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2008年12月31日 (水)

行政への「意見公募」形骸化

 国の行政機関が命令や規制をする際に事前に一般から意見を募集する「パブリックコメント」で、2006年度は案件の半数近くが「意見なし」だったことが総務省の調査により明らかになった。

 各省庁はホームページなどで意見募集を告知しているが、国民にあまり知られておらず、制度が形骸化しているのが実態。

 パブリックコメントは「意見公募手続」として行政手続法に基づき実施される。06年度は761件の政令や府省令などが対象だった。一般からの意見総数は16058で、一案件当たり約21だった。501以上の多くの意見が寄せられた案件も七件あったが、意見ゼロが358件(47%)あり、1~10が275件(36.1%)あった。意見の反映実績は90案件で、約12%だった。

 以上、昨日の日経より。

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久々に

 落ち着きました。しばらくゴタゴタしてました故。

 今月末付けで仕事を辞めて、近所でパートをすることにしました。今のご時世、非正規雇用切りだどうこう言われるなか、正社員を辞めてパートをする変わった奴と思われそうですが。

 私は金より時間の方が価値があると思っている人間なので、よっぽど好きな仕事でない限りどうしても時給でものを考えてしまいます。朝四時半起きで帰宅が八時~十一時ではワークライフバランスもへったくれもありません。休みが多いわけでもなし、基本、連休できないし。

 でも電工の経験させてもらったので、自分ん家の壊れた風呂場の照明をどうにかするくらいは自分でやれそうですな。免許も持ってるし。どうでもいいけど。

 今度の職場は家から歩いて10分もない場所です。私は出勤の一時間以上前には職場近くまで行って喫茶店で心を落ち着けてから会社に乗り込む主義です。その意味で現職は朝、全く余裕がなく辛かった。毎日必ず五分遅刻。始発に乗ったって間に合わないもんでね。

 ちなみに今度の仕事の内容はプロバイダー?のコールセンター的なカンジ?雇用保険はもちろん、アルバイト(パート?)にしては不思議と健保も厚生年金もある。昔はそんなの聞いたことなかったが、、、最近は非正規雇用が増えているので社会保障にもうるさくなっているのでしょうかね。

 土日含む週四で働きながら、じっくりと、無理なく続けられる仕事を探します。

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2008年12月20日 (土)

政府、金融安全網を拡充

 日経によれば政府は総額43兆円規模の生活防衛対策を決めたそうです。なかでも目立つ対策が銀行等保有株式取得機構による株式買い取り枠の増加だとのこと。一気に十倍の20兆円へ増やすといいます。今年三月末で銀行が持つ株式は17兆円、事業会社が持つ銀行株が5兆円と、合計22兆円。理屈上はこれら株式のほぼすべてを買い取ることができるようになるといいます。

 金融機能強化法の公的資金枠も10兆円増やし、12兆円にするそうです。1990年代後半からの日本の金融危機の際に、政府が資本注入した公的資金は総額12.4兆円に上るといいますが、今回この水準に匹敵する規模へと公的資金枠を拡充することになります。

 中堅・大企業の資金繰り対策にも合計約3兆円を用意するそうです。日本政策投資銀行が日本政策金融公庫の資金を使って実施する中堅・大企業向けの低利融資に1兆円、企業のコマーシャルペーパー(CP)を購入する業務に2兆円を準備。さらに、住宅金融支援機構よる中小の不動産会社への資金繰り支援として約2000億円を用意するそうです。

 緊急対策の目玉となったのが雇用対策だといいます。雇用保険料の引き下げで労使の負担を6400億円減らすほか、非正規労働者が雇用保険に加入しやすいように適用基準を緩和することなどで、失業給付を1700億円拡充するとのこと。

 2200億円を用意した再就職支援は、失業した非正規労働者や中高年者を対象に地方自治地が一時的な雇用機会を創出する事業を盛り込むといいます。

 雇用対策の総額は1兆1000億円に達するものの、多くの対策は今年度第二次補正予算か2009年度予算での財源の手当てが必要で、ねじれ国会のあおりで成立がずれこめば緊急対策の意味は薄れてしまうといいます。

 雇用対策とならぶもう一つの柱である税制では、国・地方合わせて1兆円を超える減税を打ち出しています。住宅ローン減税は、所得税・住民税額から差し引ける金額の上限を十年間で600万円まで引き下げ。低公害車の自動車取得税や自動車重量税を減免する制度を創設。

