2009年1月 4日 (日)

食品不正情報 検索容易に

 農林水産省は全国の農政事務所などに「食品表示110番」の窓口を設け、2002年度から消費期限改ざんなどの情報を受け付けている。食の安全への関心が高まるにつれ寄せられる情報は増加、08年度は十一月までに一万七千五百八十八件に達し前年度を上回る勢い。全国に約二千人配置された食品Gメンの活動は、食品110番に寄せられた情報が端緒となるケースが多い。08年の場合、明らかになった不正案件約二十件のうち三分の二程度が110番への通報がきっかけだった。

 しかし従来のシステムは使い勝手が悪く、農水省はシステムを整備する方針だ。データベースに登録する項目を増やすほか検索項目を整備する。

 同省は警察とも協力して食品偽装の摘発に力を入れる方針。日本農林規格(JAS)法の指針を改正し、偽装に関与したり、偽装工作隠ぺいのため帳簿などの書類を破棄した全業者の名前を公表できるようにする。

 さらに、消費者に委嘱している「食品表示ウオッチャー」約一千人による監視機能も強化、食品表示の法体系や仕組みを理解してもらおうと自宅パソコンを使った研修制度の導入なども進める。

 以上、日経より要約。

 【後日記】日経2009/1/29掲載の「食の安全を巡る昨年の主な問題」と題した表を転載。

 1月・・・中国製冷凍ギョーザの中毒事件が発覚

 5月・・・料亭の船場吉兆が食材の使い回しで廃業

 6月・・・魚秀とマルハニチロ子会社が中国産ウナギを国産と偽る産地偽装が発覚

 9月・・・三笠フーズによる「事故米」の転売発覚/中国でメラミン汚染の粉ミルクによる健康被害が発覚/丸大食品の菓子などにメラミン入り牛乳を使った可能性が浮上

 10月・・・伊藤ハム東京工場の地下水に基準を超えた有害なシアン化物/日清食品の「カップヌードル」などで防虫剤の「移り香」問題発覚

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2008年8月10日 (日)

輸入材木に関税 環境対策財源に

 日経の記事によれば、自民党国家戦略本部の「山を守り林業の再生を図るための環境税導入研究会」(杉浦正健世話人)が、国内林業の再生に向けて輸入材木や木製品への関税導入を政府に提案する、としています。税収を国内森林の整備などに充てる方針だそうです。

 なお、政府は2006年九月に閣議決定した「森林・林業基本計画」で、国内木材供給量を15年までに04年度比で35%引き上げる目標を掲げているとのこと。

 【後日記】『割りばしを国産に変更』

 10/4の日経によるとローソンが首都圏で展開する「ナチュラルローソン」82店舗で、顧客に無料配布する割りばしを国産品に変更するとのこと。はし袋に広告を印刷、広告費を得ることで、中国産比2~3倍する製造コストを補うそうです。森林の管理作業から出る端材を原料に使い国内森林資源の維持につなげる、としています。

 【後日記】『間伐材の活用技術向上』

 林野庁によると、07年の日本の木材自給率は22.6%と前年比2.3%上昇したそうです。住友林業は、木造住宅の家の土台や柱、はりなどの構造部分のうち51%で国産材を使用、09年二月からは70%に引き上げるといいます。製材技術が進み、間伐材を多用できるようになったのも大きいといいます。

 日本合板工業組合連合会によれば、住宅の床や壁、家具などに使われる合板は、以前は間伐材のような細い丸太からつくることはできず、外国産の太い丸太を使っていたそうです。しかし、外国産は輸出制限や新興国の消費拡大で価格が上昇。間伐材なら半値程度で入手可能なこともあり、製材業者などが研究した結果、利用できるようになったとのことです。

 林野庁の造林間伐対策室によると、林野庁は山林所有者などに間伐を進めてもらうため、都道府県と合わせ費用の七割を補助するなどしているそうです。日本は97年の京都議定書で、12年までにCO2など温暖化ガスの排出量を90年比6%減らすことを約束していますが、政府の目標では、このうち3.8%を間伐など森林の整備で削減するとしています。人工林で間伐をすると木の生長余地が拡大、CO2の吸収力が増えるといいます。

 高知県では05年から「協働の森づくり事業」として、企業・団体から協賛金を集め、市町村有林の間伐を進めているそうです。三十以上の企業などと契約、総面積は約十七平方キロメートルに及ぶといいます。同県環境共生課によると、吸収されたCO2は国全体の削減量にカウントされるとのこと。排出枠などとして売買はできないものの企業の社会的責任(CSR)活動としてアピールできる、としています。

 以上、日経2009/1/4より要約。

 【参考】『北洋材丸太、28年ぶり高値』

 日経5/14からです。北洋材丸太とは木造住宅の壁や床に使う針葉樹合板の材料で、カラ松が主品目とのことです。

 ロシアの伐採業者は日本向けの丸太を減産しているそうです。日本で住宅着工数が落ち込む一方で中国の購買力が増しています。加えて、ロシアは資源保護の名目で丸太の輸出関税を09年一月から80%に大幅に引き上げる予定です。

 国内合板メーカー最大手のセイホクは「割安な日本産など丸太の樹種の転換を進める」(同社取締役)としています。

 【後日記】『住友林業 自社保有の山林拡大』

 住友林業は10年三月期までに自社で保有・管理する山林の面積を現在比25%増の五万ヘクタールにする。規模拡大による効率化で森林事業の収益改善を目指す。同社は自社の保有林で伐採した木材の大半を市場で売却し、一部を自社の戸建住宅で使用している。伐採にかかる人件費などが高止まりしている半面、ロシア産など輸入木材に押され、市場価格が低迷。森林事業の最終損益は長期に赤字が続いていた。日経11/18より。

 【後日記】『ヒノキ間伐材で住宅 丸ニ 岐阜の森林組合と提携』(2009/8/11日経より転載)

 建築工事の丸ニ(東京都武蔵野市、渡辺偕規社長)は加小母森林組合(岐阜県中津川市)と提携し、同組合が伐採するヒノキの間伐材を使った総ヒノキ木造住宅を2010年に首都圏で発売する。接着剤を使う集成材の住宅に比べ安心なうえ価格も1割程度安い。間伐を進め森林の保護・整備にも役立てる。

 従来、杭材などに使っている直径約13センチメートルの細いヒノキを加工、組み合わせて、柱や梁、壁や床などの建築部材全般に使う。丸ニはヒノキの葉を乾燥、粉砕して壁材に使ったり、ヒノキ材の表面に薄膜の特殊ガラスをコーティングして劣化を防いだりする新技術を開発する。

 両者の試算によると、ヒノキ1本の山出し価格を従来の500円から800円に値上げしても、建築面積130平方メートル、2階建ての木造住宅に使う加工済み部材の価格は、集成材に比べ1割り以上安い200万円以下に抑えられる。

 丸ニは今後、施主らを加子母の森に招く視察ツアーを企画、安心で安い住宅づくりが森の育成にもつながることをPR。売り上げは2011年度に1億7000万円を目指す。将来は武蔵野市を中心とする首都圏の住民が中津川市に家庭菜園を持つ取り組みも始める。

 加子母森林組合は組合員の収入引き上げで雇用を確保し、新たに森林を整備する技術職員を5人採用する。

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2008年7月14日 (月)

船員不足解消へPR

 海で働く人の不足に悩む国土交通省は若者を中心にPR活動を積極化するようです。乗船体験の場を設けるなど海の仕事に触れる機会を増やす他、仕事現場の動画付きホームページ「海の仕事.com」を新しく用意したと言います。また、一定時間以上の残業を規制するなど、厳しいと敬遠される船乗りの職場環境改善を進める、としています。日経。

 【後日記】『パソナ、農業従業員採用』

 日経8/1によると人材サービス大手のパソナグループが農業を専門とする従業員の採用を始めるそうです。

 原則として三年間、契約社員などとして雇用し、契約農場で研修しながら農作業をするとのこと。農業分野で起業する人材を育て、農業への派遣につなげる考えだそうです。2010年度に契約農場を全国十カ所に拡大するといいます。

 月額二十万円程度の給与を支給し、二年目以降は成果報酬制度も取り入れる予定。栽培技術を習得するだけでなく農業生産法人の経営者と交流して農業経営の感覚を磨いてもらうとしています。

 パソナは、農業への人材派遣サービス市場が「民間企業の参入で将来は広がる」(同社取締役専務執行役員)とみており、新規就農者を支援することで市場での影響力確保を狙う意図があるもようです。

 【後日記】『農地所有者と就農希望者 ネットで仲介』(日経12/24から転載)

 農業ベンチャーのマイファーム(大阪府高槻市、西辻一真社長)は遊休農地や農園の所有者と就農希望の個人・法人を結ぶマッチング事業を始めた。インターネットで土地の登録・検索ができる専用サイトを開設。製造業などでの雇用環境の悪化を受けて農業への関心が高まるなか、各地で増加する遊休農地の有効活用につなげる。

 新サイト「タガヤシ」は手入れが行き届いていない遊休農地とすぐに耕作できる農園を所有者が登録。利用を希望する側がサイトを検索し、マイファームを通じて所有者に連絡を取る。登録料は遊休地が無料で、農園は月一万五千円。就農希望者に料金はかからない。

 マイファームは全国の遊休農地を借り受けて耕し、小分けの菜園として個人に貸し出す事業を手掛ける。サイトを通じて集まった全国の情報を生かし、二十カ所ある自社菜園も来年中に百五十カ所まで増やす計画だ。

 【後日記】『農業法人など 379人を募集』(2009/1/8日経より転載)

 農林水産省は七日、百九の農業法人など国内の農業事業者が正社員208人を含む379人を一-二月に募集するとの集計を発表した。三十八都道府県の農業法人が野菜の生産・販売、酪農など幅広い分野の農作業で雇用する。金融危機による急激な景気後退で雇用情勢が悪化しているのを受け、業界団体の全国農業会議所が集計した。同会議所の就農相談センターのホームページなどで法人名を公表し、無料相談にも応じる。

 求人数が最も多いのは熊本県で、正社員とパートでそれぞれ24人の募集がある。長崎県や宮崎県の農業法人も約40人を採用する予定。

 【後日記】パソナグループは子会社のパソナ(東京・千代田)の本社ビル地階に設置していた就農支援施設「パソナオーツー」を閉鎖する。来年一月をメドに同区内のビルに移転するが、同様の施設を設置する計画はない。2009/1/23日経より。

 【後日記】『水産業分野の雇用創出策』(2009/2/1日経より転載)

 政府は近く、漁業への就業支援など水産業分野の雇用創出策をまとめる。就業希望者のあっせんや研修、漁港の整備を含む公共事業が柱となる。水産関係の雇用関連予算は2008年度の第一次補正予算と第二次補正予算、09年度の当初予算案を合わせて千五百億円あまり。水産庁が中心になって具体策を検討し、どの程度の雇用を創出できるかを見積もる。

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2008年5月29日 (木)

マルハニチロHD 国内で沖合漁業強化 下関に新会社

 だそうです。昨日の日経によると。下関市の山口県以東機船底曳網漁業共同組合と下関中央魚市場との共同出資だそうです。

 日本の漁業会社は1972年の二百カイリ規制施行後、海外漁業会社からの輸入に依存してきたそうです。

 一方、沖合漁業は古くから漁場ごとに漁業権を握る中小漁業者が中心だったそうです。

 沖合漁業をするには漁業権を他の事業者から取得するか、農水相の新たな認可を受ける必要があり、中小漁業者保護の観点から水産大手の漁業権取得は困難な状況だったそうです。

 しかしながら、中小漁業事業者の経営難や後継者難を背景に水産大手の支援を仰ぐケースが出始めており、水産大手にとっては転機と言えそうです。

 農業と共に近代化、競争力の獲得、を期待したいと思います。

 【後日記】『休漁相次ぎ声明発表』

 同じく昨日の日経によれば、世界十カ国・地域の遠洋マグロ漁業団体などでつくる国際団体、「責任あるまぐろ漁業推進機構」(OPRT)は、「燃料の急騰分を価格に転嫁するのは困難で、マグロ供給が減るのを理解して欲しい」と訴えているそうです。現状、操業すれば逆に損する具合だそうです。

 まぁ、宜しいんじゃないでしょうか。マグロは好物ですが、食べなくても死にはしませんし。どうしても食べたい人はどんなに高くても買うでしょう。何事も小細工を弄す必要はありません。

 【後日記】『沿岸から遠洋まで12漁業団体 一斉休業を検討』だそうです。日経6/5。
 大日本水産会、全国漁業協同組合連合会、日本かつお・まぐろ漁業協同組合、全国大型いかつり漁業協会、全国さんま漁業協会、全国まき網漁業協会など。
 日本の07年の養殖を除く海での漁獲量は約440万トン。12団体で過半の魚種をカバーしているそうです。

 【後日記】6/11の日経より。全国漁業協同組合連合会は、燃料費の基準となる中東産ドバイ原油が、現在の1バレル120ドル後半から上昇して150ドルとなった場合に、燃料のA重油が13万円/1キロリットルになると試算。約21万人いる漁業就業者の最大四割、8万5千人が離職に追い込まれ、漁業生産高は32~48%減ると指摘したそうです。

 【後日記】6/14の日経より。政府は昨年末以降、中小・零細企業向けに資金繰り支援などの対策を実施しているが、原油高の影響が深刻になっている漁業者などを対象とした追加支援策が必要と判断した。①減船や休漁をした漁業就業者向けの補助金交付の適用条件を緩和②不要漁船の処理費用の負担③省エネ技術開発の支援、など。

 【後日記】6/18の日経より。自民党の原油価格高騰対策プロジェクトチーム(加納時男座長)の素案では、漁業支援については07年度補正予算で設けた総額200億円の緊急対策基金の積み増しを求める、としています。その他、近く正式決定して骨太08に反映させる意向。漁船を省エネ型に改良することなどで燃料代などを補てんする仕組みで、原油高が続いても持続的な漁業ができるよう効率化を促す、としています。

 【後日記】『イオン、鮮魚直接仕入れ』

 第一弾は漁業協同組合JFしまね(松江市)からの仕入れ。「ジャスコ」で販売するとのこと。

 イオンの仕入れコストが下がると同時に、JFしまね側も従来より高く売れるといいます。

 農産物では特定の農家などと組む契約栽培が一般的だが、大手小売業が鮮魚を生産者から直接仕入れるのは珍しいといいます。

 鮮魚は農産物などと異なり、魚種や漁獲量が大きく変動するため、水揚げの全量を引き取る直接仕入れは小売業にとり在庫リスクが大きく、本格的に取り組む例はほとんどなかったそうです。

 8/15の日経より。

 【後日記】『餌高騰、新興国に買い負けも』

 タイ養殖は原価の60%が餌代、平均一億二千万円売って手元に残る利益は三百万円余り-。農林水産省の2006年の漁業経営調査(会社経営体)の結果だ。餌代が高騰した今、利益を出せる業者はほとんどいない。
 昨秋から養殖業界では餌不足が問題となり始めた。年間二十六万トンの養殖にはサバ、カタクチイワシなど餌用の魚が約八十万トン、輸入魚粉などを原料にした配合飼料が三十万トン必要だ。
 日本で食用に売れない小さなサバでも中国など新興国には食用として飛ぶように売れている。一キログラム太らせるのに十数キロの餌が必要なマグロ養殖の拡大も餌不足に拍車をかけている。
 水産庁は餌不足対策として今年、近海資源が豊富なサンマの漁獲可能枠(TAC)を約六万トン増の四十五万五千トンと設定したが、海外需要は旺盛だ。餌用では五十円前後だが、缶詰原料なら七十-九十円程度。ロシアの引き合いが急増し、輸出量は増枠分に迫る。
 養殖業界は餌用サンマが希望通りに入手できるか気をもんでいる。水産庁は漁業者支援の一環で餌用の魚購入費の一部補助を決めたが、価格差を埋めきれるか。産地再生の頼みとされるマグロ養殖でさえ、餌を海外に買い負けしかねない。(編集委員 樫原弘志)

