率は六割と、OECD諸国の中で突出して高い。

 英国では、1999年にブレア前首相が2020年までに子どもの貧困を撲滅すると公約した。当時の英国の子どもの貧困率は13.6%であり、日本(12.9%)と大きな違いはない。だがこの間、日本の中で子どもの貧困が社会問題であるという認識はほとんどなかったといってもよい。そして、この傾向は今にも続いている。

 第一に、有子世帯への「給付」と「負担」の見直しを行うべきである。有子世帯への給付が少ないことは、児童手当、税制度における児童税額控除などの国際比較を見ても明らかである。日本の児童手当は、1972年の発足当時は子どもの養育費の半分をカバーするよう設計されていたが、今は増加し続ける養育費にほど遠い額となっている。2000年以降、少子化対策の目玉として拡充されたが、その方法は対象児童の年齢や所得制限の引き上げであり、結果として「広く、薄い」給付になっている。低所得の母子世帯に対する児童扶養手当に至っては縮小傾向にある。

 給付が限定的にしか行われていない中で、低所得の有子世帯に課される税や社会保険料といった負担は比較的に大きい。結果として、日本は再分配後の方が再分配前より子どもの貧困率が高いというOECD諸国の中でも極めて珍しい国になっている。

 ・・・と、他にも色々ありましたが、とりあえず三分の一ほど抜粋しました。

 さて、筆者は給付が限定的にしか行われていない中で云々、と書いていますが、正しくは給付が制限されずにばらまかれているから逆転現象が起きているわけです。筆者が結果として「広く、薄い」給付になっている、と書く通り。

 筆者は有子世帯への「給付」と「負担」の見直しを求めていますが、そもそも、「子どもがいる・いない」は「世帯が困窮している・していない」と必要十分の関係にありません(証明するまでもなく字面上、自明)。ここで公的扶助は困窮世帯に対して行うものだと無条件に認めましょう。すると、有子だとか高齢だとかの字義的に無関係な特定の属性に対しバラマキを行う行為が逆転現象を引き起こしているのです。金持ちのお年寄りだっているわけです。どこぞの大企業の部長さんが美人の奥さんとの間に愛くるしいお子さんを三人ばかしもうけていたとしても、それを気の毒に思う人などいやしません。行政の援助など庭のワンちゃんのエサ代になってしまうのが関の山。逆にいえば年収二百万円の若い男性などは結婚すらできません、極論すれば。結婚していないのだからもちろん子どももいませんね。それを自己責任とする向きもいるでしょう。即座に否定はしませんが、しかし、だとすれば逆に、予想されうる経済的困窮と老後の生きがいを天秤にかけ子がいる風景を選択したのは当人の責任です。また、シングルマザーの父親なんかは単に公的扶助という名の巣に卵を産みつけ渡り歩くだけの人間版カッコウに過ぎません。結果的にね。自ら寄生虫の遺伝子を残す選択をした女性に責任はないのでしょうか。少子化や将来の労働力不足が深刻に懸念される今、云々、などと筆者は(意図せずとも)免罪符を与えてはいますが、そもそも少子化、少子化って本当にそうなのかじっくり考えたことあるのでしょうか。もっとも筆者は国立社会保障・人口問題研究所の国際関係部第二室長なる肩書きがあるようなので専門家といえるわけですが。・・・私はね、毎年百万人前後の子どもが生まれる国ってそうはないと思うわけですよ。2050年には日本の人口は九千万人になるとか聞いたりしてますけど、今現在、九千万人以上の人が住んでいる国っていくつあるか知ってます?しかも、この狭い国土でさらに実際、人が住める部分って総面積の一割に過ぎないのですよ。仮に地球の人口が過多であると仮定すれば、単身者は(望む望まないは別として結果的に)損な役を担っているのです。一年のうち生まれる人の数が死ぬ人よりずっと多ければ理屈上、地球の人口は増える一方です(子どもを増やそうと主張する一方で地球環境がどうとかこうとか矛盾したことをいう人もいますね)。俗っぽい話し方をすれば、生物学的には誰もが遺伝子を残そうと思っている中、まんま逃げ切った人らをその意味において優遇する必要はないわけです。じゃあ、どの意味において優遇すべきなのか-それは、文字通り、「困窮」している世帯だけを助けるべきでしょう。

 見直すべきは有子世帯の、というよりも全世帯の「給付」と「負担」なのです。

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2009年1月18日 (日)

政府と企業の責任分担を見失うな

 昨日の『大機小機』から転載。

 最近の派遣労働者の雇用打ち切りに対するテレビ報道の過熱ぶりや、それに影響されたかのような国会での政府首脳の応答ぶりをみると、市場主義の精神や政府と企業との役割分担の論理が、全く失われてしまったかのように見える。

 特に企業の内部留保が大幅に増えた中での大量解雇を批判した野党議員に対し、政府首脳が「何兆円もの内部留保を持つ大企業が時給千円足らずの人の職を奪うのは正しいか」と答弁したのには驚いた。国民経済計算ベースの営業余剰は2002年から07年までの五年間で五兆三千億円増えたが、その前の五年間は過剰雇用のため七兆四千億円も減った。その結果、投資が抑制され、不況が長引いて雇用機会が減少したとなぜ答弁できないか。

 これまでも政府の要人は「内需拡大のために賃上げを」と、労働組合と同様の発言を繰り返してきた。しかし不況時において、非正規雇用の維持や内需拡大まで企業の責任とされるなら、政府は一体何に責任を持つのか。

 政府は財政再建のため十分な景気対策ができないと言いがちだ。一方で、貴重な税財源が無意味な定額給付に浪費され、それを閣僚が受け取るか否かという低次元の論争が続いている。無駄な農業や道路予算の削減など公共事業費の改革も進まない。非正規社員へのセーフティーネットの整備や教育・訓練、内需拡大のための投資を生み出す規制改革など政府がなすべき課題は放置されたままである。

 小泉純一郎内閣が時間をかけた郵政民営化に対し、与党内部からも見直しの動きが強まっている。選挙を意識してか、オリックスが日本郵政の「かんぽの宿」を競争入札で落札したことについて、オリックスの宮内義彦会長が規制改革会議議長だったのを理由に総務大臣が取引の中止を強く求める異常事態も生じている。かつて政治家の利権のため国鉄に赤字路線を建設させたように、今も政治家は民間企業が政府の言いなりになるべきだと考えているのか。

 世界同時不況のなかで、日本企業は生き残りをかけている。生産の落ち込みで解雇された労働者の生活を支え、教育・訓練のための費用を賄うのは雇用保険の役割である。そのために五兆円もの積立金もある。このまま政治の貧困が続けば、グローバル化が進む世界経済の下で、製造業が次々と日本を見捨てる日は遠くないであろう。

 【参考】『利益の蓄積、手元資金と別』(日経1/14『雇用Q&A』より転載)

 雇用を守るため、企業の「内部留保」を活用すべきだとの意見が政治家や労働組合から出ている。だが内部留保は企業が自由に使える手元資金とは違う。内部留保の考え方の要点をまとめた。

 Q そもそも内部留保とは何か。

 A 簡単にいえば、企業のもうけである利益の蓄積のことだ。企業は製品を売っておカネを稼ぎ、そこから費用を差し引いて利益を計算する。この利益から株主への配当金を支払って残ったのが内部留保だ。企業は内部留保した資金を再投資し、成長するために使う。

 Q 決算書をみても内部留保という言葉が見当たらない。

 A 貸借対照表(バランスシート)をみると、向かって右下に「純資産」という項目がある。この中にある利益剰余金から配当金を差し引いたものが一般に内部留保と呼ばれる。

 Q 雇用を守るために内部留保を取り崩せるのか。

 A 少し誤解がある。内部留保イコール手元資金ではない。内部留保は利益の蓄積だが、同額の手元資金を持っているわけではない。企業は利益として稼いだおカネを使って、工場や設備の購入、原材料の仕入れなどを行うからだ。

 貸借対照表の左側にある現預金と有価証券の合計を一般に手元資金と呼ぶ。上場企業全体で2008年九月末時点での利益剰余金は百四十一兆円あるが、手元資金は四十七兆円にすぎない。

 Q 手元資金は潤沢ではないか。

 A 上場企業は08年三月期まで六期連続の増益となり、手元資金が膨らんだ。だが、トヨタ自動車が今期に連結営業赤字を見込むなど、企業業績は急激に悪化している。企業は雇用を維持したいものの、手元資金を使って雇用を維持すれば、業績が一段と悪化して財務基盤を弱めかねない。金融危機の中で不測の事態に備え、手元資金を厚めに持ちたいと考える企業も多い。限られた資金をどう使うか経営者は難しいかじ取りを迫られている。

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2009年1月 3日 (土)

ウクライナ向け停止

 ロシアの独占天然ガス会社ガスプロムが一日、ウクライナへのガス供給を停止した。ウクライナのガス料金滞納を批判してきたガスプロムは、十二月三十一日までにウクライナから十五億ドル(約千三百七十億円)の入金があったことを認めたが、罰金を含め六億ドル超の債務が残っていると主張。原油価格の急落にもかかわらず昨年の輸出価格の二倍以上となる千立方メートル当たり418ドルへの値上げも要求し、圧力を強めた。

 欧州はガス消費の四分の一をロシアに依存し、このうち八割はウクライナ経由で輸入している。ウクライナ政府はガス供給停止に備蓄で対応し、欧州へのガス通過を保証するとの声明を発表、欧州連合(EU)に仲裁を働きかけているもようだ。

 ロシアは2005年のウクライナ親欧米政権誕生を機に、ガス供給を政治圧力に利用し始めた。06年には五倍超の値上げを突きつけた上で年初に一時供給を止め、欧州への供給量も減った。今回の交渉でもベラルーシなど旧ソ連の親ロ国向けは千立方メートル当たり200ドル以下とし、ウクライナと大きな差をつけている。

 メドベージェフ大統領は昨年末、テレビで南オセチア自治州を巡る紛争でウクライナがグルジアを支援したと激しく非難し「債務を返済しなければ経済制裁に訴える」と発言。ウクライナから食品など三十品目の輸入を制限する構えも見せている。ウクライナと同じく北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指すグルジアへの侵攻後、両国を「影響圏」に取り戻す思惑をあらわにしている。

 ウクライナではともに親欧米のユーシェンコ大統領とティモシェンコ首相が対立し、ロシアとの交渉に混乱を招いた。金融危機の影響が深まる中で国際通貨基金(IMF)の支援を受けており、ガス供給停止が長期化すれば経済の一段の悪化は避けられない。ロシアも原油価格急落で不況に陥っており、国民の不満をウクライナに向けさせ、国内求心力を維持する政権の思惑も見え隠れする。

 以上、日経より。・・・資源成金らを調子づかせてはいけません。早急に化石燃料脱却を。

 【後日記】『EU ガス相互供給 義務付け』(2009/7/20日経より抜粋)

 欧州連合(EU)の欧州委員会はロシア産のガス供給が再び停止する事態に備え、安定供給を確保するための規制案をまとめた。EU域外からのガス輸入量が一定以上減った場合、加盟27カ国にガス融通を義務付けるのが柱。さらに調達先の多様化などで2014年3月末までに厳冬期の60日分のガスを確保するように各国に求める。

 EUは天然ガス輸入の約4割をロシア産に頼っており、その8割がウクライナ経由となる。ガス代金の支払いを巡ってロシアとウクライナの関係はこじれており、EUではガス供給の停止が再び起きるという危機感がある。

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2008年12月 8日 (月)

世代間の不公平 是正 基礎年金 目減り防ぐ

 日経の年金制度改革研究会による第二次報告です。以下、要約。

 研究会は厚生年金などの報酬比例部分(二階部分)について、特に保険料のすべてを積み立てる完全積み立て方式に変更できないか検討した。可能なら、払った保険料は運用益がついて本人に戻る。世代間の不公平は消えるし人口構成の変化にも強い理想的な案だ。

 しかしそれを導入すると現役世代の負担が大きい。日本の年金制度は当初、完全積み立てを建前としていたが、保険料に比べ年金額を増やしすぎたことなどから、保険料をその時々の高齢者への給付に回す賦課方式に事実上変わってきた。完全積み立てに移る時、現役世代は高齢者への給付の財源負担と、自分用の積み立ての二重の負担を避けられない。

 厚生労働省の2004年財政再計算をもとに推計すると、報酬比例部分に関しては、すでに支払いを約束した額から支払い準備のため過去に積み立てた分を差し引いた二百七十兆円(積み立て不足)を何らかの形で処理する必要がある。

 仮にその全額を現世代の個人、企業が負担するとすれば、制度完成まで四十年を費やすとしても、年平均で約七兆円の負担となる。一方、二百七十兆円の「元本償還を想定しない国債」を発行し償還負担を将来世代に求める案もあるが、毎年数兆円の国債金利は払う必要がある。程度の違いはあれ現役世代が二重の負担をかぶるのは同じだ。

 厚生労働省の2004年試算によると、厚生年金(基礎年金を含む)の給付と負担の現状は、1935年生まれでは払った保険料を政府と同じ想定利回りで運用するのに比べ、その8.3倍の年金を受け取れる。05年生まれではこれが2.3倍だ。

 この試算は分母となる保険料総額に企業の負担を含めておらず、受け取れる年金の倍率が実際の二倍になっている。また将来の保険料負担や年金額を今の価値に換算する際にからくりがあって、負担を小さく、給付を多くみせている。

 日本総合研究所の西沢和彦主任研究員はこの二点を考慮し厚労省の公表データを基に「05年生まれの給付・負担倍率は0.8倍にとどまる」と指摘する。掛け金を政府計画と同じ利回りで運用した場合に予想されるだけの金額すら戻ってこないのだ。

 これは過去に年金額を高くしたのに、それに見合うだけ保険料を上げるのを政治が怠ってきたことのツケである。

 研究会は二階年金の掛け金の一部をその加入者のため積み立てるよう提案した。その財源は基礎年金部分の税方式化で企業の負担が浮く三兆円強の大半。併せて急激な負担増を避けるためにも今の賦課方式の年金額とその保険料をある程度の時間をかけて二割減らす。

 年金給付の上昇を機械的に抑えるのが現行制度のマクロ経済スライド。2004年の年金改革で採り入れた。年金をもらう高齢者が増える一方で掛け金を払う若い世代が減り、年金財政のやり繰りが苦しくなっているためだ。

 その仕組みはこうだ。年金の給付水準はそれまで、新しく給付額を確定する人(新規裁定者)は初めの年金額を賃金上昇率に連動させ、すでに確定した人(既裁定者)の年金は物価上昇分だけ上げてきた。04年の改革後は給付額の引き上げ幅を賃金や物価上昇率から0.9ポイントを差し引いた水準にとどめることになった。厚生労働省は23年度までこのやり方を続ける方針だ。

 研究会はこの給付抑制策をとらず、年金額を賃金や物価の上昇率に見合って引き上げるよう提言した。月六万六千円の給付が実質的に目減りするのを防ぐのが狙いだ。ただし物価や賃金が下がったら給付額も下げるのはやむを得ない。

 この賃金・物価との完全連動方式に変えた場合、現役世代の手取り収入に対する年金給付額の割合を示す「所得代替率」はどうなるか。基礎年金の所得代替率は、マクロ経済スライドを適用すれば04年度の約17%から23年度は約14%へ約3ポイント下がる。改革案だと23年度でも約17%の水準が維持される。

 研究会は基礎年金(共通年金)の税方式化で浮く企業の保険料負担約三兆七千億の一部を使いパート社員らを全員、厚生年金に加入させるべきと考えた。

 政府はパート社員の厚生年金加入を促すため、今は「週三十時間以上」の勤務者を対象にしているのを「二十時間以上」に拡大する方針だ。その場合も月給九万八千円以上の人に限る。

 その理由はこうだ。九万八千円は厚生年金保険料を計算する際の月収(標準報酬月額)の下限。これに約15%をかけた一万四千円余りが今の厚生年金保険料だ。国民年金保険料は収入に関係なく定額(今年度一万四千四百十円)である。低所得の人に加入対象を広げて九万八千円の報酬月額の下限を下げると、低所得の人は国民年金保険料より低い負担で基礎年金のほか報酬比例年金も受給できるという不公平を生む。

 基礎年金を二階の報酬比例部分と切り離して消費税方式にすれば、その部分は皆が公平に負担するので、こうした問題は解消する。九万八千円未満でも厚生年金に加入できるようなり、パートで働く利点が増す。小規模企業にはパート社員の保険料の負担がつらいという問題もある。だが共通年金を税方式にすれは厚生年金保険料は安くなるので、パート社員を加入させやくなる面もある。

 一次報告に対しては基礎年金(共通年金)の財源を消費税で賄うために税率を5%上げると、増大する医療や介護の費用に充てるための消費税増税が難しくなるという声が多かった。二次報告では共通年金の機能を充実させるために、消費税率の上げ幅を6.5%に増やした。食料品などへの軽減税率の導入を考慮せずに計算すると税率は11.5%になる。年金改革だけで税率を二ケタにすれば、それ以上、大幅に消費税を増税しにくくなるという意見が出るのはもっともだ。医療、介護の財源をどう手当てするか。三つの考え方を示す。

 第一は効率化を目指す制度改革を推し進め、無駄を徹底して省くことだ。それ自体が財源不足の幅を小さくするだけでなく、保険料や税、窓口負担の引き上げを国民が受け入れる素地を整えるためにも必要だ。

 例えば、2006年度時点で約17%の後発医薬品の普及率(数量ベース)を欧米並みの40%程度へ高める。また診療報酬明細書の完全電子化を急ぎ、治療法の標準化を確立する。

 さらに病院と診療所との機能連携を強めて重複する検査や受診を解消する。内閣府が一定の前提のもとに試算したところ、これらを徹底すれば年間で五千億円を超す医療費の削減効果を期待できるという。

 政府は急性期医療の機能強化や介護を担う人材の増強などのため、25年度までに消費税率で4%、健康保険料で2%程度の引き上げが必要という推計を出した。これは医療を原則、公的な制度で賄う前提だが、高度で先進的な医療は一部を私費で負担する仕組みを広げれば税金と保険料の引き上げ幅を圧縮できる。

 第二に高齢世代の医療費は税金の比重を高める一方、現役世代は保険料を中心に運営するなど、各世代の特性に応じた財源構成を工夫する制度改革だ。

 後期高齢者医療は給付費の五割を税、四割を現役世代の保険料からの支援金で賄い、残り一割分だけ高齢者本人に保険料を求めている。人は年をとるにつれ病気やけがをしやすくなる。保険原理が働きにくい高齢者には税の投入割合を高めてもよいのではないか。

 現役世代は高齢者ほど病気やけがをしない。このため相互扶助の考え方に基づく保険の仕組みになじみ、保険料中心に財源を賄うのが理にかなうだろう。

 企業の健康保険組合や協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)には病院・診療所が患者に提供する診療内容や診療報酬の請求が適切か否かを厳しく点検する役割が求められる。保険料という自主財源をもとにすればこそ節約努力に身が入る。

 今年は高齢者医療向けの支援金の重さに耐えられず解散した健保組合も出た。こうした事態を防ぐためにも、現役、高齢世代それぞれの医療費の財源のあり方を再検討する必要がある。

 第三に増税する場合、消費税も多少は引き上げる余裕があるほか、消費税以外にも増税候補がある。

 厚生年金や国民年金の保険料は全額、非課税扱いになっている。政府税制調査会の資料では1997年度に基礎年金部分の所得税の減収額は八千億円あった。基礎年金を消費税方式にして保険料控除がなくなると給料のうち課税される部分が多くなり、所得税収は増える。保険料廃止に伴い企業もその分、利益が増えるので法人税収も五千億円前後増える可能性がある。また無年金や極端な低年金の人がいなくなるので、高齢者向けの生活保護費を四千億円程度、圧縮できるという推計もある。

 裕福な高齢者に相応の負担を求めるのも選択肢だ公的年金等控除は年金収入がいくら高くても非課税枠が残る。所得税の減収は年一兆四千億円に達する。

 また相続税は約一兆五千億円あるが、納税者数は相続人の5%弱に過ぎない。昔は老いた親の面倒を子供が見ていた。相続税を幅広く課税し社会に還元してもらうのはおかしくない。

 保険料の一部を積み立てるとき、その部分をどう運用するか。研究会は様々な方法の長所と短所を検討した。

 一つの方法は自動車損害賠償責任保険と同様に加入は国が義務付けるが、保険料の徴収やお金の運用・管理、年金の支払いを民間に委ねるやり方だ。役人による年金記録漏れや、使い込みなど社会保険庁を通すことに伴う問題も避けられる。基礎年金部分の消費税化により財源徴収が国税庁に移るのと併せ、社保庁の業務を大幅に縮小できる。

 参考となるのは部分積み立て方式を導入しているスウェーデンだ。政府機関である年金保険機構(PPM)のクリスティーナ・カンプ報道官によると、民間が約八百種類のファンドを提供。最高五つまで自由に選べる(PPMも指数連動型の標準ファンドを用意する)。乗り換えも手数料なしで自由にできるので「一日に一万-一万二千人がファンドを入れ替えている」(カンプ氏)という。

 個人ごとの勘定になれば、年金制度への参加意欲も高まるだろう。PPMは「みなし積み立て」(賦課方式)部分と民間ファンドなどによる積み立て部分を合わせた年金受取額の見込みを年一回、加入者に郵送している。

 一方、積み立て部分の運用を年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に一括して委ねる案も考えられる。2007年度のGPIFの運用資産に対する手数料率は0.03%。国民のコスト負担は小さい。運用機関の規律を保つための仕掛けも必要だ。

 積立金の運用方法と、それに密接に関連する保険料徴収の方法は、社保庁と国税庁を一体化する「歳入庁」構想など、議論を深める必要がある。

 マクロ経済スライド・・・2004年の年金制度改革で導入された年金給付の水準を自動調整する仕組みのこと。少子高齢化で年金財政が悪化するのを防ぐため、今後20年間程度に限り、物価の伸びよりも年金受給額の増加を抑えることをめざす。現役世代の加入者の減少率と、年金を受け取る期間が長くなることを意味する平均余命の伸びを勘案した「一定率」を物価上昇率から差し引き、年金額に反映する。
 「一定率」は平均余命の伸びの分が0.3%、実績値を使う現役世代の年金加入者の減少率は0.6%程度と見込まれ、合わせて0.9%程度とされている。物価の下落時には、年金額を減額改定するものの、この仕組みによって減額幅を増やすことはない。(8/11日経より転載)

 【後日記】『自・民7議員が「税方式」提言 年金改革、政府に挑戦状』(日経12/26から転載)

 自民、民主両党の衆院議員七人が二十五日、年金制度の抜本改革を求める提言を共同発表した。党派を超えて年金改革の合意を探る努力は、小泉政権下で厚生労働省が主導した2004年改革後の課題だ。提言は内容に詰め切れていない点があるが、超党派での取り組みを世に問う初の試みになる。現行制度での微修正で乗り切ろうとする政府や与党厚生族に挑戦状を突き付けたといえる。

 提言に名を連ねたのは自民が野田毅、河野太郎、亀井善太郎の三氏。民主は岡田克也、枝野幸男、古川元久、大串博志の四氏。六月に勉強会を発足させ、九回の会合で合意に至った。

 柱は三点。第一は各年金の役割の明確化だ。一階部分の基礎年金は退職後の生活保障、二階の報酬比例年金は所得再配分を排した自助の制度に衣替えする。第二は財源の手当て。それぞれの機能に対応し、一階は消費税などの税金、二階は社会保険料を充てる。

 第三は二階部分の積み立て方式への移行。現役の勤め人がそのときの高齢者の年金原資を負担する賦課方式をやめ、払った保険料は将来、自分に戻る仕組みを目指す。この移行過程では、これまでに年金の支払いを約束した額から支払い準備として積み立てた分を引いた二百七十兆円の不足解消策が課題になる。「二重の負担」の問題だ。

 財源として一階の税方式化で浮く企業の保険料負担の活用などを例示した。もっとも二重の負担が現役世代にのしかかると、世代間格差の緩和を目指す改革の理念に逆行する可能性もあり、二重の負担の解消には五十年以上の年月をかけることを想定している。

 これらは八日公表した日本経済新聞社の年金制度改革研究会の第二次報告の考え方と共通する点が多い。異なるのは二階を積立型に完全移行させるか、部分積み立てにとどめるかだ。本社研究会は二重の負担が今の勤労世代に集中するのは望ましくないと判断し部分積み立て方式を選択した。超党派提言は二重の負担を年金制度から切り離し、政治責任に基づいて解消方法を決め、実行するという。

 この取り組みは超党派協議の嚆矢と位置づけられる。議員自らがパソコンを持ち寄って改革案を詰めたという。共有しているのは今の年金が将来への持続性を約束できないほど制度疲労を起こしているという危機感だ。

 提言には詰めるべき点が残っている。それぞれが案を持ち帰り党内議論をどう収束させるかも課題だ。来るべき衆院選はまたも年金改革が争点になるのは間違いない。小選挙区制やマニュフェスト(政権公約)選挙の定着で、両党とも対立政党との違いを強調することに懸命だが、野田、岡田両氏は「政権交代しても年金制度はころころ変えられるものではない」と指摘した。その通りだろう。

 日本経済は想定外の少子化や長寿化、成長力の伸び悩みなど構造変化に直面しており、その変化は年金制度の不確実性を高める。にもかかわらず、首相官邸の社会保障国民会議や厚労省の審議会は小手先の策を重ね現行制度を延命させることに汲々としてきた感がぬぐえない。提言は政府への警鐘でもある。(編集委員 大林尚)

 【参考】『年金改革で政府試算』
 5/20の日経によれば、首相が設置した社会保障国民会議の雇用・年金分科会は、09年度から基礎年金の財源を全額税で賄う場合に必要となる税率引き上げ幅(消費税換算)について、四パターンを示したそうです。

 紙面では、日経が以前から主張している通り、大見出しが『未納分減額なら増税圧縮 「小さな税方式」』となっています。我々の世代(専業主婦とその配偶者はどうだか知りませんが)的には、『過去の保険料+国庫負担分を加算して給付』するケースを支持したい気分ですが、ここはぐっと堪えて日経案で手を打つべきでしょう。何にせよこのままでは若者が悲惨過ぎます(と言えば聞こえは良いのですが本音を言うと我々自身が心配です)。

 もちろん逃げ切り確定世代は現行方式を支持するでしょうが、彼らは政府提示のどの案にしたってアドバンテージを軽く保てるでしょうから、頑迷な態度は慎んで欲しいものです。

 【参考】『国民年金保険料 軽減対象者 3倍に増加も』
 国民年金で保険料支払いの免除・猶予制度の対象となる人は、実際の約三倍に膨らむ可能性があることが厚生労働省の推計で明らかとなった。免除や猶予は本人の申請に基づいて実施しているため、こうした差が生まれているもよう。

 厚労省は年金改革の一環として国民年金の保険料を軽減し、軽減分を税で補助して将来の満額給付につなげる策を検討中だが、現状のままでは軽減対象者が大幅に増える見通しとなった。日経11/18より。

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2008年11月27日 (木)

定額給付金に「賛成」63%

 11/17の日経より。インターネットを通じた全国二十歳以上の男女千人の回答だそうな。首相の意に反して全回答者の73%が所得制限に賛成しているとも。

 ・・・これはマトモな政策じゃないよ。稚拙だ。とても政策とは呼べない。そんなカネ、もらっても、もらわなくても金持ちにはどーでもいー話だと思うし。事務に経費(税金)はかさむし。減税すりゃ、いーだけの話じゃないのか。還付可能な税額控除って方法もあるだろう。

 景気が刺激を受けるためには、配ったカネが無駄遣いされなければならないが、その一方でエコがどうたら言うわけだ。仮に生活必需品に費やされたとしても、今までそれに費やされていたカネが浮くわけであって、今度はそれをどうするかって話。

 しかし、賛成が63%か・・・政治って多数決じゃ駄目なのかなぁ。。。

 【後日記】2009/1/11の日経より以下、転載。

 政府が追加経済対策の目玉と位置付け、2008年度の二次補正予算案に盛り込んだ定額給付金事業で、首都圏自治体が対応に苦慮している。実施体制の検討を始めた市区で「郵送手続きや窓口で混乱が生じかねない」「膨大な事務量に対応できるか」など課題が次々浮上、担当者は早くも困惑の体だ。いかに難題を乗り切るか。国会論戦が熱を帯びる舞台裏で、行政の現場はギリギリの準備を迫られている。

 「考えるとキリがない・・・・・・」。東京都葛飾区役所に新たに設けられた定額給付金室。給付体制の検討、国や周辺自治体からの情報収集にあたる種井秀樹室長は頭を抱える。申請、確認書類の郵送でのやり取りを経て、世帯主の口座に振り込むのが国が示す給付の基本パターン。しかし「簡単にはきかない」(種井室長)という。

 申請書を送るのに普通郵便にするか、書留にするか。確実に届けるには配達記録が残る書留が望ましいが三月以降、簡易書留は原則一通三百円が必要。「普通郵便が現実的」(ある区の担当者)だが、現金を受け取れる書類だけに盗難の危険もある。

 国は事務費を全額補助する方針だ。ただ、職員の本給や備品購入費は対象外。各自治体は人件費などの持ち出しが避けられそうにない。

 東京都練馬区は昨年十二月、定額給付金対策準備室を設置した。兼任職員三人に加え、専任職員も三人配置したが、専任職員の人件費は国から交付されない。給付が始まれば、担当職員の人数は「一層増える見通しだ」(準備室)。

 給付が始まる際の職員配置も悩みの種だ。給付が見込まれる三-四月は転入や転出など窓口事務が集中して「職員が最も足りない時期」(東京都新宿区)。川崎市経済労働局は「給付時期に衆院選が重なれば、負担は相当重い」と懸念する。他部門も多忙で応援増員にも限界がある。

 横浜市は給付事務に「膨大な手間とコストがかかる」(市民活力推進局)と想定。事務要因として臨時雇用者の採用を検討中だ。ただ、「国が詳細なたたき台を出してくれず、準備を進めたくても進められない」とうらみ節も漏れる。

 さいたま市は08年十月以降に職を失った非正規労働者を対象に、十三日から臨時職員約百人を募集する。相川宗一市長は「どんなことをやるか明確になった時点で(臨時職員の仕事内容を)決めたい」と話す。定額給付金に関する事務作業も対象の一つだ。

 職員の体制を整え、郵送作業が順調に進んだとしても、行く手にはさらに壁が立ちはだかる。

 昨春、七十五歳以上を対象にした後期高齢者医療制度(長寿医療制度)で、約三万八千人に「転送不要」で保険証を郵送した東京都葛飾区。百数十通が返ってきた。

 定額給付金は約二十一万世帯が対象。住民基本台帳などの住所以外に届かないよう「転送不要」で送り、同じ割合で返送されれば、一千通近くが戻ってくる計算。昨年の二の舞いになりかねない。

 多数のホームレスを抱える川崎市は住民基本台帳と居住地が食い違う人への給付で頭が痛い。「国が基準を定めないと、ホームレスや配偶者間暴力(DV)被害者らに十分な説明ができない」

 郵便が届かない場合や、病気や高齢などの理由で申請書を返送できない事態も起こりうる。約十七万世帯に約六十二億円を給付予定の町田市も「高齢者らで基本パターンで対処できない事例が多発するだろう」と警戒する。給付が始まれば、各自治体は一層難しい対応を迫られるのは必至だ。(森川直樹)

 定額給付金事業・・・給付金額は一人につき一万二千円。六十五歳以上と十八歳以下の人には八千円上乗せし、二万円を給付する。年齢や住所の基準日は二月一日。この日に住民基本台帳に記録されている人および、外国人登録原票に登録されている人が給付の対象で、世帯主が受給権者となる。宝くじの当せん金と同様、所得税は非課税。

 【後日記】『消費税増税 定額給付金 反対が7割弱』(2009/1/26日経より抜粋)

 日経リサーチが全国の成人男女を対象に乱数番号(RDD)方式により電話で実施したそうです。有権者のいる千五百十六世帯から九百三十一件の回答を得たとのこと。回答率は61.4%。

 麻生内閣の支持率が19%となり、昨年十二月の前回調査から二ポイント低下した。支持率が二割を切ったのは森政権末期の2001年二月以来。

 次期衆院選の比例代表の投票先では民主が40%、自民が21%で二倍近くの大差となった。自民と民主の政党支持率が逆転するのはガソリン税の暫定税率を巡って混乱した昨年五月以来で、麻生内閣では初めて。

 給付金は反対が67%で賛成が22%、消費税増税方針は反対が67%で賛成が24%で、いずれも反対が賛成を大きく上回った。

 【後日記】『定額給付金、暴力団へ「9億円超」 排除規定なく警察ジレンマ』産経ニュース(2009.2.14 20:11)より転載。

 国が年度内の支給を目指す総額2兆円規模の定額給付金について、現状のままでは暴力団組員へも支給されることに、懸念の声があがっている。山口組など全国22の指定暴力団の構成員と準構成員は計約8万人(警察庁調べ)。支給に暴力団排除の規定はなく、単純計算で約9億6000万円の税金が暴力団側へ流れることになり、警察幹部は「間接的に上納金になる可能性もある」と指摘する。しかし、排除対象にすれば事務手続きの混乱は必至。暴力団の資金源封じ込めを進める警察や自治体はジレンマを感じている。