 ほか、農林水産分野では新規の就農者の研修費を農業法人などに補助する制度、国土交通分野では高速道路料金の引き下げなど。

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企業、発行しやすく CP買い取り

 日銀は企業が短期的な資金の調達に使う有価証券であるCPを金融機関から時限的に買い取ることも決めた。金融危機に伴う信用収縮で資金繰りが苦しくなっている企業を支援するのが狙いだ。

 株安で損失を抱えた金融機関が購入を抑えたことで、信用力の高い大企業もCPによる資金調達が難しくなっている。日銀が金融機関からCPを買い取れば、金融機関が別のCPを買う余裕ができる。CP買い取りを始める時期や規模は今後詰める。証券化商品や株式などCP以外の金融資産を対象とした新しい金融支援策の導入も検討する。

 政府の緊急対策の一環でCP買い取りを決めた日本政策投資銀行への支援も実施する。日銀はCPを担保に一定期間資金を供給する公開市場操作(オペ)の対象金融機関に政投銀を加えて、政投銀がCPを買い取りやすくする。

 日経より。

 コマーシャルペーパー(CP)・・・企業が運転資金などを調達するために、主に金融機関向けに発行する約束手形。証券保管振替機構によると、企業などが発行したCPの残高は約18兆円。今年8月までは22兆円あったが、金融危機のあおりでCPの発行金利が上昇。発行を見送る企業が相次ぎ、10月以降残高が急減した。
 日銀は企業の資金繰りを支援するため、CPを担保とした金融調節の額や頻度を増やしている。2003年7月-06年3月には売掛債権などを裏付けとする資産担保CP(ABCP)の買い取りを実施したことがある。

 【後日記】『日銀、CP買い取り2兆円』(2009/1/16の日経より抜粋)

 日銀は公開市場操作(オペレーション)の一環として銀行を通じてCPを買い入れているが、金融機関に買い戻してもらう条件が付いている。新たに導入するCP買い取りは日銀が償還まで保有する。買い取り額が二兆円なら、十四兆円規模のCP市場の14%分の資金調達を日銀が支援することになる。日本政策投資銀行が設ける二兆円の買い取り枠と合わせると約30%で、発行環境が大きく改善する。

 ただCP発行企業が倒産すれば日銀も損失を被るため、対象は格付けの高い企業に限る方針だ。

 日銀はさらに中小企業の売掛債権などを担保とした資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)や、社債についても買い取りを検討中。ただ社債は償還までの期間が長いぶん、日銀が損失を被るリスクが高く、買い取りに慎重な意見もある。

 【後日記】『一般企業に公的資金』(2009/1/24日経より抜粋)

 政府は日本政策投資銀行を通じ、企業に資金を資本注入する。元手となる資金は政府系金融機関の日本政策金融公庫(日本公庫)が政府から借り入れたり、政府保証を受けて市場から調達したりする。これまで銀行や信用金庫などに公的資金を資本注入する仕組みはあったが、一般企業にはなかった。

 政府は企業の資金繰り対策のため、08年度第二次補正予算案に政投銀を通じた一兆円の低利融資枠を盛り込んだ。新制度はこの融資枠を企業への資本支援にも使う。経済産業省から産業活力再生特別措置法(産業再生法)に基づく事業計画の認定を受けた企業を注入対象とする。

 日本の公的資金による資本注入(金融機関への注入実績)

早期健全化法・・・1999年3月-2002年3月・・・86053億円・・・32行

金融機能安定化法・・・1988年3月・・・18156億円・・・21行

預金保険方(危機対応)・・・2003年6月・・・19600億円・・・1行

組織再編成促進特措法・・・2003年9月・・・60億円・・・1行

金融機能強化法(旧法)・・・2006年11月-12月・・・405億円・・・2行

 産業再生法・・・企業の生産性向上や財務体質強化に向けて、政府が支援することなどを盛り込んだ法律。1999年に制定された。企業が「事業再構築」や「経営資源再活用」などの類型にあわせて計画を作成し、主務大臣に提出、認定を受ける。認定には総資産利益率(ROA)や自己資本利益率(ROE)の向上など基本的な基準を満たす必要がある。
 認定企業は税制や会社法などについて、政府の支援が受けられるというメリットがある。2003年の改正から昨年九月までの間に、277件が認定を受けている。