 以上、日経8/18から転載しました。こういうの読むと日本って平和だなーって思うよね・・・あ、それと「養殖事業をめぐる最近の各地の動き」と題した表も掲載されていたのでついでに転載しときます。

 2006年5月・・・マグロ養殖中堅の中谷水産(鹿児島県瀬戸内町)に日本水産が資本参加
 07年9月・・・カンパチ養殖大手の桜島漁業生産組合(鹿児島市)の事業を継承する桜島養魚(同)にマルハニチログループが資本参加
 10月・・・桜島漁業生産組合が事実上倒産
 08年1月・・・拓洋(熊本市)が天草下島に365万平方メートルのマグロ養殖漁場を確保(日本最大)
 2月・・・和歌山県が「水産業活性化アクションプログラム」でマグロ養殖4倍増を打ち出す
 3月・・・長崎県がマグロ養殖4倍増を掲げた振興プランを作成
 7月・・・全国海水養魚協会が全魚連などによる漁船一斉休漁(15日)に参加(出荷停止)
      辻水産(愛媛県宇和島市)が日本ハムなどと共同で養殖マグロ販売会社を設立
 8月・・・マリンハーベスト社が高知県宿毛市、大分県佐伯市でのブリ養殖事業から撤退(予定)

 【後日記】『大型漁船造り自前調達』

 マルハニチロHD子会社の大洋エーアンドエフ(東京・中央)、極洋の他、漁業大手の福一漁業(静岡県焼津市)が一隻ずつ新造し、10年までに稼動させる、としています。日経9/8より。

 各船の最大積載量は千百-千二百トン。マルハニチロの年間漁獲量は約三割増える予定だそうです。

 新船は一回の航海で従来以上の連続操業ができ、帰港回数を減らすことで燃料費抑制にもつながるといいます。極洋は年間五千万円程度の削減を見込んでいるとのこと。

 日本の水産会社の調達の中心は海外船からの買い付けですが、世界的な水産物需要の急増で海外勢に「買い負け」る現象が起きているそうです。買い付けるより自社操業の方が調達コストを抑えられる利点も見込まれ、建造コストを負担してでも調達の安定度を高める必要があると判断したもよう。

 【後日記】『マグロ漁獲 今年、国際約束なしに』 

 東太平洋のマグロを管理する「全米熱帯マグロ類委員会(IATTC)」の特別会合で、メバチ・キハダマグロの漁獲量制限を合意できなかったもようです。10/9の日経。

 IATTCは昨年六月から繰り返し会合を開催。今回は年内の合意を目指して、はえ縄漁をする日本や韓国などの漁獲量制限と、巻き網漁をする中南米国の禁漁期間延長をセットで協議していたといいます。

 今年は国際約束のないまま漁獲する異例の事態となるもようです。

 【後日記】東京原油スポット市場の中東産ドバイ原油は19日、2009年二月渡しが続落、終値は一バレル40.75ドル(中心地)。OPECの大規模な追加減産も市場にはインパクトがなく、世界的なエネルギー需要の減退を材料に下げに拍車がかかった。日経12/20。

 【後日記】『減船で離職者に給付金』(2009/2/14日経より転載)

 政府は十三日の閣議で、遠洋カツオ・マグロ漁業と近海カツオ・マグロ漁業を、国際協定等の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の「特定漁業」に指定した。国際協定による漁業規制で減船を余儀なくされた、カツオやマグロ漁業の離職者に職業転換給付金を出す。

 【後日記】『養殖3魚種、生産量削減』

 2009/2/7の日経によると養殖漁業者でつくる全国海水養魚協会(神戸市)はブリとタイ、カンパチの主要な養殖三魚種の生産量を一斉に削減することを決めたそうです。

 【後日記】『サケ・マス漁獲量150トン減』(2009/3/25日経より転載)

 モスクワで開かれていた日ロ漁業合同委員会は二十四日、2009年の日本漁船による日本二百カイリ水域内でのロシア系サケ・マス漁獲量を前年比百五十トン減の二千八百五十五トンとすることで妥結した。

 【後日記】『水産卸売市場の改革検討 諮問会議を立ち上げ』(2009/3/27日経より転載)

 水産卸会社84社でつくる全国中央市場水産卸協会(東京・港)は今後の卸売市場の改革方針を検討するため、諮問会議を立ち上げる。漁業分野で規制改革を打ち出し議論を呼んだ前農林漁業金融公庫総裁で元農水事務次官の高木勇樹氏が委員長に就任する。一年後をめどに提言をまとめ、近く策定作業が始まる第九次卸売市場整備基本方針に反映させる。

 諮問会議は「卸売市場のあり方研究会」。四月九日に初会合を開く。高木氏は2007年、日本経済調査協議会が設置した漁業分野の改革委員会で漁業権制度の見直しや漁獲割当制度の厳格な実施などを提案し、賛否両論が噴出した。今回の「流通版高木委員会」も関係者から注目されそうだ。

 メンバーは十五人。全国漁業協同組合連合会の服部郁弘会長や極洋の福井清計社長、イオンリテールの浅田博食品商品本部長ら、生産から小売りまで各段階の代表者が集まっている。

 高木氏は「見直しに聖域は設けない。卸を含め流通形態そのものの変化を求めることもある。国民的な議論につなげたい」と強調する。全水卸の伊藤裕康会長は「市場のあり方についてこれまで行政に任せすぎた面もある。今後は積極的に意見表明していく」と話している。

 【後日記】『大西洋・地中海のクロマグロ 欧州、禁輸提案へ』(2009/8/9日経より抜粋)

 大西洋・地中海のクロマグロ(本マグロ)を保護するため、輸出入の全面禁止をめざす動きが欧州で広がってきた。絶滅の恐れがある動植物の取引を規制するワシントン条約の対象として提案する見通し。欧州最大の漁獲国であるフランスが規制を容認する方針に転換、独英オランダも支持を表明した。米国も同様の検討に着手しており、来年3月の国際会議で提案が採択されると、最大の輸入国である日本の食卓や外食産業などに大きな影響を与えそうだ。

 クロマグロはすしや刺し身に使われる高級マグロ。大西洋・地中海のクロマグロの漁獲量は、約3万4千トンで、大半は日本に輸出されている。日本のクロマグロ消費量の約6割が同海域産という。

 大西洋・地中海のクロマグロは長年の乱獲が響き、水産資源が急速に減少している。

 フランスのサルコジ大統領は7月中旬「手遅れになる前に行動しなければならない」とワシントン条約での採択を求める考えを表明した。ドイツも「輸出入禁止だけが絶滅の危機に直面する種を救う」(ガブリエル環境相)と同調。欧州連合(EU)は9月から輸出入禁止の案を軸に対応を協議する見通しだ。

 条約関係者によると、米政府も同様の禁止を提案する検討に乗り出したという。

 【後日記】『イオンとJFしまね 直接取引1年』(2009/8/26日経より抜粋)

 イオンと漁業協同組合JFしまね(松江市)が始めた水産物の直接取引が今月で1年目を迎えた。採算面など課題も多いが、市場経由より1~2日早く店頭に並ぶため消費者からの評価は上々だ。各地の漁協から取引参加を求める声も上がる。一方、県内の流通業者が独自に消費地と連携を強める動きも出てきた。

 イオンとJFしまねは昨年8月、定置網などで取った魚を毎月1回、市場価格に1割上乗せして網ごと買い取る契約を結んだ。水揚げされた魚は市場経由より1~2日早く売り場に並ぶ。「店頭価格は魚種によって異なり、必ずしも安くなるわけではないが、鮮度を考えればお買い得」(イオン)という。

 イオンとJFしまねとの直接取引は昨年は毎月一回のペースで始めたが、今年は月3回に拡大した。昨秋以降は石川、神奈川、千葉など東日本でも取引を開始した。年間で48回実施。計167トンを水揚げした。今後は東北などにも広げることを検討中だ。

 ただ課題も多い。イオンにとって全量買い取りは水揚げ量や種類が不安定でリスクも大きい。仕分けなどにかかる人員も負担になる。現状ではイオン全社の水産物取扱高の1割に満たない。収益面で完全に軌道に乗ったとはいえない。

 一方、直接取引の拡大で危機感を募らせる流通業者が、島根県の協力を得て東京の消費地に直接働きかける動きも出てきた。11月、県の仲卸業者に「しまねの魚」のブランド戦略を直接PRする予定だ。都心部の消費者に情報を発信し、需要を盛り上げるのが狙いだ。

 【後日記】『太平洋クロマグロ 漁獲規制を提案へ』(2009/9/11日経より転載)

 長崎市で開いていた「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の北小委員会が10日、太平洋のクロマグロの漁獲規制について合意して閉幕した。2010年の漁船数や操業日数を02~04年の水準から増やさないようにする。WCPFCの本委員会に提案し、12月の年次会合で正式に決める見通し。水産庁によると太平洋クロマグロの漁獲規制は初めてという。

 大西洋のクロマグロについては、絶滅の恐れがある動植物の取引を規制するワシントン条約の対象にすることを目指す動きが欧州で広がっている。一方、太平洋クロマグロの規制は導入していなかった。規制に反対している韓国の排他的経済水域を対象外にすることで合意した。

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2008年5月27日 (火)

食料自給率を高める地産地消

 週刊ダイヤモンドのコラム『オピニオン・縦横無尽』はジャーナリストの櫻井よしこ氏が執筆しています。週刊ダイヤモンドは私的に興味のある分野の特集をしてくれることが多いですが、特集記事以外では当コラムと、野口悠紀雄氏のコラムを特に私は気に入ってます。それと山崎元氏のコラムが勉強になりますね。

 さて、櫻井氏は今回、秋田県十和田湖畔の小坂町でSPF豚を生産しているポークランド社を取り上げています。現在、30ヘクタールの土地で約六万頭を飼育、他に母豚が約五千頭います。母豚たちは年に2~3回のお産をし、一度に平均13頭を産むそうです。子豚は21日間母乳で育ち、約60日間肥育豚舎で過ごし170日前後で110キログラムになって出荷されるとのことです。

 豚舎は、小坂町町長の川口博氏の自宅のすぐ近くにあるそうです。「ポークランド社の人たちの話を聞いたとき、真っ先に心配したのが匂いでした。住民は皆、それをいやがります。けれど、生ゴミも糞尿も処理して再利用する、決していやな匂いは出さない、人間にも豚にも、環境にも悪いことはしないと言うのです。それなら、私が率先してわが家のすぐ裏手の山々を切り開けばよいと考えたのです。これで住民も受け入れてくれました。」

 と、語る川口氏は町長就任以前には牧畜の体験があり、ポークランド社の企画が優れた内容であったことに、いち早く気付いていました。結果は大成功で、町民皆に喜ばれる豚舎となったそうです。

 櫻井氏は、良質の健康に良い豚肉がこうして生産されているのを受け、「国際比較をしても、価格、質の両面で、牛肉よりはるかに競争力は高い。ならば私たちは、自給率向上のためにも、地産池消でもっと日本産の豚肉を食べるのがよいのではないか」と、言っています。

 【後日記】『飼料高、700億円追加支援』

 財源は農水省所管の独立行政法人「農畜産業振興機構」の保有資金だそうです。農水省は外部有識者による審議会に提案するとのこと。政府は決定の見通しです。日経6/12から。

 政府は二月にも酪農家などに向け1871億円の支援を決定しているそうです。また、加工原料乳への補助金は今年四月に引き上げたばかりと言います。肉用の子牛や養豚の経営者への対策も創設するそうです。

 残念ですね。本来ならば消費者価格に転嫁できれば一番なのですが。食品が高いのは当たり前なのですが。食わなければ死んでしまうのですから。飽食でメタボってる場合ではないのです。タバコ千円にしただけでOKではないのです。食肉は環境観点からは最悪なので高くなっても仕方ないでしょう。時々、食べることができたら幸せを噛みしめ味わえば良いのです。バクバク肉ばっかり食って生活習慣病になって保険にかかって・・・ふう。

 【後日記】『生乳再値上げ 交渉長期化も』

 7/10の日経によると今年二度目の値上げに向けた生乳価格(乳価)交渉が始まったそうです。ホクレン農業協同組合連合会(札幌市)など生産者団体は十月出荷分から9~10%の値上げを求めていると言います。飲用向け最大手の関東生乳販売農業協同組合連合会(東京・文京)は「乳価を上げてもらわないと酪農家が辞めてしまう」と窮状を訴えているそうです。農林水産省のまとめでは乳用牛を飼育している農家数は07年二月時点で25400戸で、五年間で18%減ったと言います。

 【後日記】『国産綿糸 値上がり』

 国産綿糸の取引価格が上昇したと言います。7/10の日経。主にタオル、チノパン向けの20単は1コリ(約181キロ)57000円(中心値)と四年振りの高値となったそうです。30単、40単も値上がりしたそうです。原料の綿花は米国先物市場で1ポンド70セント前後と、比較的高値が続いてきたとのこと。また、輸入綿糸の高値も国産価格を押し上げていると言います。代表的な輸入綿糸のパキスタン産は20単が1コリ470ドルと、現地での人件費上昇の影響を受けているとのこと。

 【後日記】『食肉各社、国内肥育を強化』

 日経8/26より。エスフーズは肥育事業の子会社エスファーム(兵庫県西宮市)を設立。宮崎県や大分県の牧場と組み、2010年から自社ブランド牛を出荷する、としています。同社が肉を全量買い取るといいます。

 伊藤ハムはかつてオーストラリアの自社牧場で肥育数を増やしたとのことですが輸送コスト増などで採算は悪化。今後は提携牧場と協力し09年度末までに和牛の肥育数を増やす、としています。

 丸大食品も関東や関西の都市近郊で牧場と組み、和牛や交雑牛の肥育を拡大する計画とのこと。

 最大手の日本ハムは割安感から需要が伸びている鶏の肥育を、「中小牧場の買収などで中長期に増やす方針」だそうです。

 【後日記】『鶏卵 生産者間でネット取引』

 日経9/20によると、日本鶏卵生産者協会(東京・中央)が株式会社、日本鶏卵トレードセンターを設立し、生産者間で鶏卵をネット上で取引するシステムを立ち上げるそうです。

 鶏卵は賞味期限が季節により二週間から二カ月弱とされ、生産者は需要を見越して生産計画を立てるが、スーパーの特売や気温の変動といった要因で注文量が増減することも多く、これまでは知り合いの生産者同士で融通していたが、地域内での取引では限界もあり、需給が緩んで安売りする例もあったといいます。

 【後日記】『主要農作物価格が急落』

 日経11/3によるとアジア産の主要農作物の価格が急落しているもよう。コメ、パーム油、天然ゴムの国際価格は今年五-七月のピーク時に比べ、足元では四-六割下落しているとのこと。食料不足の懸念から各国が増産を進めた結果、在庫が積み上がり受給バランスが崩れたといいます。

 【後日記】『砂糖の価格調整制度』

 国内の砂糖原料生産者を保護する目的で1965年に始まった。サトウキビ農家や粗糖生産者が助成対象。原資には国庫支出と合わせ、製糖企業が海外の割安な原料糖を輸入する際に支払う調整金を活用する。こうした措置で二~六倍ある原料糖の内外価格差が是正される仕組みだ。日本の製糖企業は原料糖の四割を国産、残り六割を海外から調達する。11/27日経の用語解説から。