 定額給付金の支給額は1人当たり1万2000円。65歳以上と18歳以下は2万円で、標準世帯(65歳未満夫婦、18歳以下子2人)では、支給額は6万4000円になる。

 総務省によると、受け取り条件は「2月1日時点で住民基本台帳、外国人登録原票に記載のある人」。辞退しない限り、実質的に日本に住む全世帯の人が受け取れる制度になっている。排除対象は不法滞在外国人など一部だけで、暴力団組員を排除する規定はない。

 一方、公的サービスから暴力団を締め出す流れは年々加速。生活保護費の場合、「保護費を暴力団の資金源にしてはいけない」との理由から厚生労働省が平成18年3月、暴力団組員に支給しない方針を決定した。各福祉事務所は組員と疑われる申請者を警察に照会。確認されれば申請を却下するほか、生活に困窮している組員には暴力団からの離脱を求める。

 公営住宅についても、都道府県などが排除する取り組みを続けている。各自治体の条例で組員の新規入居を認めず、後に組員と判明すれば明け渡しを請求。いずれも自治体と警察の緊密な連携が鍵となっている。

 そうした中、ノーチェックで暴力団に支給される給付金に、自治体担当者らは矛盾を感じている。

 大阪市の給付金担当者は「当初は生活支援という意味合いが濃かったこの制度の趣旨を考えると、暴力団にお金が渡ることには疑問を感じる」と本音を吐露。しかし、人口約260万人(世帯数約130万)という同市で、暴力団組員を識別することは困難という。

 総務省によると、制度は全世帯支給が前提のため、暴力団排除などのテーマはほとんど議論されたこともないという。

 山口組の元顧問弁護士、山之内幸夫弁護士(大阪弁護士会)は「不況でシノギ(資金獲得活動)が減っているうえ、何をしてもすぐ警察に逮捕される窮屈な現状で、全体的にヤクザも大変苦しい」と暴力団の現状を分析。給付金の辞退も可能だが「多額ではないとしても、喜んで受け取るでしょう」と指摘する。

 ある警察幹部は「間接的に上納金になる可能性があるだけでなく、全国最大の山口組の組長であっても受け取れるというのが、税金の使われ方として非常に悔しい。ただ、制度から暴力団を排除できない以上、他の手法を駆使して資金源封じを図っていくしかない」と話している。

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公債増加に踏み切れ

 と、題した日経「大機・小機」を転載。

 麻生太郎首相が発表した経済対策は定額給付金支給、介護・教育の強化、雇用対策、住宅ローン減税、中小企業金融対策、高速道路料金の引き下げなど、内需拡大策が中心で、その基本方針は妥当である。だが問題はそれを実現するための資金が不足していることだ。資金が足りなくては十分な対策もできない。

 一方、財政再建政策を目標として、首相は三年後の消費税引き上げの可能性を述べている。需要拡大政策と増税は真っ向から衝突する。

 財源軽視は民主党も同様である。民主党の需要拡大政策は財源を無視したペーパープランであると自民党から批判されているが、それは当然である。だがそれを批判する自民党も財源のメドが立たないのは同様だ。結局、与党も野党も財源の目標のない作文対策で争っているわけだ。

 既に公債の拡大は必至である。三年後に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化させようという政府の目標はもう既に破綻してしまっている。

 それではどうすればよいのか。公債を増発すべきである。日本では経常収支大幅な黒字が続いてきた。これは日本国全体で供給超過、内需不足であることを意味する。公債は国の借金であり、それに依存すべきではない、というようなきれいごとはこの際キッパリと捨て去るべきだ。

 公債は国民が購入する。国民からお金を借りてそれを国内需要の拡大に使うのは少しも差し支えない。公債による支出をばらまきだというのは正しくない。ばらまきはもちろん避けなくてはならない。だがそれは公債による収入の使い方の問題であり、この点に注意すれば、公債の発行が拡大しても構わない。

 高い収入を当てにして株や投資信託を買った国民は大きな被害を受けたが、公債を買った国民は資産を維持している。公債は国民にとって最も安定した金融資産である。

 公債を増やして何に使うか。有効需要が不足しているのだから。その用途は無限にある。特にこのところ財政難で減らされ続けてきた道路などは長期的な観点から拡大が必要だ。高齢者対策なども財政に期待するほかはない。

 成長率が高まって、税収の自然増があれば公債の減額も可能になる。成長率が年率四ないし五%になれば、それが可能であるという一部のエコノメトリシャン(計量経済学者)の推計もある。

 ・・・という内容でした。将来、低所得者の税負担増につながらないのであれば、また、消費税率アップにつながらないのであれば、バンバン発行してもらっても一向に構いませんよ、私的には。(買う人いねーだろ。)てか、むしろ発行してちょ。んで、累進課税率復活!社会保障関連の援助には所得制限ならぬ金融資産制限も!

 【後日記】『個人向け国債 販売額最低に 利率低下、魅力薄れ』(2009/4/12日経より転載)

 財務省が十五日発行する個人向け国債の販売額が比較可能な2006年移行で、最低水準に落ち込んだことが十一日わかった。販売額は計三千二百八億円で、前回一月の発行分(五千四十七億円)に比べ36.4%減った。主力の固定金利五年物の表面利率が過去最低の年率0.71%(税引き前)に低下するなど、運用の妙味が薄れているのが主因だ。

 個人向け国債は固定金利五年物に加え、変動金利十年物の二種類を年四回発行している。十五日に発行する四月分は三月五日から購入の受け付けを始め、同月末で締め切っていた。

 財務省によると四月分の販売額は、06年から発行を始めた五年物が二千九百四十一億円で、過去二番目の低水準に落ち込んだ。03年から発行している十年物は二百六十七億円で、過去最低水準を更新。合計でも、五年物と十年物の二種類を扱う現行体制となった06年以降、これまで最低だった昨年四月の三千五百四十億円を下回った。

 財務省は個人向け国債の販売のてこ入れ策として、満期までの期間が短い「固定金利三年物」の販売の検討に入るなど、品ぞろえ強化を急いでいる。

 【後日記】『日本国債、海外の保有縮小 半年で8兆円減』(2009/7/28日経より抜粋)

 海外投資家による日本国債の保有が低迷している。今年3月末には保有率が6.4%、保有額は43兆円台となり、2007年9月末以来の低水準に落ち込んだ。世界同時不況の影響が大きく、4月以降も欧米の投資家を中心に日本の中長期債の売却が続いている。中長期的に国債の安定消化に悪影響を与えかねないため、財務省は欧米や中東諸国を対象に販路拡大を目指す考えだ。

 日銀によると、国債の残高は3月末時点で約681兆7000億円で、このうち海外投資家の保有分は約43兆7000億円。9割以上は銀行や生命保険会社など国内投資家が保有している。米国やドイツでは海外投資家の国債保有率が半分以上。英国やフランスでも3割を超えており、日本国債は海外投資家の保有率の低さが際立つ。

 ただ、海外投資家による国債売却は今のところ長期金利の上昇にはつながっていない。新発10年物国債の利回りは昨年9月にはおおむね1.4%台だったが、足もとでは1.3%台。貸し出しが伸び悩み、運用難が深刻化する国内銀行などが国債投資を積極化しており、海外投資家の売りを吸収しているためだ。

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2008年11月 6日 (木)

何のための消費税増税か

 日経『大機小機』から以下、転載。

 麻生太郎首相の三年後の消費税引き上げ発言が大きな反響を呼んでいる。だがその財源を何に充てるかによって大きな違いがあるにもかかわらず、単に増税の是非だけが争点になるのは不思議である。

 消費税を主要な安定財源と見なす財務省は、消費税の増収分を財政再建に充てるのが狙いだ。予算配分の権限を弱める歳出削減ではなく、増税を通じた財政再建こそが、財務省の長年の悲願である。

 他方で、消費税の増税のもう一つの用途は、ますます当てにならない社会保険料に代わる「社会保障目的税」である。国民年金の納付率は、免除者も含めれば、既に五割を下回っている。この破綻が顕在化しないのは、サラリーマンの保険料から際限なく流用できる「基礎年金」という悪魔の仕組みがあるからだ。

 しかし保険料の未納は国民健康保険(国保)でも同じである。違いは、未納付分が主にサラリーマンの税金である市町村財政から穴埋めされる点にあり、国民年金のように正直に公表されないだけだ。

 今回の後期高齢者医療制度での大きな誤算は、従来の国保と同程度の保険料を年金から源泉徴収することに対する予想外に強い抵抗であった。この要因として各種メディアでは年金記録への不信感を挙げているが、素直に考えれば、国保の保険料支払いを怠っていた高齢者がそれだけ多かったためとも推察される。

 国民年金と異なり、国保の保険料は一応所得比例であり、消費税と同じ負担である。現行の取れるところから取る国民年金や国保の保険料の代わりに、誰もが消費額に応じて公平に負担する社会保障目的税に置き換えることは、断じて「増税」ではない。保険料負担が減るという実質的な「所得減税」と合わせれば、景気にも中立的である。むしろサラリーマンには、課税ベースが広がるだけ、一人当たりでは負担減になるはずだ。

 しかし、これを実現するには、たとえ破綻していても社会保険制度を死守したい厚生労働省と、財政再建の貴重な財源を奪われたくない財務省の省益が大きな障害となる。

 年金や医療の抜本改革を目指す社会保障国民会議を官邸の組織として設置したのは画期的であった。しかし肝心の事務局が保険方式の厚生労働省出向者で占められていれば同じである。民間にも年金や医療の研究者は育っている。利害関係者を排除して再出発すべきであろう。

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2008年10月 6日 (月)

総合経済対策2つの矛盾

 9/3の日経『大機小機』を以下に転載します。

 政府は八月二十九日に総合経済対策を決定した。この対策は二つの矛盾点を内包している。一つは財政再建に関する矛盾だ。対策は、2011年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化の目標を堅持し、有効需要創出を主目的とした財政出動は行わないとしている。だが一方で、定額方式による特別減税を実施し、臨時福祉特別給付金を支給するという。これは財政出動による有効需要創出策そのものではないのか。

 一日夜に退陣を表明した福田康夫首相は、もともと減税には消極的だったとされる。財政再建路線の堅持が福田首相の理念であり、減税と給付金はその理念に反して外から押し込まれたものだと考えられる。すると、この矛盾は福田首相の意図と現実の政治情勢との食い違いを象徴するものであり、退陣の一つの引き金になったのかもしれない。

 もう一つは、コストアップの価格転嫁に関する矛盾だ。対策は国民生活を守るという観点から「便乗値上げ・カルテル等不正行為の監視と厳正な対処を行う」としている。

 だが一方で対策では、燃料負担の大きい特定業種を支援し、トラック運送業について燃料サーチャージ制の導入を促進するという。トラック料金に関してコストアップ分を100%価格転嫁させるべきだと考えていることになる。

 同じくクリーニング業に対しては「指導等を行う」という。この「指導等」の意味は明記されていないが、想像はつく。厚生労働省はコスト増に苦しむクリーニング業界のために「原油等の価格転嫁等が必要」という趣旨のポスターを作製している(八月二十六日付日本経済新聞)。この点を踏まえると、クリーニングについては価格にできるだけ転嫁するよう消費者を説得するのが「指導等」の中身ではないかと思われてくる。

 こうして業界が協調してコストを最終価格に転嫁するのは、まさにカルテルそのものではないのか。一律に値上げを認めると、本来は値上げしないつもりだった業者も値上げをすることになる。これは便乗値上げではなかろうか。

 今回の対策は、理念は良いが、理念に反した具体策が紛れ込んでいる。財政の健全化を優先するのであれば、減税や給付金の交付はしない。市場を尊重するのであれば、コストアップの価格転嫁に対して公的な介入はしない。これが理念に沿った矛盾のない経済政策である。

 【後日記】『やめてほしい負の経済対策』
 2009/2/13の「大機小機」から抜粋します。

 経済政策は経済実態の中から生じてくる政策課題を解決するために立案される。ところが政策が実行されるまでの間に経済実態が変化してしまい、結果的に的外れな政策を実行する場合がある。

 極端な場合には、政策を実行することが経済的にマイナスにしかならない場合さえある。いわば「負の経済政策」になってしまうのである。この負の経済政策が、今まさに実行されつつある。

 第一は、高速道路料金の引き下げだ。これは昨年八月の政策パッケージに盛り込まれたものが、今年一月の補正予算で実現することになったのものだ。立案段階では、ガソリン価格上昇に苦しむドライバーの負担軽減という一応の意味があったが、その後、石油価格は大幅に下がったから、今では実行する意味がない。

 観光の振興を通じて景気対策になるという説明もあるが、鉄道から車への代替が進むだけに終わる可能性が高く、省エネ、温暖化ガス削減という面ではマイナスである。五千億円も費用をかけてマイナス効果しかないことをやっている場合だろうか。

 第二は、企業への賃金引き上げ要請だ。これは昨年十月のパッケージに含まれていたもので、十二月に麻生太郎首相が財界首脳に賃金引き上げを求めるという形で実行された。これも当初は、賃金の分配率の低下を食い止め、消費の拡大を通じて景気にプラスになるという意味があったかもしれない。

 しかし現下の最大の経済問題は、急激に需要が落ち込み、企業の業績が急降下する中で、いかに安定した雇用機会を確保するかということだ。そんな時に企業に賃金を上げさせたら、賃金コストが上昇し、雇用情勢の悪化に拍車をかけることになってしまう。

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2008年9月21日 (日)

H&M、行列絶えぬ1週間

 だそうです。昨日の日経によると。

 カジュアル衣料専門店へネス・アンド・モーリッツ(スウェーデン)とやらが東京・銀座に一号店を開いて一週間がたつも依然、二時間待ちの行列が続いているとのこと。来客数は五万人を突破したもよう。平日でも客数が八千人を超えたそう。

 H&M日本法人は「ドイツや米国の一号店がオープンした時より、はるかに行列が長い。H&M史上初の出来事ではないか」と話しているそうです。

 ・・・服なんか並ばずに買えよ・・・アホかこいつら。

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2008年8月27日 (水)

ゆとり教育世代 難関突破の余裕乏しく

 8/18の日経コラムから。
 東京都は2001年、都立高の大学進学実績を高めるため、日比谷、戸山、西、八王子東の四校を「進学指導重点校」に指定。後に、青山、立川、国立の三校を追加したんだそうです。直後から、七校の応募者は急増し合否ラインも上昇したそうです。指定後に入学した生徒の実績は目覚ましく、先行四校の国公立大学の現役合格者数は05-07年の平均で、指定前のほぼ1.5倍に達したそうです。東大など都が難関大と指定した大学への合格者数も著しく伸びたといいます。
 しかし、今年は先行四校の難関大への現役合格者数が、05年-07年の平均と比べ20%減ったとのこと。ただ、後発三校では25%強伸びており、また、浪人を加えた数字では四校で約8%増えているともいいます。合格者が七校全体に分散し、現役は減ったが浪人を含む合格者数は伸びているもようです。
 コラムの執筆者は現役が減った理由を、「今春の現役生はゆとり教育と呼ばれる現行教育課程の始まった02年に中学に入学した「学力低下」世代。高校三年間で、難関大レベルの学力を築くだけの時間的余裕がなかった」と分析しています。

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2008年8月16日 (土)

省エネ・200年住宅・2世帯向け 住宅ローン減税 新設 国交省方針

 現在の住宅ローン減税制度は借入額二千万円分を上限に、六年目までは借入額の1%(上限は二十万円)、七-十年目まで0.5%(上限は十万円)を所得税から差し引く税額控除で、今年期限が切れるとのこと。

 住宅業界はすそ野が広く景気への影響度が高いといいます。新設住宅着工戸数は六月まで十二カ月連続で前年同月割れが続いており、住宅ローン減税制度の延長・拡充には与党からも要望する声が上がっていたそうです。

 国交省が定義する省エネ住宅は「外壁の断熱材が百ミリメートルあること」などで、現時点でも新築分譲住宅の五割前後が定義を満たすとみられるそうです。

 「二百年住宅」は建て替えの度に大量に発生する廃材を減らせるといいます。

 ただ、住宅ローン減税は歳出増を伴わないが、対象が住宅購入者に限られることで、減税による消費喚起効果が高いとされる低所得者層への恩恵が少ない、との指摘もあるもようです。

 【後日記】『09年度 税制改正のポイント』
 12/16日経より。

 与党の2009年度税制改正大綱がまとまった。生活に密着した改正ポイントを解説する。第一回目は住宅ローン減税について。

 耐久性や耐震性、省エネ性能が高く一般住宅より寿命が長い長期優良住宅(マンション含む)に入居する場合は減税幅が大きくなる。ローンを組んで自宅を買い、09年-11年に入居したときは十年間で合計最大600万円(入居が12年なら400万円、13年なら300万円)の税額控除を受けることができる。

 一般の住宅・マンションでは09年、10年に入居すると最大500万円の控除を受けられる。中古住宅でも築年数があまり古くなければ、原則として控除対象になる。

 支払う所得税が控除額に達しない場合、個人住民税からも一部控除できる。所得税が多くない人でも住宅ローン減税が利用できるようにするためだ。住民税の控除額の上限は9万7500円だ。

 住宅リフォームやローンを組まない長期優良住宅の新築についても優遇制度をつくる。自宅に太陽光発電装置の設置や、バリアフリーの改修工事をした場合、所得税を控除する。

 土地取引に関しては09、10年の二年間に取得した土地を五年を超えて保有した場合、売り渡すときにかかる税金を優遇する。土地売却時の譲渡所得から一千万円を特別に所得控除する。個人でも法人でも制度を利用することができる。

 【後日記】『09年度 税制改正のポイント⑤』
 12/30日経より要約。土地取引について。

 目的は土地取引を活性化して内需を刺激するため。

 一つは取得する土地の将来の譲渡益に対する「一千万円の特別控除」の創設。企業や個人が09、10年中に購入した土地を五年超保有した後に売る場合。

 なお、これまで土地を売って利益が出た場合、大企業は譲渡益の30%(中小は22%)を法人税として、個人は所得税や住民税で計20%課税されていた。

 もう一つは法人が保有している土地の譲渡益に対する「課税の繰り延べ」制度。対象は09、10年中に土地を購入した法人や個人事業者が対象。その後十年間のうちに、持っていた別の土地を売却して譲渡益が出ても、そのうち八割(10年購入分は六割)を減額する。その分は09、10年に購入した土地の簿価を引き下げる。その結果、この土地を将来売る際に売却益が大きくなって課税額が増えるので、課税が繰り延べられる効果がある。

 【後日記】『省エネ投資 税負担軽く』

 政府は企業の省エネルギー投資の全額を初年度に費用として一括計上し、税負担を軽くできる新たな「即時全額償却制度」を今夏にも導入する。即時償却は、工事の機械などについて、取得額の全額を初年度に費用(損金)として課税所得から差し引く制度。投資する年の税負担が軽くなり、企業が資金を出しやすくなる。

 政府は即時償却を認める条件として、対象の省エネ投資により工場などのエネルギー効率(資源生産性)を1%以上向上させることを求める。エネルギー効率は、企業が生み出した付加価値をエネルギー消費量で割って求める。

 企業はこのほか、自社全体のエネルギー効率を三年間で一定以上引き上げる計画書を提出し、所管大臣に認定されることも必要となる。

 政府はこれとは別に、省エネ性能が国内流通品のうち上位二割に入っている液晶テレビやエアコン、冷蔵庫などを作っている企業が、それらを作るために投資をした場合も即時償却を認める。

 以上、日経2009/1/26より要約。

 【後日記】『税改革「租特」に切り込む』(2009/8/7日経より抜粋)

 民主党が租特の見直しを打ち出した狙いは、租特の背後にある既得権益の一掃と、子ども手当などの財源を捻出するためだ。それぞれの租特の政策効果を検証したうえで、不要と判断したものは廃止し、必要なものは本則に組み込んで恒久措置に切り替える考えだ。

 税収減となる租特は財政負担になるため、「隠れ補助金」とも呼ばれる。例えば中小企業の貸倒引当金の損金算入を割り増す特例は「暫定措置」が40年以上も続いている。沖縄の特区に認めた法人税額の特別控除のように強い「政治力」が働いたケースもある。

 こうした租特は税制の「公平・中立・簡素」という理念に反するため、これまでも政府税制調査会(首相の諮問機関)などが見直しの必要性を唱えてきた。それでも改革が滞ってきたのは「利害関係者の反発が強く、放置せざるを得なかったケースも多い」(財務省幹部)からだ。

 政府内でも抜本的な租特改革に期待する声は多い。違いは、民主党が「財源」の創出を当て込んでいることだ。税制改正で捻出する2兆7千億円のうち、約半分を配偶者控除と扶養控除の廃止でまかない、残りは租特見直しに頼る意向だ。

 直嶋正行行政調会長は産業界への影響が大きいナフサへの免税(3兆6千億円)は継続する考えを表明したが、具体的な見直し対象には言及していない。目玉政策であるガソリンにかかる揮発油税や、自動車重量税の暫定税率の廃止はいずれも増税措置なので、逆に税収が減ってしまう。

 約300ある租特には減税規模が1億円未満のものも多い。1兆円超の増収を見込むには、減税規模の大きい租特に切り込まざるを得ない。1000億円以上を減税する租特には、住宅ローン減税や中小企業向けの研究開発促進税制など14項目あるが、これらを廃止すれば経済や家計への影響は必至。税制全体の改革で増減税を調整する必要がありそうだ。

 租税特別措置・・・特定の政策への税優遇をはかるために設けた例外措置。租税特別措置法に基づく項目数は、今年1月時点でちょうど300あった。2009年度予算では、減収見込み額が7兆3000億円、増収見込み額が2兆2000億円で、差し引き5兆1000億円の減収要因となる。

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2008年8月11日 (月)

政省令を含め7000超す

 以下、日経より転載。

 総務省行政管理局の「法令データ提供システム」によると、2008年七月四日現在で法律は憲法を含めて千七百八十五(改正法なども入れると千八百二十五)ある。政省令を合わせた法令数全体では七千二百八十四に上る。

 分野別に法令数をみると、最も多いのが「財務・国税・国債など」で二百十一。以下、「司法・民事・刑事」(二百三)、「国土開発・都市計画・建築住宅など」(百七十八)と続く。

 役人は法律作りには熱心だが統廃合には及び腰だ。既得権を得ている人々が反対するうえ、関連する団体は天下り先になる。「法律を作った先輩が現役の間は廃止できない」と漏らす職員もいる。

 法律のリストラは組織の再編や職員の適正配置に道を開く。地方分権の時代。住民に身近な分野は国が基本法だけを定め、あとは自治体に任せればいい。

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2008年8月 1日 (金)

大根310トン出荷停止

 農林水産省が、全国農業協同組合連合会(全農)から卸値が低迷する大根の緊急需給調整(市場隔離)の届け出があった、と発表したそうです。日経より。

 ホクレン(札幌市)が100トン、全農青森県本部(青森市)が210トンをそれぞれ出荷停止するとのこと。出荷停止した大根は加工用などの利用先を探し、残りは産地廃棄するそう。

 東京都中央卸売市場での直近の大根平均卸値は平年の七割を下回り、「運送コストも入れると赤字になり出荷できない」(ホクレン)との声が強まっているそうです。

 ニンジンや白菜も平年の七割を下回っており、「今の状況が続けば市場隔離を検討する」(全農)とのこと。

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2008年7月22日 (火)

原油高と旅行動向

 昨日の日経にJTB社長へのインタビューがありましたので、前半部分を以下に転載します。

 -原油高で航空会社が燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)を値上げしています。海外旅行にはどの程度影響していますか。

 「アンケートなどからの推計では、夏休みの海外旅行客は前年比で7%減る。燃料サーチャージの高騰で、特に家族旅行が悪影響を受けている。人々が旅行を手控えた2001年の同時テロ後とほぼ同じような状況だ」

 「ただ、地中海クルーズなど高額の旅行需要は減っていない。二極化の傾向が目立っている

 -原油価格の上昇が続くと、打撃はさらに大きくなりますね。

 「原油価格が仮に1バレル200ドルまで上がれば、現在年間で約1700万人の海外旅行人数が1300万人まで落ちる可能性がある。もっとも、海外旅行の費用は1990年代初めからずっと下がっている。海外旅行人数が現在とほぼ同水準だった96年ごろと比べても費用が高くなっているわけではない

 -海外旅行が減る分、国内旅行は増えていますか。

 「経済の先行き不透明感もあり、夏休みの国内旅行もマイナスと予想していたが、実際には伸びてきている。当社の予約状況を見ると、七月に入って前年比10%増で推移している。人々の旅行意欲は衰えていない

 -ガソリン代の上昇は響いていませんか。

 「自動車利用を組み込んだパッケージ商品を見る限りでは影響はでていない。ガソリン価格上昇による出費の増加は一泊旅行だと2400円ほどで、四人家族なら一人あたりの負担増は600円にとどまる。一回限りならそれほど出費が増えるわけではない

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2008年7月15日 (火)

汚職を生んだ教職社会の闇

 大分県の教員採用汚職についての日経社説7/11から部分抜粋、以下転載します。

 県教委の幹部が特定の受験者を採用試験に合格させるために便宜を図り、商品券などを謝礼として受け取っていた。

 採用試験での「便宜」の内容がひどい。点数の水増しだけでなく、一般の受験者を減点して本来の合格者を落としていた。教職者が若者の人生を狂わせていたわけだ。

 不正は組織ぐるみで常態化していたとみられる。採用だけでなく昇進に絡んでもカネが動いていた。ここにきて県会議員の関与も浮上している。

 再発を防ぐためにまず必要なのは、教員の採用や昇進を教育委員会だけには任せない工夫だ。

 採用や昇進事務を教委から完全に切り離すには、これらを教委の権限と定めている教育公務員特例法が障害になる。同法の改正も検討課題だろう。

 地方分権の立場からは、文部科学省の出先機関と化しがちな教委を廃し、教育行政も首長部局に委ねるべきだとの声がある。

 戦後ずっと、教員の養成・登用は各地の教員養成系大学出身者を軸に一元的に進められ、多様な人材の流入を阻んできた。今回の事件では、そんな既得権益を持つ集団のゆがみが露呈している。決して一地方で起きた特殊な不祥事ではない。

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2008年7月14日 (月)

船員不足解消へPR

 海で働く人の不足に悩む国土交通省は若者を中心にPR活動を積極化するようです。乗船体験の場を設けるなど海の仕事に触れる機会を増やす他、仕事現場の動画付きホームページ「海の仕事.com」を新しく用意したと言います。また、一定時間以上の残業を規制するなど、厳しいと敬遠される船乗りの職場環境改善を進める、としています。日経。

 【後日記】『パソナ、農業従業員採用』

 日経8/1によると人材サービス大手のパソナグループが農業を専門とする従業員の採用を始めるそうです。

 原則として三年間、契約社員などとして雇用し、契約農場で研修しながら農作業をするとのこと。農業分野で起業する人材を育て、農業への派遣につなげる考えだそうです。2010年度に契約農場を全国十カ所に拡大するといいます。

 月額二十万円程度の給与を支給し、二年目以降は成果報酬制度も取り入れる予定。栽培技術を習得するだけでなく農業生産法人の経営者と交流して農業経営の感覚を磨いてもらうとしています。

 パソナは、農業への人材派遣サービス市場が「民間企業の参入で将来は広がる」(同社取締役専務執行役員)とみており、新規就農者を支援することで市場での影響力確保を狙う意図があるもようです。

 【後日記】『農地所有者と就農希望者 ネットで仲介』(日経12/24から転載)

 農業ベンチャーのマイファーム(大阪府高槻市、西辻一真社長)は遊休農地や農園の所有者と就農希望の個人・法人を結ぶマッチング事業を始めた。インターネットで土地の登録・検索ができる専用サイトを開設。製造業などでの雇用環境の悪化を受けて農業への関心が高まるなか、各地で増加する遊休農地の有効活用につなげる。

 新サイト「タガヤシ」は手入れが行き届いていない遊休農地とすぐに耕作できる農園を所有者が登録。利用を希望する側がサイトを検索し、マイファームを通じて所有者に連絡を取る。登録料は遊休地が無料で、農園は月一万五千円。就農希望者に料金はかからない。

 マイファームは全国の遊休農地を借り受けて耕し、小分けの菜園として個人に貸し出す事業を手掛ける。サイトを通じて集まった全国の情報を生かし、二十カ所ある自社菜園も来年中に百五十カ所まで増やす計画だ。

 【後日記】『農業法人など 379人を募集』(2009/1/8日経より転載)

 農林水産省は七日、百九の農業法人など国内の農業事業者が正社員208人を含む379人を一-二月に募集するとの集計を発表した。三十八都道府県の農業法人が野菜の生産・販売、酪農など幅広い分野の農作業で雇用する。金融危機による急激な景気後退で雇用情勢が悪化しているのを受け、業界団体の全国農業会議所が集計した。同会議所の就農相談センターのホームページなどで法人名を公表し、無料相談にも応じる。

 求人数が最も多いのは熊本県で、正社員とパートでそれぞれ24人の募集がある。長崎県や宮崎県の農業法人も約40人を採用する予定。

 【後日記】パソナグループは子会社のパソナ(東京・千代田)の本社ビル地階に設置していた就農支援施設「パソナオーツー」を閉鎖する。来年一月をメドに同区内のビルに移転するが、同様の施設を設置する計画はない。2009/1/23日経より。

 【後日記】『水産業分野の雇用創出策』(2009/2/1日経より転載)

 政府は近く、漁業への就業支援など水産業分野の雇用創出策をまとめる。就業希望者のあっせんや研修、漁港の整備を含む公共事業が柱となる。水産関係の雇用関連予算は2008年度の第一次補正予算と第二次補正予算、09年度の当初予算案を合わせて千五百億円あまり。水産庁が中心になって具体策を検討し、どの程度の雇用を創出できるかを見積もる。

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2008年7月 7日 (月)

大気中のCO2限界 NASA・ハンセン所長講演

 という日経の記事です。この方は気象学の権威で、米航空宇宙局ゴダード宇宙科学研究所所長とのこと。

 講演では、北極の氷の減少などとCO2濃度との関係を、過去の気候の記録などをもとに分析した結果を紹介したそうで、CO2濃度を下げても気候の変化を止められなくなる限界が350PPM程度であるとしています。なお、現在で既に385PPMあるそうです。

 私近頃、雑誌や新聞でCO2何年度比何%削減云々という話題を目にする度に疑問に思ってるんですが、排出ゼロは不可能なんだから、化石燃料を使用する限り永遠に炭素が増え続けるんじゃないか、って。つまり、削減すればそれで良いってもんではないと思うわけですよ。再生可能エネルギーのみを使用するのが大切なわけで、排出量自体は本質的な問題ではない、と言いたいのです。

 しかしながら、私の疑問と同じ意見を雑誌や新聞で見かけたことはただの一度もないんですよ。どうしてでしょうかね。

 【後日記】『気候変動「太陽活動が大きく左右」』

 太陽活動が活発になると間接的に雲の量が減り地球が温暖化する-。賛否両論あるこの仮説を支持する新たな証拠を東大と名大の共同チームが見つけたそうです。ただ、「近年の太陽活動は活発だが、中世の温暖期ほどではない」と言います。日経7/21より。

 【後日記】『山岳氷河 縮小が加速』(11/24日経より)

 スイス連邦工科大学の大村教授らは北半球にある31氷河について四十年以上前から、夏に溶ける量と冬に増える量のデータを集めて差し引き、氷河量の正味の増減を追跡しているそうです。これほど長期にわたる調査は他に例がないといいます。

 それによると、2001年-2005年の五年分のデータはそれ以前の五年間の平均よりも減り方が加速しているといいます。大村教授は「これまでノルウェーでは冬の降雪量増加が夏の融氷量を上回り氷河の量の増加がみられたが、最近、冬に雪ではなく雨が降る日が増えて、全体として融解が進んでいる」と説明しています。

 ノルウェー氷河の増大は地球温暖化の進行に懐疑的な立場から、「反証」として指摘されることがあるそうですが、今回の結果でこの懐疑論は根拠を失う、としています。

 なお、山岳氷河は南極やグリーンランドの巨大な氷河を除いたもので、世界の陸上の氷の3%に過ぎないものの、海面上昇にすでに影響を与え始めていると推測されるそうです。

 【後日記】『地球の気候 当面「寒冷化」』(2009/2/4日経より)

 地球の平均気温の上昇が頭打ちとなり、専門家の間で気候は当分寒冷化に向かうとの見方が強まってきた。地球温暖化の主因とされる二酸化炭素(CO2)の排出は増え続け長期的には温暖化が続きそうだが、自然の変動が気温を抑制するように働き始めたとみられている。気温の推移は、温暖化対策の議論の行方にも影響を与えそうだ。