 産業再生法の認定企業に対する主な支援内容

 ●資産に評価損が発生したときに損金算入できる

 ●事業革新設備の特別償却

 ●会社設立や増資の際の登録免許税の軽減(増資額100億円あたり4500万円の費用削減)

 ●事業譲渡に伴って不動産を取得・譲渡する際に不動産取得税の6分の1相当を軽減

 ●株主総会の特別決議がなくても、取締役会の決議で株式を併合できる

 公的資金による資本注入・・・国が金融機関の株式を買うなどの方法で資本を入れること。普通株に転換するまで議決権がない優先株や劣後ローンの形で実施されることが多い。これまで5つの法律に基づき、大手銀行や地方銀行に約12兆円が注入されている。
 公的資金を受けると国に経営強化計画を提出しなければならないなど、経営の自由化が低下するという側面がある。金融機関は公的資金を敬遠し、注入されてもできるだけ早く完済しようとする傾向が強い。(2008/12/12日経より転載)

 産業再生機構・・・経営不振に陥った過剰債務企業の立て直しのため、官民が共同で出資して2003年四月に発足。07年三月に解散した。企業と主力銀行の支援要請を受けて、機構内の産業再生委員会が判断した上で支援し、再建後にスポンサーに株式や債権を売却した。
 バブル崩壊で積み上がった銀行の不良債権を円滑に処理するため、金融と産業の一体再生を目指す政府の主導でつくった。多額の有利子負債が経営の重荷になっていたダイエーやカネボウ、大京、ミサワホームなど約四十件を支援。解散後に利益剰余金を国庫に納付した。(2009/1/10日経より転載)

 金融機能強化法・・・国が公的資金を予防的に注入できることを定めた法律で、昨年十二月に改正した。総枠十二兆円を用意し、希望する銀行は2012年三月まで申請できる。主に銀行が対象で、国が優先株を買い取る仕組み。金融機関の経営基盤を安定させ融資余力を高めるのが狙いだが、現時点で年度内注入を表明したのは札幌北洋ホールディングスなど三行にとどまる。(2009/2/19日経より転載)

 【後日記】『社債購入基準 シングルA格以上で』(2009/2/14より転載)

 日銀は企業の資金繰り支援策の一環として買い取りを検討中の社債について、対象とする格付けの基準を「シングルA格相当以上」とする方向で調整に入った。

 資金供給の担保として受け入れる社債については、投資適格の下限とされる「トリプルB格」までが対象だが、損失を被るリスクが高い買い取りではより厳格な基準が必要と判断するとみられる。

 十八、十九の両日開く次回の金融政策決定会合で詳細を詰める。日銀は一月の決定会合で償還までの残存期間が一年以内の社債を金融機関から買い取る方針を決め、内容を検討することにしていた。

 【後日記】『政策金融公庫 CP、最大2兆円発行』(2009/2/18日経より転載)

 日本政策金融公庫は三月末までに最大二兆円の政府保証付きコマーシャルペーパー(CP)を発行する。まず二十日に一千億円分の三カ月物CPの入札を実施する予定。日本公庫が調達した資金は日本政策投資銀行に融資し、同行はCP買い取りに充てる。政投銀は大企業の資金繰りを支援するため、CPの買い取りを進めている。

 日銀は日本公庫が発行するCPについて、資金供給の際に引き受ける担保の対象に加えることを検討する。早ければ十八、十九日の金融政策決定会合で議論する。政投銀が企業からCPを買い取るための原資を間接的に供給し、買い取りが円滑に進むようにする。

 【後日記】『米シティ、政府管理下入り観測 銀行の「国有化」 日本の先例』(2009/2/27日経より抜粋)

 国有化は経営危機に陥った銀行の経営権を一時的に国が握ることを意味する。日本では主に債務超過の状態にある銀行に適用する「破綻処理方式」と、債務超過ではない銀行に対する実質的な国有化である「破綻前方式」の二つに大別できる。

 破綻処理方式の最初の例は98年の日本長期信用銀行と日本債券信用銀行。バブル崩壊後の不況で不動産や建設向けなどの不良債権が膨らみ、経営危機に陥った二行に、政府は金融国会で成立した金融再生法の「特別公的管理」を適用した。

 特別公的管理は債務超過に陥った両行のすべての株式を強制的に政府がゼロ円で買い取り、管理下に置く措置。既存株主が持つ株式は無価値になった。両行ともに破綻前、現在のシティのように公的資金の注入を受けたが経営悪化に歯止めがかからず国有化された。