 【後日記】『配合飼料、値下げ発表』

 全国農業協同組合連合会(全農)など配合飼料メーカー各社は09年一~三月期の価格を引き下げると発表した。最大手である全農の下げ幅は平均で一トン約12200円となり、過去最大。

 世界的な景気後退や金融危機を受けて、トウモロコシなど配合飼料原料の国際価格が七月から急落。荷動きの停滞から海上運賃も大幅に下がった。同時期に為替が円高・ドル安に振れたため原料輸入価格は一段と下がった。トウモロコシの反落が半年遅れで配合飼料の値下げにつながった格好。

 農家の多くは基金を組み、配合飼料調達価格の急激な上下を緩和させている。そのため、実質的な下げ幅は圧縮され、一割弱となるもよう。

 日経12/20より。

 【参考】『全農7-9月 配合飼料1500円上げ』

 家畜向け配合飼料の前期(四-六月)比販売価格、一トン当たりを平均しておよそ。全国農業協同組合連合会が発表したとのこと。6/21の日経。
 主原料のトウモロコシの国際価格上昇が理由。ちなみにシカゴ商品取引所の期近相場は一ブッシェル七ドル台と過去最高値圏にあるそうです。加えて海運運賃も四月に比べて25%上昇したと言います。

 【後日記】『米国の期末予想に注目』(2009/2/17日経より転載)

 トウモロコシや大豆など穀物の国際相場は、米農務省が毎月発表する世界農産物受給予測が取引の有力な材料となる。中でも注目されるのが米国の期末在庫率だ。

 米国は世界最大の穀物生産国であり、輸出国。さらに世界の穀物先物取引の中心であるシカゴ商品取引所があるため、米国の在庫率が重要となる。

 原油や金属などと違い、穀物需給は日々の在庫変動では把握しにくい。米国では主要な穀物が収穫期を迎える九-十一月に在庫は増える。それ以降はよほど大量の輸入がない限り、翌年の収穫期まで減る一方となる。そのため、期末在庫率を需給の目安にする方法が市場では定着している。

 九月の収穫期入りから始まる穀物年度では翌年の八月が期末。在庫率は、経済状況から予想した八月末の在庫量を一年の総需要で割って算出する。10%を下回ると需給引き締まりのサインだ。

 昨年五月から発表が始まった2008-09年度(08年九月-09年八月)の予想では当初、トウモロコシ、大豆とも10%を切る水準だった。だが、その後の世界的な景気後退で消費が鈍化を見せ始めてからは上昇に転じた。

 直近ではトウモロコシはエタノール向け需要の後退を受けて15.0%に上がった。一方、大豆は中国向けの輸出が旺盛なため、7.1%と依然低い。シカゴ相場(期近終値)は十三日時点で、大豆がトウモロコシの2.6倍。生産コストの関係で2.2-2.5倍が適正とされる中、大豆の基調の強さが目立つ。

 【後日記】『天然ゴムが横ばい基調 国際価格』(2009/2/18日経より抜粋)

 自動車用天然ゴムの国際価格は横ばい基調が続いている。国際指標である東京工業品取引所のRSS3号相場(期近)は十七日終値が一キロ133.0円。今年に入っておおむね130-140円のボックス圏で推移している。需要縮小は続くが、主産国の輸出規制で下げ渋っている格好だ。

 タイ、インドネシア、マレーシアの東南アジア三大生産国は十二月に協調減産に踏み切ることを発表。一キロ135セント以下での輸出を規制することも決めた。三国で世界生産の七割、輸出の八割を占める。東京市場も安値水準では買い戻されやすい展開となっている。

 【後日記】『粗糖5ヵ月ぶり高値』(2009/2/28日経より抜粋)

 粗糖の国際価格が上昇している。ニューヨーク先物(期近)は二十六日の取引時間中に一ポンド13.72セントと2008年十月上旬以来、約五カ月ぶりの高値を付けた。

 主産地ブラジルではサトウキビの四割が砂糖、六割がエタノールの生産に使われる。

 【後日記】『2月の鶏卵補てん金9円』(2009/3/3日経より転載)

 全国鶏卵価格安定基金(東京・千代田)と全日本卵価安定基金(東京・港)は二日、鶏卵生産者に支払う二月の補てん金を一キロ九円に決めた。補てん金の支払いは二カ月連続。東京、大阪地区の卸値から算出した標準取引価格は179.90円だった。補てん基準価格(191円)との差額の九割に当たる九円を補てんする。

 【後日記】『畜産・酪農対策 09年度1901億円』(2009/3/6日経より転載)

 農林水産省は五日、畜産・酪農家などへの補助対策の総額を2009年度に千九百一億円程度にすることを決めた。昨年二月時点で決めた08年度の対策費(千八百七十一億円)と比べると増額となるが、家畜の飼料高でその後に盛り込んだ緊急支援分を含めると減少する計算になる。牛乳の値上げで消費量が減った場合に生産者への影響を緩和する仕組みも設ける。

 千九百一億円の内訳は、純粋な09年度の対策費として千五百八十九億円程度を見込むほか、08年度に予算措置した三百十二億円を翌年度の財源に振り向ける。

 【後日記】『ゴマの対日価格 09年産34%下落』(2009/3/10日経より抜粋)

 ゴマの主要な対日輸出元である中南米から2009年産の出荷が前年同期比34%安い一トン1900ドル台(食用、運賃込み)で始まった。

 【後日記】『国産肉 下げ続く』(2009/3/19日経より抜粋)

 国産和牛はスーパーなどで売られることが多い和牛去勢A3(東京市場、三月第二週)が一キロ千四百五十八円。前年同期より16%安く、2002年七月以来の安値だ。比較的高級な和牛去勢A4(同、同)は千七百十三円で前年比15%安。普及品といえる交雑種去勢B3は14%安の千百三十四円だった。

 鶏もも肉の卸値(東京、加重平均)は一キロ五百五十円前後で直近ピークの08年四月(七百五十円前後)から二割超下落した。豚肉の卸値(東京市場)も三月上旬は前年より三割近く安い一キロ四百三十-四百四十円台。

 【後日記】『8年7ヵ月ぶり ラード値下がり』(2009/3/19日経より抜粋)

 とんかつやラーメンに使う油脂のラードが2000年八月以来、八年七カ月ぶりに値下がりした。斗缶品(十五キロ)の三月の元卸価格は二千九百五十円が中心で前月より約二百円(6%)安い。

 食用油脂の主力である大豆油や菜種油はすでに原料安もあって大きく値下がりしており、ラードも需要家の値引き要求が強まったもようだ。

 ラード原料の豚脂が値下がりしたこともメーカー出荷価格引き下げの背景。豚脂は飼料向けなどの需要も少なく、一月から三月にかけて二割値下がりしたという。

 【後日記】『パーム油、2ヵ月連続上昇』(2009/5/12日経より抜粋)

 パーム油の五月の需要家渡し価格は、一キロ七円上がり百十円が中心。四月には十一カ月ぶりに値上がりし、約三円高となっていた。

 日本の輸入価格の指標となるマレーシア・クアラルンプール市場のパーム原油先物価格は、過去半年間で八-九割上がった。

 マレーシアやインドネシアからの日本のパーム油輸入量は2008年までの十年間で五割増えた。最も安い価格が魅力だ。例えば四月時点の大豆油は、値下がりで決まった大口需要家でも一キロ百四十五円。パーム油は百三円で三割近く安かった。

 パーム油・・・油ヤシからつくる植物油の一つ。世界で最も生産量が多く、マレーシア産とインドネシア産が主力。食用以外にせっけんなど工業用途もあり、パームかすは配合飼料に使う。日本には製油されたものが輸入されている。

 【後日記】『粗糖 3年ぶり高値』(2009/5/16日経より抜粋)

 粗糖の国際価格が上昇基調を強め、約三年ぶりの高値水準となっている。世界第二位の生産国インドが生産減や国内消費拡大の影響で輸入に動き、需給に引き締まり感が強まった。これを材料視したファンドの買いも上昇に拍車をかけている。ただ急激な値上がりに警戒感も出ており、一時的に調整が入る可能性もある。

 指標となるニューヨーク先物(期近)は十四日の終値が前日比0.07セント高の一ポンド15.47セントとなった。十二日に15.72セントと2006年七月以来の高値水準となった後も同値圏で推移している。

 【後日記】『コーヒー先物、ロンドン低迷よそに・・・ NY、中米産品薄で高値』(2009/5/19日経より抜粋)

 コーヒーの国際指標価格の動きが二極化している。ニューヨーク市場の先物が五月に入り上げ足を速めているのに対し、ロンドン市場は年初から下げ基調が続く。上場品種の違いが背景にあるが、コーヒー全体で見ると需給にさほど逼迫感はない。今後、ニューヨーク先物の上値は重くなる公算が大きそうだ。

 ニューヨーク先物(期近)は一ポンド125セント超で推移しており、半年ぶりの高値水準となっている。一方、ロンドン先物(同)は一トン1480ドル前後。直近の高値だった一月下旬から14%下落した。

 現在の需給は「中米産のアラビカ種は非常に品薄だが、ロブスタ種は十分ある」(輸入商社)状態だ。ニューヨーク市場は中米産アラビカ種が対象で、ロンドンではロブスタ種が取引されている。

 コーヒー豆の現物はニューヨーク先物に割増金を上乗せして値決めする。品薄になったコロンビア産の割増金は急騰し、四月に過去最高の一ポンド50セント台、五月上旬には90セント近くに達した。

 ただ世界全体のコーヒー需給を見ると、今年度は余り気味の年に当たる。世界最大の生産国、ブラジルでは一年おきに豊作と不作を繰り返す。今年度は豊作の年で五千万袋近く生産されたと見られ、「ブラジル産が余っており、中米の不足分をカバーしている」(総合商社)。

 世界第二位の生産国で、ロブスタ種を多く作るベトナムもここ数年、生産量は高水準を維持している。

 【後日記】『5月の鶏卵補てん金28円』(2009/6/2日経より要約)

 東京、大阪地区の卸値から算出した標準取引価格は159.01円だったそうです。

 【後日記】『農家向け融資 2年で2.7倍』(2009/6/20日経より転載)

 日本政策金融公庫の農業向けの融資実績が急増している。経営改善などに取り組む農家を対象にした融資は2008年度は1401億円で、06年度の522億円の2.7倍に上った。同融資は07年度から実質的に無利子で受けられるため、近年の燃料や飼料などの価格高騰の影響で資金繰りの厳しい農家を中心に利用が広がった。

 08年度の融資先の部門別の内訳では酪農が244億円で最も多く、次いで肉用牛農家が231億円だった。とくに設備投資の負担が重い畜産業で多く利用された。

 融資の条件としては、農家は5年後の具体的な経営規模などを定めた計画書を作成し、市町村から認定を受ける必要がある。認定を受けた農家には国や自治体から利子が助成される。国などの利子助成が増え、実質無利子となった07年度から利用が急激に伸びた。

 【後日記】『民主議員招待の鶏卵生産者大会 農水省が中止を要請』(2009/7/15日経より転載)

 農林水産省は14日、鶏卵生産者でつくる日本鶏卵生産者協会が昨年2月に開いた全国大会の中止を協会側に要請していたことを明らかにした。協会が民主党議員を来賓として招いたことに反発した自民党の農林族議員に同省が配慮した。大会は予定通り開かれたが、農水省側は中止しない場合、生産者の所得補償や補助金を減らす趣旨の発言もしたという。

 大会は昨年2月12日に東京都内で開催。同省によると、同6日の自民党の畜産・酪農関係の会合で大会を問題視する意見が出たため、中止を求めた。同省は「卵の価格は与党と相談して決めている。大会が開かれれば鶏卵農家の要望が反映されにくくなると考えた」としている。

 【後日記】『コンニャク粉 輸入5倍』(2009/8/8日経より転載)

 コンニャク粉の輸入が急増、特別セーフガード(緊急輸入制限)が発動され、追加関税がかかる可能性が高まっている。初めて発動された2008年度から2年連続となり、商社などが基準数量に達する前に輸入を急ぐ動きが強まりそうだ。

 農林水産省によると4~6月の輸入量は153トンで前年同期の5倍に達した。09年度は輸入量が基準数量の240トンを超えると特別セーフガードが発動される。過去の不作で国産コンニャクイモが不足し、輸入品への引き合いが強まっている。

 輸入量はミャンマー産が148トンと前年同期の7倍に急増した。後発発展途上国(LDC)であるミャンマーからは関税ゼロで輸入できるため、中国などから輸入先のシフトが進んでいる。

 コンニャク原料は政府が1キロ2796円の関税を課して国産を保護している。08年度の平均輸入単価約800円に対し3.5倍近い。

 【後日記】『ホクレン チーズ用原料乳値下げ』(2009/9/15日経より転載)

 ホクレン農業協同組合連合会(札幌市)は14日、乳業メーカー向け生乳価格(乳価)のうち、チーズ向けを1キログラム当たり最大9円(16%)下げることで明治乳業など大手・中堅9社と合意したと発表した。10月1日から実施する。チーズの国際価格が下落し国産の価格競争力が低下していることに配慮した。

 需要の8割以上を占めるゴーダ・チェダーチーズ向けを9円下げ46円、カマンベールなどその他のチーズ向けを5円(9%)下げ50円にする。牛乳向けなどを含む乳価全体では平均3%程度の引き下げになる。

 チーズの国際価格は2007年に1トン当たり6000ドルと前年の倍近くに高騰。飼料価格の上昇もあり、ホクレンは今年3月から乳価を平均7%引き上げた。しかし、世界的な景気後退などで、直近の国際価格は3000ドル台まで急落。一方で国内の原料乳の価格は下がっておらず、「国産チーズの販売量が落ちている」(ホクレン)という。

 ホクレン側は酪農家の厳しい経営もあり乳価を維持したい考えだった。一方、乳業メーカーは値上げに加え不況で牛乳の販売自体が低迷していることもあり難色。チーズ向け乳価の引き下げで、ホクレン側が譲歩した。

 【後日記】『国産大豆ミール6%安』(2009/9/17日経より抜粋)

 飼料用の国産大豆ミール(大豆かす)が3四半期ぶりに値下がりした。日清オイリオグループなど食用油メーカーが、全国農業協同組合連合会(全農)など飼料メーカーに販売する10~12月期の価格は1トン5万1750円が中心で、7~9月期に比べ3500円(6%)安い。指標となる海外の先物の値下がりを反映した。

 シカゴ商品取引所の大豆ミール先物は15日時点で、6月につけた今年の最高値と比べ3割安い。原料大豆の先物が良好な天候などを理由に値下がりした影響を受けた。

 【後日記】『食肉在庫13%増 7月末』(2009/9/26日経より抜粋)

 農畜産業振興機構(東京・港)のまとめによると、7月末の食肉の国内在庫(牛・豚・鶏の合計)は44万トンとなり、前年同月に比べ約13%増加した。前年を上回るのは13カ月連続。末端需要の低迷が影響しており、在庫は依然として高水準で推移している。

 【後日記】『輸入小麦23%値下げ』(2009/10/3日経より転載)

 農林水産省は2日、国が管理している輸入小麦の売り渡し価格を主要5銘柄の平均で23%引き下げ、16日から1トン当たり4万9820円に改定すると発表した。国際相場の下落を反映させた。4月(14.8%引き下げ)に続く2回連続の下方改定となる。

 輸入小麦の売り渡し価格の改定は年2回。銘柄別の引き下げ幅は中華めんやパンなどに使う米産麦「ノーザン・スプリング」が23%、うどんなどに使う豪州麦産が27%、カステラなど菓子向けの米産麦が18%となる。