 平均気温は1970年代半ば移行ほぼ一貫して上昇。しかし98年をピークにこの十年間は横ばいないし低下し、2008年の気温は二十一世紀に入り最も低かった。

 この結果、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予測する気温の上昇カーブとの隔たりが拡大。IPCCは気温が2000-25年に十年あたり約0.2度のペースで上昇するとしているが、実際は最近十年で約0.2度下がった。

 気温低下の原因として専門家が有力視しているのが、海の自然変動の影響。太平洋では数十年ごとに水温が上下する太平洋十年規模振動(PDO)という現象が知られる。PDOの高温・低温期は、平均気温の上昇・下降期とほぼ連動。2000年前後にPDOが高温期から低温期に切り替わったと見られている。

 前回のPDO低温期は70年代半ばまで約三十年続いた。今回も同じ規模で低温期が続くと、2030年ごろまで平均気温が上がらない可能性がある。IPCCの長期見通しが正しければ、その後は気温が再び上昇することになる。

 IPCCに参加する研究者は、近未来の気温を正確に予測するため、自然変動の発生時期を考慮した計算機シュミレーションに乗り出している。

 寒冷化との関係で太陽活動の「異変」も注目されている。米航空宇宙局(NASA)は昨年九月、「太陽活動が約五十年ぶりの静かさ」と発表。その後も太陽活動は静かな状態が続いている。太陽の日射量の変化のほか、太陽磁気の変動が地球の気候に与える影響への関心が高まっている。

 IPCCは2007年の報告書で、今世紀末までに最大6.4度の気温上昇を予測している。

 【後日記】『北極海の氷、面積12%大きく 9月、2年連続回復』(2009/9/21日経より転載)

 米国立雪氷データセンターによると、9月中旬時点の北極海の氷の面積は510万平方キロメートルで、昨年の最も小さかった時期と比べ12.8%大きかった。北極海の海氷面積の回復は2年連続。

 北極海の氷は例年9月に年間で最小となり、その後冬にかけて拡大する。今年は9月12日が底だった。海氷面積は1997年夏に急減し、70年代末に人口衛星の観測が始まって以来最小となった。昨年は前年比9.4%回復した。

 今年の海氷面積は過去30年の平均と比べると約2割少なく、依然低い水準に変わりない。

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2008年6月15日 (日)

青梅信金 新商品 子育て・環境・中高齢者支援

 少子化・環境・高齢化という三つの課題に対応する顧客を支援すべく、それぞれに優遇金利をつけた三種類の定期預金・積み金の取り扱いを始めたそうです。昨日の日経より。

 単身者は支援してくれないの?え、課題が必要って?・・・そしたらさー、孤独ってのはどう?孤独という課題に果敢に立ち向かう若者を支援する、ってのは・・・あ!それと環境に最大限の貢献してるか!なるほど~、そういう意味ね。課題の環境ってのは。てっきり仲間外れかと思っちゃったよー。てか、どーでもいーんだけどね。そもそもカネなぞないし、ひ・と・り・ご・と。

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2008年6月13日 (金)

コンビニ深夜営業 規制へ

 京都市の市内中心部だそうです。日経より。昨年九月にも建物の高さやデザインを規制する新景観政策を導入、その一環だそうです。規制時間は午後11時から午前七時までを想定、条約制定による規制も視野に入れているそうですが、当面はコンビニ側の自主規制に任せるとのこと。

 地球温暖化ガスの市の排出量を抑える効果もある、としています。深夜帯に働く人にとっては生活への影響が懸念されますが、市は「環境配慮や景観維持にはライフスタイルの変更も必要だ」(市幹部)と言います。

 まぁ、全くその通りではありますね。

 景観法・・・景観について総合的に定めた法律で、2005年六月に全面施行された。街並みや自然、風景など地域の事情に合わせて景観を守れるように自治体の裁量を高めた。同法に基づき景観行政団体になると条例で規制ができる。区域を定めて建築物の色やデザインを規制する「景観計画」を作成する。
 都道府県と政令指定都市、中核市は自動的に、それ以外の市町村は都道府県の同意を得て景観行政団体になる。昨年十二月一日時点で全国に三百七十二自治体ある。東京都内では都と新宿、世田谷、江東の三区、府中市。(2009/1/28日経より転載)

 【後日記】6/18の日経によると、セブン-イレブン・ジャパンの山口社長が埼玉県内で記者会見し、温暖化対策としてコンビニの深夜営業を規制する考えに反対の意を表明したようです。「CO2削減効果は微々たるもので」規制による弊害の方が大きい、としています。また、深夜営業を止めることで各店の売り上げが約二割減り「今のビジネスモデルが成り立たなくなる」と指摘したそうです。

 ふうむ。墓穴を掘るとはこのことか。夜間自粛しただけで二割も無駄な消費を抑えられるのか。もっとも、二割の中にはトータルで削減に結び付かない必要な消費も若干は含まれるのであろうけど。

 【後日記】6/19の日経。味の素が調味料や冷食など一部商品に、製造・流通段階で排出したCO2の総量を表示する意向。イオン、大日本印刷、東洋製缶と協力し、原材料生産から廃棄までの全過程で排出量を調査するとのこと。
 経産省も流通各社と協力し各社のPB商品を対象に排出量表示を導入する動きを見せており、味の素は先行して独自企画を打ち出し普及を目指す考え。

 カーボンフットプリント・・・商品の製造・流通などで排出するCO2がどの程度かを、商品に記載し消費者意識の一助とする仕組み。欧州で導入が始まっている。国内では産業環境管理協会の「エコリーフ」マークがあるが、サイト上に発表するのみで、商品への記載はしていない。

 【後日記】6/20の日経によると、コンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会(JFA、東京・港)も、相次ぐ地方自治体の深夜営業自粛要請に、異議表明をしたそうです。

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2008年6月11日 (水)

存在感 凶行で表現 若者に相次ぐ

 日経『秋葉原 無差別の殺意』㊥です。

 事情を分かっていないので感覚ですが、私が思うに社会に抑圧されて云々ってアプローチより、全入時代ゆとらー携帯世代などが毒されているゲーム脳へのアプローチなんかを進めたらどうでしょう。

 いや、当記事を含め関連記事は大して読んでいないのですが(目には付きますが)。

 福島章氏のコメントがありますね。私も昔、同氏や小田晋氏などの犯罪心理系の新書を随分読みました。

 普段通りの日常に

 何気なくポッカリと口を開けて待っている

 深い闇の脇すれすれを

 誰しもが歩いているのかも知れない

と、当時読んでいて感じました。こわいですね。

 【後日記】6/12の日経によると、町村信孝官房長官が記者会見で、当事件に関連し、「派遣労働者だったことが本人の精神的な不安定を呼んだとの解説も一部にある。常用雇用を増やす方向で(規制を)見直していくこともあるかもしれない」と語ったそうです。

 関東自動車なんちゃらだっけ?派遣先は。確か10近くあるトヨタG主要企業の一つだったよね。トヨタの連結って二位以下を圧倒的に引き離してダントツだった気がするな。利益でね。

 【後日記】6/14の日経によると、トヨタ自動車の最高級ミニバンが、発売後一カ月で三万六千台の受注となったもよう(月間販売目標は六千台)。

 【後日記】以下、産経ニュースよりコピペ。

【秋葉原通り魔事件】「酒鬼薔薇」世代、教育の落とし穴  2008.6.21 22:53
 秋葉原の無差別殺傷事件で殺人容疑で再逮捕された派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)は、神戸連続児童殺傷事件の容疑者の元少年と同年齢の「酒鬼薔薇(さかきばら)世代」。10年前、教育現場では神戸事件を受け、「心の教育」が問われながら、ナイフを使った少年の事件が相次ぎ、突然「キレる」子供の問題が深刻化した。家庭や学校のしつけ・指導力低下が顕著になり、識者からは「挫折に弱い」「過保護」など、この世代が受けた教育の弊害を指摘する声もある。(鵜野光博)

■「実体験」希薄

 「ヤンキー先生」の通称がある参院議員の義家弘介氏は、平成11年から務めた北星学園余市高校で、加藤容疑者と同世代の生徒を受け持った。

 「幼少期から『個人の自主性が大切』『校則はいけない』『詰め込みは悪』という教育にどっぷりとつかった世代」と振り返る。

 昭和50年代に吹き荒れた校内暴力で管理教育や体罰が問題となり、反動から校則をなくそうという動きも出た時代。埼玉県立所沢高校で平成9~10年、入学式ボイコットの騒ぎを起こした生徒も同じ世代だ。

 学習内容を大幅削減した「ゆとり教育」の学習指導要領改定が行われたのもこの時期。義家氏は「勉強ができる、できないは子供にとって切実な実体験。それが『できなくてもいい』という教師によってぼやかされ、努力の大切さという当たり前のことも教えられていなかった」という。

 生まれた年に「ファミコン」が登場したこの世代。欠けている実体験を補うため、義家氏はイベントなどを生徒にやらせ、失敗を経験させるという教育を繰り返した。「みんな『何とかなる』と思っているが、現実は何ともならない。悔しがらせることで現実を教える教育を、高校でやらなければならなかった」

■「いい子」の虚像

 「子供たちはなぜ暴力に走るのか」などの著書がある評論家の芹沢俊介氏は、加藤容疑者が携帯電話サイトの掲示板に「親が書いた作文で賞を取り、親が書いた絵で賞を取り」「俺(おれ)が書いた作文とかは全部親の検閲が入ってたっけ」などと書き込んでいたことに注目する。

 「小中学校で周りから高く評価されても、『それは自分じゃない』というギャップに苦しんだのだろう。教育熱心な家族の中で架空の『いい子』にされ、加藤容疑者は存在論的に“殺された”のではないか」

 芹沢氏は「それが仕事や人間関係でうまくいかないことに対する強い被害者感情の基になっている」と指摘。「被害者感情は、何かのきっかけがあれば即座に攻撃性に転化する。家庭と社会で2度殺された思いだったのではないか」

 また、「プロ教師の会」を主宰する日本教育大学院大教授の河上亮一氏は「家族でも友人関係の中でもいいが、ありのままの自分を受け入れてくれるホームグラウンドがあるかどうかが重要だ」と話す。

 「ホームグラウンドがあることを前提に、社会に出れば思うままにならないこともあることを、言い聞かせて育てる。加藤容疑者にはホームグラウンドがなかったのでは」

 ■「自立」履き違え

 平成10年1月、栃木県黒磯市(現那須塩原市)の中学校で、当時13歳の男子生徒が女性教師をナイフで刺殺し、翌月には東京・亀戸で、パトロール中の警官が15歳の少年にナイフで襲われた。「キレる少年」は社会問題に。これも加藤容疑者らと同世代だ。

 明星大教授の高橋史朗氏は、事件を起こした少年らに共通する点として「知能指数は低くないが、対人関係能力と自己制御能力という『心の知能指数』が低い」とし、「教科の基礎基本は考えても、人間として社会人としての基礎基本という観点が教育界から抜け落ちていた」と話す。

 「自尊感情や他人の痛みが分かる心が育っていない。他と切り離された『個』の自立を重視し、他者とのつながりの中で生かされている自分を発見し、社会に参画する力を育てることをやってこなかった」

 「勝ち組はみんな死んでしまえ」という加藤容疑者の書き込みについて、河上氏は「いい大学を出て、一流企業に就職するのが幸せで『勝ち組』だという価値観が、若い人を追い詰めている」とみる。

 「少子化で大学進学も容易になり、みんなが夢をみられる半面、成功できるのは相変わらず少数だけ。この現実がより厳しくのしかかるのが、加藤容疑者の世代ではないか」と河上氏は話している。

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2008年6月10日 (火)

総会では株主も問われる

 『一目均衡』って日経のコラムを転載。書き手は特別編集委員の末村篤氏。

 アデランスホールディングスの株主総会で取締役再任が反対多数で否決され、会社案に反対した株主(スティール・パートナーズ)が対案を株主提案しなかったため、総会の新任を得た正当な取締役が会社法の規定(三人以上)に満たない異常事態になっている。

 米国の会社法(州法)は取締役選任に総会の過半数の賛成を必要としない。さらに、日本と違い、米国は取締役候補の株主提案はできても会社に議案書への掲載義務が無く(証券取引所法)、株主提案を周知させるのは容易でない。

 株主主権の元祖とも思われている米国の素顔は経営者主権の国で、米国ではまず起こり得ない珍事だということを日本人が分かっているのか。それが問題だ。

 権力は実力を意味しない。総会決議事項が多く、株主総会至上主義だった旧商法下の日本企業は法人間の持ち合いで株主権を封印していた。持ち合い崩壊と定款自治の新会社法で、日本は名実とも世界にまれな株主主権の国になった。

 しかし、「株主は株式(資本)の所有者ではあっても、会社そのものの所有者ではない」(戦前の電力王、松永安左衛門の言葉)というのが落ち着きどころだろう。

 近代株式会社のモデルとされる二つの東インド会社だが、当初から株主総会の規定があった英・東インド会社に対し、蘭・東インド会社には総会はなかった。

 議決権を行使する機会がない株主は配当を得るだけだから株主は誰でもよく、匿名でも構わなかった。しかし、取締役を選ぶ権利が株主に帰属する株式会社民主主義の立場に立てば、権利を行使する株主は誰かが問題になる。今でも株主割当増資が原則で株主の権利を尊重する英国では、会社は株主が誰かを知る権利があり、名義株主の裏の実質株主を知る義務を負う。

 ファンド資本主義の新しい現実に照らせば、出資者が不特定多数の年金基金や公募投資信託はともかく、特定少数の私募ファンドが議決権を行使する際、出資者を開示させ、真の株主は誰かを明かすのが筋だろう。

 自由に見える米国は窮屈なルールに事欠かず、株式会社の母国英国は民主主義の権利と義務にこだわる。持ち合いで株主問題に無頓着だった日本の死角だ。

 株主総会で、経営者は株主とどう向き合うかを問われるが、株主も同じだ。持ち合い時代の惰性を引きずる経営者の多いことを承知であえて言う。会社は株主のためにあるのではなく、経営に参加する以上、株主にも資格と義務が伴う。

 株式会社の重要な意思決定を匿名性の仮面をかぶったファンドに委ねるのが民主主義にかなうのか。買収ルールの整備に当たり、経営者はファンドに出資者の開示を求め、それを義務づけるルール作りは第一歩になる。正体を明かせば、投資家が逃げ、株価が下がるという主張には、日本はそれで結構と答えればよい。

 【後日記】『アデランス騒動の深刻な影響』
 6/11日経、『大機小機』です。転載します。

 アデランスホールディングスの株主総会でアクティビストを支持する決定がなされ、現経営陣の再任が拒否される事態となった。「経営者の読みが甘かった」「株主の経営への不信がそれほどまでに強かった」といえばその通りだが、アクティビストにとっても想定外ではなかったか。

 再任を拒否した株主たちは、現経営陣に代わって会社を経営することのできる経営チームを見つけることができるのだろうか。それとも、アクティビストに経営をゆだねて会社の切り売りかバーゲンセールをするつもりなのか。こうした意思決定で得をするのも損をするのもアデランスの株主なのだから、第三者が心配する必要はないことなのかもしれない。

 しかしこの影響は同社の株主に限られない。会社で働く従業員や取引相手に、より深刻な影響を及ぼす可能性がある。株主はポートフォリオの減価で済むが、従業員や関係者の中には生活の糧を奪われる人々が出てくるかもしれない。これらの人々に対して株主はどう責任を取るつもりなのか。「株主は有限責任だから、どうなろうと我々の知ったことではない」ということになるのだろうか。それこそ典型的なモラルハザードだ。

 悪影響は会社関係者だけにとどまらない。その第一は、日本の他社の経営者心理への悪影響である。アクティビストの攻撃を受けた際の最善の対応法は、経営の機軸を変えることなく、経営をゆがめるような要求は断固拒否するのが最も効果的である。しかし、今回の騒動がきっかけとなってアクティビストに妥協しようとする経営者が増えるとすれば、日本の産業社会全体に深刻な問題をもたらす。

 アデランスが今後どのようになるか、予断を許さないが、同社が深刻な状況に追い込まれるなら、企業に一体化した日本の経営者に及ぼす影響ははかりしれない。企業防衛のためにアクティビストに妥協を図る、という間違いを起こす経営者が出てくる可能性があるからである。

 第二の悪影響は経営者の利己心を高めてしまう可能性があることだ。企業の長期価値よりも、自分の保身を考えてしまう反応が出てくれば、経営の根幹が狂ってしまう。そうなれば、経営者のリーダーシップが発揮できなくなってしまう。アクティビストから企業とステークホルダーの生活を守る手段を真剣に考えねばならない。

 うーん、大企業は大抵上場してるから、大企業に勤めるリスクって思うしかないのかな(メリットと比較すれば小さ過ぎるけど)。手段を真剣に考えねばならない、ってのはその通り。交通法規を整備すれば交通事故も減ると思いますよ。ところで、ブルドックやらアデランスも本業とは関係ない部分で人々の記憶に残ってしまいましたね。

 【後日記】6/17の日経に株主提案について解説がありました。以下、要約。

 昨年度から、増配要求や役員選任など経営問題を正面から問う、「もの言う株主」の主張が目立ってきています。株主総会では会社側の議案とは別に、総株主の議決権の1%以上、または三百個以上の議決権を六カ月以上保有した株主も、独自の議案を出すことができます。これを「株主提案」と言います。提案の期限は総会開催の八週間前です。会社は、内容が法令違反でない限り、総会召集通知に株主提案の内容を載せなければなりません。Jパワーの召集通知に記載された八議案のうち五議案はファンドの提案でした。株主提案には会社側の意見も併記する必要があり、全て「反対」としていました。

 一方、米国では取締役会の権限が強いため、合理的な理由があれば株主提案を議案として載せなくても構いません。大半の提案は可決されても従う必要はなく、株主総会で取締役を選任・解任するのは容易でありません。米国に比べ、日本の方が株主提案の効力は大きいと言えます。

 ただ、日本は株式持ち合いなどで伝統的に安定株主比率が高いため、株主提案が可決されたことはほとんどありません。

 学習研究社は、業績不振を理由にファンドが社長解任を提案、会社は反対方針を表明し、社外取締役の導入や本社売却など改革案を提示しました。その後、ファンドは社長解任の提案を取り下げました。

 「株主提案で全面対決」という去年までの構図とは、表面上は変わってきているようですが、実際は水面下の交渉で妥協し提案に至らなかったケースも多いとみられ、会社側と大株主の攻防はまだまだ続くのであります。

 【後日記】6/18の日経社説より部分的に抜粋、要約。

 まず防衛側の課題を考えたい。全上場企業に占める導入企業の割合は一割を超えたが、米国の四割弱に比べれば多過ぎるとは言えない。だが、日本企業は、経営者を監督する社外取締役が米国企業より大幅に少ない。

 買収側の規律も重要になる。米国では州ごとの会社法で敵対的買収に一定の規制をしている。例えば買収者が取締役会の承認を得ずに一定の株式を集めた場合、数年間は合弁を制限するといった規定がある。また、英国では買収者がTOB(株式公開買い付け)で30%以上の株式を取得する場合、応募株を全て買い付けることを義務付ける(日本は三分の二以上)。

 日本には米英のように買収者を規制するルールが少ない。買収者の行動を予測しづらいことが経営者の不安を煽り、過剰な防衛策や株式持ち合いに走らせている面もあるのではないか。

 【後日記】6/18の日経の解説より。部分抜粋、要約。

 株主総会は議決権ベースで過半数の株主が出席(委任状などの提出を含む)しないと成立しない。その上で、議案ごとに決議に必要な賛成比率が異なる。

 役員選任や配当額の承認には出席株主の過半数の賛成が不可欠で、これを「普通決議」と言う。合弁の承認や定款の変更など経営基盤にかかわる重要議案には、三分の二以上の賛成で可決となる「特別決議」が必要だ。

 なお、昨年六月開催の株主総会から規定する法律が旧商法から会社法に変わった。これに伴い取締役解任は特別決議ではなく普通決議となった。

 【後日記】6/19の日経によれば信託銀行が上場企業の株式関連業務代行ビジネスに本格的に乗り出すようです。株主名簿では分からない実質的な株主を調べたり、(買収防衛策を発動する際などに経営陣が諮問する)独立委員会の設置を支援したりするそうです。

 【後日記】6/19日経。エーザイは株主総会の招集通知で、他企業との詳細な株式持ち合い状況を開示したとのこと。上場企業による詳細な開示は異例。「相互の株式保有で連携を強化すれば企業価値は高まる。隠す必要はない」(同社コーポレートコミュニケーション部)としています。
 株の持ち合いは議決権空洞化や資産効率悪化につながりかねず機関投資家からは疑問の声が上がっています(*)。大和住銀投信投資顧問の投資調査部長は「株式持ち合いによる経済的効果があるなら会社は積極的に説明すべきだ」と話し、法的な要請もない中、「本来あるべき姿の第一歩」と評価しています。

 (*)・・・参考.日経5/11記事から要約。
 米公的年金最大手のカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)や、英最大手の年金運用会社ハーミーズ、カナダ最大の機関投資家ブリティッシュコロンビア・インベストメント等、計六社(日本株の保有残高は合計で二兆円)が、日本企業にコーポレートガバナンス(企業統治)の改革を求めているそうです。
 上場企業の所有者は株主であることが十分に認識されていないと指摘し、株主価格を損なう恐れのある防衛策がどうしても必要な場合、経営陣から独立した第三者委員会の設置を求めています。株主の権利保護や意思決定の透明性を高める狙いで、最低三人は独立した社外取締役を起用することも要求しています。株式持ち合いの復活にも、議決権の行使をゆがめている、と解消を進めるよう要請しています。資本の運用効率が劣る企業には増配や自社株買いで株主配分を増やすよう主張しています。

 【後日記】6/21の日経によると、今年の株主総会で大手の運用会社が投資対象企業の三~七割に総会議案の反対票を投じることが分かったそうです。
 運用会社は大半が少数株主で、株主総会で議案の決定権を握るケースは少ないと言います。ただ運用会社に資金を預ける国内外の年金基金が企業の経営改革を求める声を強めているとのこと。各社が議決権行使の指針を厳格化するなど、運用会社も対応を迫られている、としています。

 【後日記】『株主配分を考える㊦』

 7/12の日経です。

 配当性向は純利益からどれぐらい配当に回したかを示す指標とのこと。日本の上場企業の配当性向は07年度で約30%と、欧米主要企業の四割前後に比べて見劣りするようですが、集計値から個別企業へ視点を移すと意外な実態が浮かび上がると言います。

 みずほ証券が日本のTOPIX(東証株価指数)500と米国のS&P500の各採用企業について07年の配当性向を調べたところ、日本企業は約二割が15~20%に集中し、六割以上が10~30%の範囲に収まった一方で、米国は分布にばらつきがあり、最も多いのは無配で19%を占めたと言います。逆に100%超(つまり、利益を上回る配当)の企業も4%あったとのこと。

 米国では配当政策は個々の企業の成長ステージを基準に考えられており、上場企業全体で見れば、実は八割が無配だそうです。

 投資家が求めるのは必ずしも高配当とは限らず、求められるのは個々の企業の経営実態に即した配当政策と言えます。

 先日、英投資会社のファンドマネージャーが靴販売大手のチヨダ本社を訪れて、「投資家を向いた経営に感謝します」と謝辞を述べたそうです。国内の靴販売市場は縮小傾向にあり、チヨダは、安定した利益は上げられるが大幅な伸びは期待できない、として「もはや多額の投資を必要としない以上、利益をできるだけ株主に配分するのが筋だ」(同社取締役)と言います。

 日本企業が六期連続の増益で積み上げた手元資金は08年三月期末で46兆7千億円と、かつてないカネ余り状態が続いており、成長企業は資金を投資に振り向け、また、成熟企業は余剰資金を配当や自社株買いで資金を市場へ返す。当たり前の資本政策を実践できるか、企業に問われているのは哲学ある株主配分だ、と日経は言います。

 【後日記】『上場企業の取締役会 社外役員を議長に』

 金融審議会(首相の諮問機関)の下にある「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」(座長・池尾和人慶大教授)は、企業の不祥事が後を絶たなかったり、株主利益に反する資本政策を打ち出したりする上場企業が多いことなどを懸念し、十月から議論を始めたそうです。今夏までに上場企業のガバナンス(統治)のあり方を報告する見通しといいます。必要があれば金融商品取引法を改正する、とあります。2009/1/18日経より。

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2008年6月 9日 (月)

高まる「未婚率」 25-29歳女性59%

 昨日の日経にありました。出所は国勢調査だそうです。

 一度も結婚していない人の比率を表すそうです。2005年時点で六割近く、1970年の18%と比較して、30年間で三倍になったと言います。また、男性の場合は30代前半で見て同四倍(47%)になった、とのこと。

 更に、60年代には男女とも1%台だった生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚をしたことのない人の比率だそうです)が上昇、特に男性で15%と七人に一人の以上の割合となったそうです。

 ・・・私みたく離婚した人を含めたらずっと高率(非婚率って言うのかな?)になるんでなかろか。しかし、何だ、六割もいるのか。一番美味しい旬な時節の人が。そんなら私にくれよ、って言いたいとこだが、かような女性は結婚できないんじゃなくて理想が高いだけだろな。社会進出も鮮明になってきてる感じで。低位層相手じゃ納得しないんだろう。ちゅーか、私も再婚できそうにないな。このまんまじゃ。

 【後日記】『雇用環境の格差くっきり 「男女共同参画白書」』(2008.6.13 09:31産経ニュースより転載)

 政府は12日午前の閣議で、平成20年版「男女共同参画白書」を決定した。女性管理職の割合は年々少しずつ上昇している一方、女性の5割以上が非正規雇用であり、1時間あたりの平均賃金が男性の7割未満にとどまるなど雇用環境をめぐる「男女格差」がくっきり浮かび上がった。

 白書によると、管理職で女性が占める割合は係長クラスで12・5%、課長相当で6・5%、部長相当で4・1%となっている。民間事業所を通じた給与調査によれば、年収300万円以下の割合は男性21・6%に対し、女性は66・6%と半数を超えた。

 15歳以上の就業者を対象にした労働力調査では、非正規雇用の割合が女性は53・4%に上っており、男性(18・2%)に比べ、女性が不安定な雇用状況にあることが、そのまま賃金水準にはね返っているとみられる。全国の事業所を対象にした1時間あたりの賃金水準調査でも、男性の一般労働者を100とした場合、女性は一般労働者は68・1にとどまった。白書のデータは19年中に行われた調査に基づいている。

 【後日記】日経6/14に、内閣府の男女共同参画会議の報告がありました。調査対象は55~74歳の男女四千人(男女同数)を全国二百カ所で無作為抽出。世帯構成は単身三割、夫婦三割、その他が四割。有効回答率は62.6%でした。

 本人の収入を見ると、年収120万円未満が単身男性で17.3%、単身女性では23.7%を占めています。

 世帯収入でも、単身世帯は他と比べて少ない傾向があり、中でも65~74歳の単身女性は、世帯人員一人当たり年収平均額が唯一二百万円を下回った(193万円)そうです。

 高齢単身者は地域で孤立する傾向があり、未婚の単身男性の一割は年収60万円未満だったそうです。

 報告書では未婚男性や離別女性の厳しい生活状況に触れ、「将来的には一層深刻になりそう。単身世帯が主流と成る社会への備えが必要」としています。

 【後日記】以下、6/16の「疎外感作らぬ社会が肝心」と題した日経記事から転載します。

 「恵まれた家庭で育った子どもも、けったいなおっさんに殺される不条理さを分からせたかった」「しょうもない貧乏たれの人生やったら、今回の(事件を起こす人生)の方が良かった」

 2001年に大阪府池田市の小学校で起きた校内児童殺傷事件の犯人は、公判でこう言い放ちました。この事件は自分の境遇への身勝手な不満や恨みから社会全体に対して「確定的な殺意」を抱き、実行に移した得意な例だと思います。

 秋葉原事件の動機はまだ解明されていませんが、容疑者が携帯サイトに書き込んでいた職場や家庭のうっぷん、孤立感、敗北感を見ると、大阪の事件と同じような構図が浮かんできます。

 1998年の東京・池袋の通り魔事件、今年三月に茨城県土浦市で八人が殺傷された事件、そして秋葉原事件。犯人は皆、「誰でもよかった」と供述しています。社会や経済構造が大きく変動する中、「誰でもいいから人を殺傷したい」という連鎖が起きているとしたら、深刻な事態です。

 政治・思想的主張の有無という違いはありますが、一連の事件は身勝手な考えで市民を巻き込むという点でテロと同じです。「死刑になりたかった」という供述が目立つのは、まさに自爆テロということでしょう。

 テロ対策ではテロ組織やメンバーを監視し、爆弾などの材料となる物質の流通を規制しています。一方、殺傷事件は思想も組織も無関係で事前の把握は不可能です。ナイフの規制強化に一定の効果はあるでしょうが、土浦事件の凶器が包丁だったことを考えても、決め手にはなりません。

 自爆テロでは交通機関やテーマパーク、商業施設など人が集るあらゆる場所が狙われます。秋葉原の事件を受けて歩行者天国の警戒を強めても、発生は防ぎきれないということになります。

 テロ対策の分野で今問題になっているのは、テロ組織とは無関係な若者や移民が迫害や差別体験などから疎外感、社会への反感を抱き、テロリストへと変わっていく「過激化」現象です。きっかけとしてインターネットを通じた過激思想への傾倒が指摘されており、今回のような事件と似ている面もあります。

 即効性のある過激化対策はなく、欧米各国とも人々に疎外感を持たせない社会づくりに腐心しています。同様に無差別殺傷事件の対策も、遠回りのようでも個々人が疎外感を抱かずに暮らせる社会、人と人とのつながりが実感できる社会に少しでも近づけていくことしかないのだと思います。(編集委員 坂口祐一)

 【後日記】『大家族へ回帰?』(11/27日経より転載)

 家族の形は時代で変遷する。昭和初期、大家族が一般的だった。しかし高度経済成長期に都市部に人口が集中し、核家族が増加。その後、出生率の低下や未婚化などによって単身世帯が増えた。

 ところが「経済格差の拡大が再び、大家族への回帰を促している」と野村総合研究所(東京・千代田)コンサルタント、川津のりさんは指摘する。同研究所の調査によると、子世帯と近居、隣居する親世帯はミニバンの保有数が高い。これは親子で一緒に買い物やレジャーに出かけるなど、消費面で支えあう傾向が強まっていることを示すという。

 「格差が広がり、同居を含め、何らかの形で家族が支えあい始めた。冬の時代を家族一丸となって乗り切ろうとする意識が働いているのでは」。今後、消費の効率化、コスト削減を目的に再び大家族化が進む可能性は高く、家族を持たない人は生活破たんリスクが高まる恐れもあるという。

 【後日記】『30代後半の出産増加』

 東京都が二十二日公表した2007年の「人口動態統計年報」(確定数)によると、女性が一生に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、前年比0.03ポイント上昇の1.05となった。出生数は約2%増の約10万3800人で、三十歳代の女性の伸びが目立つ。四十歳代前後の、いわゆる「アラフォー世代」が都内の出生数を押し上げる原動力となっている。

 自治体別の合計特殊出生率では、東京二十三区で最も高いのが江戸川区の1.33。葛飾区(1.31)や足立区(1.23)など区部東側の自治体が続いた。最も低いのは目黒区の0.75。多摩では東大和市の1.47が最高で、最低は武蔵野市(0.85)だった。

 出生数を母親の年齢別にみると、最も出生数が多いのは三十-三十四歳の約4万1600人で、二十五-二十九歳(約2万5900人)より六割多い水準だった。

 三十五-三十九歳は約2万3900人で、統計をまとめている1960年以来で最多。三十歳代の出生数は二十歳代の約二倍に達し、都内では三十歳代の出産が主流となっている。四十-四十四歳の出生数も前年比約14%増の3700人で、四十五-四十九歳(105人)は初めて100人の大台を超えた。

 三十歳代の母親が産む傾向が強まる背景にあるのは晩婚化だ。07年の都内の婚姻件数は前年比0.2%減の約8万9200組。平均初婚年齢は夫が0.2歳上昇の31.5歳で、妻が同0.2歳上昇の29.5歳。夫、妻とも全国で最も年齢が高く、都内の晩婚化は加速している。

 以上、日経12/23より転載。

 私も江戸川区に住んでるけどスーパーなんかに行ったら子連れがうっとうしいったらもう、発狂したくなりますよ。子どもばっかし優遇しやがって・・・逆差別だっちゅーの。むしろ単身者は(望むと望まざるとにかかわらず結果として)環境に多大なる貢献をしてるんだから区は環境給付金よこせっての。アホが。

 【後日記】『晩婚・非婚は多様化の兆し』

 今朝(2009/2/1)の『今を読み解く』はフリージャーナリストの多賀幹子氏でした。以下、転載。

 日本は十年以上にわたり、少子化対策に追われてきた。子どもの数が減少していくのを何とか食い止めたいと、さまざまな手が打たれた。しかし、目覚ましい効果を上げた方策が果たして存在しただろうか。長期的な展望に立てば、少子化の流れに逆らうことはもはや無理との悲観的な見方さえ定着しつつある。