 もう一つの適用例が2003年の足利銀行。当時、銀行の破綻処理法制は預金保険法に一本化され、政府が「国や地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じる恐れがある」と判断すれば国有化できる規定を設けていた。

 政府は預保法102条三号に基づき、債務超過に陥った足利銀に「特別危機管理」を適用。株式を強制的に政府がゼロ円で買い取った。

 破綻処理方式で国有化した三行では、預金を全額保護した。旧経営陣は辞職し、裁判で責任追及された人もいた。国が選定した経営陣を派遣し、銀行経営を立て直した。長銀や日債銀を巡っては巨額損失を穴埋めするため、六兆円を超える公的資金が使われた。三行は国有化から数年後、経営が軌道に乗った段階で、民間のファンドや金融機関に譲渡された。

 一方、実質的な国有化である破綻前方式は03年のりそな銀行。多額の不良債権に苦しんでいた当時のりそな銀を放置すれば、地域経済への悪影響が避けられない。政府は預保法102条一号を適用し二兆円規模の公的資金を資本注入した。普通株や議決権のある優先株を引き受けたことで国の議決権は50%を超え実質的に国有化した。

 りそな銀は直近の自己資本比率が国内基準行の規制水準である四%を大幅に下回っていたものの、債務超過ではなかった。これが破綻前方式を適用する決め手になったが、巨大銀行を破綻させる副作用を政府が恐れたためとの見方もある。既存の株主は株式数の増加による希薄化の影響を受けたが、破綻処理方式のように株式が無価値になることは免れた。

 政府は国有化当初の段階で強力に経営に関与した。旧経営陣を退任させたうえで新たな経営者を指名した。さらに民間の有識者らでつくる経営監視チームを派遣した。

 シティグループ・・・銀行シティバンクを中核とする世界最大級の金融グループ。1998年に銀行のシティコープと証券・保険のトラベラーズ・グループが合併し誕生した。本社ニューヨーク。百カ国以上で事業展開。約二億の顧客口座を持つ。2007年末以降、証券化商品の損失拡大で業績が悪化。今年一月に包括リストラ策を発表、日本の日興コーディアル証券など非中核事業の売却を計画している。総資産額は二兆ドルを割り込み、米銀首位の座をJPモルガン・チェースに譲った。

 国有化と政府管理・・・政府が民間企業の過半数の株を保有する場合、「国有化」と呼ぶことが多い。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が二十四日の議会証言で米政府による銀行国有化を否定した際には「これは国有化ではない。銀行の全株式あるいは過半すら保有しないからだ」と説明している。
 株式保有が半数に満たない場合でも政府が筆頭株主の地位にあり、配当や人事、経営方針など企業の重要戦略に影響を及ぼす場合には「政府管理」もしくは「公的管理」の状態にあるとされる。いずれも厳密な意味での定義はない。

 【参考】『銀行への公的資金注入 回収利益1.3兆円』

 だそうです(日経6/5より)。金融庁が98年から03年まで、金融システムを維持するため早期健全化法、金融機能安定化法、預金保険法に基づき、34行(現在、再編により22行)へ資本注入した計12.3兆円の公的資金のうち、現在までに額面ベースで8.8兆円が回収されたそうです。

 【参考】『懲悪論生む 備えなき危機』

 7/19の日経に政経部次長の感想があったので以下に転載。

 大野木克信元長銀頭取らについては、当時から「刑事責任まで問うのは酷だ」との声があった。経営危機を招いた責任は免れないが、不良債権をつくった責任なら以前の経営陣にもあった。

 それだけではない。バブル生成と崩壊を招いたマクロ経済運営。危機に備えた安全網の構築を怠った行政と政治。あいまいで、かつ見えにくいが故にこれらの責任は顧みられることが少なかった。破綻以降の十年は、責任の明確化のあり方が問われた期間でもあった。

 金融危機の際に市場機能を維持するには、中央銀行の流動性の供給と政府の損失肩代わりが必要なのはほぼ自明である。信用創造がマヒすればお金の流れが止まり、経済全体が大打撃を受ける。だが、危機に直面した多くの国の歴史はこの論理を貫く困難さも教えている。なぜ銀行は特別扱いなのか、なぜ経営の失敗のツケを国民が払うのか・・・。

 十年前には長銀も「市場」と「民主主義」の間でもみくちゃだった。自民党は1998年七月の参院選で大敗し、橋本首相(当時)が退陣。その後の小渕政権でも長銀危機が最大のテーマになった。