 製粉各社は製パン、製めん会社などに販売する小麦粉価格の引き下げの検討に入った。日清製粉や日本製粉などの大手は1カ月程度の在庫を抱えているとみられ、値下げ時期は11月下旬の可能性が高い。農水省は11月以降の消費者物価上昇率を0.02%押し下げる要因になると試算している。

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2008年5月18日 (日)

フィリピン向け コメ5万トン輸出検討

 一昨日の日経によると、社団法人の米穀安定供給確保支援機構が、2005年の豊作時に買い取ったコメの在庫六万八千トンのうち、五万トンを商業ベースで輸出する案が浮上してきたそうです。

 一方、『食料援助 輸入保管米の活用拡大』記事であります。
 米国の通商代表部がミニマムアクセス米の輸出を認める内容の声明を発表したそうです。ミニマムアクセス米は世界貿易機構(WTO)での交渉で、日本が市場開放を求められたのを受け、米国やタイ、中国などから年間約77万トンを政府が商社を通じ関税をかけず輸入するようになったコメで、昨年十月末時点で在庫は152万トンだそうです(累計では832万トンで、うち220万トンは援助用に使われたそうです)。米国産は四割を占め、米国はこれまでは日本国内での消費を求めてきたそうです。

 【後日記】『備蓄米の販売 卸団体も要請』

 5/22の日経記事によれば、日本米穀小売商業組合連合会(東京・千代田)に続いて、全国米穀販売事業共済共同組合(東京・千代田)も、政府備蓄米の販売再開を求め農林水産省に要望書を提出したそうです。
 昨年の政府の米対策の影響で卸間取引価格が上昇しているうえ、新米が出回るまでの間に一部銘柄米の不足が懸念されることを理由に挙げているそうです。

 【後日記】『SBS入札に遅れ コメ国際相場高騰で』

 5/30の日経から。
 輸入米の売買同時入札(SBS)のスケジュールに遅れが出ているそうです。SBSは売り手(商社)と買い手(卸)が連名で入札し、コメを年間10万トン輸入するのだとか。入札は年四回程度で、実施の三週間程前に商社などに通知されますが、今年はまだ動きがないのだそうです。
 一方、四月に農水省が実施したミニマムアクセス米の買い付けは落札ゼロに終わり、年間輸入枠77万トンのうち2007年度は6万トン強を残しているそうで、これを未消化のままにするか追加入札をするのか、対応が決まらないうちにSBS入札はしにくい事情もあるようです。

 【後日記】『飼料米、穀物高騰で注目』

 国内ではトウモロコシなど家畜飼料の高騰で飼料米が注目されているんだそうです。6/10の日経より。

 農水省も2007年度補正予算で助成策を盛り込んだそうです。今後も各地で作付けが大幅に増えそうです。ただ、期待されている休耕田対策や主食米の過剰生産回避の効果については、実際には大豆から飼料米への転作が多くなる可能性もあり即効性は薄そうです。

 供給過剰対策として主食米の飼料転用もあります。07年度、政府は前年度より約二割多い46万トン前後を放出したとのこと。MA米売り渡し価格は輸入トウモロコシより割安ですが最近は上昇傾向にあるそうです。また、08年度はコメの国際相場高騰でMA米入札が低調な一方、フィリピン向け輸出の検討が進むなど、飼料用にどれだけ流通するかは流動的と言います。

 飼料米・・・家畜飼料用に栽培されるコメ。主に多収量米や、主食米と収穫期が重ならない極早生米を作付けしている。収穫した米粒を主に養豚、養鶏向けに使う。稲わらごと使うイネ発酵粗飼料(WCS=ホール・クロップ・サイレージ)は牛の肥育向け。
 飼料用米以外に主食用などから転用される場合がある。主食米への流用を防ぐため破砕して使う。

 【後日記】6/11の日経によると、農水省が政府備蓄米販売を実施、07年産米は高値で全量落札されたそうです(倍率8.2倍、秋田産あきたこまち・新潟産コシヒカリ落札価格ははそれぞれ公設の米価格センターの直近値と比べ27%・24%増)。
 ただ、パンや麺の値上げが相次ぐ中「コメは上げないでという量販店の要望は強い」(大手卸)と言い、また、大手量販店も主に収穫前後に産地や卸と数量・価格を決める事情があり「不作でもないのにコメ価格が上がることに理解は得られない」(中堅スーパー)と言います。
 今回の入札では業務用などの需要が多い低価格の05年産が07年産の申込数量を上回ったようです(倍率12.2倍、94%が落札される)。 政府米の入札も隔週で予定されており店頭価格への影響は限定的と見られるそうです。
 政府は08年産米の作付面積の削減(前年比6%、10万ヘクタール分)を目指していますが、「高値で売れるとの期待から農協に出荷しない生産者が増える」(東北地方の農協)との見方もあるそうです。また、生産調整で飼料用のコメが減り主食用米の過剰が続く可能性もある、としています。

 政府備蓄米入札・・・政府が不作に備えて保管する備蓄米を、卸会社などに販売する際の入札。一般競争入札によって、古くなったコメから順番に販売する。備蓄米は適正水準を百万トンと定めており、十月末時点で八十八万トン。
 2007年十一月から08年五月までは、政府の米価対策のため販売を停止していた。(日経12/12より転載)

 【後日記】6/21日経。農水省は毎月十万トン程度のMA米を入札にかけるそうですが、加工用のMA米の落札価格が上昇しているとのこと。年二十~三十万トンがみそやせんべいなどの原料になるそうですが、加工業者がMA米の在庫圧縮が進むと見て手当てを急いでいるようです。農水省は古い年度分を優先的に飼料向けに販売するそうで、加工業者向けに05年度輸入契約分が入札にかけられるのは今回で最終だったもよう(古い年度の方が安い)。首相は今月の食料サミットでMA米在庫のうち、三十万トンを放出する用意があると表明しており、かつて二百万トンを超えていた在庫が一気に百万トン以下まで整理されると見る向きもあるようです。特定米穀(規格外のコメ)も猛暑や稲作技術の進歩などで発生量が減りつつあると言います。みそ業界では今春、相次ぎ製品値上げしたばかりで、全国味噌工業協同組合連合会からは、再値上げは消費者の理解を得られない、と苦慮する声も上がっているそうです。

 【後日記】『米菓までなぜ値上げ』

 と題した8/3の日経「エコノ探偵団」から要約します。

 米菓に使うのは国産米の中でも「特定米穀」と呼ばれるコメ。粒が小さい、割れているなど主食用に使えず、「くず米」とも呼ばれる。主食用のコメがパンやメンなどに押され消費低迷気味で価格が中長期的に下落傾向にある一方、米菓向けの特定米穀は二年前に一キロ八十円台だったのが今では百三十円を超えている。

 減反政策でコメの収穫自体が減ったうえ、農家がくず米の出やすい品種の栽培を減らした影響もありそうだ。全国米菓工業組合(東京・港)によると、米菓の生産量は07年に21万9千トンと三年前の6%増。需要が好調な中、原料の特定米穀が不足している。

 ミニマムアクセス米とは政府が輸入する米のことで、ガット(関税貿易一般協定)の1993年の交渉で年間77万トンの輸入を義務付けられた。国内消費量の約一割にあたる。このうちの米国産などのコメが米菓に使われており、07年には米菓原料の二割を占めた。米国産の米菓向け輸入米は一年で約四割値上がりし、くず米並みになっている。

 輸入したコメを保管する深川政府倉庫(東京・江東)は農水省の管轄。ミニマムアクセス米の今年三月末時点の在庫量は130万トン。ピークの06年十月末に比べて約三割減少した。米菓などに使う加工用の輸入米の価格が値上がりしているのは、輸入米を06年に畜産の飼料用に販売し始めたことや、食料援助用に活用していることが影響している。飼料用や援助用には比較的古くて安価な輸入米が充てられる。その分、加工向けには従来よりも新しく高価な輸入米が充てられ、価格上昇につながっている。

 援助や飼料に輸入米を回すと、政府には損失が発生する。援助用は無償や低価格で販売せざるを得ない。飼料用もトウモロコシ価格と同等の価格でしか売れず輸入時の価格を下回っている。だが、輸入米は政府倉庫にだけでなく民間からも倉庫を借りて保管しており、コメの輸入(ミニマムアクセス制度)が始まった95年度から06年度までの累計で千百億円にのぼる。売買差損よりも実は倉庫代の方が負担が大きい。

 【後日記】『木徳神糧の営業益 1-9月75%増に』

 コメ卸売り大手の木徳神糧の08年1-9月期は、連結営業利益が10億円超と前年同期比75%増になったもようとのこと。小麦価格の高騰でパスタやパンの値上げが相次ぐ中、コメの販売が堅調。国内産米に品薄感が強まり、販売価格が下がらなかったことが採算改善につながったといいます。10/11日経。

 【後日記】『09年度の政府保管輸入米 飼料向け放出量4割減』(2009/4/9日経より抜粋)

 政府が一括買い入れ・保管する輸入米の2009年度家畜飼料向け放出量が約十七万四千トンと前年度比42%減の見通しとなった。四-六月の売り渡し価格も輸入飼料価格の下落を映し、ピークだった昨年十-十二月期の半分まで下がったが、当面の放出量は大幅に減る。

 設定した放出価格では差損が生じる可能性も高い。09年度から国内で飼料米作付けに手厚い助成制度を設けた。飼料米の増産が見込まれるのも放出削減の背景にあるとみられる。

 飼料業界への放出対象はここ数年、全量がミニマムアクセス(MA)米。

 【後日記】『ミニマムアクセス米 飼料用に臨時販売』(2009/5/22日経より抜粋)

 農林水産省はミニマムアクセス(最低輸入量、MA)米を飼料用に臨時販売する。四半期ごとに販売している通常の飼料用MA米とは別に、国産米の使用料に応じて申し込みを受け付ける。

 国産飼料用米を年間五百トン以上使う畜産の生産団体が対象で、国産米使用料の二倍を購入の上限とする。予定価格を設定し随意契約で販売価格を決める。四-六月期の飼料用MA米価格の一トン二万一千円強などが基準となる見通しだ。

 飼料用米は主食用に比べ価格が安いため、2009年度から飼料米の生産者に十アール当たり最大八万円を助成する制度を導入した。こうした中で国産飼料用米の定着をめざす。

 MA米の輸入量は年間約七十七万トン。このうち08年度は四十五万-五十万トンが飼料用として販売されたとみられる。MA米の輸入価格は一トン七万円程度(07年度)。飼料用として低価格での販売が増えると差損が膨らむことになる。

 【後日記】『タイのコメ輸出量急減』(2009/6/26日経より転載)

 タイのコメ輸出量が急減している。タイ米輸出業協会によると今年1~5月の輸出量は前年同期比29.3%減の390万トンに落ち込んだ。タイ政府が農家の支援策として政府買い入れ価格を高く維持したのに伴い、輸出価格も上昇し、価格面で国際競争力が低下している。ベトナムやインドの輸出量は急増しており、タイが今年「コメ輸出世界1位」の座から転落する可能性がある。

 タイ政府が目標とする今年のコメ輸出量は800万~850万トン。ただ途上国での需要が高い代表銘柄の価格は、タイ産米が1トン当たり560~570ドルなのに対し、ベトナム産米は同410~415ドルと安い。タイ米輸出業協会のチューキアット会長は「高いタイ米は国際市場で人気がなく、目標達成はほぼ不可能」とみている。

 コメ輸出世界2位のベトナムは2009年の輸出目標を600万トンとしているが、低価格のため引き合いが強く、通年の輸出量は1050万トンに達する可能性が高いという。輸出3位のインドも輸出規制を緩和し、通年輸出量は800万~850万トンになる見通しだ。

 昨年、食料危機が叫ばれる中でタイは輸出を規制しなかったため需要が拡大し08年通年は1000万トンを輸出した。

 【参考】『「コメ輸出制限せず」 タイ商業相が明言』

 タイのミンクワン副首相兼商業相は、日本経済新聞記者との会見で、「タイがコメ輸出を制限することは絶対にない」と明言したそうです。日経2008/5/17より。

 コメの国際価格は輸出量二位のインドや同三位のベトナムなど、主要輸出国が国内消費を優先して輸出を止めたため、年初から2.5倍に跳ね上がっています。

 輸出制限しないことについてミンクワン氏は、「商売ではなく最大輸出国の責任だ」と言っています。また、主要生産国は単位面積当たりの収穫量を増やせるよう技術や情報を交換し世界不安の解消に向け協調すべし、ともしています。

 【参考】日経2008/6/6によれば、タイ商業省が政府備蓄米(の約半分に相当する110万トン程?)を国外放出する方針を明らかにしたそうです。タイ米の輸出価格は国際取引指標となっており、高止まりしているコメ国際価格の安定化を狙う、としています。

 【後日記】『加工用米14%引き上げ』(2009/6/13日経より転載)

 全国農業協同組合連合会(全農)は米菓やみそ、清酒などに使う加工用米の販売価格を2009年産で14.3%引き上げると需要家に通告した。変形加工品(破砕精米)の収穫前契約価格は1キロ160円で前年産より20円高。集荷を増やすための費用上昇分を転嫁するためで、引き上げは2年連続。

 全農の加工米は08年産の販売量が前年より11%少ない13万4000トンにとどまった。政府の生産調整(減反)に伴う補助金が増えた大豆や麦などに生産がシフトしたことなどが影響したとみられる。全農は集荷増のため生産者に支払う仮渡し金を09年産で60キロ6800円(8%)に引き上げることを決めており、販売価格に上乗せする。

 集荷量が見込みにくいことから、需要家ごとに契約当初の掲示数量を前年実績の6割に抑えた。昨年の作柄が確定する秋までに最終的な契約数量を決める。

 昨年の事故米事件を機に、輸入のミニマムアクセス(最低輸入量)米から切り替えるなど国産加工用米に対する需要は増えている。「組合員の購入希望数量は前年より1割以上多いので、集荷には万全を期してほしい」(全国味噌工業協同組合連合会)との声が出ている。

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2008年4月28日 (月)

農業維持の費用対効果

 昨日の日経に東大の松井彰彦氏が日本農業について稿を寄せていました。その内容には以前から関心があって、知りたいと思っていました。

 日本の食料自給率が今や39%であることは度々耳にしますが、純輸出国の米国やフランスは別として、ドイツ84%・英国70%(ともに2003年)に関して言えば、1961年時点で日本の78%に対し、それぞれ67%・42%に過ぎなかったと指摘しています。どれだけ日本が安全保障上の観点に欠けていたのか、と言うわけです。

 また安保観点以外にも、農業が他の経済主体に与える経済効果の重要性を示唆しています。

 例えばコメ市場に限定して考えても、自由化による国民全体の直接的な便益が一兆円と言われていますが、コメ生産地での水不足による環境負荷(を示す指標)が二十倍を超え、食糧輸送による環境負荷(を示す指標)が十倍になるとすれば、一兆円(GDPの0.2%)を、日本の原風景と言える稲田の保全に対する人々の少しずつの負担と捉えれば、決して法外とは言えないと主張しています。

 そのような外部性や安全保障を定量的に評価して、農業保全への対価を我々が支払うことに異存はないとした上で、この対価を、耕作を放棄し転用益を狙う地権者や、流通独占によって中間マージンを稼ぐ農協などに支払うとなると話は別である、と言っています。

 明治学院大学教授の神門善久氏は1990年代に農地転用による収入が農作物生産額を上回った点などを指摘し、「恣意的な農地規制の運用を正し、錬金術まがいの転用期待を減殺すること」によって、自動的に農業の担い手も現れ、日本の農業は活性化するのではないか、と言っているそうです。