 そこに登場したのが、婚姻率の低下という新たな視点だ。結婚と出産とがまだ密に連動する日本では、出生率を云々する前に、そもそも結婚する人が少なくなったことに着目すべきだという。晩婚や非婚の激増こそ少子化を推進しているとする。団塊の世代ほどの親は、「なぜうちの子は結婚しないのか」との素朴な疑問を口にする。彼らの時代には”ごく自然に”結婚できたが、今やすっかり様変わりしているのだ。

 晩婚・非婚の原因に所得格差の拡大を挙げるのは、門倉貴史著『セックス格差社会』(宝島社新書・2008年)。女性の求める年収と男性の実際の年収の間にギャップが生じている。84%の女性は、四百万円に届かない男性を恋愛・結婚の対象外と考えるのだ。具体的には、年収が千五百万円以上の三十歳から三十四歳男性の有配偶率は90%、しかし百五十万円から百九十万円の同年齢男性はわずか34%にすぎない。雇用が不安定で低収入な男性は子ども以前の問題として、恋愛・結婚市場から締め出しをくらっている。

 佐藤留美著『結婚難民』(小学館101新書・08年)は、晩婚・非婚化がとかく男性のせいにされることに疑問を提出した。結婚しない男は責任感がない、女を口説く甲斐性がない、自分の世界に逃げ込んでいると散々な言われよう。しかし、結婚難を招いているのはむしろ女性の方で、非婚化が進む背景には「結婚するには難がある女」の存在があると指摘する。

 男女交際に関する規制緩和が起きて以来、自動的には結婚できなくなった。それなら就職のために「就活」するように、結婚には「婚活(「結婚活動」の略)」が必須の時代が始まったと説く山田昌弘・白河桃子著『「婚活」時代』(ディスカバー携書・08年)は、「婚活」ブームのきっかけになった。もっとも男女で婚活内容は異なり、女性の最大の武器はキャリア、つまり稼げることだ。武器を得た女性たちには、「狩りに出でよ」と発破をかける。一方男性には女性に狩ってもらうために「自分を磨け」とアドバイス。かつてとはまるで正反対であることに、今さらのように驚いてしまう。

 いずれの著作でも婚活に有望と推奨されているのが、ネットを利用しての出会いだ。吉原真理著『ドット・コム・ラヴァーズ』(中公新書・08年)によると、インターネットのサイトを使って出会いを探すのはアメリカでは抵抗感はほぼ消滅して、合理的なシステムとみなされているという。アメリカの大手サイトに登録した著者は、さまざまなアメリカ男性たちと「デート」する。その様子からアメリカ人の人間像や生活模様が透けて見え、文化論まで踏み込むさまがユニークだ。近未来の日本を示唆している。

 確かに晩婚・非婚は少子化の一因かもしれない。ただ、ライフスタイルの自由度は上がり続けるので、今後は「忘婚」「嫌婚」「否婚」、さらに結婚と離婚を繰り返す「アンコール婚」や十代半ばの「超早婚」なども視野に入ってくるだろう。同棲、親に報告、結婚、出産などの順番も入り乱れ、いよいよ個人の選択が際立ってくるに違いない。そう見れば、晩婚・非婚はさらなる多様化突入の兆候であり過渡期の現象といえるかもしれない。

 一般的に欧米などの先進国では結婚は制度疲労を起こした時代遅れのシステムと見なされ、この枠に収まりきれない人たちが目立つ。このところの焦点はむしろ子どもたちのケアだ親のライフスタイルの結果を全身で引き受ける彼らに、万が一にもダメージを及ぼさない努力こそ課題とされている。経済的保障はもとより、精神的に豊かで自尊意識が高く幸せな子どもが増えるような少子化対策を私たちは求めるべきなのだ。

 【後日記】『男性結婚率 女性出産も 半分どまり』(2009/3/12日経より転載)

 二十-三十代の非正規社員の男性が過去五年間に結婚した割合は約一割で、正規社員の半分にとどまることが十一日、厚生労働省の「二十一世紀成年者縦断調査」で分かった。出産した女性の割合も非正規と正規で二倍近い差があった。同省は「待遇の差が結婚や出産に影響した」とみている。

 調査は少子化対策など政策の基礎資料とするため、2002年十月末時点で二十-三十四歳の男女を対象に毎年実施。07年十一月の第六回調査に答えた一万六千四百四十四人分(回収率90.0%)を分析した。

 調査開始時に独身だった人が過去五年間に結婚したかを尋ねたところ、男性の21.7%、女性の27.3%が結婚していた。結婚前の就労状態別でみると、男性の場合、正規社員の24.0%が結婚していたが、非正規社員は12.1%とほぼ半分。無職は9.0%にとどまった。女性は正規社員27.7%、非正規社員24.5%、無職27.6%で、就労状態による差はあまりなかった。

 過去五年間に子供が産まれた夫婦は37.1%。妻が働いていない夫婦では47.6%で子供が産まれたが、妻が働いていると30.6%に低下し、女性が働きながら出産することが依然難しい現状が浮かぶ。妻の仕事が正規の場合は43.0%と比較的、子供を産みやすい環境にあるが、非正規では22.4%にとどまった。

 同省縦断調査室は「正規と非正規の間には所得格差だけでなく、育児休業制度の有無などの福利厚生、待遇に多くの差がある」と指摘。近年、非正規労働者は全労働者の約三分の一を占めており、「就労状態の違いが結婚や出産に大きな影響を及ぼしている」と分析している。

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2008年6月 8日 (日)

役人の余計な仕事こそ問題

 と、題して昨日の日経が社説で良い事を言っていました。転載しましょう。

 財務省、総務省など中央官庁の役人たちが深夜帰宅で使ったタクシーの運転手から現金や商品券などを受け取っていた事実が判明した。かつての「接待漬け」当時に比べれば金額は少ないものの、良いわけがない。

 綱紀粛正を徹底してほしいが、この際、不適切な行為の温床となった連夜のタクシー帰宅そのものを見直したらどうだろうか。財務省本省のタクシー代は国税庁を含め2006年度で四億八千万円。少ない金額ではない。大勢が深夜まで働いている役所は残業代も膨大だ。

 そもそも中央官庁では世間一般の勤め人に比べて夜型の人が多い。職位にもよるが、深夜二時ごろ役所を出て、翌朝は十時ごろに席につく人が結構多い。この夜型の勤務を何とかできないものか。

 一つは明るいうちにさっさと仕事を片づける習慣を身に付けてもらうことだ。米国政府では午前六時ごろ出勤し、夕方の五時ごろ家路に就く役人も珍しくない。

 もう一つ、役人を夜型にしている原因に、翌日の国会で質問する議員から事前に質問内容を聞き、翌朝までに答えを用意する習慣がある。「大臣に恥をかかせないため」というが、実際は大臣が役人の敷いた路線を踏み外さないよう振り付ける狙いも大きい。

 この答弁の下書きのほか、様々な役所間調整や議員への根回しなどで時間を取られ、夜が遅くなる人も多い。役人がいまだに政治の中枢にいる証だろう。

 閣僚はどんな質問にも役人に頼らず対応できるよう準備しておくべきだ。政策立案も役人任せでは困る。国会は閣僚の負担を減らすよう質疑で副大臣をもっと活用するとか、政策立案のため政策秘書制度を充実させる方法を考えてよい。役所に情報を独占させないで、日頃から開示を徹底させておくことも重要だ。

 これらは政治を官僚の手から政治家へ移すうえでとても大事である。裏返せば、政治家主導への改革が不十分なため役人のタクシー帰宅が多いともいえる。役人には余計な仕事をさせず、早く電車で帰れるようにした方がよい。

 という内容でした。しかし、上でタクシー代が四億八千万と、さらりと書いていますが・・・四百八十万円の間違いではなくて?一般的に、大企業のタクシー代って一事業所で年間どのくらいなんでしょうか・・・狂ってますね、役人って。

 残業代も膨大だ、などと書いていますが、そもそも中小などは残業代なぞないし、本人達も自分の為に仕事をしてるので気にもなりません。夜遅く帰れなくなった時などネ(寝?)カフェに泊まるものです。一日くらいはどうってことありません。ちなみに私は混雑と、待つ(行列や信号)のを最も苦手としており(特に混雑には異様に弱い)、朝は満員電車を避け始業一時間以上前には会社に着いていました。近くの喫茶店でゆっくりしてから三十分前に出社するのが常でした。役人は見習って欲しいものです。

 【後日記】『タクシー券問題 発覚した途端、利用額1000分の1 国交省関東地方整備局』(産経ニュース2008.6.14 01:08より転載)

 国土交通省関東地方整備局道路部の職員が平成19年度に多額の深夜帰宅用タクシー代を使っていた問題で、問題発覚後の今年4、5月に同部の深夜のタクシー帰りが1回もなかったことが分かった。利用があったのは、緊急時に夜間登庁した約7000円分だけ。同整備局は19年度、約4200万円分のタクシー券を利用しており、1カ月の平均利用額では1000分の1に激減したことになる。関係者からは「本当に必要があったのか」と疑問の声が上がっている。

 国交省の資料などによると、同部のタクシー券利用は今年4月には一度もなく、5月に2回あった。地震発生時の夜間登庁のために利用されたもので、総額は7360円。1カ月平均では3680円になる。

 同部では19年度、約4217万円分のタクシー券を使用。大半が深夜帰宅用のタクシー利用とみられる。1カ月平均にすると約351万円になることから、タクシー券の“無駄遣い”が発覚し、券の使用規定が整備された今年4月以降、1000分の1に減ったことになる。

 利用額が減った理由について、同整備局は「ソファやデスクの上に布団を敷いて寝たり、終電で帰宅したりしている」と説明。今後は、業務の平準化を進めるなどして深夜残業を圧縮する努力を行うという。

 国会開会中だった4、5月でタクシー券の使用を大幅に減らすことができたことに対し、一連の問題を追及してきた大久保勉参院議員(民主)は「これまで年間4000万円ものタクシー券を使う必要があったのか。適切な利用がなされたか厳しく調査すべきだ」と指摘する。

 同整備局の職員は「原油高などで国民の生活が厳しくなっていることを考えれば、当然のことなのだろう。時代にあった仕事の仕方があるということ」と話していた。

 全国8地方整備局の職員が19年度に使った深夜帰宅用タクシー代で金額が大きかった10人のうち、9人は関東地方整備局職員。最高額は同整備局道路部の職員で、19年度の11カ月間で出勤日のほぼ毎日にあたる計190回、総額500万円分の深夜帰宅用タクシー券を使っていた。

 今月に入り開示されたタクシー券には、使用要領に定められた時刻の記入がないものがあったことから、国交省は利用実態を再調査する意向を示していた。

 【後日記】『省庁タクシー代80億円』

 日経8/1より。中央省庁が06年度に支出したタクシー代が約80億2千万円!!!に上ることが、民主党が衆院を通じて実施した調査で明らかとなったそうです。

 省庁別では国土交通省がトップの24億5千万円。他、厚生労働省が10億1千万円、文部科学省が6億1千万円、財務省5億6千万円などがタクシー利用の多いところ。また、各省所管の独立行政法人も14億円の支出があったそうです。

 【後日記】『歳出「無駄ゼロ」具体化へ』

 政府は2009年度予算案の編成に向け、歳出の無駄遣いをなくす「ムダ・ゼロ」政策の具体化を急ぐ、としています。日経8/4より。

 有識者らでつくる行政支出総点検会議(座長・茂木キッコーマン会長)の初会合を近く開き、公益法人への支出削減や不要な政策の廃止などを検討するそうです。経済対策を盛り込む08年度補正予算案も視野に入れ、歳出削減努力の継続で財政の悪化に歯止めをかけるといいます。消費税率の引き上げを含む抜本税制改革論議の本格化に備え、国民の理解を得る狙いもあるとのこと。

 なお、税金の無駄や不正経理を毎年度の決算で定期的に点検しているのは会計検査院ですが、日本の会計検査院は欧米の機関に比べて点検作業の効率が悪いとの声があるそうです。民主党の長妻衆院議員らの調べでは、主要国の検査院が与えられた予算の何倍の無駄を節約したかという比率をはじいたところ、日本は約二倍となったそうで、米国の約百倍、ドイツの三十五~六十倍に比べ大きく見劣りするといいます。

 【後日記】『歳出無駄ゼロへ本格始動』

 首相が掲げる行政の「無駄ゼロ」を推進する有識者会議「行政支出総点検会議」(座長・茂木友三郎キッコーマン会長)が年末の予算編成に向け三カ月間の短期決戦に臨むとのこと。なお、茂木氏は「行政減量・効率化有識者会議」の座長も務めているそうです。8/24日経より。

 【後日記】『国の無駄遣い1253億円』(11/08日経より転載)

 会計検査院は七日、国の2007年度決算の検査報告書をまとめ、麻生太郎首相に提出した。経理処理が不適切などとして報告された総件数は981件、金額は1253億円に上った。件数・金額とも集計可能な1978年度以降で最高。検査院は「厳しい財政事情を背景に、行政の無駄遣いに批判が高まるなか、検査体制を強化したことが指摘額増加の一因」と説明している。

 検査院は今回、国の補助事業に関する全国十二道府県の経理状況(02-06年度)を特別に検査。補助金5億5600万円、県費を含めた総額で11億3700万円の不正経理を見つけた。このうち事務用品などを架空発注して業者に資金をプールする「預け」は補助金相当分で計3900万円あった。

 07年度決算については、中央省庁や政府関係団体、地方出先機関など約3300カ所を検査した。指摘総額のうち、税金の無駄遣いなど支出面が1207億円、徴収漏れなど収入面が45億円だった。

 厚生労働省は七日、労組幹部らとの飲食費を情報収集のための「報償費」として支出する際、受領書の偽造や別名目での計上など不正に処理したとして、経理担当者ら職員四人を減給など懲戒処分とし、三人を訓告とした。会計検査院が2005年度までの五年間に計510万円の不適切経理を指摘していた。

 【後日記】『地方公務員にも不正経理罰則を』

 日経によると与党の会計検査院プロジェクトチーム(座長・林芳正氏)が、不正経理にかかわった公務員への新たな罰則規定について、国家公務員だけでなく地方公務員も対象とする方針を固めたそうです。11/14日経より。

 【後日記】『会計検査院 民間人70人採用』

 会計検査院は来年度から、公認会計士などの民間人を70人程度、任期付きで採用する方向で検討に入った。民間人を中心とした特別検査プロジェクトチームを院内に設置し、民間の視点から行政の無駄遣いがないかを厳しく検査するのが狙い。

 会計検査院が一度に大量の民間人を登用するのは初。福田前内閣では有識者による「行政支出総点検会議」を設置し、「無駄ゼロ」への取り組みを強化。会計検査院でも政府と足並みをそろえ、民間人の手法を活用する。日経11/18より。

 【後日記】2009/1/16の日経によれば、会計検査院PTが国会内で会合を開き、不正経理にかかわった公務員に新たに懲役三年以下の罰則を設ける「不正経理防止法案」をまとめたそうです。

 【後日記】『高額還付金巡り 検査院、改善求める』(2009/7/15日日経より抜粋)

 全国の税務署が2008年に支払った高額還付金で、支払い日数に応じて加算される還付加算金(利子に相当)が計118億円に上り、事務を効率化すれば計27億円を節減できることが14日、会計検査院の調べで分かった。検査院は同日、国税庁に改善を求めた。

 検査院は法人1件300万円超の還付金を調べた。全国524の税務署が08年に支払った還付金は計4兆1811億円、このうち高額還付金は合計2兆1198億円、還付加算金は118億円。

 一方、高額還付金の支払い日数は「11日以上」が1023件と全体の88.4%を占め、加算金額は計108億円に上る。

 検査院によると、不正還付を防ぐための還付保留について、上場企業は解除の手続きを簡素化できるほか、輸出業者の場合は消費税の還付申告の審査を短縮できる。支払い日数を「10日」に短縮すれば還付加算金は計80億円に減り、約27億円を削減できたという。

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2008年6月 6日 (金)

たばこ増税案 与野党急浮上

 だそうです。日経によると。「むしろ迷惑だから販売しないで下さい」と、言いたい気分ではありますが・・・一万円くらいにしちゃえば?病人も減るし。

 最近の若者は吸わない人が多そうですが、いかんせん年寄り(とその予備軍)には多数決で負けています。私はバブラー世代以降の医療費増加は自業自得だと思っているのですが。腹回りが80だの90だの・・・どう考えても不条理です。

 それと、近年のゆとり以降や未成年のバカ化も残念です。きっと携帯電話が原因でしょうね。

 【後日記】6/14の日経によると超党派の「たばこと健康を考える議員連盟」が発足したとのこと。共同代表を務める自民党の中川秀直元幹事長はヘビースモーカーとのこと。

 【後日記】6/18の日経社説より部分抜粋、要約。
 たばこの煙は約二百種類の有害物質を含み、肺気腫や肺がん、心臓疾患の原因になるが、やめられない人はなお多い。男性の喫煙率は40%弱で、米国の24%や英国の27%を大きく上回る。
 原因はやはり値段の安さにある。財務省によると、英国では20本入り一箱が1297円(うち税金が802円)、米ニューヨーク市は759円(うち税金が396円)。174円という日本の税金は著しく低い。

 【後日記】『神奈川 受動喫煙防止条例が成立』(2009/3/25日経より抜粋)

 屋内での喫煙を制限する全国初の「受動喫煙防止条例」が二十四日、神奈川県議会本会議で賛成多数により可決、成立した。

 学校、病院など公共施設のほか、飲食店や宿泊施設など民間施設も規制の対象で、従わない施設に二万円、喫煙者に二千円の過料を課すなど罰則を設けた。2010年四月に施行する。

 条例は受動喫煙防止対策を努力義務とした健康増進法より踏み込んだ内容だが、関連業界などの反発を受け、民間施設も含めて全面禁煙するとした当初案と比べ後退。大型飲食店などへの罰則適用を一年猶予して11年四月からとした。

 小規模飲食店や風営法対象のパチンコ店などの禁煙や分煙は努力義務にとどめ、事実上規制から外した。

 ふ~ん。パチンコ自体、違法にしちゃえばいいのに。。。

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2008年6月 4日 (水)

医療制度 改革の焦点㊤ ムダ排除し 生産性高めよ

 もう昨日になってしまいましたが、日経『経済教室』は草刈隆郎氏(政府の規制改革会議の議長)による執筆でした。

 厚労省の推計によれば2030年までに労働力人口が一千万人(16%)以上減少するそうで、一方、国民医療費は(団塊世代が75歳に達する)2025年には二倍以上(70兆円近く)に増大すると予測されているとのことです。

 後期高齢者医療制度導入は、政府の説明不足に導入時の手続きミスが加わり、問題が顕在化したと言います。二年間の準備期間で国民に満足な説明がなされなかったことは、失政の謗りを避けられないとしながらも、筆者は、差し迫った少子高齢化を踏まえれば、低所得者など弱者への配慮は当然だが、高齢者に一定の負担を求める方向性を言下には否定できないだろうとしています。

 ただし、徹底した無駄の排除と非効率な制度の改革が大前提だとも言っています。

 無駄なコストの象徴として、まず、診療報酬の審査・支払事務費を挙げています。診療報酬は医療機関が社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会にレセプト(診療報酬明細書)を提出、支払基金や国保連がそれをチェックして支払われるそうです。これまでレセプトの大部分は紙で作成され人手で一枚ずつチェックしていたそうですが、順次オンライン化が進み抜本的な合理化ができる環境になりつつあるようです。

 支払基金は年間約8億件のレセプトを審査し支払う業務に五千三百人の職員で八百億円弱のコストをかけているそうですが、韓国では約6.5億件のレセプト処理に千五百人、百億円強のコストで済ませていると言います。業務範囲や人件費水準の違いはあれど、仮に韓国並みの効率性を達成できれば職員数やコストは三分の一で済むと言います。

 支払基金の歴代理事長は社保庁の長官経験者で改革意識が希薄であり、彼ら立案の業務効率化計画は、ほぼ自然減の範囲内である一割弱の人員削減しか見込んでいないそうです。

 次に、低コストの後発医薬品を普及させることを医療費削減の鍵の一つに挙げています。後発医薬品のシェアは、欧米では60%近くありますが日本では20%未満と言います(数量ベース)。

 そして、一定の医療費内で質の高い医療を行うインセンティブを働かせるべく、包括払い・定額払い制度への移行を推進する必要性も説いています。優れた医療技術を持ち、治療期間短縮とコスト低減を実現できた医療機関に、より多くの「果実」が還元されれば良い、としています。欧米より四倍も長い平均在院日数の短縮も期待できると言います。

 もちろん、必要で正しい治療が担保されるように診療内容が詳細に公開されることを前提とした上で、治療の「量」ではなく「質」を評価し、その対価を支払うとの発想に転換し、米国などで導入が予定されている「医療の質に基づく支払い」について採用を検討すべきである、としています。

 さらに、医師不足が大きな社会問題となっていながら、実は日本の病院数が多いことを指摘して、医療現場の生産性を高める仕組みの必要性を説いています。米国の病院数が五千程度であるのに対し、日本は約九千もあると言います(人口当たりで比較すると三~四倍の多さ)。医師・スタッフ・設備が広く薄く分散配置されているため、現場の医師・スタッフが不足し、超過勤務など労働環境の悪化を招いているそうです。小さな病院であっても一定の事務スタッフや設備は必要だからです。医療機関の集約、かつ、チーム医療と十分なサポート体制の確立が肝要としています。

 医師と他の医療従事者(コメディカル)との役割分担を見直し、診療所と病院のネットワークを形成し、遠隔医療体制の構築を進めれば、高度な医療の提供と医療現場の生産性向上が両立でき、また、勤務医の過酷な負担軽減にも寄与できるだろうと言います。

 最後に、混合診療を認めないことで、保険収載されていない新しい治療を試す機会が失われている弊害を指摘しています。混合診療は庶民を助けるもので、公的保障の範囲を狭め民間保険の拡大による利益追求を狙っているなどの批判は的外れである、と言います。

 医療分野の規制を国際水準に合致させグローバルに開放することで、技術・コスト両面で国際競争力が高まる可能性が大きいことを強調し、また、外国から多数患者が来訪し日本の医療需要が大きく拡大すれば、医療技術の発展・普及に寄与するばかりか、医療の質の向上と医療供給体制の強化にも通ずるはずである、と結んでいます。

 診療報酬・・・病院や診療所が医療保険などから受け取る医療費の単価で、国が決める。診療行為や医薬品で約2万2千に分類され、2年ごとに改定する。前回の2008年度改定では医療費を医師の技術料にあたる「本体部分」で0.38%上げ、薬価で1.2%下げることが決まった。全体では0.82%下げた。改定率が1%上がると、国庫負担が800億円超増える。(2009/7/10日経より転載)

 診療報酬・・・国が医療行為や薬、医療機器ごとに決める医療費の単価。約2万2千に分類される。
 全国一律で同じ価格が適用され、医療機関が医療サービスの対価として受け取る。患者の窓口負担と医療保険の保険料、税金でまかなわれる。2年に1度改定しており、次は2010年度に改定する。(2009/8/8日経より転載)

 【後日記】『医師不足対策 医療機関の連携強化 診療報酬も見直し』
 6/6の日経によれば、社会保障国民会議は、医療・介護・福祉分野について議論する「サービス保障分科会」(座長・大森弥東大名誉教授)を開き、中間報告の骨子案を大筋で了承したそうです。
 医療機関が役割分担する体制づくり、医療機関と医療従事者の効率的な再配置、現行の医療機関ごとに評価する診療報酬の仕組みの見直し、主治医とケアマネージャーらが共同で一人の患者を治療・介護する体制づくり、等を求めています。

 【後日記】6/19の日経によると、厚労省は「安心と希望の医療確保ビジョン」会議で、(「医師が全体として余っている」としていた)方針の転換を表明したもよう。

 しかしながら日経によると、医師全体は徐々に増えているとのこと。医師は設備の整った都市部の大病院や皮膚科開業医など特定の診療科に集中する一方で、地方の中堅病院や産科・小児科、緊急部門で不足が深刻化するなど、偏りが目立つと言います。

 報告書では、不足がちな産科や小児科の勤務医を増やすため、女性医師の積極活用を進める、としています。また、若い医師が都市部や特定の病院に集中する一因となった臨床研修制度も見直すそうです。一人で幅広く診察ができる「総合医」の育成も支援するとのこと。

 日経は、大学の医学部定員を増やしても現場の医師数が増えるのは十年程度の期間がかかる、と指摘します。割安な後発医薬品の普及促進や診療報酬のオンライン請求による医療の効率化などは緒に就いたばかり、と言い、社会保障を抑制する努力を怠ったままで医師不足対策を優先させれば、財政規律を損ない次世代にツケを回すことになりかねない、と警鐘を鳴らしています。

 【後日記】6/20の日経の社説から部分抜粋、転載。

 そもそも医師国家試験の合格者数は年間八千人弱だ。引退者や死亡者を引いても毎年四千人程度も純増している。やはり医師の都市集中という構造問題をどう解きほぐしていくかが大きな問題になろう。

 例えば、知事の主導で一定期間の僻地勤務を条件にした県立医大などの学費優遇をもっと広げるべきだ。診療報酬政策にめりはりをつけて僻地勤務医の待遇を高め、都市部の開業医は下げる大なたも必要だ。女医が多い産科・小児科を抱える病院は、短時間勤務の制度化など企業が取り組み始めた育児支援策を見習ってほしい。外国人医師が診療できるような規制改革も推し進めるべきだ。

 医師不足は医療提供側だけの問題ではない。風邪を引いた程度で大学病院の外来に駆け込むような患者にも行動の自制が求められている。

 【後日記】6/20日経。東京都が06年九月から休止していた都立豊島病院(東京・板橋)での分娩を再開する、とのこと。産科医四人を確保したそうです。都内の大学と産科医の派遣で合意した、とあります。「今年度から産科医の年収を引き上げたり、異常分娩の手当てを創設するなどの待遇改善策が医師側から評価された」(都・病院経営本部)と言います。都内の産婦人科は十年で一割強減少しているそうです。
 また、都の外郭団体、都保険医療公社が運営する荏原病院(東京・大田)も昨年十月から休止している分娩取り扱い開始の目処がついた、としています。

 【後日記】『魅力ある地域の病院作りを』

 7/12の日経社説から部分抜粋、以下要約します。

 最近、医療関係者の間で注目されている病院がある。兵庫県丹波市にある県立柏原病院だ。小児科医が辞めていく危機に地元の主婦らが立ち上がった。「コンビニ受診」によって医師に負担をかけるのをやめようと、市民への呼びかけを広めていった。その結果、辞めようとした医師もとどまり、さらに今春以降、三人の小児科医が新たに赴任した。

 若い医師が行きたくなる病院は、症例数が多い、優秀な指導医がいる、といったことが条件になると言われている。それも必要ではあるが、最近では「病院内にとどまらず、積極的な在宅医療や開業医との連携ができる」「看護師など他の職種との連携がとれたチーム医療が実施されている」「しっかりとした病院医療の方向性がある」などの理由も増えてきた。地域住民にも受け入れられ、ゆとりある地域医療を経験したいということだろう。柏原病院に限らず若い医師が希望する地方の病院は少なくない。厳しい環境の中で、病院の努力も求めたい。

 【後日記】『中小医療機関にデジタル化の波 政府の優遇策が後押し』

 日経7/15によれば医療機器メーカーが中小医療機関のデジタル化を支援するシステムを相次ぎ販売するようであります。

 東芝メディカルシステムズはベッド数十九以下の診療所向けに電子カルテに診療報酬明細書(レセプト)や医療用画像管理の機能を加えたシステムを発売するそうです。

 GE横河メディカルシステムはベッド数二百程度の中小病院向けに画像情報システムを発売すると言います。

 富士フィルムは販売子会社の営業担当者全員に開業医向け販売ノウハウを習得させるとのこと。一台のモニター上で内視鏡の動画や血液検査結果などを一元管理できるシステムなどを販売するとしています。

 政府は今年度、診療データをX線フィルムなどではなくデジタル保存した場合に、診療報酬を上積みする優遇策を導入。レセプトのオンライン請求も今後導入するとしています。経営に余裕がないため電子カルテや画像情報システムの導入が遅れていた中小医療機関も今後は導入を迫られそうと言います。

 画像診断・・・人体を透過した放射線や電磁波のデータをデジタル画像にして診断する技術。診断にはCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)やPET(陽電子放射断層撮影装置)を使う。画像診断は大量のデータが得られ肉眼では判別つかない例もあるため解析ソフトなどの性能向上が求められる。日経6/20より。

 高齢化に伴いがん患者は増え日本人の死亡原因の三割を占めるまでになったそうです。早期発見、切らないがん治療が広がれば、五年後には日本の市場が現在の二倍強、480億円になるとの見方もあるようです。

 富士フィルムはがん発見のための診断ソフトを開発したそうです。乳がん検査用のエックス線撮影装置の画像から乳がんの兆候となる石灰化を98%判別できるそうです。東大病院22世紀医療センターとの共同研究で更に性能向上、機能拡大を狙う、としています。

 三菱重工業も京大と共同でCTを利用した治療装置を開発したそうです。機械制御のノウハウを応用しているとのこと。放射線照射のずれは0.2ミリメートル以下で患者の負担が少ないと言います。

 【後日記】『予防 費用対効果の視点で』

 日経連載「蘇れ医療」第2部からです。本日7/28は①-白熱「コスト論争」-です。

 がんや心筋梗塞といった喫煙で増える病気の超過医療費は推計で年四千七百億円になるそうです。薬とカウンセリングで禁煙をサポートする治療が、現在、健康保険の適用対象となっており、年間約十五万人が禁煙治療を受け、約三割が成功したといいます。五十嵐東大助教の推計では生涯医療費の削減幅は五百三十億円で、治療費四十八億円を引いても経済的であるとしています。しかしながら、そもそもの非喫煙者からするとすっきりしない話ではあります。

 国際医療福祉大の池田教授の見積もりでは、平均的な高脂血症の六十歳男性に高脂血症薬を投与し、心筋梗塞を一例防ぐのに必要な薬剤費は千九百万円から四千二百万円になるそうです。男性の発症確率10%は投薬で6-8%に下がるそうで、これを人数に換算すると、三十~四十人が薬を飲んでようやく一人の命が守れる計算です。

 血圧やコレステロール値を下げる「メタボ対策」は薬代だけで年間一兆二千五百億円の巨大市場になっているとのこと。新横浜ソーワクリニックの別府院長は「いったん薬が承認されるとリスクがほとんどない人にまで幅広く処方される」と指摘しています。

 韓国政府は、十種類以上ある高脂血症薬のうち保険適用を、費用対効果が高い薬だけに絞る方針を決めたとのこと。「ムダな薬は去れ」との指針に、学会や製薬業界が猛反発しているそうです。しかしながら、薬の費用対効果は欧米を中心に世界標準になりつつあるといいます。

 【後日記】『遠隔医療 対象を拡大』
 総務省と厚労省が共同開催している「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」(座長・金子郁容慶大教授)がまとめる中間報告の提言を受け、両省が必要な措置の検討に入る、としています。日経7/31より。

 遠隔医療・・・医師がテレビ電話を使って患者を診察したり、検査画像をインターネット回線で大病院に送って専門家の判断を求めたりする医療サービス。厚生労働省は遠隔医療を対面診療を補完するものと位置づけ、慢性期疾患を抱える患者で症状が安定している七つの症例に当てはまるケースのみ遠隔医療が可能との見解を通知で示している。ただ、医療現場からは「通知は条件が細かいうえにあいまいな個所も多く、遠隔医療の普及の妨げになっている」との指摘が出ている。