 結局、政治は長銀を破綻処理するのと引き換えに、銀行への公的資金注入を可能にする金融再生関連法を成立させる。危機への備えがつくられる過程で、大野木氏らに刑事責任を負わせる勧善懲悪の論理が幅をきかせる素地が出来上がった。

 だが、その後、破綻の恐怖に追い立てられた銀行経営者は同法を活用し、金融再編になだれ込む。今の銀行経営は長銀破綻と引き換えに成立した関連法があって初めて可能になった面がある。

 危機への備えを事前に万全にするのは実に難しい。貯蓄金融機関(S&L)危機、ヘッジファンド危機を経験し、もがき苦しんだ米当局は今またサブプライム問題で揺れ動く。公的資金への地ならしなのか、操作当局は経営責任追及の動きを見せ始めた。歴史は繰り返すのだろうか。

 【後日記】『信用緩和と量的緩和』(「大機小機」2009/3/11日経から転載)

 「百年に一度」の金融危機の下にあって日米英の中央銀行は、コマーシャルペーパー(CP)や社債、資産担保証券(ABS)など企業金融にかかわるリスク資産の購入という「信用緩和策」で足並みをそろえ、信用収縮に対抗しようとしている。だがリスクの取り方には大きな違いがある。

 例えば米連邦準備理事会(FRB)の場合、一兆ドルを購入予定のABSについては、流動性の供給はFRBが行うが、損失は財務省が負担する。その他のリスク資産でもFRBが損失を被ることのないよう周到な配慮が払われている。英国でも損失はすべて政府の負担である。

 これに対し日銀はCPや社債に加え、株式まで購入するとしているが、損失の負担も含めすべて日銀単独の責任であり、政府との協調体制はとられていない。

 中央銀行がリスク資産の購入によって損失を被れば、国庫納付金の減少などにより最終的には負担は納税者に帰着する。これは議会のコントロールなしに行われる、いわば裏口からの財政政策にほかならない。その意味でリスク資産の購入自体は市場に精通した中央銀行が行うが、損失は政府が負担するという米英の枠組みは、政府と中央銀行の役割分担として適切だ。日本でも同様の仕組みがとられれば、日銀単独の場合を大幅に上回る規模のリスク資産の買い取りが可能になるだろう。

 一方で日銀は2006年まで行われた「量的緩和」の復活には消極的である。その理由は、「量的緩和の下での日銀当座預金の増加は、金融システム安定の効果はあったが、明確な景気刺激効果は認め難い」ということのようだ。しかしこの理由付けは、二つの点で量的緩和策の効果を過小評価するものである。

 第一に、いわゆる「量的緩和策」は単に日銀当座預金量の拡大だけでなく、長期国債買い入れの増額や時間軸の設定など、いくつかの部品を総合したパッケージの金融緩和策として実施された。政策の効果もパッケージ全体として評価されなければならない。

 第二に、金融システムに対する効果と景気刺激効果は厳密には分けられない。金融と実体経済は密接に絡み合い、金融システム安定の効果があれば経済全体にも当然良い影響を及ぼしたはずである。金利引下げ余地が事実上消滅した現在、既に有効性が確かめられた「量的緩和」をなぜためらうのか。

 【参考】『日銀 国庫納付金18%減』

 日経5/30によれば、日銀の07年度決算で、国庫納付金が前年度比で18%減の6087億円となったそうです。
 経常収入は保有国債の利回り上昇などで23%増の1兆4007億円となり、以前に金融機関から買い取った株式の売却益なども3130億円に達したそうですが、99年度以来の大きな外為評価損が生じたために経常利益を圧迫したとのことです。円高の進行で外貨建て資産の評価損が6037億円に膨らんだそうです。
 07年度末の総資産は113兆4000億円で、前年度比0.6%増です。自己資本比率は0.06ポイント低下して、7.47%です。

 国庫納付金・・・日銀や日本中央競馬会(JRA)など、政府関係機関や特殊法人が利益を上げた際に、一部を国に納付するお金。国の一般会計における歳入となり、税外収入の大きな割合を占める。2009年度予算では1兆円を超える納付金が歳入に計上された。最終的には歳出を通じて国民に還元されることになる。
 日銀はお札を発行する代わりに国債などの資産を保有し、利子収入などが利益になる。日銀は法人税などを除いた当期剰余金のうち、積み立てが義務付けられている法定準備金や配当金を除いた残りが国庫納付金となる。07年度決算では6087億円を国庫に納めた。海外の主要中央銀行でも同様の制度がある。(2009/4/12日経より転載)