 また、日本農業研究所研究員の佐伯尚美氏は、農家への補助金を担い手に直接支払うよう求めているそうです。農協職員の人件費は一兆数千億、販売農家が農業で稼ぐ所得の半分近くに相当するそうです。

 農家への補助金が結局、農協職員の給与に回るのでは、何のための補助金であるのかわからないし、農協による農家の締め付けについても併せて独禁法違反で取り締まるべき(創意工夫をする農家や農産物加工業者が独自の流通経路や資金調達を通じ新しい試みに挑戦できる場が必要)としています。

 最後に、我々国民自身が当事者意識を持って判断・行動することの重要性を訴えています。

 【後日記】『コメ、消費低迷も政策で上昇 国際価格は波及せず』

 日経5/2の連載記事『価格の軌跡』です。本日は㊥巻です。以下に要約。

 国内のコメ価格は国外とは別の理由で上昇しています。日本のコメ消費は低迷しており、価格も長期下落傾向にありましたが、昨年政府が農家対策として備蓄積み増しを決定してからは一転しました。人為的な需給調整の結果、新米が出回るまで不足感が出たわけです。

 小麦価格高騰でコメ業界関係者はコメ消費の追い風になると期待していますが、消費低迷でコメ余りが解消されるのは難しそうです。

 数少ない例外としては、1993年、長雨と冷夏が響き、戦後最悪の凶作となり、自主流通米価格形成機構(現コメ価格センター)の入札は深刻なコメ不足に停止を余儀なくされ、政府はコメの緊急輸入を決定しました。94年が豊作になるとコメ騒動は急速に鎮静化しました。

 (当時大学生だった私も未だに覚えています。タイ米を購入していましたが、世間で言われているよりはずっと良い味だったと記憶しています。なお、翌年の夏は(去年の夏を経験するまでは)私の体感上で最も暑い夏でした。)

 さて、自主流通米価格形成機構は90年に市場原理の導入を目指して始まったわけですが、93年の大凶作は政府管理の限界が露呈した年でもありました。

 コメ増産が至上命題であった戦後には食糧管理法で生産や価格を統制する時代が続きました。

 昭和四十年代にコメが余剰に転じると、政府の事実上の管理下で、民間が流通を担う自主流通米が広がったのですが、不作が鮮明になると、こうした正規ルートへの出し渋りが相次いだのです。

 今、一人当たりの消費量はピーク時の半分程度で、08年産においては十万ヘクタールの減反上積みが必要とされています。

 不作と政策以外に価格が上がらない日本のコメに、国際的な食糧価格高騰の流れは訪れそうにありません。

 【後日記】『農業生産法人の設立要件緩和を』

 日経5/14記事より。経済財政諮問会議の民間議員は本日の会合で、農業生産法人設立への要件緩和を求める、としています。規制撤廃を促し、参入企業による自由な経営が、安価で質の高い農産物を生むと考えています。

 【後日記】5/15の日経によればイオンが販売しているPB商品(米)を2010年産で08年産比2.5倍に増やすそうです。JAとだけではなく農業法人(秋田県)とも契約を結び、販売価格を市販同等品の二割安に抑える見込みです。

 【後日記】『リサイクル飼料使った豚肉販売 イオン』
 5/31の日経によればイオンが六月から食品廃棄物のリサイクル飼料で飼育した豚の肉を関東の55店舗で販売するそうです。改正食品リサイクル法に基づく「再生利用事業計画」の認定を取得、市町村の単位を超えて食品廃棄物を回収できる体制が整ったとしています。
 改正法に対応した再生利用事業計画の認定を受けるのはイオンが初めてになるそうです。

 【後日記】『官房長官表明 減反政策見直しを』

 6/1の日経によると政府高官が減反政策見直しに言及するのは初めてとのことです。既にEUでは穀物価格高騰を受けて減反政策の完全撤廃を検討。自民党内でも「日本の活力創造特命委員会」(委員長・谷垣禎一政調会長)が減反政策見直しを提言する方向だそうです。

 減反政策は1960年代後半から始まったコメ余りを受けて71年から本格的に導入されたそうで、政府は代わりに小麦などを生産するよう補助金を交付しているとのことです。

 日経は、農家や農林族議員の反発が予想され、どれだけ抜本的な改革ができるのかは未知数、としています。

 【後日記】『食料危機の解決に短期と長期の視点を』 (日経6/4社説より抜粋)

 長期的には、日本を含め世界規模で食料生産を拡大する必要がある。日本の食料自給率はカロリーベースで39%と、先進国でも目立って低い。自給率を高める知恵を絞るべきだが、その目的を大義名分として市場を閉ざしたまま国内農業を保護する発想は誤っている。

 自給率の向上は国内での生産性の向上が絶対の条件となる。数年前までは、国産と輸入農産物の価格差を埋めるのは「不可能」とみられてきた。国際価格の上昇で国産の高品質の果実ばかりでなく、主食であるコメも価格差はぐっと縮まった。

 一方で耕作放棄地が増えている現実も踏まえ、農業に競争力を持たせるように農政の発想を根本から転換すべき時が来ている。高率関税という防壁だけに頼り、国内価格を人為的に高く保つ政策は、国内農業を強くすることにはつながらない。今回の食料危機は日本の農業に改革の加速を迫っていると考えるべきだ。

 世界的な農産物の生産と消費の偏在を解消するには、農産物の貿易を円滑化する手段を講じるべきだ。グローバル経済では工業品と同様に農産物も自由貿易が大原則だ。輸出規制も輸入規制も原則に反している。

 という内容です。要は何事もつまらん小細工を弄す必要はない、ということです。そもそも消費者に理念があれば、少々高くても国産を買うので関税云々は関係ないし、むしろ規制撤廃によって国産の競争力UPが図れるなら長い目でそっちの方がずっと良いわけです。

 【後日記】『三菱化学、植物工場に参入』
 野菜栽培ベンチャーのフェアリーエンジェル(京都市)に二億五千万円を出資するそうです。6/5の日経より。フェアリーが福井県美浜町で建設中の工場で今秋から共同実験を始めるそうです。毎時二十キロワット分の発電能力を持つ太陽電池と一千~二千個のLED照明を導入、一~二年かけて最適な育成条件を探る、としています。

 植物工場・・・人工光や液体肥料を使い、温度や湿度などを制御しながらレタスなどの野菜を効率的に育てる施設。天候に左右されない安定生産が可能なうえ、空間を有効活用できるため単位面積あたりの生産量も通常の農地より多い。国内に約四十カ所あるとされる。都市部の地下や廃工場内などでも栽培でき、産地から消費地までの輸送距離短縮にもつながる。

 【後日記】『減反政策やめ増産目指せ 支援は直接支払いで』

 6/10の『経済教室』は食料高騰下の農業政策㊤です。執筆は山下仁・前農林水産省農村振興局次長です。以下に要約します。

 各国の貿易政策で、国際農産物市場は各国の国内市場と分断・隔離されている。各国は国際価格低迷時には関税で安い農産物が入らないようにし、国際価格が高騰すると輸出税をかけたり輸出数量を制限したりして国内消費者への供給を優先するからである。

 工業製品と異なり、穀物は生産量の15%が貿易されるに過ぎず、僅かの需給変動が貿易量や国際価格を左右する。1973年に穀物価格が三~四倍に高騰し、食糧危機が叫ばれた折、世界の穀物生産は三%減少しただけだった。

 95~97年に穀物の国際価格が上昇した際、EUは輸出補助金を止め輸出税を課して途上国への食料供給より域内市場を優先した。現在、インド、ベトナムが輸出を禁止し、ロシア、中国は輸出税をかけている。

 ウルグアイ・ラウンド交渉で、農産物に関し日本は輸出禁止などの輸出数量制限措置を規制することを提案した。しかし、インド代表から「不作の時に国内供給を優先するのは当然」と反対される。「これまで国内農業を保護するため高関税で輸入しないと言いながら、困った時には輸入させろというのは虫が良すぎる」との指摘もある。インド代表が言うように、国内で飢餓が起きているのに他国に輸出しろというのは現実的でない。

 日本は高関税で支えられた高い農産物価格によってコメなどを保護しながら、一方で麦やトウモロコシなどを大量に輸入し世界一の農産物輸入大国であり続けた。食料自給率の低下は食生活の洋風化が原因とされているが、そうだとしても、米価を下げ麦価を上げる政策をとれば、これ程までには低下しなかったろう。60年代には米価を大幅に引き上げる一方、麦は生産者価格を物価上昇程度しか上げず、消費者価格はむしろ引き下げられた。

 高米価はコメ消費減に拍車をかけた。一人当たり消費量は過去四十年間で半減したが、コメは生産が刺激され過剰となり、70年から減反や転作による生産調整を続けている。一方、麦の生産量は、その後の振興策にも関わらず100万トン強と60年の四分の一の水準に止まる。現在でも500万トン相当のコメを減産する一方で700万トン超の麦が輸入されている。

 95年の食管制度廃止後も米価を維持しようと生産調整が続いている。これは供給制限カルテルであり、高い価格というコスト負担を強いられているのは消費者である。にも関わらず、生産調整面積が110万ヘクタールと水田全体の四割超に達しているのに、米価はむしろ下落傾向にある。生産調整では、麦や大豆などへの転作を通じ、自給率向上を狙い補助金を支払うのだが、実際に作物が植えられているのは43万ヘクタールに過ぎない。米価を維持しようとすれば生産調整を更に拡大する必要があるが、農家の側に、もはや減反は限界との意見が強い。

 公共事業などで110万ヘクタールの農地を造成したのに、逆に260万ヘクタールの農地が宅地などへの転用と耕作放棄で消滅した。今では摂取カロリーを最大化できるイモとコメだけを植えれば辛うじて日本人が生命を維持できる460万ヘクタールが残るのみだ。農業には農産物供給以外にも、水資源涵養や洪水防止といった多面的機能があると言われているが、それも米作の生産装置である水田を水田として利用してはじめて発揮できることを認識すべきである。

 生産調整と価格維持を軸とした従来のコメ政策の誤りはもはや明らかである。今後四十年間で一人当たり消費量が更に半分となれば、2050年頃にはコメ消費量は現在の850万トンから350万トンになるだろう。生産調整は210万ヘクタールに拡大し米作は50万ヘクタールで済んでしまう。

 筆者の試算では、生産調整を止めれば米価は現在の中国産米輸入価格を下回る約9500円/60キログラムへと低下し、国内需要も1000万トンに拡大する。食管制度以来、農業団体は「米価を下げると農業依存度の高い主業農家が困る」と反論してきた。ならば現在の14000円から価格が下がった分の約八割を彼らに補てんすれば良い。流通量700万トンのうち主業農家のシェアは四割なので約1600億円で済む。これは生産調整カルテルに参加させるため農家に払っている補助金と同額である。

 主な所得を農外から得ている兼業農家も主業農家に農地を貸せば現在年10万円程度の農業所得を上回る地代収入が得られる。主業農家の規模が拡大してコストが下がれば、受け取る地代も増加する。

 財政的な負担は変わらない上、価格低下で消費者はメリットを受ける。更に、日本の人口は減少するが世界の人口は増加する。これまで国内需要にしか目を向けてこなかったことが農業のじり貧を招いたが、需要先を海外にも広げるのが良い。価格が安くなったコメを日本が400万トン輸出したとしても中国の穀物需要の1%に過ぎない。食糧危機が生じた際には、輸出していたコメを国内に向けて飢えを凌げば良い。

 EUも生産調整を廃止しようとしている。筆者は数年前からコメの生産調整廃止を主張してきたが、農政は抜本改革に後ろ向きだった。政府首脳からも減反見直しを示唆する意見が出ているこの時期こそ、戦後の消費者負担型農政から脱却し、輸出によって農業を縮小から拡大に転じる好機である。これこそが日本が食糧難時代に行える国際貢献であり、かつ、日本の食料安全保障につながる政策である。

 【後日記】『国産への切り替え着実に』

 6/11『経済教室』食料高騰下の農業政策㊦です。執筆は大澤信一・日本総合研究所主任研究員。以下、備忘目的で部分的に抜粋し転載しています。

 1960年代以降の経済成長の過程で実現した洋風の豊かな食生活の構造は、主として畜産飼料と植物油脂原料の輸入で支えられている。自給率は前者が25%、後者に至ってはわずか2%である。この輸入穀物を栽培面積で換算すれば約1200万ヘクタールにも及び、それは国内全耕地面積の2.5倍強、国土面積の三分の一にも相当する。

 この点で、油脂や畜産品の摂取量が少ない、伝統的な和風の食事に目をむけることは重要な課題となろう。ただ、いずれにせよ農業を再生し農地面積を拡大して輸入穀物の大きな部分を国産化するという構想は超長期にはともかく、短中期には現実的な改革論とはいえないのである。

 とはいえ、海外との関係強化だけで国内が手をこまぬいているわけにはいかない。国内農業がまず取り組むべきは消費者ニーズを見据えて川下から国産農産物への切り替えを進めることだ。価格の優位性が求められる油脂原料や家畜飼料では輸入品の国産代替は基本的に難しい。だが最近の輸入穀物価格の高騰や食の安全への意識の高まり、食マーケットの成熟化、食品リサイクル法施行など環境問題をめぐる制度的な枠組みの変化などで、新しい可能性も芽生えており、優位性を発揮できる分野もある。

 国内需要量約1650万トンのトウモロコシは、特に家畜飼料として重要な穀物であるが、ほぼ100%輸入に依存している。日本の輸入量は世界の全トウモロコシ貿易の五分の一を占め、その大半を米国に依存している。(ちなみに、隣欄の『資源と経済⑪』によると、日本は人口一人当たり銅使用量で世界一だそうです。関係ないけど。by けんchang)

 家畜飼料の代替策として、飼料米の導入や、2001年五月施行の食品リサイクル法で20%リサイクルが義務付けかれた食品残渣の飼料活用などが取り組まれてきた。最大のネックはコストであったが、今回の飼料価格高騰で、飼料米や食品残渣の活用には大きなきっかけが生まれている。この契機を積極的に活用すべきである。

 【後日記】6/19の日経より。セブン&アイ・ホールディングスが三年以内に全国十カ所に農業生産法人を新設、生産した野菜を参加のイトーヨーカ堂全170店で販売する、としています。ヨーカ堂の生鮮野菜の国産比率を現93%から100%近くへ引き上げる意向です。なお、年間の野菜・果物の販売額はヨーカ堂だけで年一千億円あります。
 八月には千葉県富里市で農家と共同で農業法人を設立(ヨーカ堂は10%を出資)し、社長にはヨーカ堂社長の亀井氏が就くとのこと。農家から農地を借り、ヨーカ堂が農作業に社員を派遣、2ヘクタールの農地から始め、近隣農地などを借り生産規模を拡大する、としています。

 企業の農業参入・・・高齢化に伴う農業の担い手不足や増大する耕作放棄地、農業の低い生産性などを改善するため、政府が段階的な規制緩和で後押ししている。食品メーカーや外食産業などの他、公共工事に代わる収益源を求めて、地方の建設業などが手掛ける例が多い。
 農地取得も可能な農業生産法人に企業が資本参加する場合(出資規制あり-一社につき上限10%)や、「農地リース方式」で企業が市町村から農地を借りて営農する場合(05年から全国で認められた)とがある。(一般企業が直接、農地を取得することは認められていない。)

 【後日記】6/20の日経によるとセブンの狙いには食品資源の循環網構築もあるそうです。背景に昨年施行の改正食品リサイクル法があると見られます。同法は小売業へ12年までに食品廃棄物のリサイクル率を45%まで高めるよう義務付けています。ヨーカ堂が千葉県富里に農業法人をつくり、県内ヨーカ堂六店舗から出るごみ肥料を直営農場で活用、生産した野菜が同じ六店に並ぶ、としています。