 【後日記】『医師不足に歯科医の活用を』
 8/18の日経「領空侵犯」は同志社大学学長の八田英二氏でした。以下、転載します。

 -医師不足が叫ばれ、へき地や産科、小児科、救急などの医師は特に足りないようです。政府もようやく大学医学部の定員増を認めました。こうした状況にご意見をお持ちだとか。
 「定員を増やしても学生が医学部を卒業するのに六年かかります。国家資格を取得し臨床研修などを受けていると、一人前の医師になるのに十年以上はかかるでしょう。これでは現在の医師不足の解決にはなりません。それに医師を取り巻く環境をそのままにして、いくら医学部定員を増やしても、激務の病院勤務を嫌がったり、女性医師が出産を機に離職したりする傾向は変えようがありません」
 「今打ち出すべき対策は潜在的な医師の予備軍を積極的に取り込んでいくことではないでしょうか。考えられるのが医師に比べて多すぎるとされる歯科医の活用です。歯学部の学生は医学部同様、六年間大学で勉強します。基礎医学についてはほぼ同じような内容を学びます」
 -患者からすると不安な面はないでしょうか。
 「熱意があって希望する歯科医を選抜し、二年ほど改めて研修を受けてもらえばよいと思います。歯科医は麻酔の扱いにも慣れていることが多く、歯科口腔外科では手術時に全身麻酔をかけることだってあります。そういうことを考慮すると、一定の研修のうえで麻酔科医としての限定免許を与えることも検討に値します。麻酔科医も大幅に不足しているわけですから」
 「外国人医師も取り込んでいくべきでしょう。先日、上海を訪れたとき、大学の医学部希望者が少ないことを知りました。医者の給料が低いからだそうです。ならば、一定の給料は得られる日本に来てもらってはどうでしょう。流ちょうな日本語能力を必要としない診療科などなら活用の余地はあると思います。このほか、女性医師が増えているのですから、彼女たちが出産しても仕事を続けていけるような保育所の整備、待遇の改善を進めるべきです」
 -医師が増えたとしても、地方やへき地に行きたがらないという問題への対策はありますか。
 「国公立大学の医学部はすべて授業料を免除し、奨学金も出すようにして、その代わりに卒業後は地方やへき地での勤務を義務付けてもいいと思います。自治医科大学などが導入しているものと似た方式です。医療の公共性を考えると、公費で医師を育て、育てられた医師は一定の義務を負うという形はおかしくはないでしょう」

 【後日記】『薬の診療報酬 健保組合が直接審査』
 トヨタ自動車とNECが薬局と直接契約し、レセプト審査・支払いを始めるそうです。

 病院や調剤薬局が健保組合へ請求するレセプトについて、これまで厚労省管轄の社会保険診療報酬支払基金に手数料を払って、審査・支払い業務を委託していましたが、基金が独占的に審査や支払いをするのでは審査が甘く効率が悪い、との指摘もあったようです。直接審査によって過剰な投薬による過払い発見にもつながれば医療費の削減も見込めそうです。

 政府は2005年に薬のレセプトの直接審査・支払いを解禁。07年には処方箋を発行した医療機関の同意を不要とする規制緩和も実施したものの、これまで実施した健保組合はなかったといいます。

 以上、9/20日経より。

 【後日記】『臨床研修 短縮巡り議論』(11/9の日経より抜粋)

 医師臨床研修制度には「研修医の大学病院離れ、都市集中を加速し、医師不足を招いた」との批判が付きまとう。これに対し医師臨床研修マッチング協議会の杉本満信部長は「大学離れは二割程度にとどまるし、都市集中も必ずしも当たらない。一部に誤解がある」と強調する。

 同協議会公表のデータを基に制度導入後の2004-09年度の研修医数を導入前の03年度と比較すると、都道府県で最も減少したのは京都で29.2%減。鳥取、山口、徳島、群馬、広島、奈良、東京の七都県も研修医の数が二割以上減った。

 最も研修医が増えたのは78.4%増となった沖縄。岩手、島根、埼玉も五割以上増えた。地方でも、県庁所在地や中核都市の病院には研修医が集る傾向がある。

 以前は新人医師の七割が大学病院の「医局」に入り、研修を受けていたが、制度導入後は五割前後に低下。厚生労働省は今年八月、大学病院に限り、研修要件を緩和して、産科や小児科などの専門教育を充実できる「特別コース」を認めたが、同コースを設定した四十大学病院のうち、前年より研修医が増えたのは十五病院にとどまった。

 内訳をみると、二十六病院が設けた「産婦人科コース」は定員計六十二人に対し研修医は二十九人、二十九病院が設けた「小児科コース」は定員計七十人に対し四十人で、いずれも充足率は五割前後だった。

 期待する効果が出なかったことについて、同省は「特別コースは急きょ各大学に設定してもらったので、周知が間に合わなかった。来年以降の動向も注視したい」としている

 臨床研修制度 ・・・医学部を卒業し、医師国家試験に合格した医師が受ける研修。2004年度に導入され、二年間に内科や外科、小児科、産婦人科、精神科、救急など複数の科を経験することが義務付けられた。幅広い診察能力を育成することが狙い。研修医のアルバイトは禁止だが、給与などの待遇は改善した。
 医学生は研修を受けたい病院に自由に応募できる。学生と病院双方は医師臨床研修マッチング協議会にそれぞれの希望順位を登録し、順位を基に”お見合い”方式で機械的に研修先を決める。

 【後日記】『世界では評価高い医療制度』(2009/1/1日経より転載)

 救急車で運ばれた患者を受け入れてくれる病院が見つからない例が続いている。病院の閉鎖や、産婦人科・小児科など一部診療科を休止する病院も相次ぐ。この現状だけを見れば意外かもしれないが、日本の医療制度は実は世界的には評価されている。

 日本の平均寿命は現在、男性79.19歳で世界第三位。女性は85.99歳で第一位。介護などを必要とせず健康で自立した生活ができる健康寿命も世界で最も高い部類。新生児の死亡率の低さも世界トップクラス。このような成果に対する医療の貢献度は高い。ある程度の質が高い医療を多くの国民に提供してきたといえる。

 また国民の健康を維持するために、公的医療保険の保険証があればどこの医療機関でも気軽に受診できる体制を整えていたという点も、日本の特徴だ。海外では米国のように、四千万人以上もの国民が公的な医療保険に加入していないといった例がある。公的保険が整備されている欧州でも、患者はまず決められた地域の医師に診てもらい、必要がある場合には大病院や専門病院にかかるといった仕組みの国が珍しくない。

 一方、日本が医療にかけてきた費用は少ない。経済協力開発機構(OECD)が2008年にまとめた統計では、国内総生産(GDP)に占める日本の総医療費の比率は8.2%。米国(15.3%)やフランス(11.1%)に比べ低く、OECD加盟国の中でも低い部類。あまり費用をかけずに成果を収めてきたわけだ。

 だがこのようなシステムがもう維持できなくなりつつなるのが現状。医療費抑制が続き医療現場の人手は足りない。激務となるが、それに見合う報酬が得られるとも限らない。辞めていく医師らが相次ぐ。患者と医師らの間の相互理解も足りず、診療に関して不信や不満が渦巻く。

 「高い質」「受診のしやすさ」「費用の安さ」。医療の世界ではこの三つを同時に達成することはできないとされる。これからの日本も、医療の質と受診のしやすさを確保するならば、医療に今よりも大きな費用をかけざるを得ない。逆に負担増を拒否するならば、質の低下や気安く医療機関にかかれなくなる事態を我慢するしかない。決断は迫られている。

 【後日記】『臨床研修制度 見直しに賛否』(2009/3/8日経より転載)

 新人医師が受ける二年間の臨床研修制度が2010年度から見直される。国は研修内容の弾力化と都道府県ごとの募集定員上限を導入することで、深刻な医師不足の解消を狙う。関係者の間には「地域医療の支えになる」と期待の声もある半面、「良医育成の理念がない」「医師不足の解消効果は小さい」と疑問視する声も小さくない。

 今月二日の医道審議会部会が了承した見直し案は、必修科目を現在の七科目から内科、救急、地域医療の三科目に削減した。基礎的な研修を「実質一年」にすることで、研修医を即戦力として活用できるという。さらに都道府県ごとに募集定員の上限を設け、都市部に集まりがちな研修医を地方に誘導する。

 「医学部を出た後、県外に出る医師が減れば、地域医療を支える人材が増える」。島根県医師確保対策室の木村清志室長は歓迎する。

 同県の島根大学医学部は毎年約百人の医師を輩出するが、県内に残るのは半数程度。今回の見直しで同県は、今年度採用実績(三十七人)の3.5倍に当たる百三十人の定員上限を割り振られた。木村室長は「若い医師には過疎地医療を”食わず嫌い”している面がある。先入観を捨ててもらえるよう、魅力的な研修を大学院と一緒に考えていきたい」と意気込む。

 これに対し、河北博文・東京都病院協会会長は「総合的な診察能力を持つ医師を育てようという制度創設の理念を無視している。質の高い臨床医が育ち始めていたのに台無しになりかねない」と疑問を呈する。医師派遣を担う大学病院を募集定員で優遇する点についても「高度医療を担う大学病院では一般的な病気の経験を十分に積ませられないとの反省から、一般病院にも臨床研修をやってもらおうというのが制度の狙いだったはずだ」と手厳しい。

 大学側も手放しで歓迎している訳ではない。

 三重大の臨床研修の責任者、佐川典正・産婦人科教授は「制度の検証が不十分。現場の声も反映しておらず、効果は不透明だ」と指摘する。04年の制度スタート後、三重大病院は一時、研修医が一ケタ台にまで減少。「産婦人科や小児科など本当に人が足りない科に医師が集まる保証はない」と訴える。

 厚労省は昨春、大学病院に限って、今回の見直しと同様に専門科研修の期間を長くできる「特別コース」の設置を認めた。だが特別コースを設置した四十病院のうち、前年よりも研修医が増えたのは十五病院だけで、「医局への回帰」につながらなかった。

 同コースは今回の見直しの試金石とも言えるが、同省検討会ではほとんど議論されなかった。10年度からの実施に間に合わせるため、医道審がわずか二回の会合で都道府県の定員上限を決めるなど、十分な検証を経ずに見直された面があるのは否めない。

 同省検討会では「医師不足の責任を若い研修医にだけ負わせるのはおかしい」との意見が相次いだ。「良医の育成」を目指す研修制度と、地方の医師不足とは本来、別の問題。地方の病院で不足しているのは、研修医ではなく働き盛りの中堅医師で、医療現場では「起きている現象と国の対策が食い違っている」との批判も根強い。

 仮に地方の研修医が増えても、研修を終えた三年目以降の医師がそのまま地方に残るとは限らない。医師不足問題は臨床研修制度の見直しだけで解決するほど単純ではなく、大学教育や専門医制度なども含めた総合的な見直しが重要だ。北村聖・東京大教授は「今回の見直しは大山鳴動して鼠一匹。落ち着くところに落ち着いたと思うが、まだまだ改善の余地はある」として冷静な検証を求めている。

 【後日記】『レセプト完全電子化を後退させるな』
 2009/3/9日経の社説より転載します。

 経済社会の様々な場面でIT(情報技術)が革新し、くらしが便利になっている。だがIT化が遅れている分野もまだある。代表は医療だ。

 医療機関が患者を治療したり薬を処方したりしたときに健康保険組合などに出す診療報酬の明細書(レセプト)も、IT化はさほど進んでいない。2008年十二月診療分の電子請求の割合をみると、病院は57%だが診療所は4%にすぎない。歯科の請求にいたっては、いまだにすべて紙のレセプトに頼っている。

 政府は11年度から完全に電子化すると閣議決定済みだ。ところがこの公約をほごにして「完全電子化」を「原則電子化」に変え、三月中に閣議決定し直すよう求める声が自民党内に急速に広がりつつある。

 同党の支持基盤である日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の反対運動を受けた動きだ。その理由として、専用のコンピューターシステムを導入するための投資負担が重い、高齢の医師が経営する過疎地の診療所は電子請求の作業に十分に対応できない、などをあげている。

 しかし、これらは電子化を忌避するための言い訳ではないか。診療所のシステム投資には税制上の支援策や厚生労働省の独立行政法人による低利融資がある。診療報酬政策でも電子化への加算制度を設けた。コンピューター操作に難がある高齢医師などを対象に、地域の医師会が請求を代行する仕組みも準備中だ。

 完全電子化は必ず成し遂げるべき医療制度改革の柱である。請求事務の効率化や人件費の圧縮を通じ、国民医療費の増大を抑えるのに役立つからだ。電子請求があまねく行き渡れば、病気の種類ごとに治療方法を標準化する作業にも弾みがつく。

 さらに医療機関が診療報酬を請求する家庭が健保組合や患者本人にガラス張りになり、過大請求や不正請求があった場合は即座に見抜けるようになる。一部の医療関係者に根強い反対論の根っこに、ガラス張り請求への抵抗があるのだろうか。

 医療政策に影響力を持つ自民党議員のなかには、電子化を強いれば閉院を余儀なくされる診療所が出てくるので地域医療が崩壊するという声がある。小泉構造改革の負の側面だとレッテルを張り、世論の共感を得ようという思惑も見え隠れする。

 その背景には、次の衆院選で電子化への反対を掲げて医師会などの票を取り込もうとする一部の野党の戦術があるようだ。与野党の間に患者や国民の立場より圧力団体の利益優先を競う風潮があるとすれば、憂うべき事態である。

 【後日記】『頼れる「かかりつけ医」効率的な診療 実現の要』(2009/3/27日経より転載)

 過疎と高齢化に直面する北海道の寿都町。約三千六百人の町民が頼りにするのが町立診療所で働く四人の「家庭医」だ。

 「お子さんの骨はズレていないから、手術をしなくても治るよ。このまま様子を見ましょう」。所長の中川貴史(32)が話しかけると、こわばっていた母親の顔から笑みがこぼれた。高血圧の女性に体調を尋ね降圧剤を処方。高齢男性の中耳炎も治療した。

 いわば「医師の何でも屋」。がんなどが疑われ精密検査や手術が必要な場合には専門医や大学病院を紹介。その判断を的確に下す訓練も積んでいる。

 設立は四年前。厳しい財政状況が続くなか、町は同じ場所にあった赤字続きの道立病院を道から「(引き受けないのなら)休止もあり得る」と迫られ、診療所に転換する決断をした。

 六十床あったベッド数を十九床に減らし「大丈夫なのか」という町民の不安を招いた。選んだのは国内では珍しい家庭医療の専門医チームを招く試みだった。

 何でも診てくれる便利さから利用者は年々増えている。道の調査では町民の約七割が「道立だったころよりよくなった」と小さな町の大胆な改革を評価する。遠くの大病院に駆け込む前にまず診療所に来る人が増え「無駄な検査や投薬を省くことができた」(中川)。町民一人当たりの医療費は一割減り、町全体でみると九千万円削減できた。

 「かかりつけ医」とも呼ばれる家庭医は欧米では広く定着している。英国ではかかりつけ医に相談してからでないと病院に行くことはできない。

 一方、日本はどの医療機関も自由に受診できる。この「フリーアクセス」は高度な医療をだれもが受けられる半面、かぜのような軽症で大病院が込み合い「重症者が後回しになる」「時間をかけて診療してもらえない」などの弊害も生んだ。

 寿都町の試みを全国に普及させるにはフリーアクセスの是非を巡る議論を避けては通れない。日本家庭医療学会代表理事の山田隆司(54)は「限られた医療資源を効果的に配分するには、国内でも家庭医の存在が鍵を握る」と話す。

 効率分配に向けた取り組みは命にかかわる救急現場では待ったなしの状況だ。

 兵庫県伊丹市で一月、交通事故に遭った男性が救急搬送の受け入れ先が見つからず、十四病院に断られ死亡した。一方で救急車を利用する人の58%が軽症患者であることが市の調査でわかった。必ずしも救急医療が必要でない患者が現場に負担をかけ、必要な人に医療が届かない現実・・・・・・。

 「必ず医療機関に搬送してもらえる」に次ぎ「どこで受診したらいいか分からなかった」との回答が多かった。相談先の不在が安易な119番に向かわせる。

 市は昨年七月、医療相談サービスのティーペック(東京)に委託し二十四時間無料相談に応じる電話サービスを始めた。半年で九千二百件の問い合わせがあり「子どもの急病について聞きたい」などの相談が多かったという。市の担当の後北桂子(50)は「軽症者の受け皿になった」と話す。

 北海道大教授の前沢政次(61)も「家庭医や看護師が気楽に相談に乗る仕組みを築けば、ゆるやかなフリーアクセスの制限は可能。最後は患者のためになる」と指摘する。

 金融危機に端を発した今回の不況は命の安全網のひずみをいくつも浮き上がらせた。苦境をばねに課題を一つずつ解決すれば蘇る余地は十分ある。(敬称略)

 【後日記】『本領を発揮できる医療に』

 2009年7月20日の日経論説委員長の文から抜粋して以下、転載します

 患者が激しい頭痛を訴えたのは夜11時過ぎ。救急車に来てもらい車に乗せたが救急隊員による病院探しは難航する。国立、都立、共済病院は脳外科医が不在だという。15分近くたって東京・品川の私立医大病院が受け入れてくれた。

 当直の若い医師の診断は脳動脈瘤破裂による、くも膜下出血。翌朝熟練した専門医の出勤を待って手術に入る。顕微鏡を使った手術に医師は8時間近く集中した。前夜に診察した医師も手術に加わり、24時間以上の勤務に。

 手術は成功。術後の管理もよく30歳の患者は後遺症もなく退院した。かつて祖母と母を同じ病気で亡くしたので、現代医療のとてつもない威力を知った。同時にそれが外科医、救急医や看護師の激務に支えられている事実もよく分かった。

 医師不足というが、2006年度までの10年間に医師全体では8.3%増えている。減ったのは外科と産婦人科などだ。脳卒中や心臓病、がんなど重病の治療にあたる外科医の減少は特に深刻である。

 外科医や産婦人科が減る原因は様々だ。仕事がきつく、48時間の連続勤務もあるという。医療過誤訴訟のリスクも高まった。5年前、福島県で帝王切開を受けた産婦が死亡し、執刀医が逮捕された。裁判で無罪となったが、「逮捕」が医師たちに衝撃を与えたという指摘が多いのも事実。

 もっとも、苦労やリスクの大きさだけでなく「報い」の少なさもあろう。

 今回のくも膜下出血手術には医師、看護師ら12人が8時間かかわったが、病院に入る報酬(健康保険の支出と患者負担)は72万円。一方、眼科の白内障手術は一件約12万円だが、多くは30分程度で済み、日に何件もこなす開業医が多い。

 病院と診療所医師(開業医)では再診料も違う。開業医は医学管理料という名の加算を含め2960円とれるのに、大病院だと700円の例もある。

 これらの結果、病院には実入りが少ない。勤務医の年収は開業医の6割弱(中央社会保険医療協議会の調査から)。それにも増して病院は医師を増やす余裕がないので、高齢化による患者の増加で医師が忙しくなっている。結果として外科医などはますます去る。

 さすがに厚生労働省もこれではまずいと診療報酬の是正を試みるが、開業医の反発はなかなかに強い。

 【後日記】『行政の刷新とは何か』(2009/10/3日経より転載)

 鳩山新政権では行政刷新担当大臣として仙谷由人氏が任命され、行政の無駄の削減に挑むことになった。しかし何が無駄遣いなのかという判断はそう簡単ではない。当面は役人の天下りやダム造りなどの分野に取り組んでいくわけだが、それだけでは新政策のための財源すら賄えないだろう。本来の無駄遣いとは、実は国民自身の行動に根差しているものも少なくない。例えば、医療が典型例である。

 最近発表の経済協力開発機構(OECD)の対日審査報告でも、日本は人口当たりの病床数や診察回数が飛び抜けて多い点を指摘していた。医療界では周知の事実だが、医療の充実を求める声が強い中では無視されがちだ。

 欧米には例の少ない「社会的入院」という現象は、介護保険ができても一向に解決しない。治療の必要性がなくなった患者が退院しなければ、運動不足などから体力が衰え、要介護者になる。家族の介護負担を医師や看護師にしわ寄せするインセンティブは大きく、空きベッドを防ぐ病院経営の方針と相まって社会的入院は減らない。保険者などがチェックする仕組みも十分でなく、長期入院の診療報酬を下げても病院間での患者のキャッチボールは可能だ。

 厚生労働省は療養病床の削減に努めるというが、実質的な社会的入院は一般病床にも少なくない。これを解消するとともに空きベッドにも一定の報酬を支払う仕組みがなければ、救急患者のたらい回しはなくならない。

 社会的入院は介護施設の不足によるといわれる。しかし要介護認定など一定のチェックがある介護分野に対し、そうした制約のない病院が乱用されるインセンティブを放置すれば、医療費は際限なく膨らみ続けるだろう。

 高度な診療を行う病院への診療報酬を手厚くする一方で、どこでも自由に開業できる診療所の報酬を見直すメリハリも必要である。どんな軽度の医療にも7割以上の公的保険が支給される夢のような仕組みは、急速な高齢化が進む日本社会では維持可能ではない。医療費の重点配分へのコンセンサスが不可欠だ。

 明らかな行政の無駄の削減は、各省大臣でも可能である。行政刷新会議には、それを超えた国民生活の無駄をつくり出す制度の改革が求められる。これに対する各界の反対をどこまで抑え込めるかが、その存在意義を示す大きなカギとなる。

 【後日記】『医療の現場 余裕失い医師の負担感大きく』

 「地域医療の崩壊」がよく話題になる。救急患者のたらい回し、病院の休止や閉鎖、医師・医療従事者の疲弊などそれを裏付けるニュースには事欠かない。象徴的なのは2008年9月に経営難と医師不足により休止に追い込まれた銚子市立総合病院だ。地域住民に与えた動揺は大きく、その後市長がリコールされる事態にまで発展した。

 もともと医療崩壊とは、患者でも行政でもなく医師から発信された概念であることに注目したい。06年に泌尿器科医の小松秀樹氏が同名の著書を発表。医療費抑制と安全の両立という難しい要求をされつづけることに疲れ、日本の病院から医師が離れている現状を訴えている。

 また06年に福島県立大野病院で産科医が逮捕された(後に無罪が確定)ことなど、法的責任を厳しく問われるようになったことも医師の負担感が高まる原因となっている。

 医療の現場が余裕を失い、崩壊現象を起こしている原因の一つとして、小泉政権以後の医療費抑制策が挙げられることが多い。だがそれが原因の根本なのだろうか。

 図に示したとおり、確かに日本の医療費は主要6カ国の中では国内総生産(GDP)に占める割合においても、購買力平価に換算した1人当たりの金額においても、最も低い水準にある。米国の約半分程度であり、フランスやドイツなどと比べても2割程度低い。

 だがこうした状況は04年に英国に代わって最下位に転落した点を除けば、ほぼ20年間変わっておらず、近年格差が急速に広がったわけではない。最近になって地域医療が劣化した主因とするには無理があるだろう。

 以上、2009/10/6より連載の日経ゼミ(慶応義塾大学医学部医療政策・管理学教室の池上直己教授による執筆)から抜粋しました。ちなみに上記の主要6カ国とは米国・カナダ・フランス・ドイツ・英国・日本です。

 【後日記】『医師の離職・偏在 都道府県格差はむしろ縮小』(2009/10/7日経より転載)

 地域医療が「崩壊」するときはおおむね以下の段階をたどる。まず医師が病院から立ち去り、歯抜けのように診療科が休診し、最後に病院そのものが閉鎖に追い込まれる。疲れ切った医師が病院から離れるのが引き金となるケースが多い。

 では立ち去った医師はどこへ向かうのだろう。世間一般では、仕事が楽で収入が多いといわれる診療所(入院施設はないことが多く、あっても19人分以下の医療機関)に大挙して移ったという印象が持たれている。

 だがグラフで示したように、病院(20人以上が入院できる医療機関)に勤務する医師数は一貫して増え続けている。医療崩壊が叫ばれる前の2000年の方が、06年より病院勤務の医師の割合が大きい。(注.”大きい”ではなく”ほどんど変わらない”と筆者は書きたかったのだろうと思う。なお、絶対数としては診療所勤務医も病院勤務医も同様に増えている。-by けんchang)すなわち一部の病院からは医師が立ち去ったが、その多くは別の病院で診療を続けていることがわかる。

 「地方の病院から首都圏の病院へ移ったのでは」との指摘もあるだろう。だが都道府県ごとの人口10万人あたりの医師数を比較すると、最も多いところと最も少ないところとの格差は、1994年には2.34倍だったが06年には1.99倍まで縮小した。都道府県ごとの医師数の偏在はむしろ是正されている。

 しかしよく考えると、このように病院の医師数が増えたうえ、都道府県間の格差が縮小したのは、当然といえる。現在でも医師数は、毎年約3500人ずつ純増を続けているからだ。

 1970年代には各県に最低1医大が配置され、医学部の定員は倍増した。現在はピーク時より1割弱少ないが、高水準を保っていることには変わりない。子育てで離職を経験する女性医師の割合が増えていることを差し引いても、全体の労働力が大幅に増えていることは間違いなさそうだ。

 それにもかかわらず一部病院で医師の立ち去りが起こるのは、医師一人一人にかかる負担が従来より大きくなっているからだ。単純に医師数を増やせば解決するという問題ではなく、その構造的要因に目を配る必要がある。

 【後日記】『産科医の減少 集約による医療機関減で不足感』(2009/10/8日経より転載)

 地域医療崩壊の象徴的な出来事とされるのが、産科や産婦人科、小児科の休診が目立つようになったことだ。北海道根室市のように、地方自治体内に産科を持たない「空白地区」も珍しくない。

 まず産科や産婦人科の医師数をみると、確かに減少している。図で示したように2006年は1万74人で12年前より約1割減少した。ほぼ同じ割合で分娩数も減少しているため、数字だけをみれば医師1人当たりの負担は増えていない。だが従来より既往症を抱えた状態での妊娠や低体重児の出産などが目立つようになり、分娩数は同じでも確実に負担は増している。

 産科や産婦人科の医療機関の数は、医師より減少幅が大きくなっている。病院の数(07年調査)は1539で13年前より3割強減っており、診療所(05年調査)も4381と12年前から2割減った。

 減少の背景となっているのは、日本産科婦人科学会が患者の安全性確保と医師の負荷軽減を目的に、1病院あたり5人以上の常勤医を配置する目標を提示したからだ。実際に07年の1病院あたりの産科医の数は3.6人で、13年前より0.7人増えている。

 産科医を集約すると妊婦がかかりづらくなり、実態以上に産科医が減少したように感じられる。一方で母体が危険にさらされたときは複数の産科医や麻酔医のフォローが受けられるため、出産の安全性は以前より増している。

 小児科医に不足感があるのは、事情がまた異なる。06年の小児科医数は1万4700人で、過去12年間で1割増加している。それにもかかわらず「崩壊」しているとされるのは、緊急性の高い小児救急や、新生児を扱う小児科医が増えていないからだ。

 親から「内科ではなく小児科の専門医に診てもらいたい」といった要望が強いことや、共働きで昼間の受診が難しい家庭が増えていることなども不足感の背景となっている。

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2008年6月 3日 (火)

オーストラリア証取 石炭・鉄鉱石の先物上場

 石炭輸出で世界最大、鉄鉱石輸出ではブラジルに次ぐ世界第二位の主要産出国が先物取引を始めることで、これまで確立されていなかった指標価格の形成を目指すとしています(本日の日経より)。

 石炭先物はニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)などでも取引されていますが、価格の指標となるまでには浸透していないと言います(鉄鋼石の先物取引市場はまだなく、豪証取の取り組みが世界初)。

 実現すれば、NYMEXの原油先物WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)と同様、価格形成に強い影響力を持つ可能性があるそうです。

 主な輸出国とシェアと題した円グラフが掲載されています。それによると、石炭全8億9800万トンの内訳は、オーストラリア27.9%・インドネシア20.7%・ロシア9.6%・南ア7.5%・コロンビア7.2%・他のようです。また、鉄鉱石全8億4000万トンの内訳は、ブラジル33.8%・オーストラリア31.7%・インド11.1%・南ア3.7%・他のようです。

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信用保証協会 トップの9割 自治体の天下り

 本日の日経によると、全国52の信用保証協会の会長や理事長ら経営トップの九割以上が地方公共団体からの天下りであることが、経産省の調べで分かったそうです。常勤役員に占める割合でも四割だったそうです。

 ついでに経産省の天下りも公表して欲しいものです。

 【後日記】『橋本行革が残した宿題』
 7/27日経コラム「風見鶏」から丸々転載します。

 二十二日に都内のレストランで「立花宏さん激励・慰労の夕べ」というパーティーが開催された。

 立花氏は日本経団連の生え抜きで、長年、民間の立場から行政改革や規制改革に携わってきた。五月に専務理事を退任して参与になったので、慰労会として企画された会だった。

 ところが政府内の調整が迷走した末に、国家公務員制度改革推進本部の事務局長に白羽の矢が立ったために、「ご苦労さん会」から「壮行会」に会の趣旨が変わってしまった。

 前通常国会で国家公務員制度改革基本法が成立したのを受けて、推進本部は今後の制度設計や法改正などの実務を担う。事務局次長として松田隆利前総務次官と岡本義朗三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員が支える異例の布陣となった。

 パーティーには渡辺喜美行政改革担当相、菅義偉前総務相、塩川正十郎元財務相らが顔を見せた。渡辺氏は「行革に関しては私なんか小僧っ子のようなもの」とあいさつした。

 パーティーは立花氏も深く関与した橋本行革の同窓会のような雰囲気だった。当時、行政改革会議の事務局長を務めた水野清元建設相は「橋本内閣で公務員制度改革をやろうとしたが、大したことはできなかった」と振り返り、自民党側でかかわった柳沢伯夫前厚生労働相は「橋本行革の延長線上の仕事に最もふさわしい人」とエールを送った。

 橋本行革は中央省庁の再編や内閣機能強化などの成果を残した。今では忘れ去られているが、実は省庁再編とセットで公務員制度改革も柱の一つだった。

 1997年十二月にまとまった行政改革会議の最終報告を読み返してみる。公務員制度改革の項には、新たな人材の一括管理システム、能力・実績に応じた処遇の徹底、労働基本権のあり方の検討などの文言が並ぶ。いずれも基本法の問題意識に通じる。

 再就職管理のための人材バンク導入のように、昨年成立した改正国家公務員法で動きだしたものもあるが、橋本行革から十年余りの時を経て、ようやく基本法が成立したともいえる。公務員制度改革の歴史は、官僚のサボタージュの歴史でもある。

 推進本部がまず取り組まなければならないのは、基本法に盛られた内閣人事局の制度設計だ。来年の通常国会までに内閣法など関連法の改正が必要になる。

 内閣人事局は幹部職員の一元管理などを担い、内閣官房に置くことになっている。政府案では内閣人事庁を新設する構想だったが、民主党の主張を受け入れ、修正された。

 内閣人事局長は日銀総裁のような中立性を持たせるのか、政務の官房副長官のような政治性を重視するのか。人事データの一元化をどう進めるのか。幹部職員の公募の仕組みは・・・。人事局の設計だけでも論点は尽きない。

 推進本部には労働協約締結権を付与する範囲などを検討する「労使関係制度検討委員会」などの有識者会議も設けられる。長年の懸案の労働基本権拡大問題に決着をつけなければ、公務員制度改革は再び絵に描いたもちになりかねない。

 立花氏は公務員制度改革を「橋本行革の積み残し」と評する。任命権者の福田康夫首相には「この問題は曲折を経てきたので、総理が断固やり抜くというにらみをきかせてもらいたい」と要請したという。

 内閣人事局の生みの親の民主党の責任も重大だが、霞が関の抵抗で進まなかった公務員制度改革の歯車が回るかどうかは、首相のやる気にかかっている。(編集委員 西田睦美)

 内閣人事局・・・六月に成立した国家公務員制度改革基本法で、内閣官房への新設が明記された。中央省庁の幹部人事の一元管理に向けて、官房長官による候補者の名簿作成や適格性審査などの事務局となる。現在の幹部数は「次官・局長級」が約280人、「審議官級」が約690人、「本省課長級」が約2600人。対象範囲などは今後詰め、来年の通常国会に関連法案を提出する運びだ。(11/4日経より転載)

 【後日記】『公務員改革の有識者会議 経済3団体トップ起用』

 政府は国家公務員制度改革推進本部に設置する「顧問会議」のメンバーに日本経団連の御手洗冨士夫会長、経済同友会の桜井正光代表幹事、日本商工会議所の岡村正会頭を起用する方針を固めたそうです。また、高木剛連合会長もメンバーに加えるとしています。同顧問会議は十五人程度で構成する見通しといいます。日経8/3より。

 【後日記】『天下り41%、なお高水準』

 政府が公表した国家公務員の再就職に関する調査結果によると、2008年八月までの一年間に退職した中央省庁の課長・規格官級以上の職員千四百二十三人のうち、許認可などで各省庁と関係の深い独立行政法人や特殊法人、認可法人、公益法人(財団・社団)に再就職したのは、前年比六十七人増の五百九十人だったそうです。全体に占める割合は前年比0.8ポイント増の41.5%で「天下り」がなお高水準にあることを浮き彫りにした、とのことです。日経12/26より。

 【後日記】『行改 相次ぐ後退』(日経12/23から転載)

 国家公務員の再就職を一元管理する「官民人材交流センター」発足後も中央省庁による公務員OBの再々就職あっせんが続くことが明らかになり、波紋を広げている。公益法人などへの天下りを繰り返して多額の退職金を得る「渡り」を容認することにつながりかねない。行政改革の後退が相次ぐ中、小泉改革継承をうたう自民党内の勢力からも批判が出始めた。

 同センターは中央省庁による天下りあっせんを禁じ、再就職支援を一元管理する組織として2007年の国家公務員法改正で新設が決まった。三十一日付で発足する。

 政府は十九日の閣議で発足日などを定める政令を決定。この中で、各省庁は三年間の経過措置で認められている公務員の就職あっせんだけでなく、企業に再就職したOBの再々就職支援ができることまでが記された。