 【後日記】『長野・ズッキーニ 土との相性が生む甘み』

 8/10の日経プラス1からの記事からです。

 長野県、橘自然農園の北沢さん(73)は地元石材店の三代目社長当時、60歳に近づいてから、これからは何か次世代に残したい、と思い立ったそうです。

 以下に部分抜粋、転載します。

 「農業の『の』の字も知らなかった」という北沢さんだが、子どものころに食べていた卵や野菜の味を再現したいという思いがあった。あのおいしさは郷愁によるだけでなく、きっと理由があるはずだ。昔は食べ残したものが、鶏のえさになり畑の養分になっていた。当時の習慣を再現してみよう。しかも地域で問題になっている生ごみを活用できるかもしれない。

 そう考えて、早速、石材店の作業場を鶏舎に変えて、養鶏を始めた。生ごみを周辺の小学校やホテルから毎朝回収し、菌を加えて発行させ、それを餌にすることにした。だが近隣からは、生ごみを集めればにおいがたつ、と苦情がでる。土壌改良の本を読んだ北沢さんは、生ごみが完全に発酵すれば、悪臭は出ないと考え、「もしにおいがでれば養鶏はやめる」と宣言。幸いにおいはなく、その後、苦情は届かなかった。

 養鶏が軌道に乗ると、土地を借りて野菜づくりを始めた。鶏のエサには不向きな堅い野菜にもみ殻と鶏のフンを混ぜ、それらを発酵させて堆肥をつくった。土地を耕す前に自家製の堆肥をまいて混ぜ合わせていく。数年間根気よく続けていくうちに、野菜に適した土壌に変わっていった。生ごみが鶏の餌になり、鶏のふんが堆肥となり、そこでとれた野菜は小学校やホテルに行き、再び生ごみが回収され、と北沢さんを中心に循環の輪が広がっていった。

 現在はJAS有機農産物の認定を受け、北沢さん夫妻とパート六人が、キュウリ、ナス、トマト、オクラ、インゲンマメ、シシトウ、長ネギなど十数種類の野菜を育てている。

 中でもホテルの料理人、全国の自然食品を扱う仲買人からも評判の高いのが、ズッキーニだ。

 ズッキーニは三月後半から種をまき六月半ばから収穫が始まる。途中で肥料などを加えることはない。草を抜くのが二回。しかも抜きすぎてもいけない。

 「全部抜くと、悪い虫を食べてくれる虫までいなくなっちまう」という北沢さんは、少しくらい害虫に食べられても気にもとめない。それで育たないようだったら、その野菜はその土地に向いていないということ。過剰に手をかけなくとも育つ野菜こそがその土地に合った野菜であり、それを選んで育てればよい。

 北沢さんの畑では一本の株から通常の倍近くの実が収穫されるそうです。

 【後日記】『農政無策なお』

 日経8/17『食料危機と日本農業㊤』から部分抜粋、以下転載します。

 長野県東御市でコメを作る永井農場(永井忠社長)は作業受託も含めると九十ヘクタール強を手掛ける。永井進専務(37)は「肥料や燃料など生産コストは上昇している。大規模化で少しでもコスト削減に取り組みたい」と話すが、二割の生産調整を割り当てられた。「生産調整はやる気のある農家の意欲をそぎかねない」と危機感を持つ。

 群馬県高崎市でコメ、小麦など三十八ヘクタールを耕す紋谷巌さん(54)の農地は百八十に分かれている。農業をやめた地主から借りて増やした農地は、住宅や診療所などが目立つ水田地帯に点在する。「もっと増やしたいが、まとまった優良な農地ほど転用されてしまう」と嘆く。

 宅地などへの転用申請が相次ぎ、市の農業委員会も容認する。将来の転用を期待して手放さず、耕作放棄地となる例もある。このため農地は飛び地状態になり、効率が落ちる。紋谷さんは「土地利用政策が無策のまま外国と競争するのは無理」と憤る。

 農地の税負担を見直し「所有から利用」に転換する農地改革は停滞。コメ、麦、大豆などの大規模農家に限定して補助する担い手育成策も、小規模農家への所得補償を主張する民主党が昨年の参院選で勝利したことで迷走している。農協は米価維持へ生産調整に固執する。国際情勢から目をそらし内向き農政を続ければ競争力向上は遠のく。

 【後日記】『国産回帰、企業も参入』

 8/18の日経「食料危機と日本の農業㊥」です。
 首都圏を中心に十生協が加盟するパルシステム生活共同組合連合会(東京・文京)がコメを飼料にした豚のもも肉を発売したそうです。飼料用トウモロコシの輸入価格上昇で、飼料米の割高感が薄れたといいます。
 輸入小麦の価格も上昇。愛媛県西予市では市立の幼稚園と小中学校の給食で、パンの原料を米国産から市内で収穫した小麦に切り替えたそうです。
 東急ストアは約千平方メートルの遊休地を茨城県小美玉市周辺農家から借り野菜栽培を開始。同社の青果仕入れ担当社員が収穫。「生産者の顔が見えるどころか店頭にいる。これほどの安全・安心はない。」(同社青果部長)
 契約農家二十軒を加え、「茨城農園」と名付け組織化。野菜を直接仕入れることで「青果市場から買うより約15%安い」(同)といいます。契約農家は安定的に買い取ってもらえるため、計画的に生産できるとのこと。
 イトーヨーカ堂は千葉県内の農家などと共同で農業生産法人を設立するそうです。
 東急ストアとヨーカ堂の共通点は食品廃棄物の有効利用にあるといいます。カット野菜工場から出る葉くずや店舗の食品ごみを肥料にして農場に供給するのだそうです。割高と敬遠されてきたリサイクル堆肥が競争力を持ち始めたとのことです。
 企業参入は非効率な日本農業に生産性向上を迫り農業現場に新風が吹き始めたようですが企業参入には壁があるともいいます。農業生産法人をつくると登記の負担や「事業の過半は農業」という制約があり、そのまま参入すると農地を所有できず耕作放棄地が多い区域でしか借りられないのだそうです。

 【後日記】『企業経営促す農業の新補助金』

 農林水産省は農家と農業法人との連携や、小売り・外食産業と生産者による農業法人の共同設立などを支援する新しい補助金制度をつくる方針だそうです。全国から募集してコンペ方式で選び、来年度に十件程度を支援するとのこと。8/24の日経より。

 【後日記】『「エコ野菜」なのになぜ割安』

 8/24の日経、「エコノ探偵団」より。

 有機栽培は化学肥料や農薬を使わないなどの基準をクリアした農産物、特別栽培は一般の農法に比べ化学肥料と農薬の使用量を50%以上削減して栽培した農産物を指すそうです。

 最近は特別栽培の野菜が増加、一般の野菜との価格差も縮まっているようです。農水省の調べでは国内野菜の年間生産量は約千六百万トン。NPO法人日本有機農業生産団体中央会によれば特別栽培野菜は野菜生産量の10%弱を占めるといいます。

 農家との直接契約・仕入れの増加が価格低下の理由の一つだそうです。農家は安定的に農産物を買い取ってもらえるため生産計画を立てやすくなり、消費増加に伴い生産量を増やせば農業機械の利用などに無駄が少なくなり単価が低下するとのこと。一般栽培より特別栽培が安くなる場合すらあるようです。

 また、これまで化学的に窒素、リン酸、カリウムを主成分とした化学肥料と、有機物からつくった有機肥料との価格を比べると有機肥料の方が高かったといいますが、リン鉱石や尿素、塩化カリウムなどの高騰で逆転現象が起きているそう。

 全農によるとこれまでの一般的な化学肥料の価格は二十キログラムで約千二百円だったそうですが、先月から約二千円に値上げしたそう。一方、日本ライフ(東京都狛江市)の鶏ふんに鉄分などを混ぜて発酵させた有機肥料は二十キログラム千八百九十円のまま。「鶏ふんなどの原料は産業廃棄物であり、原料コストはほとんどかかりません。」(同社常務)

 サンケイ工業(鹿児島県鹿屋市)の志布志事業所では周辺地域から大量に調達できる焼酎かすを木くずに混ぜて発酵させた有機肥料の製造に成功。価格は二十キログラムで千三百六十円だそうです。焼酎かすとは芋などの原料から焼酎をつくった後の残りの液体で従来は廃棄されることが多かったといいます。「かすに含まれる固形分は窒素やリンのかたまりなのです。」(同社取締役所長)

 【後日記】『”食料自給率向上”は的外れ』

 8/28の『経済教室』は明治学院大の神門教授でした。以下に要約します。

 第二次大戦後、世界の穀物需給は一貫して緩み続けてきた。価格の長期的推移をとらえるため、世界の代表的指数であるシカゴの穀物価格を、名目価格ではなく実質価格ベースでみると、第二次大戦後は、大きな振れを繰り返しながらも、おおむね穀物価格は低下基調だった。特に90年代末は最も穀物価格が安かった。ここ数年、上がったといっても、まだ80年代の平均水準にも届かないし、短期的な変動の範囲内のようにもみえる。

 そもそも世界人口が約2%という驚異的速度で伸び、世界的に可耕地が不足に陥った60-70年代の方が供給不足の不安ははるかに大きかった。だがその時代でさえ、農業技術の向上で単収が増加し、結果的に世界人口を上回る速度で穀物は増産された。

 世界各国で飢餓や食料をめぐる社会的騒乱が目立つのは、絶対量が世界的に不足しているのではなく、分配の不平等がおきているととらえるべきだろう。米ノースカロライナ大のポプキン教授は世界の肥満人口は十億人を超えると推計している。これは飢餓人口を上回り、しかも増え続けている。世界全体では食料は十分に生産されているのだ。

 先進国では総じて農業団体の政治力が強く、戦後、欧米は巨額の農業補助で穀物生産力を高めてきた。余剰農産物を補助金付きで輸出したため穀物の国際相場が下がり、農業保護の余裕がない貧しい国々の穀物生産は大打撃を受けた。95年発足の世界貿易機関(WTO)は先進国に国内農業補助金の削減を義務付けた。だが抜け穴だったバイオエタノール製造工場への補助金に米国などが目をつけ、穀物価格をつり上げようとした。そこにオーストラリアの大干ばつが重なったのが今回の穀物急騰だとみるべきだ。

 日本が食料自給率を高める理由として、欧州、特に70%にまで引き上げた英国の例がよく引き合いに出される。しかしこの裏に、前述の多額の農業助成金があったことを忘れてはならない。助成金はモルヒネのようなものであり、国内農業はますます助成金依存の脆弱体質になり、かえって国内農業は不安定になる。

 そもそも、飽食で、消費者が食の利便性を重視する日本にあっては、カロリーベースの食料自給率は”数字遊び”の意味あいが強いともいえる。カロリーベースの自給率を引き上げるには、例えば、今でも国産でまかなえるイモの消費を増やせばよい。しかし、それで食に満足する日本人はまずいない。

 国土が狭い日本では、平場の優良農地ほど住宅や商業施設の建設候補地として狙われ、こうした農外転用が桁違いの利益を農地所有者にもたらす。農外転用規制をはじめとした農地利用に関する法制度の運用がずさんで、関係者の政治力次第では諸規則が有名無実化されるため、農地本来の利用がなされず、農外転用を当て込んだ農地所有が蔓延。農業にたけたものに農地が集積するという通常の市場機能が働かず、農業が沈滞化している。

 【後日記】『北総でいち早く野菜加工』

 9/8の日経『農業再生に挑む①』からです。

 千葉県香取市に本拠を置く農事組合法人・和郷園(木内代表理事=40)には全国、時には海外からも年間五千人以上が訪れるといいます。視察は有料で、最高で一人三千五百円にガイド料が一万五千円だといいます。

 日本有数の農業地帯、房総半島北部(北総)の専業農家等が和郷園に出荷しているとのこと。販売・加工は木内氏が社長を務める株式会社の和郷が統括。

 木内氏は「農業は農村の基幹産業」と、牛糞・鶏糞、野菜クズなどを堆肥や飼料として再利用する「静脈産業」や、農場体験などグリーンツーリズムへの重点投資も検討しているそうです。

 【後日記】『業務用野菜拡大を模索 国内産地、安定収入が魅力』

 農業生産法人、トップリバー(長野県御代田町)はレタスやキャベツなど生産し、その七割が業務用だそうです。品種など工夫し面積当たりの収穫量を改善、流通コストも段ボールに代えて繰り返し利用できるコンテナで出荷することで二割削減したといいます。営業部門も持ち、専門の社員が取引先を開拓。同社社長は「四十-五十の安定した取引先があり、予定生産量に対して余裕を持った契約をすれば十分利益が出る」といいます。

 しかし多くの生産者団体は営業部門を持たず、「メーカーの担当者が産地を飛び回り契約先を探すことがほとんど」(食品メーカー)で、産地側には販路開拓のノウハウがないとのこと。独立行政法人の農畜産業振興機構は「加工・業務用野菜産地と実需者の交流会」を始めたそうです。

 農水省も、コーディネーターの役割を果たす”中間事業者”の育成に取り組むそうです。中間事業者が複数の生産者と外食・食品加工会社を結び付けることでリスクを低減。「生産者が加工・業務用に取り組みやすい環境を整備したい」(農水省生産局生産流通振興課)としています。

 以上、9/20の日経から。

 【後日記】『農水省 過剰米対策、発動へ』

 農水省の発表では九月十五日時点での作況指数が102(平年を100とする)になったとのこと。豊作によるコメの価格下落を防ぐための過剰米対策は十月十五日時点の作況が101以上の場合に自動的に発動されるのだそうです。

 過剰米対策は「集荷円滑化対策」と呼ばれ、主食用のコメの価格下落を防ぐために、一定量のコメを市場から隔離して保存し、加工用として使うとのこと。

 九月十五日時点では十万トンを超える過剰米が発生する見込みだそうです。日経10/1より。。。てか、100と101じゃ、1しか違わないじゃん・・・

 【後日記】『食品廃棄物から作った肥料活用』

 10/4の日経記事にはユニーと連結子会社のサークルKサンクスが、愛知県経済農業協同組合連合会(名古屋市)などと連携し、店舗から食品廃棄物を回収して肥料化、農家で野菜や果物を栽培する、とありました。将来的には年間約千二百トンの廃棄物を使い、農産物約二千トンを生産する計画だそうです。

 【後日記】『セブン&アイが米粉食品』

 ホクレン農業協同組合連合会は09年生産分からセブン&アイ専用の農場を設けて、米粉用のコメ栽培を始め、日本製粉などが米粉に加工するそうです。セブン&アイは2010年をメドに複数の商品で米粉を採用、配合商品の本格展開に乗り出す、としています。初年度に最大二千トン(玄米ベース)程度の米粉を利用する見通しで、将来は年間二万トンの利用を目指すとのことです。日経10/11より。

 【後日記】『農地借用を原則自由化』

 農林水産省が近く政府の経済財政諮問会議に示し、来年の通常国会で農地法などの改正法案を提出する。農地改革の狙いは農地減少への歯止めと大規模化の二つ。農地の不正転用の罰則を強化し、バラバラの農地を集める仕組みもつくる。52年に始まった「自作農主義」から”農地は使っていることが重要”と方針を転換する。