 だが、07年末、センターの制度設計に関する政府有識者懇談会はセンターの再々就職支援を禁じるとともに、各省庁も「二回目以降の再就職あっせんを行わない」との報告書を発表。今年五月の衆院内閣委員会では、当時の渡辺善美行革相が同時報告書を政令で尊重すると答弁していた。

 政府関係者は十九日付の政令決定に「『渡り』にお墨付きが与えられた」と語りこれまでの流れを覆す内容と認める。自民党の中川秀直元幹事長は二十一日の民放番組で批判の口火を切った。

 「麻生内閣がどうなってもいいのか」二十二日の自民党行政改革推進本部で渡辺氏がこう批判。厚生労働省所管の独立行政法人雇用・能力開発機構の存廃問題を巡って紛糾した。

 福田内閣下の茂木敏充行革相は廃止・解体方針を推進した。だが、甘利明行革相と桝添要一厚労相の合意は厚労省所管の他の独法への統合。二十二日は最後に中馬弘毅行革本部長が「独法を一つ減らしたことは評価できる」と場を収めた。

 相次ぐ行革後退に批判を強めるのは、いずれも小泉改革路線の継承を重視する議員。ただでさえ目立ち始めている「改革派」と政権の距離が、行革問題などで一段と広がりかねない雲行きだ。

 【後日記】『谷人事院総裁「ミスター渡り」の異名 メディア操作し組織防衛』
 産経ニュース(2009.2.3 21:49)より転載。

 「内閣人事・行政管理局」への機能移管をめぐり、政府と徹底対立した人事院。そのトップである谷公士(まさひと)総裁は平成13年に郵政事務次官を退任後、財団法人などを渡り歩いてきた人物で、政府・与党内からは「ミスター渡り」との声も出ている。その組織防衛への執念は徹底しており、今後も法案作成過程での抵抗をにじませる。人事院が得意とするメディアや政界への説得工作術とは-。

 「私は人事院を代表し、人事院の立場に今後もご理解いただけるように努力するつもりです」

 3日朝、国会内で開かれた政府の公務員制度改革推進本部で人事院の機能移管が決まったが、谷氏は余裕の表情を見せた。

 谷氏は昭和39年に郵政省に入り、平成10~13年に郵政事務次官を務めた。退官後は同省所管の財団法人「郵便貯金振興会」(現ゆうちょ財団)理事長へ天下りし、同時期にさらに2つの財団法人の理事長を兼任。15年6月には有料CS放送の関連会社会長となり、16年4月に人事官に就任、18年4月から人事院総裁を務めている。

 長く折衝してきた甘利明行政改革担当相は「あんな不(ふ)遜(そん)な官僚は見たことがない」と憤りを隠さない。甘利氏が話をしようとしても、谷氏は「事務方と同じ見解ならば会う必要はない」と面会を度々拒否。交渉過程では、甘利氏との電話での会話を無断で録音するなど抵抗戦術を続け、「われわれを総務省や財務省などと同列にしないでほしい」と言い放ったという。

 谷氏が強気の姿勢を崩さない背景には、人事院の特殊な身分制度がある。総裁を含む人事官3人は弾劾裁判でなければ罷免されず、閣僚の意向を気にする必要はない。加えて人事官は国会同意人事なので、総裁が辞任すれば新たな人選は困難を極める。

 メディア対策も秀でている。甘利氏との直接折衝の度に、谷氏らは担当記者に入念な説明を行い、人事院側の主張を展開。3日の決定までに計5回の記者ブリーフを行ったほか、論説委員へも説明会を続けた。

 また、昭和28年以降、人事官3人のうち1人は報道機関の幹部経験者の指定ポストで毎日、朝日、読売、NHK、日経の退職幹部が歴任してきた。閣僚経験者は「抱き込まれた報道機関が人事院を批判できるわけがない」と打ち明ける。

 谷氏は4日朝、民放情報番組への生出演を決めた。いよいよ反撃ののろしを上げたといえるのではないか。(田中靖人)

 【後日記】『省庁あっせん廃止政令案』(2009/2/21日経より転載)

 政府は二十日、国家公務員の再就職とOBの再就職の省庁あっせんを2009年末に廃止する政令案をまとめた。三月二十三日までの意見募集を経て三月末に閣議決定する。

 改正国家公務員法は再就職あっせんに関し、官民人材交流センターに一元化するまでの最大三年間は省庁による個別あっせんを容認していた。この一元化までの経過期間を三年から一年に短縮する。

 【後日記】『あっせん天下り 07年度は305人に』(2009/2/3日経より転載)

 2007年度に省庁のあっせんで民間企業や公益法人などに再就職した国家公務員(本省の課長・企画官級以上)が少なくとも三百五人に上ることが明らかになった。民主党が総務省人事・恩給局に依頼した調査結果で判明した。省庁別で最も多いのは経済産業省の六十六人。再就職後に再々就職をする「渡り」もほかに三人いた。天下り調査は人事院が実施しているが、営利企業への再就職などに限っている。総務省調査は対象を広げた。

 【後日記】『公益法人改革』(2009/2/6日経より転載)

 主務官庁や都道府県が社団法人や財団法人の設立を許可する制度を2008年十二月に廃止し、誰でも登記で財団・社団を設立できるように見直した改革のこと。一部の公益法人が主務官庁と癒着し、天下り先になっている弊害を是正するのがねらい。税優遇を受けられる公益性については第三者機関が認定する仕組みに改めた。公益性を認められない法人は「一般社団法人」「一般財団法人」になる。

 【後日記】『あっせん天下り1600人超』(日経2009/2/7より転載)

 2006-08年の三年間に省庁のあっせんで民間企業や公益法人などに再就職した国家公務員(幹部のみ)が、少なくとも千六百三十七人に上ることが明らかになった。民主党によると、総務省人事・恩給局の調査結果で判明した。省庁別で「天下り」が最も多いのは国土交通省で二百九十八人。省庁などからの再就職者が五代以上続いている独立行政法人などは、六十四法人、六十九ポストに上っている。

 【後日記】『公益法人の役員 103ポスト、天下り「5代以上」』(2009/2/25日経より転載)

 官僚OBの再就職先について、五代以上にわたって「天下り」が続き、特定省庁の指定席となっている公益法人などが九十四法人、百三ポストに上ることが二十四日、明らかになった。総務省人事・恩給局が民主党に示した今月二十日時点の調査結果で判明した。

 【後日記】『公務員改革関連法案 閣議決定 メド立たず』(2009/3/11日経より転載)

 中央省庁の幹部人事を一元管理する「内閣人事・行政管理局」の新設を柱とした国家公務員制度改革関連法案の閣議決定がずれ込んでいる。機能の一部移管を求められている人事院と、甘利明行政改革担当相の調整がつかないためだ。政府案には民主党だけでなく、自民党内からも批判があり、決着の見通しが立たない状況だ。

 内閣人事・行政管理局は各省の人事行政機能を一元化して2010年四月をめどに設置する予定。人事院、総務省などから機能を移管し、中央省庁幹部の人事を一括管理し、国の行政組織全体の組織管理にあたる。人事院から給与ランク別の定数を定める「級別定数」機能のほか「任用」「試験」「研修」の企画立案機能など人事院機能の大半を移す。財務省の総人件費の基本方針の決定権限もあわせもつ。

 人事院は谷公士総裁を先頭に強く反対している。行革相は十日の記者会見で「もう少し時間をかけたい」と述べた。

 自民党内では中川秀直元幹事長が政府計画で二年目に予定している給与制度改革の前倒しを主張。塩崎恭久元官房長官は総務省の行政管理局の移管すら疑問視している。首相官邸も調整に乗り出す機運はない。官房副長官の兼務も検討された内閣人事・行政管理局長も官房副長官補級にするなど、後退もみられる。

 国家公務員制度改革基本法を自民、公明両党と共同修正して成立させた民主党も「基本法の枠を超えた『焼け太り』だ」(松本剛明行政改革調査会長)と批判的。中堅議員は「当初は修正協議も視野に入れたが、民主党政権でつくり直せばいい」と語る。衆院解散・総選挙が視野に入っていることから、今国会での成立は危うい状況だ。

 【後日記】『天下り先狭まり 苦心の「軟着陸」』(2009/5/20日経より転載)

 関西国際空港の会長に国土交通省の岩村敬元事務次官(64)が六月末に就任することが内定した。国交省の幹部職員の天下り先が狭まるなかで「軟着陸」に苦心した跡がうかがえる。

 現在の関空の社長はパナソニック、会長は関西電力といずれも地元有力企業の出身で、新社長の福島伸一氏(60)もパナソニック副社長。実は岩村氏は昨年九月から関電の顧問を務めており、地元に顔を広げて官僚色を薄めようとした形跡がある。

 関空会長にはこれまで代表権があったが、新会長は外した。村山敦社長(71)は「代表権をつけると天下りといわれる」と釈明した。これは国交省にとっても渡りに船。代表権がない会長人事は閣議了解の対象から外れるためで、天下りに厳しい議員らの目をかいくぐる妙手ともいえる。

 【後日記】『公益法人の44%に天下り理事 内閣府調査』(産経ニュース2009.8.6 21:10より転載)

 内閣府が6日公表した平成20年12月時点の集計で、国が所管する6625公益法人のうち中央省庁から理事が天下りしている法人は2933法人、44・3%であることが分かった。

 前回の19年10月時点(45・4%)より割合はわずかに減ったものの、依然、天下り根絶にはほど遠い実態が浮き彫りになった。

 内閣府は「中央省庁と公益法人の関係の見直しが進んでおり、今後、天下りは減っていく」としている。

 19年度の補助金など国の公益法人に対する支出は総額3260億円で、前年度より264億円減った。支出先は6法人増え969法人だった。

 【後日記】『「天下り理事」 今年度12%減 特例民法法人』(2009/8/7日経より転載)

 内閣府は6日、2009年度の「特例民法法人に関する年次報告」をまとめた。国が所管する6625の特例民法法人のうち、所管官庁出身の「天下り理事」を受け入れていたのは2933法人で、前年度から4%減った。天下り理事の人数は前年度から12%減った。

 特例民法法人は公益法人制度改革に伴い、従来の公益法人が新法人に移るまでの過渡的な組織。年次報告では移行期間が始まった昨年12月1日時点の実態をまとめた。

 内閣府は年次報告とは別に、制度改革の進ちょく状況を公表した。旧公益法人は13年11月末までに、公益社団・財団法人か一般社団・財団法人への移行申請が必要だが、7月31日時点で国・地方会わせて2万4317の旧公益法人のうち、申請があったのは237法人にとどまった。未申請のままだと法人は解散扱いになる。

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2008年6月 2日 (月)

教育予算巡り火花

 昨日の日経によると、文科省は教育振興基本計画の原案に、教員を五年間で二万五千人増やし、教育への公財政支出を現行の国内総生産(GDP)比3.5%から5%に引き上げる数値目標を書き込んだそうです。

 実現には7.4兆円必要ですが、財源や使途には触れていません。

 地方の負担は4~5兆円になると試算され、地方税を拡充するか、国が地方交付税などを大幅に増やす大改革が必要になると言います。

 地方自治体は採用抑制などで、2010年までの五年間に公務員を6.2%純減しなくてはならないので(行政改革推進法)、仮に教職員を増やすのであれば一般事務職や警察部門を減らさなくてはなりません。

 文科省は自民党の文科相経験者や、参院民主党の日教組出身議員への働きかけを強めているそうで、民主党は文科省案を後押しするための教育振興法案を参院に提出したとのことです。

 なお、教育新興基本計画とは2006年安倍内閣時に成立した改正教育基本法で策定が義務付けられ、今後十年間の教育政策の方針を示し国会に報告しなくてなりません。閣議決定を前提とするため、文科省は財務省や総務省など関係省庁と折衝し文案を詰める必要があります。

 うーん、教育の重要性に異論はありませんが、何故、カネの話へと短絡してしまうのでしょうか。そもそも、子どもの数って減ってるのでは?

 【後日記】以下、産経ニュースよりコピペ。

【解答乱麻】学校から労組排除を 北海道紋別市立渚滑(しょこつ)中教頭・長野藤夫 学校から労組排除を 2008.6.11 07:59

 国旗・国歌の指導▽学校職員評価制度▽心の教育▽指導主事による学校教育指導▽主任制▽全国学力・学習状況調査▽全国体力・運動能力、運動習慣等調査▽初任者研修▽10年経験者研修-。

 これらにことごとく反対し、妨害や骨抜きを図り、学校教育の正常化を妨げる反社会的勢力がいる。

 彼らは、授業時間や時数を意図的に削る怠業はもとより、勤務中の組合活動やストライキ、選挙運動などの違法行為でさえも平気ではたらく。もはや教師の仮面をかぶっているだけと言っても過言ではない。

 はたして、何が彼らをそうさせているのかである。

 それは、次の言葉に言い尽くされている。

 「自分はこの学校の職員である前に、組合員です」

 耳を疑うような言葉であるが、このように言い切る者が少なからず存在するのである。まさに「自分は教師ではありません」「教育公務員ではありません」と宣言しているに等しい。自分の職務は何なのか、そして自分の給料がどこから出ているのかを1度も考えたことがないのであろう。

 言うまでもなく、地方公務員法第58条により、公立学校教員には労働組合法が適用されない。それは、公務員の「使用者」が国民、住民だからである。公務員と「使用者」たる国民、住民とが対等の立場に立つことになる労働組合法の適用は、公務員を「全体の奉仕者」であると定めた日本国憲法第15条に反する。 

 だから、彼らの言う「組合」とは「労働組合」ではなく「職員団体」のことなのだ。

 地方公務員法第52条の「この法律において『職員団体』とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体をいう」との規定から考えると、先に掲げた彼らの行為は「職員団体」の目的から著しく逸脱した違法行為だ。にもかかわらずそれを防ぐことができず、結果的に児童生徒に害悪がまき散らされ、教育がゆがめられてしまっているのは「職員団体」と称しながら実質的には「労働組合」だからである。

 では、何をどうすれば、この状況を解決できるのかである。

 同条第5項には、「警察職員および消防職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、地方公共団体の当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはならない」とある。

 そこで提案する。

 この第5項に「教育職員」を加えるべきである。教育は国家百年の計なのである。治安や災害回復に勝るとも劣らない重要な任務を担っているのだ。

 中には、全日本教職員連盟のように、少数ではあるが教師としての自覚と誇りを持って活動している職員団体もある。また、某職員団体のような反社会的勢力に所属していても、まじめに努力している人はいる。

 だが、ここは大事をとって禍根は断たねばならない。関係する各方面に問題提起をさせていただく。

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2008年6月 1日 (日)

「市場原理主義」という短絡

 昨日の日経『大機小機』です。私は『大機小機』には一般と違った視点からの正論を常に期待しています。期待に応えてくれることが多いです。以下に要約すると、

 1688年刊の井原西鶴『永代蔵』にも盛況な米市場の描写があるように、淀屋の店先の路上で始まった大阪の米市は世界の先物取引の先駆けとも言えます。アダム・スミスの『国富論』が出るのは『永代蔵』の88年後です。

 時代下って、江戸湾に入ったペリー艦隊は、黒船を尻目に頻繁に湾内を行き交う帆掛け船を目にしました。幕府に命じられたからではなく市場メカニズムに導かれ商品を運ぶ和船の群れです。

 明治に入っては西洋の金融システムが日本に紹介されましたが、その翻訳は「手形」にせよ「為替」にせよ、日本の出来合いの言葉でほぼ間に合わせることができました。

 日本の市場経済の長い歴史と実績を知ってのことなのか、二言目には「市場原理主義」(頭に米国流が付くことが多い)の非を鳴らす人々がいます。医師不足や後期高齢者医療制度の不首尾もそのせい、と言う人もいます。米国発の金融波乱という「市場の失敗」で批判は更に勢い付きそうです。

 過去20年間、IT革命や社会主義圏の市場経済への移行で「市場」の領域が飛躍的に拡大しました。グローバル化に適合しようとする努力や、様々な分野で市場機能を生かそうとする試みを、定義もあいまいな市場原理主義の一言で片付けるのは頂けません。

 そもそも市場原理に命を賭ける人などおらず、せいぜい市場便宜主義者がいるだけです。市場原理主義者の自爆テロなんて聞いたことがありません。

 という内容です。特に最後の文は「確かに!」であります。

 【後日記】『デリバティブの現代的意義』(10/11日経『大機小機』転載)

 市場が大嵐に襲われると、「先物性悪論」が提起されるのは洋の東西を問わないらしい。米ウォール街が震撼した株価急落と英シティーの金属価格の急落に対し、先物取引の規制や値幅制限の措置が検討されていると外電は報じている。我が国でもバブル崩壊時の1991年に日経平均先物犯人説が兜町に飛び交い、罰則的手数料と証拠金の引き上げで先物市町は壊滅的打撃を被り、その後、失われた十年を迎えた。

 元来、政府と規制当局は株式市場と愛憎関係にある。経済が成長し、株価が上昇するときは税収が増え、政府の財源も豊かになるが、逆の場合は国民の恨みを買って政治不信を招く。そのとき、政治家やメディアはその責を先物市場に押しつけ、投機家が犯人と決めつけがちである。

 実情は、経済の実態と見通しが暗いが故に、プロの投資家がリスク回避の売りヘッジを市場にかけるのである。こうしたリスク回避の手段を封じると、健全な市場育成の妨げになるだけでなく、リスクを速やかに広く分散するための情報ネットワークの構築を不可能にし、IT(情報技術)の進歩をも遅らせる。

 米マサチューセッツ工科大学のステファン・ロス教授は、極めて厳しい市場環境でも株式現物とデリバティブ(金融派生商品)市場は三つの基本的機能を果たしていると述べている。第一は企業への「リスク」資本の調達手段の提供、第二は個人と組織の富の配分を実現する市場への流動性の供給、第三に経済と価値を情報伝達する市場の仲介者にシグナルを発する役割だ。

 九月初め、大阪で「日経平均先物二十周年記念シンポジウム」が開催された。急速なグローバル化とITの進歩によって取引手法の高度化と高速化が進み、市場規模が拡大されつつある現実を踏まえ、今後の方向性について活発な議論が展開された。

 来賓のシカゴ・マーカンタイル取引所グループ名誉会長のレオ・メラメド氏より、1730年設立の大阪堂島の「米相場会所」が世界初の公設先物取引所であり、この地に総合的な先物取引が根づき、発展することを望む旨のあいさつがあった。折しも大阪証券取引所はこの上半期の取引高が過去最高だったと発表したが、金額ベースでは減っている。世界中で株価が急落している今、グローバル市場の死を招く規制が行われないよう祈るのみである。

 【後日記】『グローバル化に罪はない』(2009/3/12日経より抜粋)

 グリーバル化は本当に世界に格差や貧困をばらまいたのだろうか?

 インドの大手IT(情報技術)企業の日本法人で働くフナチギリ(34)は、同国南部の小村の出身者で最初に異国の地を踏んだ。「以前なら日本で働くなんて考えられなかった」

 三千年超の歴史を持つインドのカースト制度は格差と階層固定化の象徴だった。身分が低ければ望む仕事にも就けず、子供はまともな教育を受けられない。フナチギリも高いとはいえない階層の出身だった。

 そんな彼の人生が変わり始めるのは1991年。きっかけは外貨危機を受けた経済自由化政策だ。規制緩和、外資開放、人材育成。数学史に「ゼロの発見」を刻むインドはもともと理数に強いお国柄でもあり、効果はてきめんだった。

 大学を卒業し、プログラム開発能力を身に付けたフナチギリの年収は七百万円。約二十万円で暮らす村での生活では考えられない水準だ。「過去二十年でインドはカースト・フリー社会に近づいた」と彼はいう。

 豊かさをつかみ取る新中間層が爆発的に増えている。中国、ブラジル、インドネシア、メキシコ・・・・・・。グローバル化で世界経済が融合し、先進国に富が集中する構図が変わり始めた。

 一に近いほど所得格差が大きいことを示すジニ係数。米コロンビア大教授のサライマルティン(45)によれば世界全体の係数は70年には0.67だったが、2006年には0.61に下がった。世界銀行によると一日一ドル二十五セント未満で暮らす貧困層も過去二十五年間で五億人減った。過去の経済成長の恩恵は広く及んだ。マクロで見ればグローバル化が人々を不幸にしたと断ずる理由は乏しい。

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2008年5月30日 (金)

腑に落ちない対日投資促進論

 日経『大機小機』です。抜粋、要約、転載します。

 日本経済の閉鎖性の象徴とされるものの一つに直接投資の内外格差がある。07年末の対外直投残高約62兆円に対し、対内直投残高は約15兆円。対内直投残高の国内総生産比は2%台で欧米、アジア諸国に比べ際立って低い。

 内外投資ギャップの背景には、日本が外資に依存せずに近代化・工業化を果たした歴史があり、貿易・経常・所得収支の黒字国は資本収支を赤字(輸出超過)にすることで帳尻を合わせるという国際収支の仕組みがある。三収支の黒字のままで内外投資格差を埋めろというのはナンセンスな議論だ。

 債権大国日本の対外投資は証券投資、とりわけ対米債券(国債)に偏っている。一方、売買の六割、保有の三割を外国人が占める日本の株式市場は先進国では英国に次いで外国人の存在感が大きい市場だ。

 これに対し、債務大国の米国は低コストのデット(負債)で資金調達し、高収益のエクイティ(株式)で資金運用することにより、帳簿上は債務超過でもキャッシュフローは黒字を保っている。

 三収支の黒字、資本輸出の資産配分、そして人為的な円安政策を省みず、単純に対日投資を増やせと言うのは日本企業のバーゲンセールに等しい。世界に冠たる日本の有力企業でも、国内市場で十分な利益を稼げていないのは過剰投資(過剰供給)の結果である。日本は決して投資不足の経済ではないのだ。

 なすべき対応は、世界でも自由で無防備にした買収ルールなどの欠陥法制度を放置して企業を安売りするのではなく、日本市場を豊かで魅力的にすること。法人減税の前に、国内市場をやせ細らせている財政・金融・為替政策を転換するのが順序だろう。

 日本の金融市場に求められる優先課題も、海外資本を引き付けるためのやみくもな英米追随の自由化ではない。国民金融資産の内外無差別の運用ニーズに応えるための環境整備こそが大事で、金融機関がもうかるだけの鉄火場を日本につくることではあるまい。

 という内容です。大手新聞社らしからぬ意見ですが、私はこのおっさんの言っていることの方が正しいと思います。『大機小機』にだけは大手カラーには染まらずに、これからも紙面全体のバランスを取っていって欲しいと思います。

 【参考】『貿易黒字減を補う所得収支の黒字拡大』

 日経に『統計で読む日本経済』というゼミが連載されています。以下は5月1日の第13回からになります

 財務省が公表している統計に、海外との様々な取引を包括的に計上する、「国際収支統計」があります。貿易収支の他、サービス収支(輸送や旅行など)、所得収支(利子や配当など)、経常移転収支(対価を伴わない財・サービス・資金-政府による無償の経済協力など)、資本収支(投資)などを集計しています。

 財、サービス、所得の流れを「経常収支」と言い、資本の流れを「資本収支」と言います。

 さて、日本の経常収支は黒字基調(海外所得の受け取り超)が続き、2007年には24.8兆円と過去最高を記録しました。対して、資本収支は赤字基調(対外資産の取得超)が続き、07年は22.5兆円の赤字です。

 経常黒字の内訳を見ると、傾向として、「サービス収支の赤字縮小」と「所得収支の黒字拡大」が、「貿易黒字縮小」を穴埋めしている感です(貿易黒字縮小の背景には、日本企業の生産・販売拠点の海外移転や資源価格高騰といった構造的な面があります)。

 サービス収支の赤字縮小は、近年増加傾向にある来日外国人旅行者が使うお金が増える一方、日本企業の海外現地法人から受け取る特許使用料などが増えているからです。

 所得収支の黒字拡大は、日本企業が対外資産を増やしたこと、相対的に海外経済が好調で対外資産の収益率が高いことが背景にあります。

 これは、日本が財やモノの輸出によって外貨を稼ぐ国から、投資収益やサービスの輸出で外貨を稼ぐ国へと変容していることを示しています。

 なるほど、貿易収支の+12.3兆円に対し、所得収支が+16.3兆円であるところを見ると、金融大国(*)もあながち的外れな指摘ではありませんね。

 その上で政府は観光立国を目指すのは、利に適っていそうです。

 (*)・・・参考.『変わる世界金融の枠組み』
 昨日の日経はピムコ・ジャパン社長の高野真氏を取り上げていました(注.4/28早朝記)。それによると世界の金融の枠組みは大きく変わりつつあるそうです。わかりやすいので以下、要約します。

 これまでは新興国が低コストを背景に先進国への輸出を拡大、米国は過剰な消費でそれを吸収してきました。新興国は得た外貨で米国債を買い、結果的に米国赤字のファイナンスを行ってきました。

 この構図はドルが強い間は成立しますが、米国経済が減速し新興国からの輸入が減ると崩れます。

 米国にとって不幸なのは、かつて米国の赤字を担ってきた日本やドイツと異なり、今ファイナンスしているのは必ずしも同盟国ではない、ということです。

 政府系ファンドが物言う株主としての地位を得始めたのです。

 翻って、日本は世界最大の対外純資産国かつ債権国であり、所得収支が貿易収支を大幅に上回る金融大国でもあります。この新金融フレームで担う役割は小さくはないのです。

 【参考】『海外現法からの受取配当 国内還流促し投資を活性化』

 5/10の日経から。経産省の試算では日本企業の海外現地法人の内部留保残高は約十二兆円(05年度末)だそうで、経産省は、対日直接投資が伸び悩む中で日本への資金還流が増えなければ国内投資の先細りリスクになるとして、現地法人からの受取配当は課税を免除するよう要望しているそうです。

 財務省も「海外留保はもともと課税できていない所得。非課税にしても税収への影響は少ない」(主税局)と、税制改正に一定の理解を示しているそうです。

 ただ日本は少子高齢化で内需が停滞し、大手流通業のイオンはアジア現地法人の収益を原則として国内に戻さずに内部留保し再投資に回しています。日本に比べて金利の高い海外で資金運用し効率的に収益を高める企業も増えています。海外現地法人が内部留保を使って再投資すれば、急激な為替変動リスクを回避できる利点もあります。

 日経は、国内投資への魅力を高める内需振興策を充実させなければ資金の国内還流は大幅に増えない可能性がある、としています。

 【後日記】『商品市場に資金流入 主役は日本の投資家』
 6/4の日経にヘッジファンド最大手、英マン・グループCEOのインタビューが載っていました。商品先物運用を得意としているそうです。
 その人が言うには、日本は低金利が続き、マネー流入の主役は今や日本の個人投資家であり、個人からの預かり資産430億ドルのうち日本だけで24%を占めるそうです。米国や欧州各国を上回り最大、とのことでした。

 【後日記】『海外からの対日投資促進 法人税非課税に4条件 政府、新ルール創設』
 財務省と金融庁が課税の運用基準を作成、月内にも適用するようです。日経6/11より。

 政府は四月に法人税法施行令などを見直し、中東諸国など租税条約を結んでいない国・地域の投資家についても、運用益を非課税にする道筋をつけていましたが、今回は具体的な運用基準を規定し、租税条約の有無を問わず、全ての海外投資家の非課税基準を明確にしたということです。

 なお、2007年三月末の投資一任契約運用残高は約120兆円と三年前の1.9倍に増えているそうです。政府は海外からの投資を更に呼び込み、国内市場の取引活性化を目指していますが、従来はどのような場合に「独立している」と認定するか、明確な基準はなかったそうです。

 【後日記】『サムライ債 発行額急増』
 日経6/13記事より要約。海外の国や企業が日本で発行する円建て外債(サムライ債)の発行額が今年度に入り急増、昨日時点で計9122億円と前年同期の2.7倍となり、実質過去最高だった07年度を上回るペース。米住宅ローン問題の混乱が続く欧米市場を避け、相場が安定し金利も相対的に低い日本で資金調達する動きが広がっている。

 【後日記】6/21の日経によると、東京証券取引所など全国五証券取引所(ジャスダック除く)の調査では、07年度の外国人による単元株ベースの保有比率では前年度比0.1ポイント増の25.5%と、「ライブドアによる株式分割の影響を除けば実質的に過去最高」(東証情報サービス部)だったそうです。

 【後日記】『対外直接投資』(7/21日経より転載)

 企業が海外に子会社や支店を設けたり、経営参加を目的に外国企業の株式を取得したりすること。海外子会社への貸付金の送金も含む。日本ではバブル期に不動産など非製造業の対外直接投資が膨らんだが、現在は製造業が6割を占める。

 海外での事業活動を目的とせず、資産運用の一環として株式などを取得する場合は間接投資という。直接投資や証券投資などによる収益は国際収支の中で所得収支として計上される。日本の経常黒字は5年連続で最高を更新しているが、2005年度から所得収支の黒字が貿易黒字を上回って伸び、日本は対外投資で稼ぐ姿勢を強めている。

 【後日記】『世界貿易の07年伸び率 5.6%に大幅鈍化』

 日経8/8記事より。日本貿易振興機構の「2008年版ジェトロ貿易投資白書」によれば、日本からの対外直接投資は46.5%増の735億ドルと、過去最高を記録。海外からの投資収益増をもたらしたそうです。

 【後日記】『日本貿易保険 サムライ債に保険』

 9/8の日経によると独立行政法人の日本貿易保険は、メキシコ国営石油公社が日本で発行する円建て外債(サムライ債)の元利払いの一部を保証する保険を引き受けるそうです。三井住友銀行などが取り扱い金融機関となり、機関投資家向けに640億円発行する予定とのこと。

 国内の企業や銀行が外国の政府・企業に長期資金を融資したり、債券に投資したりする際の「海外事業資金貸付保険」という貿易保険を使うそうです。メキシコ国営石油公社が元利金を返済できなくなった場合には、サムライ債を購入した機関投資家は保険で97.5%まで返済が保証されるとのこと。

 サムライ債は十二年物で購入者を限定して集める私募形式で九月中旬以降に発行する予定だそうです。

 【後日記】『対日直接投資』(12/30日経より転載)

 外資による日本市場への投資のうち、企業買収や支店開設、工場建設といった事業目的の投資を指す。キャピタルゲインなどを狙った海外投資家による株式、債券などへの投資は対象外で、出資の場合は外為法では日本企業の持ち株比率が10%以上となる場合を直接投資として定義している。

 日本の直接投資残高は国内総生産(GDP)比で3%と、米国の14%、英国の48%などと比べ比べ規模が小さい。主要国に比べて重い法人課税の実効税率(約40%)やオフィス賃料などの事業コストの高さなどが外資誘致の障害との指摘がある。

 【後日記】『対日投資 ファンド経由 非課税に』
 一般の海外投資家はファンドを通じて自国外の企業などに投資することが多い。だが日本の現行制度では、海外企業などがファンドを通じて日本企業に投資した場合、原則として株式売買時の譲渡益に世界最高水準の法人税(実効税率で約40%)がかかってしまう。
 昨年末にまとめた2009年度の与党税制改正大綱では、ファンド経由の投資を日本の所得税や法人税の課税対象から外すことを明記。政府が詳細を詰めていた。税制改正関連法案を通常国会に提出、非課税措置の四月からの適用を目指す。
 対象とするファンドは「投資事業有限責任組合」。最も一般的なファンドで、国内外の八割程度を占めるとされる。日本企業への一年以上の投資実績を前提とする。非課税対象にする海外投資家についても条件を設け、企業買収などではなく運用目的の投資に限る。
 海外からの投資拡大は短期的には円高要因になるが、中長期的には日本企業の投資・雇用の増加など経済を活性化させる効果が見込める。
 投資呼び込みを巡っては昨年四月、海外投資家が運用業者などの代理人を日本に置いた場合、その株式譲渡益を非課税にする制度が設けられた。だが、投資家から「コストがかかりすぎる」「代理人の独立性を証明しなければならず、使い勝手が悪い」などの不満が続出し、利用が進まなかった。2009/1/7日経。

 株式譲渡益課税・・・株式を売却したときの利益に対する課税のこと。キャピタルゲイン課税ともいう。現行では、企業など海外の法人は世界最高水準の法人税(実効税率で約40%)がかかる。海外の個人投資家の場合は上場株の譲渡益には原則として約7%、非上場株は約15%の税金がかかる。
 米国や英国では投資を呼び込むために、海外投資家がファンド経由で投資をした場合の株式譲渡益について原則非課税としている。産業界などからは、日本の税制が海外投資家によるベンチャー企業などへの投資を阻害しているとの声が出ていた。

 【後日記】『豪政府保証のサムライ債』
 オーストラリアのウエストパック銀行などが早ければ今月中にも、豪政府の保証が付いた円建て外債(サムライ債)を発行する。
 起債観測が浮上しているのはウエストパックのほか、豪オーストラリア・ニュージーランド銀行。
 サムライ債の発行は昨年九月にダイムラーが総額四百三十五億円を発行して以来のこととなる。起債が途絶えた主因は大型サムライ債の相次ぐ債務不履行。米リーマンブラザーズ債やアイスランド最大手カウプシング銀行債が不履行となった。