 農地法・・・田や畑など農地の所有や賃借、転用について定めた法律で1952年に制定した。農地は耕作者自らが所有するのが最も適切という、自作農主義の原則をとっている。改正を重ねて、一部の法人に農地取得を認めてきたが、制限が大きく、抜本改革にはいたっていない。
 農地法改正などの農地改革が急務となっている背景には農地の減少がある。30年前に約550万ヘクタールあった農地は転用などで2007年には465万ヘクタールに減少。道路建設や商業施設の開発などの転用で農地が高く売れることを農家が期待し、本当に必要な農家に農地が集まっていないことが問題との指摘もあり、改正して農地の総面積を確保し、集約化を促す。

 以上、日経11/28より。

 【後日記】『戦後農政の主な出来事』(2009/1/1日経より転載)

1945年・・・第一次農地改革

1946年・・・第二次農地改革

1960年・・・農林水産物121品目自由化

1961年・・・農業基本法公布、大豆輸入自由化

1967年・・・コメが史上空前の豊作

1970年・・・総合農政の基本方針を決定、コメの生産調整実施

1972年・・・消費者米価統制撤廃

1978年・・・日米農産物交渉で牛肉・オレンジなど輸入拡大妥結

1981年・・・食管法改正(コメ配給制など廃止)

1986年・・・ガット・ウルグアイラウンド始まる

1987年・・・31年ぶりに生産者米価引き下げ

1988年・・・牛肉・オレンジ輸入自由化決定

1990年・・・自主流通米価格形成機構設立

1993年・・・コメの部分開放決定、戦後最悪の凶作

1994年・・・平成の米騒動で、タイなどの外国産米を緊急輸入

1995年・・・世界貿易機関(WTO)発足

2001年・・・国内で初めてBSE(牛海綿状脳症)発生

2002年・・・雪印食品など、食の偽装事件相次ぐ

2003年・・・食品安全基本法公布

2004年・・・改正食糧法施行、コメ販売が完全自由化

2006年・・・ポジティブリスト制度施行、米国産牛肉の輸入再開

2007年・・・船場吉兆や赤福など、食品の偽装・不正表示問題相次ぐ

2008年・・・中国製冷凍ギョーザ事件で食品の安全意識高まる

 【後日記】『国産 海外で高評価』(2009/1/1日経より転載)

 農作物の国内市場は人口の減少などで長期的に縮小が見込まれる。このため新たな販路を海外に求める動きが広がっている。高品質な日本の農作物に対する海外の評価は高い。検疫や輸送コストなどの課題をクリアしながら、輸出額は増加傾向だ。

 全国の農業生産法人など約千七百社が加盟する社団法人日本農業法人協会(東京・千代田)は2008年、香港や台湾、シンガポールで現地の卸会社などバイヤーとの商談会を開いた。十月の香港での商談会には農業生産法人二十三社が参加し、「その場で契約にこぎつける事例が目立った」(日本農業法人協会)。

 農林水産省は20年までに農林水産物の輸出額を一兆円まで引き上げる目標を掲げる。07年の輸出額は四千三百三十七億円。00年の1.8倍に増えた。

 輸出先も北米やアジア、オセアニアなど多岐で、品質が高い日本の青果物は世界から注目を集める。台湾では青森産リンゴや北海道産ナガイモ、香港は福岡産イチゴ「あまおう」、オマーンは静岡産マスクメロンなどの人気が高い。

 輸出の壁は相手国の検疫と高い輸送コストだ。検疫は各国ごとの基準があり、日本より厳しいことも少なくない。船や飛行機で運ぶため、輸送コストがかさみ、店頭価格が高くなる。青森産リンゴは現地の高級スーパーで、一個千-二千円の高値で売られるケースもあるが、安全・安心のイメージから競争力を保つ。

 為替の円高や金融危機などの逆風はあるが、「アジアの富裕層を中心に日本産農作物への需要は根強い」(農水省生産局生産流通振興課)。輸出で生産が拡大し、「成長産業」と位置づけられれば新規就農者を呼び込む可能性を秘める。

 【後日記】『コメ政策転換に壁』(2009/1/6日経より転載)

 石破茂農相は五日、コメの生産調整(減反)について「タブーなく議論する」と延べ、白紙の状態で制度を見直す意向を示した。消費低迷を背景に生産量を調整して米価の暴落を防ぐ生産調整はコメ政策の肝。農家の所得対策や安価な輸入米の位置づけなど、自然と検討課題は多岐にわたる。水田が整備され自給率の高いコメは日本の農産物の根幹でもある。政策見直しは戦後農政の一大転換点になり得るだけにハードルは高い。

 生産調整の開始は1971年。主食用米が余ると価格が下がって農家の収入が減るため、事前に作付面積を減らして麦などに転作してきた。ただ「現在のコメ政策はどれも中途半端」という声が農林水産省内でも上がるほど、継ぎはぎだらけなのが実態だ。

 例えば2007年・08年産米。余剰気味だったため緊急時の備蓄用として急きょ国が買い上げを決定。価格の下落防止に取り組んだが、生産調整せずたくさん作った農家も恩恵を受け、不公平感も呼んだ。農水省は昨夏に備蓄米制度の見直し案を練り、米価主義からの脱却を狙ったが、農薬汚染の「事故米」問題の対応に追われ進展していない。

 また、仮に生産調整を縮小・廃止すればコメの生産が増え価格が急低下する可能性が高く、農家の所得対策も避けられない。現在も転作を奨励する補助金を出しているが、補助額が膨らむことになるため財源の調整も必要。輸入の完全自由化と、年に約七十七万トンの輸入義務がある「ミニマムアクセス米」の位置づけの見直しも浮上してくる。

 【後日記】日経2009/1/24より抜粋。

 農林水産省は二十三日、需給調整のため市場から隔離する2008年産米の買い入れ銘柄と数量を発表した。三十四道府県の10万8千トンを対象とする。

 買い入れ予定価格はコメ価格センターでの入札結果や出荷団体と卸会社の相対取引価格などを参考に設定。二月六日に入札を実施する。

 作況指数102の豊作となった08年産米の収穫量は866万トンの見込み。需要見通しの855万トンを上回る。余剰分を買い入れて加工原料などの用途に回すことで、主食用米の値下がりを防止する。

 【後日記】『世界経済危機下の日本の農政改革』

 2009/1/26の『経済教室』は東大の本間教授でした。一部を抜粋します。

 作付面積が5ヘクタール以上の農家は2%にすぎず、2ヘクタール未満の農家が九割以上を占め、0.5ヘクタールに届かない農家が42%にのぼる。しかも小規模農家ほど高齢化が進んでおり、1ヘクタール未満の経営主の平均年齢は六十五歳を超える。

 これらはいかに日本の稲作が零細かを示しているが、小規模農家が必ずしも貧困なわけではない。1ヘクタールに達しない農家では農業所得が赤字か極小だが総所得は四百万-五百万円である。農業所得が総所得の五割を超えるのは5ヘクタール層からで、20ヘクタール以上では農業所得は一千百万円を超える。だが10アール当たりの経営費(自家労賃など帰属支払いは含まない)は規模が拡大しても大きくは下がらない。

 小規模・赤字でも稲作を続ける理由は、自家消費用の生産のためとか、相続税・固定資産税の節税のためとか、将来の転用収入のためとか、または単に農業が好きだからといったことがあげられる。一方、規模拡大のメリットが小さいのは、経営耕地が分散し、効率的経営が行えないからである。60ヘクタールの経営が百八十カ所に散在しているなどの例もまれではない。

 【後日記】『耕作放棄地の貸出新制度 農地法改正案』(2009/2/14日経より転載)

 農地の貸借を原則自由化することを柱とする農地法などの改正案の全容が十三日、明らかになった。株式会社などが農地を原則的に自由に借りられるようにするほか、大規模化を促すために、農地の貸し付けなどを仲介する仕組みも本格的に導入する。所有者が分からなくなっている耕作放棄地を自治体が貸し出す制度も新設する。

 今通常国会に提出する。改正案は農地の「所有から利用」への転換を軸にしている。農地にかかる相続税も見直し、高齢化などで農業を続けることが難しくなった所有者が貸しやすくする。民法で二十年以内となっている農地の貸借期間を最長五十年にする。基準を満たさない転用については罰金の上限を三百万円から一億円に引き上げることや、企業の農業生産法人への出資制限の緩和も盛り込んだ。

 耕作放棄地の拡大を防いだり、不正な転用で農地が減ることを防ぐ狙いがある。

 【後日記】『三菱化学、中東で野菜工場』(2009/2/21日経より抜粋)

 三菱化学は屋内で野菜を効率的に栽培する「野菜工場」を中東で事業化する。水の使用を抑えながら収穫量を増やせる特徴があり、水資源の少ない中東の農業関連企業に設備を納める商談に入った。世界景気悪化で主力の石油化学事業が苦戦しているため、新規事業の育成を急ぐ。まず中東で事業化し、日本など他国での販売も目指す。

 野菜工場は太陽電池を電源とする発光ダイオード(LED)を照明に使い、工場のような密閉建屋で野菜を栽培する。昨年六月に野菜栽培ベンチャーのフェアリーエンジェル(京都市)に資本参加し、事業化に向けて四月にも実験を始める。早ければ年内に初の納入契約を中東企業との間で結ぶ。

 【後日記】『農業担い手 つくばから 大分県と組み 加工まで伝授』
 2009/3/2日経より転載します。

 景気悪化で企業の人員削減が相次ぐ中、受け皿として農業への期待が高まっている。ただ、きつい仕事や不安定な収入などがネックとなり、人材が集まらないのが現状。こうした雇用のミスマッチを解消しようと、農業生産法人のワールドファーム(茨城県つくば市)は自治体と組み、担い手育成に乗り出した。

 くじゅう連山や阿蘇外輪山に囲まれた大分県竹田市。自然豊かなこの地で、休耕地を農場に開墾したり、野菜の加工工場や研修施設の開設準備と慌ただしく走り回っているのは、ワールドファームの社長の上野裕志さん(44)だ。国産野菜を冷凍、乾燥し、加工用として販売する。

 上野さんは本社工場や熊本県大津町の熊本工場で自社農場や周辺農家からキャベツやほうれん草、サトイモなどを調達。カットや冷凍、乾燥して食品メーカーや小売店に売る。中国製冷凍ギョーザの毒物混入事件以降、国産・安全志向の高まりで需要が急増。現在は年商三億円を超す。契約農家を増やしても、生産が追いつかなくなっていた。

 竹田ではまず休耕地を直営農場としてホウレンソウや小松菜などを生産する。今年は十ヘクタールの圃場を確保、2010年までに約二十ヘクタールに広げる。現地の農家とも五十ヘクタールの契約栽培を予定。工場では弁当や学校給食用に加工する。

 狙いは事業拡大だけではない。研修施設も造るのは、計画の柱が「若い農業のプロ」の育成にあるからだ。

 「農業の世代交代という変化の波を起こしてみたい」と上野さん。「日本農業再生プロジェクト」と銘打ち、竹田で十人前後のリーダー的な人材を育成する。作物の育て方など農業実習から、会社経営の財務管理やコスト意識など様々な知識を三年程度、学んでもらう。その後、大分県内をはじめ全国各地で農業の指導者として新たな担い手を育成してもらう計画。

 もっとも昨年十月の発表以来、「問い合わせてきたのはまだ十人ほど。思ったより少ない」。県内ではキャノンが非正規従業員の削減を進めるなど失業者が増加。雇用情勢が急速に悪化しているが、希望する仕事と、農業など人手不足の分野とのミスマッチがここにも表れた格好だ。

 実は研修中は社員となり、賞与や雇用保険、労災保険などの福利厚生に加え、ローテーションで季節休暇の取得も可能だ。それでも「農作業のほかに工場経営、輸送なども行うので、決して楽とは言わない」。農業には何よりも意欲が必要と考えるからだ。

 上野さんは茨城県南の農家に生まれ、農業に従事してきた。不安定な収入、過酷な労働環境、後継者不足といった現状を変えようと、00年に知人の農業経営者を誘って農業生産法人を発足。栽培から加工、配送まで一貫して手掛けることで物流コストを抑えるモデルをつくった。

 担い手育成も当初からの思いだったが、最も熱心なアプローチを受けたのが大分県だった。県は08年度に「農業企業誘致プロジェクト」を発足、休耕地再生の経費などを補助する制度を設けていた。農業の将来に強い危機感を抱く担当者と意気投合した。

 茨城や熊本でこれまでに採用してきた社員からは「農家に比べて給料制で安心してやっていける」「農作業だけでなく幅広く経験できるから、やりがいがある」といった声もあがる。「若い世代に農業の魅力と重要性をアピールしたい」。農業で雇用を吸収するという考えが一時のブームに終わらないよう、求職者を未来の芽とする考えだ。(つくば支局 高田倫志)

 【後日記】『耕作放棄14.9万ヘクタール 農地に復元可能』(2009/4/8日経より抜粋)

 農林水産省は七日、農作物が作られていない耕作放棄地についての初めての実態調査の結果を発表した。未調査分の推計をあわせて全国で二十八万四千ヘクタールがそのままでは農地として使えないことが判明。そのうち十四万九千ヘクタールは機械を使って草や木を抜くなどすれば農地として回復できるが、十三万五千ヘクタールは既に森林や原野になっており、復元が不可能と分かった。

 【後日記】日経2009/4/29から『野菜工場の主な増産の動き』と題した表から以下、転載。

 村上農園(広島市)・・・発芽野菜を15億円投じ増産

 日本農園(広島県世羅町)・・・山梨県にサラダ菜の新工場

 フェアリーエンジェル(京都市)・・・福井県にレタスなどの新工場

 スプレッド(京都市)・・・8億円投じレタスなどの工場増設

 成田食品(福島県相馬市)・・・もやしの生産量を1割拡大

 サラダコスモ(岐阜県中津川市)・・・もやしを15%増産。新工場も検討

 【後日記】『耕作学ぶ体験農場』(2009/5/8日経より転載)

 東京都江戸川区は農家が小松菜などの栽培を指導しながら、本格的に農業を学ぶ体験農場「ファーマーズクラブ」を開設した。農地の担い手を育成し、都市農業が盛んな区内の農地を保全する狙い。当面は五十区画で運営する。

 区内の農家から無償で借り受けた東葛西の農地に開設した。一区画の面積は四十平方メートルで、通常の区民農園の区画の2.7倍の広さ。トマトや小松菜など、区が育てる野菜を指定し、農家が月二回程度のペースで耕作指導する。利用料は年五万円。種や苗、肥料や農機具の利用料金、水道料金などを含む。

 区によると、区内の2007年度の農業産出額は十五億五千万円で、東京二十三区で首位。一方、07年度の区内の農地は約七十四ヘクタールあるものの、宅地開発の影響で十年前と比べて約26%減少した。

 区は「都市部の農地を減らさないよう、農地の担い手や、農業に理解のある区民を増やしたい」(生活振興部)と説明している。

 【後日記】『企業の農業参入へ前進』(2009/6/18日経より転載)

 農地の貸借を原則自由化する改正農地法が17日成立した。企業の農業分野への参入拡大に向け、制度面で一歩前進した形だ。改正に合わせ、農地を集約する取り組みも推進し、農作業の効率化を促す。耕作放棄地が埼玉県の面積に匹敵する規模に広がるなか、農地の有効利用で食料の安定供給につなげる狙いがある。

 これまで企業が農業に参入する際、「農業生産法人」を設立すれば農地を所有できるが、出資割合の制限など設立時の制約が厳しかった。設立しない場合は農地を所有できないうえ、耕作放棄地が多い地域でしか農地を借りられなかった。

 今回の改正を受け、企業は生産法人を設立しなくても農地を借りやすくなる。生産法人を設立する場合も出資割合が1社あたり10%に制限されていたが、企業の販売力をノウハウを生かす「農商工連携」として認定されれば、50%未満まで出資できるようになる。