 豪政府の保証でサムライ債は国債に近い信用力となり、発行体はより低い金利で資金調達できるメリットがある。豪以外では英国の金融機関も動きだしたとの声もある。2009/1/9日経。

 【後日記】『政府系ファンド 利子所得を非課税に』(2009/2/19日経より抜粋)

 政府は中東諸国などが設立している政府系ファンド(SWF)について、国債や預金などに投資した際の利子所得を非課税にする。

 現行制度では課税ルールを二国間で定める租税条約を結んでいない国の企業や投資家が日本の債券や預金などに投資した場合、利子に15%の所得税がかかる。条約を結んでも5-10%の税を取るのが一般的だ。

 政府は租税条約を結んだ国の政府系ファンドについて国債や社債、預金、貸付金の利子を非課税にする考え。

 条約締結で基本合意済みのクウェート、交渉中のアラブ首長国連邦やサウジアラビアが適用第一陣となる見通し。例えばクウェートの場合、条約締結後に利子には原則10%課税するが政府系ファンドには課税しない。ただ株式配当への税率の軽減は認めない考えだ。

 【後日記】『年金基金 海外資産に積極投資』(2009/2/27日経より転載)

 企業の年金基金による海外資産への積極投資が続いている。年金基金が運用を委託する銀行の信託勘定をみると、2008年度の資金流出額は昨年四月から今年一月までで六兆四百二十七億円。円高や株安で目減りした海外資産を内規で決められた水準まで回復させるため買い増し、07年度一年間の4.8倍に達した。過去最高の流出額になる可能性もある。

 年金基金は信託を通じ外国の株式や債券を売買しており、「信託勘定の七-八割は企業などの年金基金の資産が占める」(国内信託銀行)という。財務省の対内・対外証券投資の信託勘定で、外国株などの買い入れ額が売却額を上回れば、海外に資金が流出したことになる。

 一月の資金流出額は一兆一千九十億円で、金融危機が深刻さを増した昨年十月から四カ月連続で一兆円を上回った。このペースが続けば、単純比較はできないが、1999年度の六兆九千八百九十五億円を上回り、過去最大の流出額となる可能性もある。

 年金基金はリスク分散の観点から国内外の株式や債券の比率を定めており、四半期に一度など定期的に点検している。

 金融危機で個人投資家などは海外資産の回収を急いだが、年金基金では逆張りの傾向が鮮明になっている。外為市場では円売りにつながり、円安の一因になる。

 【後日記】『フランス国民年金基金 日本株に1100億円投資』(2009/3/8日経より抜粋)

 大和住銀投信投資顧問、DIAMアセットマネジメント、フィデリティ投信の三社は欧州の大手公的年金基金、フランス国民年金基金から日本株の運用を受託した。約九億ユーロ(約一千百億円)の資金を預かり、日本株に投資する。

 【後日記】『円建て外債1000億円発行へ』(2009/6/18日経より転載)

 与謝野馨財務相は17日、省内でフィリピンのテベス財務長官と会談した。テベス長官はアジア各国が日本で発行する円建て外債(サムライ債)の発行を日本政府が支援する制度について「積極的に活用したい」と表明。最大一千億円の外債を発行する方向で両国が調整に入る見通しになった。支援制度は日本が5月に表明したもので、サムライ債に国際協力銀行の保証を付けることで、市場で資金を調達しやすくする仕組み。

 【後日記】『サムライ債 復調 米ウォルマート1000億円』(2009/7/29日経より転載)

 昨年秋のリーマン・ショック以降冷え込んでいた円建て外債(サムライ債)市場に回復の兆しが見え始めた。小売り世界最大手の米ウォルマート・ストアーズが近くサムライ債を発行し、7月のサムライ債発行額は総額2000億円を超える見通しだ。政府の返済保証がつかないサムライ債の発行額が2000億円を超えるのは2008年6月以来、1年1カ月ぶり。金融・資本市場への不安感の後退を背景にサムライ債にも投資資金が戻り始めている。

 サムライ債は海外の企業や政府が円建てで発行する債券のこと。ウォルマートは償還期限5年の債券を固定金利と変動金利の2本建てで発行し、総額は1000億円規模に達するもよう。同社のサムライ債発行は昨年7月以来1年ぶり。

 昨年秋に米リーマン・ブラザーズ債とアイスランド銀行最大手、カウプシング銀行債がデフォルト(債務不履行)となり、投資家はサムライ債の購入に慎重になった。新規発行は昨年9月から今年2月まで途絶え、その後も政府の返済保証がないと起債が難しい状態が続いていた。今月3日にはフランス電力、8日には英バークレイズ銀行が起債するなど、ここにきて新規発行に弾みがついている。

 【後日記】『移転価格税制 米、摘発を強化』(2009/7/31日経より抜粋)

 米内国歳入庁(IRS)は企業の国境を越えたグループ内取引にかかる「移転価格税制」について、法令違反の摘発強化に乗り出した。調査担当者の採用を増やし、課税逃れがないかを厳しくチェックする。不況に伴う法人税の落ち込みや財政赤字の拡大を受け米政府が財源の確保を迫られていることが背景にある。

 移転価格税制・・・海外に子会社などを持つ企業の法人税逃れを防止するための制度。例えば、A国の企業がB国にあるグループ会社に通常の取引価格よりも低い値段で自社製品を輸出した場合、A国での課税対象となる所得が減少し法人税の納税額が少なくなる。
 こうした課税所得の国外移転を防ぐため、当該国の税務当局は自国内の企業と国外の関連企業などとの取引額などを算出、課税額を決める。国によって税率が異なるのを利用して取引価格を操作し、税率が低い国に所得を移転しようとする行為を防ぐため、主要国の多くが導入している。

 【後日記】『円建て外債 350億円発行 インドネシア』(2009/8/3日経より抜粋)

 インドネシア政府は総額350億円の円建て外債(サムライ債)を発行した。機関投資家を対象にした私募形式で、日本の国際協力銀行(JBIC)が保証を付けた。金融危機を受けた日本のアジア向け支援の一環で、この制度でのサムライ債発行は初めて。

 期間は10年間で、金利は年率2.73%。JBICが95%の返済を保証することで、インドネシアだけの信用力で発行するより金利が低くできた。

 日本はインドネシアが今後2年間にサムライ債を発行する場合、最大1500億円分を保証することを決めており、同国は追加でサムライ債を発行する可能性がある。同様の仕組みでフィリピンなども起債する方向だ。

 【参考】『途上国銀支援で基金創設』(2009/2/3日経より抜粋)

 日本政策金融公庫の国際部門である国際協力銀行(JBIC)は、途上国の金融機関の資本増強を支援するための総額三十億ドル(約二千七百億円)の基金を創設する契約を、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)と正式に結んだ。

 【後日記】『所得の海外流出 縮小』(2009/8/26日経より抜粋)

 国内所得がどの程度海外に流出、あるいは流入したかを示すのは国内総生産(GDP)統計の交易損失・利得。この推移には、日本がほとんどを輸入に頼る資源の価格動向が最も影響を及ぼす。

 交易損失は昨夏までの原油価格の急騰を受けて08年下半期には年率換算で26.8兆円まで拡大。四半期でも08年7~9月に同33.6兆円まで膨らんだ。損失が縮小する契機は昨秋に顕在化した世界的な金融危機。投資マネーの縮小や実需の減退で原油価格が急落し、交易損失は09年1~3月に同10.4兆円、4~6月が12.5兆円に縮小。半期、四半期ともに05年後半以来3年半ぶりの低水準となった。

 所得流出の減少はモノの値段が下がり、家計の購買力を実質的に押し上げる要因になる。一方、企業には原材料コストの低減につながり、収益改善効果が期待できる。

 09年4~6月期の個人消費は物価変動を除いた実質で前期比0.8%増と3期ぶりにプラスとなった。この間、失業率の上昇や賃金の減少など家計を取り巻く環境は厳しさを増したが、エコポイントなどの政策効果に加え、「所得流出の改善という側面も見逃せない」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)。

 交易損失・利得・・・貿易を通じて海外から流入、あるいは海外に流出した実質的な金額を示す。原油や食料などの輸入価格が製品の輸出価格より上昇すれば、交易損失が拡大し、日本から海外に所得が流れ出る。逆に資源の輸入価格が安くなれば、所得流出は改善する。国内総生産(GDP)統計の項目の一つだが、実際には生産活動で得た利益・損失ではないため、GDPではなく、国内総所得(GDI)に計上する。

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旧 五菱会のヤミ金収益 スイスから29億円返還

 昨日の日経によると、暴力団山口組系旧五菱会のヤミ金融事件で、スイス当局が現地の銀行口座から没収した犯罪収益のうち、約29億円が日本側に返還されたそうです。両政府が四月に犯罪収益の半額返還で合意したことを受けた措置とのこと。

 東京地検は06年施行の被害回復給付金支給法に基づき、被害者への分配手続きを進める、としています。被害総額が没収額を超えた場合には被害額に応じて比例分配します。

 外国で没収された犯罪収益が日本に返還されたのは初めてとのことです。

 にしても、暴力団がこの世から消えてなくなれば良いですね。

 【後日記】『犯罪使用疑いの名義人 携帯各社、リスト共有へ』
 6/6の日経によれば、自民党の「振り込め詐欺撲滅ワーキングチーム(WT)」(座長・菅原一秀衆院議員)の会合が党本部で開かれたそうです。それによると、

 携帯電話事業者は、警察からの情報提供を受けて契約者に確認し、名義人本人の使用が確認できない場合は利用を打ち切るなどする方針だそうです。

 同時に、不正利用が疑われる名義人のリストを作って各社間で共有し、契約時の審査に活用するとのこと。

 私も、高齢者には保険料どうのこうの言う前に、暴力団へ何十何百万も資金供給するのを止めて頂きたいと、切に願っています。携帯各社金融機関の無策に責任があります。

 【後日記】6/11の日経によれば暴力団山口組系旧五菱会のヤミ金融事件で最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は悪質性の高い不法行為の場合は利息と元本の賠償義務があるとする初の判断を示したそうです。同判断はヤミ金融被害に限らず出資金詐欺被害にも適用される可能性があり消費者保護に追い風となりそうだ、としています。
 判決後に記者会見した原告側の弁護士は「ヤミ金融から借りた金は返す必要はなく、支払ってしまった金も全額請求できるという画期的判決。ヤミ金融業者の息の根を止めることができる」と評価したそうです。
 むしろ、ヤミ金融から積極的にお金を借りて返さないのは善行と言えますね。ドブさらいをして百円を拾う感覚ですね。

 【後日記】『悪質商法 規制厳しく』
 改正特定商取引法と改正割賦販売法が成立したそうです。来年末までに施行されるとのこと。6/12の日経から。

 日本訪問販売協会は法施行に合わせ、会員企業がトラブル対応を誤った場合に代わって損害金額を保障する救済基金を創設する意向だそうです。

 全国信販協会は昨年三月に浄水器やエステなど八種類の商品・サービスについて、販売契約の自主ガイドラインを設けたそうです。また、信販会社はトラブルの多い販売業者との取引打ち切りに着手しているとのこと。

 【後日記】同じく6/12の日経から。09年度に創設する「消費者庁」へ移管する主要法律の概要が大筋で固まったそうです。二十本を越える法律を移管・共管し、200人前後の体制で発足の見通し。岸田文雄・消費者行政推進担当相は近く首相に報告し、消費者行政推進会議(座長・佐々木毅学習院大教授)がまとめる最終報告書に盛り込まれる見通しです。

 【後日記】『消費者庁所管は30法令 推進会議、首相に報告書提出』(産経ニュース2008.6.13 10:46転載)

 政府の消費者行政推進会議(座長・佐々木毅前東大総長)は13日午前、福田康夫首相が来年度の創設を表明している消費者庁の具体像を示した報告書を決定し、首相に提出した。消費者庁は他省庁からの移管や共同所管(共管)を含め、30法令を所管する。

 報告書は、消費者庁を内閣府の外局とし、消費者行政担当相を常設。「消費者行政全般の司令塔」として位置づけ、他省庁や業者への強い勧告権を持たせることを盛り込んだ。

 具体的には、賞味期限表示などを規制する日本農林規格(JAS)法(農水省所管)や食品衛生法(厚生労働省所管)といった関連法の企画立案部分の権限を消費者庁に集約。業者などへの検査権限に関する部分も移管し、表示基準の策定から執行まで一体的に担う。

 また、緊急時の物価政策への関与も明示。内閣府所管の物価統制令などを移管する。

 このほか、消費者からの苦情相談窓口を一元的に担い、悪徳業者などから違法収益剥奪(はくだつ)といった被害者救済の新法制定も検討する。

 政府は報告書を受け、今後の法整備などのスケジュールを記した「消費者行政一元化基本計画」を今月中に策定し、経済財政改革の基本方針(骨太の方針2008)に反映させる。さらに消費者庁設置法案を秋に想定される臨時国会に提出し、成立を目指す。

 【後日記】6/17の日経によると、日本証券業協会は三月に施行した犯罪収益移転防止法などに基づき、反社会的勢力との取引を禁じる業界のルールづくりに取り組むそうです。
 また、証券市場を反社会的勢力の資金源にしないよう業界全体で監視体制を強化します。
 日証協、警察庁、金融庁、国内主要取引所などが参加する証券保安連絡会実務者会議が反社会的勢力と認める対象について、日証協がデータ収集・蓄積を行うそうです。
 データベースは09年五月にも整備する情報共有ネットワークの一部として構築するとのこと。野村証券インサイダー事件を受け取引監視のため必要とされる「内部者情報データベース」とともに蓄積情報の柱にする、としています。

 【後日記】6/19の日経によると、世界の情報通信行政を統括するITU(国際電気通信連合)が、サイバー犯罪防止に向けて各国共通の法制度づくりに着手したそう。09年までに策定、加盟191カ国に採用を働きかける、としています。各国の有力情報通信企業など約700社に技術協力を要請しています。

 【後日記】6/20日経。「振り込め詐欺被害者救済法」の施行を目前にして大手銀の体制が拡充しているとのこと。全銀協も周知徹底を図る意向。

 【後日記】6/20日経。日弁連は、消費者問題関連法などについて独自の法案作成をはたらきかける新組織「立法対策センター」を設ける、としています。日弁連会長の直轄組織として約三十人の弁護士で構成するそうです。センター内には「立法対策室」を設置、法案作りを専門とする弁護士を配置するとのこと。当面二人でスタートさせ、将来は民事、税務、刑事、行政訴訟分野などの専門家を計十人程度置く意向です。

 【後日記】6/21日経。預金保険機構は「振り込め詐欺被害者救済法」施行に合わせ、疑いのもたれる預金口座のサイト開示を始めるそうです。

 【後日記】『電気温水器 悪質訪販ご用心』(12/16日経より抜粋)

 全国の消費者生活センターによると、電気温水器の訪問販売に関する相談は2007年度、1343件あり、03年度(200件)の6.7倍に急増した。08年度は上半期だけで688件に上り、昨年同期に比べ八割増えている。

 相談者の平均契約額は約127万円で、IHクッキングヒーターや工事費などを含め、300万円以上に及ぶケースもあった。

 一方、東京電力によると、二酸化炭素(CO2)削減効果などのあるエコキュートの通常の価格帯は給湯専門で60万~75万円、床暖房などの付いた多機能タイプでも最大約100万円程度という。

 訪問販売トラブル全体はここ数年、減少傾向にある。住宅リフォーム詐欺などの悪質業者の摘発が進んだことなどが理由で、07年度の相談は約11万7700件で、03年度(約18万4800件)の三分の二以下にまで減っている。電気温水器を巡るトラブルはこうした中で、特異な動きを見せている。

 国民生活センターは「ほかの商品を扱っていた悪質業者が電気温水器に転換している。購入する際は見積もりを取るなどして冷静に検討し、必要な機能や容量についても確認をすることが必要だ」としている。

 割賦販売法・・・クレジット・信販会社への規則や分割払いのルールを定めた法律。消費者の支払い能力を超える契約をしないことや、契約時の書面交付などを規定している。違反にはクレジットカードの発行禁止などの行政命令を出す。分割払いを利用した高額のリフォーム工事や浄水器などの訪問販売で高齢者の被害が深刻化したのを背景に、訪問販売業者に対する調査義務づけなどを盛り込んだ改正法が2008年六月に成立した。(日経2009/1/8より転載)

 【後日記】12/22日経より抜粋。
 金融庁が金融商品を巡るトラブルから利用者を保護するため、裁判以外の紛争解決(ADR)機関設置を制度化する検討に乗り出した。

 ADRは、裁判に比べて時間や費用をかけず、調停やあっせん、和解などの手段で紛争解決を目指す仕組み。2007年四月からADR促進法で一般的な枠組みが導入された。金融分野では、昨年九月に施行された金融商品取引法で認定投資者保護団体制度がスタート。金融庁が苦情解決を手掛ける団体を認定している。

 金融庁は当面、各業界にADR機関設置を原則義務づけ、それを認定することで中立性・公正性を確保する考えだ。各金融機関には業界ADR機関の利用を求め、ADR機関の出した結果は尊重するよう義務づける。

 業界別ADR機関のしくみでは、いずれの業界団体にも属さないゆうちょ銀行や、ADRが未整備の業界への対応といった問題が残る。こうした金融機関には個別の指導・監督により、他の業界機関の活用を促す。横断的・包括的なADR機関の設立については将来的な課題と位置づけ、今後の展開を見守る。

 【後日記】2009/1/16日経。NTTドコモなど電気通信事業者協会(東京・港)に加盟する携帯電話・PHS各社は、二月以降の新規契約についてコンビニエンスストアなどでの利用料金支払いを中止する方針だそうです。また、個人契約の回線数は原則として最大五回線に制限するとも。

 【後日記】2009/1/30日経。家電量販店などが加盟する全国家庭電気製品公正取引協議会は、チラシの見出しで一割を超える値引き率を掲載する際の自主ルールを設けたそうです。「最大40%引き」などの文言を使う場合、掲載商品の一割以上は該当商品を載せるように義務付けるとのこと。家電量販店業界は安売り競争が激化しており、割引率や割引ポイント与率の数字だけをチラシの目立つ位置に載せることが多いんだそうです。違反した場合は、家電公取協が改善を促し、従わないと違約金を課すとのこと。

 【後日記】『預金口座 不正利用5割増』(2009/3/12日経より転載)

 振り込め詐欺など不正利用された疑いがある預金口座の情報を、金融庁が金融機関に提供した件数が2008年、四千八百七十一件と07年に比べ五割増となった。振り込め詐欺の手口はおれおれ詐欺や還付金詐欺などますます巧妙になっており、関係当局や金融機関は支給が始まった定額給付金詐欺にも警戒を強めている。

 預金口座の不正利用に関する情報提供は、金融庁と全国の財務局などが各金融機関や警察当局向けに実施している。08年十-十二月期の件数は前年同期と比べ三割増の千三百七十七件。同四-六月期以降、四半期で一千件を上回っている。

 金融庁は金融機関への情報提供を通じ、預金取引の停止や強制解約などの対応につなげる狙いがある。03年九月以降の件数は累計で二万一千六百十七件。そのうち金融機関が利用停止にしたのは一万一千五百件、強制解約などは八千二百四十三件にのぼった。

 警察庁によると、08年の振り込め詐欺の被害総額は約二百七十五億九千四百万円。過去、最も多かった04年に次ぐ水準だった。

 【後日記】『「銀行守秘義務」300年 揺れるスイス』(2009/3/17日経より抜粋)

 顧客情報をかたくなに守るスイスの「銀行守秘義務制度」が崩壊し始めた。金融危機による財政悪化で徴税強化に動き出した米国が「脱税の温床になっている」と情報開示を迫り、他の先進各国も同調。スイス政府はついに先週末、脱税などの疑いがある顧客の情報を外国当局に提供することを決めた。世界各国の富裕層の資金を集めてきたスイスだが、制度見直しで資金流出の懸念が出てきた。

 【後日記】『テロ関連サイト共同監視 日本・東南アジア 警察当局が合意』(2009/5/16日経より抜粋)

 インターネット上の国際テロ組織などのサイトについて、東南アジア各国と日本の警察当局が監視、情報を共有する仕組みが動き出す見通しになった。ベトナムで開催中の「ASEAN(東南アジア諸国連合)警察長官会合(アセアナポール)」で日本の警察庁が提案、十五日までに各国が同意した。

 今回の同意によると、アセアナポール加盟の十カ国と日本の警察当局はそれぞれ、母国語や翻訳しやすい言語のサイトを担当。テロ関連のサイトを見つけ次第継続して監視し、概要を英語でデータベースに入力する。

 この種のデータベースは欧州警察機構(ユーロポール)がすでに運用しており、将来は連結を検討する。

 【後日記】『新規参入銀行、振り込め詐欺防止に貢献』(産経ニュース2009.6.11 21:02より転載)

 新規参入銀行の振り込め詐欺防止の取り組みが効果を上げている。セブン銀行は口座の動きを監視するシステムを導入し、被害件数が導入前に比べ9割も減少した。専門組織を立ち上げたジャパンネット銀行も被害を月約20~40件のペースで未然に防止している。

 インターネットや現金自動預払機(ATM)を使った営業が中心の新規参入銀行は、振込先の口座などに悪用されやすいとみられがちなだけに防犯対策を一層強化する考えだ。

 コンビニATMが主体のセブン銀行は昨年7月に「口座モニタリングシステム」を導入し、被害を飛躍的に減少させた。

 同行では過去の振り込め詐欺の口座の利用方法を分析。口座は売買されることが多く、長く眠っていた後に急に少額のお金の出し入れがあるなどの特徴がある。こうした口座を監視。現金の出し入れがあるなど不審な動きをした場合、最短3秒で検知して取引を自動で停止し、現金を振り込んだ依頼人や口座保有者に確認する仕組みだ。

 導入後、12月には被害ゼロを記録。今年に入っても導入前の昨年6月と比べ被害件数は約9割少ないペースが続いている。

 一方、ネット専業のジャパンネット銀行は口座開設時の厳格な本人確認などを徹底してきたが、平成18年9月にモニタリングセンターを設置。専門の10人前後の職員が不審な口座を監視している。昨年6月には約60件の振り込み詐欺被害を未然に防止。今年3月も約30件の被害を防ぐなど「実績を重ねてきている」(経営管理室)という。

 【後日記】『消費者金融 銀行・カード 情報管理2社合併』(2009/7/29日経より転載)

 消費者金融の借り手情報を管理する日本信用情報機構(東京・千代田)と、銀行やカード会社など全業種を網羅する情報管理会社、シーシービー(東京・新宿)が8月1日、合併する。来年前半にも消費者金融と銀行などその他業態の借り手情報を共有する。経営基盤を強化し、改正貸金業法に基づく「指定信用情報機関」を目指す。

 「指定信用情報機関制度」は改正貸金業法の柱の一つ。過剰融資の禁止など消費者保護の実効をあげるために、複数の金融会社からの借り入れ状況など借り手の情報を蓄積する信用情報機関は中心的な役割を期待されている。2社が合併するのは、国が定めた指定要件を満たすためとみられる。主にカード会社の借り手情報を管理するシー・アイ・シー(東京・新宿)も指定申請する方針で、2社体制となる。

 これまでは銀行、消費者金融、カード、リースなど様々な業態ごとに信用情報会社が存在していた。縦割り構造で借り手の借金情報を共有できなかったことも過剰貸し付けの一因と指摘される。改正貸金業法では国が監督する正規の情報機関を経由して、各社が融資を審査するため、返済困難な多重債務者が複数の業者から借金を重ねる「借り回り」が難しくなる。

 【後日記】『消費者庁 悪徳商法の利益没収 被害救済、3年以内に法整備』(2009/9/11日経より抜粋)

 消費者被害は被害者一人ひとりの損害額が小さく、裁判を起こしにくいケースが多い。食品偽装のように、被害者や損害額を特定しにくい事件もある。現在、政府の認定を受けた消費者団体が複数の消費者を代表して違法行為の差し止め請求を申し立てる制度があるが、損害賠償を請求することはできない。

 こうした悪徳業者の「やり得」を防ぎ被害者の泣き寝入りをなくすため、新たな救済制度を導入する。消費者団体や行政機関が被害者に代わって損害賠償請求訴訟を起こし、事業者から回収した賠償金を被害者に分配する制度を検討することを工程表に盛り込む。

 一方、警察や消防、保健所などが持つ製品や食品、施設の事故情報を集約する「事故情報データバンク」は、年内に試験運用を開始する。全国の病院20施設で情報の通知や登録、閲覧などを始め、年度内に一般消費者も閲覧できるようにする。さらに消費者も事故情報を直接書き込めるようにするかどうか、消費者委員会で議論を進める。

 集約した情報の中から要注意情報を抽出し、医師や研究者など専門家の協力を得て原因究明や追跡調査に当たる「事故情報分析ネットワーク」も年度内の立ち上げを目指す。問題のあった製品を検証する国民生活センターとも連携し、被害の発生・拡大防止に役立てる。

 【後日記】『反社会的勢力と関係絶つ 銀行界、年内にもルール』(2009/9/24日経より転載)

 銀行が暴力団などの反社会的勢力と関係を断絶するための取り組みを強化する。年内にも預金や融資、貸金庫を利用する顧客が反社会的勢力と判明した場合に契約をすぐ破棄できる新ルールを適用する。企業を装ってお金を出し入れするなど巧妙な手口が増えていることに対応する。

 全国銀行協会が加盟行向けに作った新ルールのひな型を近く公表する。銀行は融資や預金、貸金庫などのサービスを提供する際、約定書などへの記入を求める。ひな型には「暴力団排除条項」という条文を盛り込み、暴力団や準構成員、関係企業に該当したときに契約が失効することを明記する。将来にわたって該当しないことも契約時に約束するよう求める。

 今年度に入り一部の地域銀行が先行導入している。全銀協がひな型を示すことで各行の取り組みを促す。全銀協のアンケートでは年内にほぼ全銀行が導入する予定という結果が出ている。各地の銀行は6月までに都道府県警との間で連携協議会を立ち上げ、情報提供や摘発などで後押ししてもらう体制をつくった。ルールを明確にしておくと、警察が動きやすくなる。

 今のルールは暴力団などの反社会的勢力と分かっただけでは取引を破棄できない。暴力的な要求を受けたり、力を誇示した業務妨害を起こされたりした場合に限り破棄できた。

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日雇い派遣の自主ルール発表

 人材派遣会社の業界団体である日本人材派遣協会(東京・千代田)は適正な派遣事業を徹底するための自主規制ルールを発表したそうです。昨日の日経によれば。

 ところで、私の手元にある『全図解 わかりやすい労働基準法 改定新版』(矢島忠純・他)によると、”派遣先は、労働者派遣に先立って労働者を面接したり、労働者の履歴書を送付させること等をしてはならず、また、派遣元はこれに協力してはならない(紹介予定派遣は除外)”の意の記述がありますが、現実には「顔合わせ」と称し、禁止事項である”派遣労働者の事前特定”が何事もなく行われています。まぁ、きっと今回の自主規制ルールとやらでそこに触れることはないでしょうね。

 関係ありませんが、人材サービス業界体系の簡潔な知識を得たければ『人材コンサルタントに騙されるな!』(山本直治)という新書を薦めます(題名と内容はあまり関係ありませんでした)。

 【後日記】6/14の日経。日雇い派遣の原則禁止も視野に、厚労省が法改正の検討に入った。労働者派遣法の国会提出を前倒し、今秋の臨時国会での成立を目指す。なお、企業がアルバイトなどを直接雇用すれば一日単位での労働者確保は可能だが、知名度の低い中小企業では自力での求人に限界があり、実情は派遣業者に頼らざるを得ない。

 以下、派遣関連の制度改正、事件など

1985年・・・労働者派遣法制定。通訳、ソフトウエア開発など13の専門業務に限って派遣を認める。

96年・・・派遣可能な専門業務を26業種へ拡大。

99年・・・建設、製造、警備などを除き派遣先を原則自由化。

2003年・・・製造業への派遣解禁を決定。専門職以外の派遣可能期間を一年~最大三年に延長。

07年8月・・・日雇い派遣大手のフルキャストが禁止された港湾への派遣などで業務停止命令を受ける。

08年1月・・・日雇い派遣大手のグッドウィルが、二重派遣などで事業停止命令を受ける。

 【後日記】『規制では解決しない派遣労働の問題』(日経8/4の社説より転載)

 労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会で、労働者派遣法改正に向けた議論が再開された。九月をめどに結論を出すという。これに先立ち有権者会議がまとめた報告書は三十日以内の登録型派遣の原則禁止や同じグループの企業に派遣する労働者数を八割以下に抑えることなどをあげている。規制の緩和から強化に転換する内容だ。

 背景には貧困拡大への懸念や日雇い派遣大手の法令違反がある。だが、果たして規制強化が働く人の利益になるのか慎重な議論が必要だ。

 報告書が指摘するように違反を厳しく取り締まり悪質な派遣業者を排除することや、危険度が高い業務への未経験者の派遣禁止などは検討すべきだ。派遣元が取る手数料の割合を公開し競争を促す必要もある。

 だが、日雇い派遣の原則禁止は学生や主婦などこうした働き方を選択している人が不便になり、仕事を失う恐れがある。一日ごとの契約だけでなく三十日以内はすべてダメとなると経済に与える影響も大きい。

 ただし、やむなく日雇いで生計を立てざるを得なくなった一部の人については自助努力に加えて、安定雇用に誘導するための支援も必要だ。国や地方自治体などによる教育訓練制度の拡充でスキルを身につけさせ、正社員への雇用を促していく息の長い努力が大切だ。

 グループ企業に派遣する「専ら派遣」の規制強化も、八割という数字で線を引くことに意味があるのか。人権費削減などを目的に多くの企業が派遣会社をつくったことは否めないが、問題は正社員に比べ安い派遣社員の賃金ではないか。これをそのままに派遣を規制しても、企業は新たな方策を考え出すかもしれない。

 慣れた職場風土で働きたいというOGやOBのニーズはある。グループ内派遣がすべて悪いわけではない。ただし正社員と同じ仕事をしている人にはなるべく同じ処遇をするのは、企業として当然だ。派遣だからといって著しく安く雇っていいものではない。

 労働者派遣法が制定されて二十二年たち、派遣労働者は三百二十一万人になる。常用雇用に換算して百五十二万人だ。有権者会議は派遣を労働需給調整のための臨時的・一時的労働力と位置づけたままだが、これだけ社会に根付いた働き方を例外扱いにしておいていいのか。

 派遣も多様な働き方の一つと認めたうえで、不安定、低賃金など千七百万人の非正規労働者が抱える問題をどう解決するか。小手先の規制でなく、本質的な議論が必要だ。

 【後日記】『製造派遣会社 派遣契約、期限切れ近付く 「09年問題」株価の重しに』(10/4日経より)

 この問題は、06年に実際は派遣の形態なのに請負として契約する偽装請負が相次ぎ発覚したことが発端だそうです。この時、基準の厳格な適用で企業の約九割が派遣に切り替えたとみられています。派遣契約の期間は三年間。つまり、09年にいっせいに期限が来ます。

 契約終了後三カ月間は同じ派遣契約ができないルール。工場を止められないメーカーは直接雇用か請負契約への切り替えを迫られるというわけです(なお、三カ月だけ直接雇用とした後に派遣へ戻すといったことはできません)。

 ただ、メーカーが派遣社員に直接指示できる派遣に対し、請負は請負会社に現場管理が求められ「高い技術や管理ノウハウが必要」(野村証券金融経済研究所シニアアナリスト)となり、対応の成否により業界の集約が進む可能性があるそうです。

 ふむふむ。ちょいと補足すれば請負の現場管理とは人だけでなく設備も含まれるってことですね。つまり派遣先の設備を使って働くケースに請負契約はありえないわけです。したがって、中小IT系な人が他社に常駐する場合、指揮命令系統うんぬん言う前に、既に偽装請負の可能性大です・・・というか未だに私は九割方、IT系は偽装請負だと思ってるのですが。全くニュースにならないあたり、昔から不思議に思います。糾弾する側であるはずの官公庁のシステムなども偽装請負なくして成立しないわけでして、、、結局、黙殺してるってことなんでしょうかね。

 【後日記】『ニートなど5年で半減したが・・・ 改善の流れ 変わる恐れ』(11/7日経より転載)

 ここ数年、売り手優位の就職戦線を背景に、ニートやフリーターは大幅な減少が続いてきた。しかしこの秋の世界的な金融危機はその改善の動きに冷や水を浴びせかねない。

 文部科学省によると、2003年度には大卒者の22.5%にあたる約12万2千人が進学も就職もせずにニートとなっていた。フリーターになった人も4.6%に当たる約2万5千人いた。08年度にはニートが10.8%の6万人、フリーターも2.1%の1万1千人と、割合、人数とも五年前の半分以下に急減。大卒の就職率が03年度に底を打ち、その後も上昇を続けていることが主因で「景気回復の恩恵」(同省)は明らかだ。

 今後企業が急速に採用を絞れば、こうした改善基調は一変する可能性があり、経済情勢の展開次第では改めてニート対策などを迫られる局面もありそうだ。

 【後日記】『非正社員4割弱に 派遣労働者が急増』(11/8日経より転載)

 厚生労働省が七日発表した就業形態についての実態調査によると、労働者に占める非正社員の割合は37.8%となり、前回調査(2003年)から3.2ポイント上昇した。企業が柔軟な雇用を目指した結果だが、働く意欲を高めるための賃金制度見直しなど課題も多い。

 非正社員とは契約社員や派遣労働者、パートタイム労働者など正社員以外の労働者を指す。03年との比較では、派遣労働者の比率が4.7%と二倍超に増えた。製造業や金融・保険業で活用が目立つ。

 非正社員を活用する理由を事業主に複数回答で聞いたところ、「賃金の節約」が40.8%でトップ。続いて「一日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」31.8%、「即戦力・能力のある人材を確保するため」25.9%の順となった。

 ふむふむ、正社員ではあっても人転がし企業(人材派遣業や偽装請負業)の従業員は計算から除外すべし、とは思いますがね。

 【後日記】『「派遣」最高の384万人』(12/27日経より転載)

 厚生労働省は二十六日、2007年度の派遣労働者数が384万人と前年度と比べ19.6%増え、過去最高となったと発表した。ただ、世界的な景気後退の影響で「今年度は減少する」(厚労省)と見込んでいる。

 【後日記】『派遣仲介料の上限設定検討』

 与党の新雇用対策プロジェクトチーム(川崎二郎座長)で月内に検討を始め、労働者派遣法改正案など関連法案の通常国会提出を目指す、としています。2009/1/4日経。

 同チームの分析では派遣会社の仲介料が派遣社員の報酬全体の約三割に及ぶとのこと。仲介料に上限を設ければ、派遣社員の報酬に回る分が増えるとみているそう。派遣先の企業の一人当たりの労務コストが減り、雇用増につながることも期待しているといいます。

 ほか、企業が派遣社員の契約を打ち切る際の条件を引き上げるべき、との声も上がったそうです。

 政府・与党が打ち出した雇用対策は失業後の対応が中心で、長期的な派遣社員の待遇改善や派遣契約の打ち切りの防止になっていないとの指摘があったとのことです。

 ふむ。悪徳金利に制限があるんだから悪徳搾取に制限があってもおかしくはないですね。ですが、派遣契約打ち切りを制限するって話はどうでしょうかね。そもそも企業はかねて明言してた通り、雇用の調整弁としての役割を期待しているでしょうから、打ち切れない派遣は企業からすると理にかなっていません。非正規の解雇規制強度を論じるより、異様に強い正社員の解雇規制強度を適度に下げることが必要とは考えないのでしょうか。。。いや、確かに既得権受益者たちの強力な抵抗を抑えるのは不可能ですか。

 【参考】2009/1/8の日経の記事より一部抜粋。

 経済協力開発機構(OECD)は08年版対日本経済審査報告で「日本の正規労働者と非正規労働者の賃金格差は生産性の差をはるかに上回っている」と指摘し、「デュアリズム(二極分化)」の拡大を懸念している。

 【後日記】2009/1/6の日経より『労働者派遣法の施行・改正の経緯』から転載。

1986年・・・労働者派遣法施行。設計業務など専門的知識を必要とする13業務に限定して労働者派遣を解禁

96年・・・派遣対象業務を26業務に拡大

99年・・・医療、製造業など5業務を除き労働者派遣を原則自由化

2004年・・・製造業への派遣を解禁

08年・・・日雇い派遣を原則禁止する内容を柱とする改正案を臨時国会へ提出

 【後日記】『「派遣」騒動の教訓 軸を見失った雇用政策』(2009/1/30日経から転載)

 霞が関の厚生労働省講堂。新任の大臣は壇上から八百平方メートルの堂内を埋め尽くす職員を見下ろしたときに人員五万人、予算二十五兆円の巨大組織を実感する。年明け、その権力の舞台が「派遣村」に開放された。

 「なんで受け入れたかというと彼を信頼したから。そりゃ現場で活動してるんだから情報は正確だよ」。派遣村が野営した日比谷公園を見下ろす厚労省の副大臣室で大村秀章(48)は言う。

 今年の日比谷が注目を集めたのは「派遣村」という名称に負うところが大きい。だが大村が信頼した「彼」。湯浅誠(派遣村村長、39)は「実際に昨秋から派遣契約を切られた人は二割。その他は日雇い派遣で収入が減った人や野宿の人など」と言う。

 生活保護を申請した二百人を超す「村民」は直ちに認定を受けた。資産や収入の調査を簡略化し、十日以上かかる認定を人により十五分の面接で済ませた審査は「異例中の異例」(社会・援護局)。一方でハローワークが臨時窓口を設けて紹介した約四千件の寮付きの求人紹介に大きな成果はなかったという。

 「自立や就業の支援ではなく生活保護でよかったのか」。厚労省の幹部は生活保護の審査など現場を熟知した活動家の前に労働行政が屈したことを認める。生活保護は最後の安全網。働く環境づくりが労働行政本業だ。そもそも派遣など非正規労働の問題を騒動の延長線で議論し続けていいものか。

 一月二十七日。自民党の研究会で派遣業界団体が訴えた。「当然路頭に迷うのは社会保険や雇用保険に加入しない不良事業主に雇われた社員。十把一からげにしないでほしい」。人を雇う企業は雇用保険に入るのが原則。しかし三百万ある日本の法人事業所で入っているのは二百万。未加入の労働者が一千万人いる。

 厚労省は保険逃れの実態を把握できていない。非正規労働で食いつないできた働き手が契約を切られ、いきなり生活保護に陥る--。穴だらけの制度運営では、こんな現実が果てしなく膨らむ。実際、生活保護が必要な世帯数は十年余りで二倍の百二十万に迫る。人口が減り、働き手が減る日本の大問題だ。

 製造業の派遣解禁を議論した2003年。株価が8000円程度で低迷する今に重なる。解禁は雇用拡大の切り札だった。日本の失業率は3%台まで下がり、企業の海外流出を抑えた面もある。制度の行方は四十六万人の雇用に影響する。

 今の現実を招いた背景には、行政の不作為も否めない。雇用保険さえ適用されない短期間雇用の非正規への対処が後手に回った。正社員の組合を前提に連合の意向を重視し多様な働き手の実態をくみ取らなかった。

 「(労+使)÷2」式の労働政策に固執する厚労省。中央労働基準審議会の会長職を1998年まで務めた上智大名誉教授の花見忠(78)は「審議会は正社員と大企業の話し合い。非正規と正規の利害が対立する中で、実のある議論は難しい」。

 日本の労働基準法には欧州などで一般的な「同一労働・同一賃金」という文言がない。年功序列の雇用システムの維持を掲げる労働側が反対したためだ。仕事を分かち合うワークシェアリングも極端な賃金格差を残したままでは限界がある。

 雇用危機の今こそ、活力を高める規制改革の重要性は高まっている。だが「どちらが講堂開放に貢献したか」という功名争いめいた空気が今も漂う与党と野党。国会からは「製造業の派遣を禁止せよ」「財源には大企業の内部留保を使え」との大合唱が響く。自由で健全な企業競争で雇用を築く感覚を忘れがちだ。

 二百七十人が寝泊りした講堂は今、なにごともなかったかのように静まりかえる。事務次官の江利川毅(61)は「いろいろな事情を含めた中での一つの緊急対応だった」と位置づける。一方で間近にある新たな緊急事態。政府の見通しでは09年度の失業率は0.5ポイント上昇の4.7%。無味乾燥な数字の向こう側で「0.1ポイント」ごとに七万人が職を失う。

 目の前の危機は全力でしのがねばならない。ただ厚すぎる安全網が職探しや自立の意欲を損ねては本末転倒。職を失った人を新たな職に導く訓練や住宅支援、今ある制度の運営見直し。限られた財源をどう配分するか、政策の優先順位の見極めが必要だ。この先の危機に備えて、政策の軸を整え直す時だ。

 【後日記】『正念場の製造派遣各社』(2009/2/19日経より抜粋)

 日本製造アウトソーシング協会(JMOA)は、三月末までに製造現場の派遣・請負社員の四割、約四十万人が職を失うと試算する。

 製造派遣会社は三年の派遣契約の大半が今年一斉に期限切れとなる「2009年問題」も抱える。法制上、継続契約ができないため、各社は請負化を進めてきた。だが請負には現場管理に熟達した人材を要し、切り替えは容易ではない。派遣の需要減で各社の売上高に占める請負事業の割合は相対的に上昇したが、それでもnmsで約五割、アイラインで三割超にすぎない。

 主な製造派遣各社の年明けの株価は、日経ジャスダック平均株価の下落率を上回る。一方、技術者派遣のメイテックの株価は下落率が比較的小さい。

 製造派遣では派遣期間のみ契約する「登録型」が主流だが、技術者派遣は派遣会社が直接雇用する「常用型」だ。技術者派遣は製造派遣より単価が高く、連結売上高営業利益率はメイテック(08年三月期)が14%、アルプス技研(同十二月期)が7%。一方、製造派遣では、利益率が比較的高いアウトソーシングでも同十二月期に5%に届かない。

 技術者派遣は派遣期間外の給与支払いや人材教育の負担が重く、利益が大幅に落ち込むリスクもある。だが派遣禁止の議論の対象外で、人材の技能が高く、不況下でも比較的需要が底堅いとの見方が株価を下支えしているようだ。

 【後日記】『派遣規制強化巡り火花』(2009/10/8日経より転載)

 厚生労働省は7日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会を開き、労働者派遣の規制に関する政労使の議論を本格的に開始した。派遣労働者の待遇改善の必要性などでは労使の認識が一致したが、派遣規制強化の是非については双方の意見が分かれた。

 労政審は経営者、労働者、学識者、厚労省の代表で構成する。初回の分科会では、与党3党がまとめた労働者派遣の規制強化案などについて意見を交換した。

 仕事があるときだけ働く登録型派遣と製造業派遣を原則禁止するのが与党案のポイント。経営者側は製造業派遣について「雇用市場が混乱する」「雇用の調整弁の機能がある。禁止すればコストが上がり、国際競争力が落ちる」などの懸念を表明した。これに対して労働者側は「大胆に見直すべきだ」「派遣で働いても技能が身につかず、正社員にはなれない」との見方を示した。

 与党は派遣労働者の雇用安定や正社員への移行などを目指しており、厳しい雇用情勢のなかで政労使がどれだけ歩み寄れるかが焦点となる。厚労省は定期的に労政審を開き、年内にも労働者派遣法改正案をまとめる考えだ。

 まぁ、一つだけアドバイスするならば・・・だ。派遣禁止でコストが上がると言うのなら、正社員の給料を下げればよいだけの話である。そもそも、保証されていない分、非正規雇用は正規雇用よりも給料が高くなくては辻褄が合わない。そうなれば逆に正規を辞めて非正規を選ぶ人すら出てくるかもしれない。雇用市場の流動性が高まるかもね。

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2008年5月29日 (木)

高まる私立中進学熱

 今回の『経済教室』は筑波大の吉田あつし教授です。

 都の公立小学校卒業者数は85年の17万人をピークにその後減少し05年では9万人弱となった一方、公立小からの私立中進学者数は85年の1万3千人から05年には1万5千人にまで増加しているそうです。年額70万円程度の学費が必要になるにもかかわらず。

 厚労省の『賃金構造基本調査』を用いて作成した”私立進学率(東京)と大卒・高卒賃金格差”と題したグラフが掲載されています(相関が読み取れます)。30代の男性労働者の大卒・高卒賃金格差は80年代後半から拡大の一途を辿っています。子どもが小学校在学中で中学受験を考える親の世代がこの世代だ、と筆者は指摘しています。つまり、自分の世代の賃金格差が大きければ、子どもには大学へ進学させようとして私立中に通わせるであろう、とのことです。

 筆者は、私立の学費を払える豊かな社会階層の子どもの方が将来高賃金を得る可能性も高いという意味で、社会階層の固定化つながると言い、教育の機会均等実現のためにも公立の中・高で学んでも十分に大学進学に可能な学力がつくことを保障すべきである、と主張しています。

 2000年以降、順次各区に導入された学校選択制だけでは不十分で、例えば杉並区の和田中学のように成績上位層の学力を更に伸ばすため進学塾と連携した有料授業を設けたり、公立中学の自由な発想に基づく自主的な学力向上の活動を応援すべきだろう、としています。公立学校間の格差よりも公・私間の格差の方が重大である、としています。

 私が、ちょっと前に読んだ本で『ネオ階級社会を待望する人々』(林真吾)ってのがありまして、同じテーマを扱っていましたね。

 しかし、公立ってそこまで堕ちてしまったのですね。公立中・高から大学に行けないって・・・何ソレ?私はもちろん公立中に通いましたが、私立進学高に合格しても公立高の方を選択しました。大学も明治(私立)でなく東京水産(国立)に行ったし(卒業してないけど)。当時は公立の方が良い、って考えもあった気がしますが。

 私学に行かせるのに無理するくらいなら、たかが中・高レベルの勉強は親が教えてあげたいものですね。

 【後日記】『学習塾大手、授業料下げ』

 ”少子化や節約志向 生徒獲得競争が激化”だそうです。2009/2/17日経より転載します。

 東海地方を地盤とするさなるは三月から小学生と中学生の授業料を下げる。地域や学年によって値下げ率は異なり、愛知県の教室で国語と算数の二科目を受講する小学四年生の場合、月額授業料を四千四百円、年間教材費を五千円と、それぞれ前年のほぼ半額とする。授業料・教材費と別にかかる「年間諸経費」(二万五千二百-三万千五百円)も無料にする(年間諸経費?何だそりゃ、データ装備費みたいなもんか? by けんchang)。

 首都圏で六十二の個別指導塾を持つ城南進学研究社は中学生向けに「成績保証制度」を導入。直前の学校の定期試験で五十四点以下の生徒は一年以内に二十五点以上の上乗せを保証し、試験が五十五点以上なら同八十点以上の達成を保証する。保証点に到達できなければその後、四カ月間の授業料を免除する。免除額は一科目あたり十一万六千-十八万四千円(要するに実質授業料の値引きか・・・単純に三割引とはせずに親の心をくすぐる宣伝効果を狙ったわけだ by けんchang)。

 九州で三十五教室を運営する英進館(福岡市)も小学四-六年生を対象に、国語と算数の受講生の授業料を月額一万円から八千円に下げた。

 特定サービス産業動態統計調査によると、最近、「学習塾」市場の伸びは鈍化。受講生の前年同期比での伸び率は2008年七-九月が0.7%、同十-十二月は0.8%と、比較可能な05年以来で初めて1%を割り込んだ。教育支出は景気の波に左右されにくい「聖域」とされてきたが、各社とも抑制は避けられないと判断。新入塾生の募集がピークを迎える四月を前に生徒を囲い込む戦略で、値下げに踏み切る企業が続きそうだ。

 【後日記】『渋谷区 4-6年生に土曜補習』(2009/2/18日経より転載)

 東京都渋谷区は2009年度、区立小学校の四-六年生を対象に国語と算数の補習授業を土曜日に実施する。中学校進学後に授業についていけなくなる「中一ギャップ」の解消に向け、基礎学力を高める狙い。09年度予算案に事業費五千二百万円を盛り込んだ。

 土曜の午前中に学校の教室などで「土曜学習クラブ」(仮称)を開く。四-六年生の希望者に、国語と算数の基礎を教える。漢字の読み書きや四則計算の練習などが中心となる。具体的なカリキュラムは各小学校の実情に応じて決める。「受験対策の応用問題を教えるものではない」(区教育委員会)という。

 教師役は、区立小学校で少人数教育を実施するために区が独自に採用している非常勤講師が担当する。学校が終わった後に児童を預かる「放課後クラブ」の指導員で、教員免許を持つ人材の活用も検討する。講師や教材の準備が整った学校から五月以降に順次始め、来年度中に全二十校で実施する。

 区立小学校での補習は同区のほか、二十三区では足立区も09年度から四-六年生を対象に実施する。民間の学習塾に講師を派遣してもらい、算数の基礎を教える予定。

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マルハニチロHD 国内で沖合漁業強化 下関に新会社

 だそうです。昨日の日経によると。下関市の山口県以東機船底曳網漁業共同組合と下関中央魚市場との共同出資だそうです。

 日本の漁業会社は1972年の二百カイリ規制施行後、海外漁業会社からの輸入に依存してきたそうです。

 一方、沖合漁業は古くから漁場ごとに漁業権を握る中小漁業者が中心だったそうです。

 沖合漁業をするには漁業権を他の事業者から取得するか、農水相の新たな認可を受ける必要があり、中小漁業者保護の観点から水産大手の漁業権取得は困難な状況だったそうです。

 しかしながら、中小漁業事業者の経営難や後継者難を背景に水産大手の支援を仰ぐケースが出始めており、水産大手にとっては転機と言えそうです。

 農業と共に近代化、競争力の獲得、を期待したいと思います。

 【後日記】『休漁相次ぎ声明発表』

 同じく昨日の日経によれば、世界十カ国・地域の遠洋マグロ漁業団体などでつくる国際団体、「責任あるまぐろ漁業推進機構」(OPRT)は、「燃料の急騰分を価格に転嫁するのは困難で、マグロ供給が減るのを理解して欲しい」と訴えているそうです。現状、操業すれば逆に損する具合だそうです。

 まぁ、宜しいんじゃないでしょうか。マグロは好物ですが、食べなくても死にはしませんし。どうしても食べたい人はどんなに高くても買うでしょう。何事も小細工を弄す必要はありません。

 【後日記】『沿岸から遠洋まで12漁業団体 一斉休業を検討』だそうです。日経6/5。
 大日本水産会、全国漁業協同組合連合会、日本かつお・まぐろ漁業協同組合、全国大型いかつり漁業協会、全国さんま漁業協会、全国まき網漁業協会など。
 日本の07年の養殖を除く海での漁獲量は約440万トン。12団体で過半の魚種をカバーしているそうです。

 【後日記】6/11の日経より。全国漁業協同組合連合会は、燃料費の基準となる中東産ドバイ原油が、現在の1バレル120ドル後半から上昇して150ドルとなった場合に、燃料のA重油が13万円/1キロリットルになると試算。約21万人いる漁業就業者の最大四割、8万5千人が離職に追い込まれ、漁業生産高は32~48%減ると指摘したそうです。

 【後日記】6/14の日経より。政府は昨年末以降、中小・零細企業向けに資金繰り支援などの対策を実施しているが、原油高の影響が深刻になっている漁業者などを対象とした追加支援策が必要と判断した。①減船や休漁をした漁業就業者向けの補助金交付の適用条件を緩和②不要漁船の処理費用の負担③省エネ技術開発の支援、など。

 【後日記】6/18の日経より。自民党の原油価格高騰対策プロジェクトチーム(加納時男座長)の素案では、漁業支援については07年度補正予算で設けた総額200億円の緊急対策基金の積み増しを求める、としています。その他、近く正式決定して骨太08に反映させる意向。漁船を省エネ型に改良することなどで燃料代などを補てんする仕組みで、原油高が続いても持続的な漁業ができるよう効率化を促す、としています。

 【後日記】『イオン、鮮魚直接仕入れ』

 第一弾は漁業協同組合JFしまね(松江市)からの仕入れ。「ジャスコ」で販売するとのこと。

 イオンの仕入れコストが下がると同時に、JFしまね側も従来より高く売れるといいます。

 農産物では特定の農家などと組む契約栽培が一般的だが、大手小売業が鮮魚を生産者から直接仕入れるのは珍しいといいます。

 鮮魚は農産物などと異なり、魚種や漁獲量が大きく変動するため、水揚げの全量を引き取る直接仕入れは小売業にとり在庫リスクが大きく、本格的に取り組む例はほとんどなかったそうです。

 8/15の日経より。

 【後日記】『餌高騰、新興国に買い負けも』

 タイ養殖は原価の60%が餌代、平均一億二千万円売って手元に残る利益は三百万円余り-。農林水産省の2006年の漁業経営調査(会社経営体)の結果だ。餌代が高騰した今、利益を出せる業者はほとんどいない。
 昨秋から養殖業界では餌不足が問題となり始めた。年間二十六万トンの養殖にはサバ、カタクチイワシなど餌用の魚が約八十万トン、輸入魚粉などを原料にした配合飼料が三十万トン必要だ。
 日本で食用に売れない小さなサバでも中国など新興国には食用として飛ぶように売れている。一キログラム太らせるのに十数キロの餌が必要なマグロ養殖の拡大も餌不足に拍車をかけている。
 水産庁は餌不足対策として今年、近海資源が豊富なサンマの漁獲可能枠(TAC)を約六万トン増の四十五万五千トンと設定したが、海外需要は旺盛だ。餌用では五十円前後だが、缶詰原料なら七十-九十円程度。ロシアの引き合いが急増し、輸出量は増枠分に迫る。
 養殖業界は餌用サンマが希望通りに入手できるか気をもんでいる。水産庁は漁業者支援の一環で餌用の魚購入費の一部補助を決めたが、価格差を埋めきれるか。産地再生の頼みとされるマグロ養殖でさえ、餌を海外に買い負けしかねない。(編集委員 樫原弘志)

 以上、日経8/18から転載しました。こういうの読むと日本って平和だなーって思うよね・・・あ、それと「養殖事業をめぐる最近の各地の動き」と題した表も掲載されていたのでついでに転載しときます。

 2006年5月・・・マグロ養殖中堅の中谷水産(鹿児島県瀬戸内町)に日本水産が資本参加
 07年9月・・・カンパチ養殖大手の桜島漁業生産組合(鹿児島市)の事業を継承する桜島養魚(同)にマルハニチログループが資本参加
 10月・・・桜島漁業生産組合が事実上倒産
 08年1月・・・拓洋(熊本市)が天草下島に365万平方メートルのマグロ養殖漁場を確保(日本最大)
 2月・・・和歌山県が「水産業活性化アクションプログラム」でマグロ養殖4倍増を打ち出す
 3月・・・長崎県がマグロ養殖4倍増を掲げた振興プランを作成
 7月・・・全国海水養魚協会が全魚連などによる漁船一斉休漁(15日)に参加(出荷停止)
      辻水産(愛媛県宇和島市)が日本ハムなどと共同で養殖マグロ販売会社を設立
 8月・・・マリンハーベスト社が高知県宿毛市、大分県佐伯市でのブリ養殖事業から撤退(予定)

 【後日記】『大型漁船造り自前調達』

 マルハニチロHD子会社の大洋エーアンドエフ(東京・中央)、極洋の他、漁業大手の福一漁業(静岡県焼津市)が一隻ずつ新造し、10年までに稼動させる、としています。日経9/8より。

 各船の最大積載量は千百-千二百トン。マルハニチロの年間漁獲量は約三割増える予定だそうです。

 新船は一回の航海で従来以上の連続操業ができ、帰港回数を減らすことで燃料費抑制にもつながるといいます。極洋は年間五千万円程度の削減を見込んでいるとのこと。

 日本の水産会社の調達の中心は海外船からの買い付けですが、世界的な水産物需要の急増で海外勢に「買い負け」る現象が起きているそうです。買い付けるより自社操業の方が調達コストを抑えられる利点も見込まれ、建造コストを負担してでも調達の安定度を高める必要があると判断したもよう。

 【後日記】『マグロ漁獲 今年、国際約束なしに』 

 東太平洋のマグロを管理する「全米熱帯マグロ類委員会(IATTC)」の特別会合で、メバチ・キハダマグロの漁獲量制限を合意できなかったもようです。10/9の日経。

 IATTCは昨年六月から繰り返し会合を開催。今回は年内の合意を目指して、はえ縄漁をする日本や韓国などの漁獲量制限と、巻き網漁をする中南米国の禁漁期間延長をセットで協議していたといいます。

 今年は国際約束のないまま漁獲する異例の事態となるもようです。

 【後日記】東京原油スポット市場の中東産ドバイ原油は19日、2009年二月渡しが続落、終値は一バレル40.75ドル(中心地)。OPECの大規模な追加減産も市場にはインパクトがなく、世界的なエネルギー需要の減退を材料に下げに拍車がかかった。日経12/20。

 【後日記】『減船で離職者に給付金』(2009/2/14日経より転載)

 政府は十三日の閣議で、遠洋カツオ・マグロ漁業と近海カツオ・マグロ漁業を、国際協定等の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の「特定漁業」に指定した。国際協定による漁業規制で減船を余儀なくされた、カツオやマグロ漁業の離職者に職業転換給付金を出す。

 【後日記】『養殖3魚種、生産量削減』

 2009/2/7の日経によると養殖漁業者でつくる全国海水養魚協会(神戸市)はブリとタイ、カンパチの主要な養殖三魚種の生産量を一斉に削減することを決めたそうです。

 【後日記】『サケ・マス漁獲量150トン減』(2009/3/25日経より転載)

 モスクワで開かれていた日ロ漁業合同委員会は二十四日、2009年の日本漁船による日本二百カイリ水域内でのロシア系サケ・マス漁獲量を前年比百五十トン減の二千八百五十五トンとすることで妥結した。

 【後日記】『水産卸売市場の改革検討 諮問会議を立ち上げ』(2009/3/27日経より転載)

 水産卸会社84社でつくる全国中央市場水産卸協会(東京・港)は今後の卸売市場の改革方針を検討するため、諮問会議を立ち上げる。漁業分野で規制改革を打ち出し議論を呼んだ前農林漁業金融公庫総裁で元農水事務次官の高木勇樹氏が委員長に就任する。一年後をめどに提言をまとめ、近く策定作業が始まる第九次卸売市場整備基本方針に反映させる。

 諮問会議は「卸売市場のあり方研究会」。四月九日に初会合を開く。高木氏は2007年、日本経済調査協議会が設置した漁業分野の改革委員会で漁業権制度の見直しや漁獲割当制度の厳格な実施などを提案し、賛否両論が噴出した。今回の「流通版高木委員会」も関係者から注目されそうだ。

 メンバーは十五人。全国漁業協同組合連合会の服部郁弘会長や極洋の福井清計社長、イオンリテールの浅田博食品商品本部長ら、生産から小売りまで各段階の代表者が集まっている。

 高木氏は「見直しに聖域は設けない。卸を含め流通形態そのものの変化を求めることもある。国民的な議論につなげたい」と強調する。全水卸の伊藤裕康会長は「市場のあり方についてこれまで行政に任せすぎた面もある。今後は積極的に意見表明していく」と話している。

 【後日記】『大西洋・地中海のクロマグロ 欧州、禁輸提案へ』(2009/8/9日経より抜粋)

 大西洋・地中海のクロマグロ(本マグロ)を保護するため、輸出入の全面禁止をめざす動きが欧州で広がってきた。絶滅の恐れがある動植物の取引を規制するワシントン条約の対象として提案する見通し。欧州最大の漁獲国であるフランスが規制を容認する方針に転換、独英オランダも支持を表明した。米国も同様の検討に着手しており、来年3月の国際会議で提案が採択されると、最大の輸入国である日本の食卓や外食産業などに大きな影響を与えそうだ。

 クロマグロはすしや刺し身に使われる高級マグロ。大西洋・地中海のクロマグロの漁獲量は、約3万4千トンで、大半は日本に輸出されている。日本のクロマグロ消費量の約6割が同海域産という。

 大西洋・地中海のクロマグロは長年の乱獲が響き、水産資源が急速に減少している。

 フランスのサルコジ大統領は7月中旬「手遅れになる前に行動しなければならない」とワシントン条約での採択を求める考えを表明した。ドイツも「輸出入禁止だけが絶滅の危機に直面する種を救う」(ガブリエル環境相)と同調。欧州連合(EU)は9月から輸出入禁止の案を軸に対応を協議する見通しだ。

 条約関係者によると、米政府も同様の禁止を提案する検討に乗り出したという。

 【後日記】『イオンとJFしまね 直接取引1年』(2009/8/26日経より抜粋)

 イオンと漁業協同組合JFしまね(松江市)が始めた水産物の直接取引が今月で1年目を迎えた。採算面など課題も多いが、市場経由より1~2日早く店頭に並ぶため消費者からの評価は上々だ。各地の漁協から取引参加を求める声も上がる。一方、県内の流通業者が独自に消費地と連携を強める動きも出てきた。

 イオンとJFしまねは昨年8月、定置網などで取った魚を毎月1回、市場価格に1割上乗せして網ごと買い取る契約を結んだ。水揚げされた魚は市場経由より1~2日早く売り場に並ぶ。「店頭価格は魚種によって異なり、必ずしも安くなるわけではないが、鮮度を考えればお買い得」(イオン)という。

 イオンとJFしまねとの直接取引は昨年は毎月一回のペースで始めたが、今年は月3回に拡大した。昨秋以降は石川、神奈川、千葉など東日本でも取引を開始した。年間で48回実施。計167トンを水揚げした。今後は東北などにも広げることを検討中だ。

 ただ課題も多い。イオンにとって全量買い取りは水揚げ量や種類が不安定でリスクも大きい。仕分けなどにかかる人員も負担になる。現状ではイオン全社の水産物取扱高の1割に満たない。収益面で完全に軌道に乗ったとはいえない。

 一方、直接取引の拡大で危機感を募らせる流通業者が、島根県の協力を得て東京の消費地に直接働きかける動きも出てきた。11月、県の仲卸業者に「しまねの魚」のブランド戦略を直接PRする予定だ。都心部の消費者に情報を発信し、需要を盛り上げるのが狙いだ。

 【後日記】『太平洋クロマグロ 漁獲規制を提案へ』(2009/9/11日経より転載)

 長崎市で開いていた「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の北小委員会が10日、太平洋のクロマグロの漁獲規制について合意して閉幕した。2010年の漁船数や操業日数を02~04年の水準から増やさないようにする。WCPFCの本委員会に提案し、12月の年次会合で正式に決める見通し。水産庁によると太平洋クロマグロの漁獲規制は初めてという。

 大西洋のクロマグロについては、絶滅の恐れがある動植物の取引を規制するワシントン条約の対象にすることを目指す動きが欧州で広がっている。一方、太平洋クロマグロの規制は導入していなかった。規制に反対している韓国の排他的経済水域を対象外にすることで合意した。

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2008年5月27日 (火)

沈黙 遠藤周作 新潮社

 さて、今日は趣向を変えて文学作品になります。

 遠藤周作は短編が有名だと思いますが、私は比較的長めの作品が好きです。ディープリバーとか、彼の生き方とか、悲しみの歌とか。

 中でも沈黙は傑作です。確か、高校の教科書で何気に目にして(クライマックスら辺の場面が掲載されていたと思います)作品の存在を知ったのでした。(なお、他に教科書で感動したのは井伏鱒二の山椒魚です。大抵、授業と関係ないページをいつも読んでいました。)浪人生になって文庫本を買ったのですが、数年後に本屋でハードカバー版を見かけ、つい買ってしまいました。

 遠藤周作の長編は、最初は平坦な場面がずっと続くのですが、じっと息を潜めて読み進めば、いずれ急角度でクライマックスに瞬達します。そして急下降し、クライマックス以前よりも更に深みまで落ちますが、そこで話が、「あぁ、感動した」で簡単に終わってしまわず、しばし続くのです。その静けさ、余韻は深い味わいがあって、クライマックスの陶酔感を後々まで感じさせてくれるのです。

 ところで、遠藤周作が好きだと言うとキリスト教徒なの?と聞かれることがあったりもしますが、私は無宗教であります。これについては随分昔に書いた文章を引用すると、

  昔、何かの本で哲学というものは宗教の侍女である、みたいななくだりを読んだ記憶がある。私はそれには全くもって賛成できない。世界の戦争の多くは宗教問題に根ざしているとの主張を聞いたことがある。だったらなおの事だ。
 宗教は戦争を生むかもしれないが哲学は自由である。各個人が人生を生きてきた上で形成されてきた哲学は、その人にとっては至高のものである。私にも私なりの哲学がある。宗教とは既に存在してあるものを個人に押し付けるだけのものであり、哲学とは偉大な先人達の知性を参考に自分自身で積み上げてゆくものである。

 というのがあります。また、私の哲学については、同じく当時の文章を引用すると、

 人は何のために生きるのであろうか?誰しもが比較的若い頃必ず考えるであろうこの命題について私もまた一通りの思索を既に試みていた。(注、この命題は『人は何故生きるのか(どうして生きてしまうのか)?』とはまた別のものである。←これについては”生物学的に(本能的に)普通は死を避けるよう人間もまたプログラミングされているから”というのが一応の答えになるであろう。)
 人がどんなに頑張って速く走れるようになってもチーターよりも速く走れるようになるわけではない。どんなに体を鍛えて力持ちになったとしてもゴリラよりは弱い。では、人間はなにゆえ人間なのか?
 それこそが人間そのものである、というような特徴が一つある。それは人間は大脳が発達している、という事である。
 さて、ところで人間は生態系のピラミッドから完全に外れている。本来生物は強い者が弱い者を喰い、一番強い