 農業分野は若年雇用の吸収源として注目されている。企業が農業に参入しやすくなれば、若年層の選択肢が広がり、農業に従事する機会が増える可能性もある。

 【後日記】『コメ公設市場 正念場』(2009/6/27日経より転載)

 公設市場のコメ価格センターが存在意義を問われている。生産者側は価格設定の自由度が低い入札を回避して相対取引にシフト。コメ余りによる価格下落懸念も重なり取引量が回復する兆しはない。わずかな落札数量で指標価格とされることへの疑問も強まっている。

 「センターの入札が将来につながるのか、早いうちに結論を出さないといけない」。コメ卸業者の団体である全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)が今月開いた通常総会で、農林水産省の奥原正明食糧部長はこう切り出した。センターを所管する農水省の「最後通告」ともいえる厳しい言葉に緊張が走った。

 2008年産米のセンターでの取引数量は9775トン。主食用米の収穫量865万トンに対して微々たる量だ。最大の売り手である全国農業協同組合連合会(全農)が上場の見送りを続け、入札は1月に2回開かれたのみ。04年に上場義務が廃止されてから入札回避の姿勢が鮮明になった。

 買い手の全米販は「指標価格は必要で取引の活性化を」と訴える。08年産では農家の生産費増加などに配慮し、コメ卸各社は60キロ当たり平均1200円程度の値上げを受け入れた。価格転嫁の根拠を示す指標が必要との考えがある。

 ただ個別の業者の行動は別だ。大手卸の幹部は「なくても困らない」と突き放す。業界は「建前と本音がかけ離れている」(奥原部長)状態だ。

 センターは09年産から取引形態を見直す。秋から年末まで毎週だった取引を隔週とし、不落札が続いた時に落札下限を3%引き下げる値幅制限も廃止した。センターの山本領副会長は「売り手が躊躇するルールは除いた」と話す。全米販は全農に対して「09年産では相当数量を定期的に上場する」ことなどを求める要望書を出した。買い手があらかじめ購入希望を提示する制度の検討も始めた。

 ただ取引の活性化は困難との見方が多い。高崎経済大学の吉田俊幸学長は「値下がりにつながりかねないセンター取引で売り手を全農に頼る仕組みは限界」と指摘する。農水省は08年度に約1200万円拠出した補助金を今年度は打ち切った。08年産から同省が公表を始めた相対取引価格を指標にすることも視野に置く。全米販の木村良理事長は「市場の状況を生産者が受け止めなければ過剰は続く」と警戒する。

 生産者側が指標価格を見えなくしてもコメ余りの現状は変わらない。受給のシグナルを発する市場の機能不全は生産者にもマイナスで販売を担う全農にもはね返ってくることになりかねない。

 全国米穀取引・価格形成センター(コメ価格センター)・・・1990年に財団法人自主流通米価格形成機構として発足。食糧管理制度下で硬直的だった価格形成に、需給動向などを反映させ取引指標とすることを目指した。2004年の改正食糧法施行時に現在の名称に変更。センターの価格は政府備蓄米の買い入れ価格や農家への所得補償の基準となる

 【後日記】『サッポロ 自治体と農業法人』(2009/7/2日経より抜粋)

 サッポロビールは長野県池田町で農業生産法人を設立し、ワインの原料となる国産ブドウの栽培を始める。自前で原料を調達することで2013年までにワインの出荷量を09年の約2倍の2万ケース(720ミリリットル瓶12本換算)にまで引き上げる計画。ビール事業は低迷しており、市場が伸びている国産ワイン強化で収益の下支えにつなげる。

 農業生産法人を設立するのはサッポロの子会社でワイン事業を手掛けるサッポロワイン(東京・渋谷)。長野県池田町と共同で1日付で「サッポロ安曇野池田ヴィンヤード」(長野県池田町)を設立した。資本金2000万円のうち90%をサッポロワインが出資、残り10%を池田町が受け持つ。自治体と共同で農業生産法人を設立するのはサッポロが初めて。

 【後日記】『企業の農業参入加速』(2009/7/18日経より抜粋)

 イオンは企業が自治体から農地を借りる「農地リース方式」を使い、茨城県牛久市の2.6ヘクタールの土地で小松菜や水菜、キャベツなどを9月から生産する。参入のための新会社を10日付で設立した。生産した野菜は青果市場を通さず自社の物流網活用などでコストを削減し、店頭価格を抑える。初年度は約300トンを収穫し、茨城県や千葉県などの「ジャスコ」15点でPBとして販売する。

 3年後には牛久市の農地を15ヘクタールに広げ、収穫量も1500~2000トンに増やす。今後は北海道から九州まで同規模の農地を広げてPB野菜を販売し、3年後にPB野菜の売上高は年間数十億円になる見通し。

 イオンと並ぶ二大小売りのセブン&アイは、農家や農協との共同出資で千葉県に農業生産法人を設立する形で2008年に参入した。農協や農家と連携しながら、今後2年以内に全国10カ所に同様の農業法人をつくる。

 先行参入した食品関連大手も事業拡大に動いている。居酒屋のワタミは生産した野菜を自社の約600店でサラダなどに使用しており、13年までに農場の規模を現在の約480ヘクタールから約600ヘクタールに広げる。

 政府は特に00年以降、企業の農業参入を後押しする制度を整備し、05年からは農地リース方式が全国で認められた。同方式で農地を借りられるのは市町村の指定した場所に限られ、耕作放棄地も多かったが、今年6月に成立した改正農地法が年内にも施行されれば賃借が大幅に自由になる。同時に、原則10%だった農業生産法人への企業の出資制限も緩和される。

 企業の農業参入・・・参入する手法は2つに大別され、農地取得が可能な農業生産法人に企業が出資する方法と、企業が市町村から農地をリースする方式で借りて農作物を生産する方法がある。現在、参入した企業はリース方式だけでも約350社に上る。
 食料自給率向上などを目的に改正農地法が6月に国会で成立。10%だった農業生産法人への出資上限を企業の技術や販売網を活用する場合は50%未満に上げた。企業が借りられる農地は市町村が指定した耕作放棄地の多い地域などに限られていたが、大幅に規制緩和し、借用期間も最長20年から同50年に延ばした。

 【後日記】『日米FTAは農業壊す JA全中など反発』(2009/8/8日経より転載)

 全国農業協同組合中央会(JA全中)と全国農業者農政運動組織連盟は7日、民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げる日米自由貿易協定(FTA)締結への反対集会を都内で開いた。全国から約500人の農業者らが参加。「日本の農業を崩壊に導くもので、認めることはできない」とした決議を採択した。

 民主党の管直人代表代行は7日の記者会見で、衆院選マニフェスト(政権公約)に明記した日米自由貿易協定(FTA)を巡る記述について、「締結する」から「交渉を促進する」と修正する方針を明らかにした。

 表現を弱めることで、日米FTA構想に猛反発する農業団体などに配慮した形だ。

 【後日記】『住友化学が農業参入』(2009/9/15日経より抜粋)

 住友化学は農業事業に参入する。5年間で全国30~40カ所に農場を展開し、果物や野菜を百貨店など大手小売りに直接販売する。2015年度に50億円の売上高を目指す。住友化学は農薬・肥料の国内最大手で、農産物の生産・販売まで一貫して手がけ、相乗効果を狙う。農業の規制緩和が進む中、流通大手などに続き、製造業にも新規参入の動きが本格化してきた。

 農業の規制緩和・・・国は1990年代以降、段階的に農業の規制を緩和し、企業が参入しやすくしてきた。現在、企業の農業参入には農地を取得できる「農業生産法人」を設立する手法と、農地を借りて一般企業として参入する手法の2種類がある。農地を借りる手法を採る企業が多い。
 改正農地法が年内に施行される見通しで、リースの地域制限が原則撤廃。農地の賃借が自由になることで企業の参入が加速するとみられる。賃借期間も20年から50年に延長する。農地そのものを取得できる「農業生産法人」への出資上限も10%以下から50%未満に引き上げる。

 <農業の規制緩和の推移>
93年:農業生産法人へ企業(有限会社など)の出資が可能に
00年:農業生産法人へ株式会社の出資が可能に
03年:特区でのみ農地のリース方式で企業の参入が可能に
05年:特区方式が全国に拡大。市町村が認める地域で企業参入が可能に
09年(予):農地リースの地域制限を原則撤廃。期間も延長。生産法人への出資制限も引き上げ

 【後日記】『減る農地 保全で歯止め』(2009/9/29日経より転載)

 世田谷区は23区で初めて農業利用を目的に区が農地を取得する枠組みをつくった。公園にするため農地を取得した例はあるが、今後は基本的に農地のまま活用する。区内の農地は約120ヘクタール。過去10年で約40ヘクタール減っており、買い取りで農地減少に歯止めをかけたい考え。

 1ヘクタール以上で、農家が土地を手放す際、都市計画公園・緑地に指定し、宅地並み価格で買い取る。取得資金は国の補助金と東京都の都市計画交付金を活用する。

 農地保全重点地区に指定した桜上水地区など区内7地区で買い取りを計画しており、第1弾として瀬田農業公園周辺の農地を取得する。農協や農業大学などと連携し、子どもの農業教育、区民への農地貸し出し、農産物の試験栽培などに活用することを検討中だ。

 区は現在、区立公園内に住民が参加できる水田や畑を設けたり、23カ所で区民農園を運営したりしている。

 農家から農地を借り住民に貸し出す区民農園は練馬区や杉並区でも人気だ。農地面積が約280ヘクタールと23区内で最も広い練馬区では農産物の地産地消が進めば、商店街振興や輸送に伴う二酸化炭素(CO2)排出量の削減などにもつながると判断。区立農業公園や練馬大根の収穫大会など区民が農業とふれあう場を多く用意している。

 ただ練馬区の農地もここ10年で約25%減少。区は現行制度下での都市部の農地保全には限界があるとして、保全の制度設計を国などに求めてきたが、国の動きは鈍い。

 このため志村豊志郎区長が旗振り役となり、都市農地保全推進自治体協議会を昨年発足させた。都内の38区市町が参加しており、連携して農地の相続税の猶予制度の拡充など具体的な提案をしていく方針だ。

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2008年4月24日 (木)

多摩農林 間伐材で窯焼きパン

 昨日の日経ですが多摩農林(山林管理業)が間伐材の端材を燃料に日産数百個のパンをオーストラリアの伝統的な手法でつくって販売するそうです。

 ところで、一般に、木を切るとCO2が増加するという誤解が未だ根強いよう思います。

 知っての通り木は酸素呼吸を行うだけでなく炭酸同化作用も行います。逆にCO2を取り込んでO2を排出するということですが、差し引きCはどこに行くのでしょうか。マジックでもあるまいし質量保存の法則に拠るまでもなく消えてなくなるわけはありません。

 Cは木の成長期には大量に植物体に固定されます。しかし、10年か200年かは知りませんが、いずれ成長は止まります。そうであっても落葉やら枝が朽ちたりやらで新たにCは補修されますが、朽ちた分からは同じだけのCが放出されます。結実にCが固定され、それを食べた動物体に固定されるとしても、動物は呼吸によってCO2を排出しますし、いずれ死にます。

 極論すれば、ある樹種の植林による炭酸同化量は植林面積に依存した定数へ収束します。(ところで、植林によって削減できたとするCO2換算量は、森林平衡に達した際の炭酸同化量を根拠に算出するのでしょうか。興味深いところです。)地球上の植林面積は有限ですから、低炭素を実現するにはむしろ木は伐採して新たに育成しなければならないのです。(ただし、伐採した木を燃やしてしまえば再度Cは放出されます。)

 ならば植林と伐採を繰り返せば低炭素社会とやらを実現できるかと言えば、残念ながらそれでは現状の人類のCO2放出速度にまるで追い付くことはできないでしょう。化石燃料として地下に眠るCをいったん大気へ解き放ってしまえば、効果的な封入技術が実用化されない限り低炭素社会とやらは実現不可でしょう。

 CO2の地中封入が話題となるのはその辺の事情があるからでしょうが、上で「効果的な」と書いたよう一点注意が必要です。CO2を封入する過程で、エンジンやら電動機(発電所)やら他、直接・間接のエネルギー消費によって排出されるCO2量が、封入される量をそれなりに下回らなければ無意味だからです。(似たような考えとしては流行のリサイクルについても言えると思います。リサイクルすることによる実資源消費が、しないことによる実資源消費を上回れば意味がありません。)例えば、普通に街中で大気中のCO2を掻き集めようとしても無意味です。そのような場合、まるで追い付かないとはわかっていても植物の炭酸同化作用に頼るより他ないのです。

 ちなみにCと一緒にO2も封入してしまって構わないのか、という疑問もあるかもしれませんが、CO2等の温暖化ガスは大気組成比としては極微量です。と言えば、逆に、CO2排出について神経質になる必要はないのでは、と思われそうですが、大気中のCO2増加の悪影響が確実にわかっているが故に用心するわけでは決してなく、(温暖化ガスの中では最も量が多い、したがって温暖化効果が最も高いとされる)CO2の急激な濃度変化について警戒しているのです。10年そこそこで濃度が一割近く増す状況は警戒するに値します。

 ところでCO2のほとんどは海洋に溶け込んでいるので、それについて注釈しない輩はモグリである、のような意見を聞くことがあります。もちろん私は素人なので地球上の出来事を熱力学の教科書に説明があるような閉鎖系的感覚で捉えていいのかどうかもわかりませんし、物理化学自体も習ってから15年以上は経ちますので記憶もおぼろげです。ですが海洋には選択的にCO2が溶け込んでいるわけではないと思うし、また、気温が上がれば気体の運動エネルギーが分子間力をより上回るので、逆に更に溶け込むことはないと思うわけです。また、蒸発によって器となる海洋の全質量も減るのではないでしょうか。加えて水蒸気自体に気温を上げる効果があると思います。地球規模の出来事なので気圧や飽和水蒸気だの重力だの色々考慮する点は多いと思いますが、CO2のほとんどが海洋に溶け込んでいるからと言って、大気中のCO2濃度を切り出して論じるのは無意味という主張には私は疑問です。

 【後日記】6/15の日経の記事によれば、工場などから排出されたガスから、CO2だけを分離して回収するのに必要なコストは約四千二百円(1トンCO2)だそうです。

 【後日記】6/19の日経によると、環境省の「地球温暖化影響・適応研究委員会」(座長・三村信男茨城大教授)が、地球温暖化の影響を軽減するための国内対応策をまとめたそうです。

 【後日記】『生態系の異変調査』8/18の日経より要約。
 地球温暖化が国内の生態系にどのような影響を及ぼしているのかを調べる取組みが相次いでいる。
 近年、温暖化によるとみられる生態系の変化や様々な影響が各地で報告されるようになり、環境省は全国規模の調査に乗り出した。
 IPCCは昨年の報告書で「世界の平均気温の上昇が1.5度-2.5度を上回った場合、動植物種の20-30%は絶滅のリスクが高まる」と指摘した。
 茨城大学や国立環境研究所などのチームは温暖化が及ぼす影響の将来予測を発表。「気温上昇・降水量変化によって日本の森林は大きな打撃を受ける」との見解を示した。
 茨城県は筑波山でブナの”戸籍作り”を始めた。点在するブナの位置と状態を一本一本記録。太さと高さ、樹形などから状態を評価し、保護計画に反映させる。ブナの分布は縄文時代以来、気候変動のたびに大きく変化してきた。「筑波山は温暖化の影響がいち早く現れる最前線」(森林総合研究所主任研究員)といいます。次回調査は十-二十年後。「今始めないと別のブナ林で現れる影響を知る手段がなくなる。」(同)

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