 主な国庫納付金(2009年度予算)

日銀・・・6694億円

日本中央競馬会・・・2578億円

造幣局・・・174億円

特定アルコール譲渡者・・・126億円

日本スポーツ振興センター・・・50億円

 【後日記】『バブル後の日本は・・・ 不良資産買い取り 試行錯誤重ねる』(2009/3/24日経より転載)

 日本でもバブル崩壊後の不良債権処理では、不良資産の買い取りの仕組みづくりの試行錯誤が続いた。今回の米国の対策は公的資金を使って金融機関から不良資産を切り離すという点では、日本の整理回収機構(RCC)や産業再生機構に近い案といえる。問題は金融機関が実際にどの程度利用するかだ。

 日本の不良債権買い取りの最初の試みは、1993年に百六十二の金融機関の共同出資で発足した不動産担保付債券を買い取る株式会社「共同債権買取機構」だ。同機構には公的資金が投入されず、銀行は不良債権の買い取り資金を機構に融資しなければならなかった。このため、本当の意味で銀行から不良債権を切り離す最終処理には力不足だった。

 金融不安が深刻になった99年にはRCCが発足した。これは破綻金融機関から公的資金を使って不良債権を買い取る組織で、米国で90年代の不良債権処理に使われた整理信託公社(RTC)がモデルだった。RCCは不良債権の買い取りだけでなく破綻した金融機関や悪質な債務者などの責任追及を厳しく進めた。

 03年には金融と産業の一体再生を進める狙いで産業再生機構を設立。政府や民間の資金を使って、過剰債務に苦しむ企業への債権を買い取り、民間出身の専門家のもとで企業再生にも取り組んだ。

 今回の米国の対策はRCCや産業再生機構と同様に、金融機関から不良資産を切り離すことにはなりそうだ。ただ、問題は米金融機関が大きな損失を出してまで不良資産を売却するかどうかだ。

 日本でも金融機関が大きな損失を出して不良債権処理に取り組むには、当局の強力な検査・監督や公的資金による資本注入が必要になった。米国の今回の対策も金融機関が実際にどの程度活用するか、さらに不良資産を売却して巨額の損失が生じた場合に不足する自己資本をどう手当てするかなどが課題になりそうだ。

 【後日記】『資金繰り支援 企業全体に安全網』(2009/4/8日経より転載)

 総額三十七兆円規模に上る企業の資金繰り支援策を追加経済対策に盛り込むことで、政府は大企業から中堅・中小企業まで企業全体の安全網を整備することになる。七日には企業への公的資金注入を盛り込んだ産業活力再生特別措置法(産業再生法)改正案も衆院を通過。政府による産業支援が加速する。

 金融危機対応の資金繰り支援策は政府が昨年十二月に導入した。日本政策投資銀行や商工組合中央金庫の「危機対応業務」は日本政策金融公庫を通じて公的資金を政投銀などに供給し、企業に低利融資する仕組み。追加対策では商工中金の中堅企業向けの融資枠を約八千億円とし、政投銀の融資枠も拡大する。

 産業再生法改正案が成立すると、政投銀による大企業への出資が可能になるほか、中堅企業向けの支援制度が新設される。中堅企業向けの支援制度は、産業再生法の認定を受けた企業への民間銀の融資に中小企業基盤整備機構が保証を付ける。損失の補償割合は50-70%で、融資一件あたりの保証限度額は二十億円になる。追加対策では中小機構の保証枠も二兆円に設定し、当初想定していた数千億円の枠から拡大する。

 政府は世界的な金融危機が表面化した昨秋以降、資金繰り支援策を相次いで打ち出している。大企業向けには政府・日銀によるコマーシャルペーパー(CP)や社債買い取り。中小・小規模企業向けには民間金融機関の融資を全国の信用保証協会が100%補償する「緊急保証制度」を段階的に拡充。追加対策でも保証枠を拡大する。

 大企業と中小企業のどちらにも当てはまらず、財務基盤や信用力が強固でない中堅企業は「エアポケットになっている」(全国銀行協会)との指摘もあったが、追加対策では資金繰り支援を手厚くする。企業の三月期決算発表が集中する四月下旬から五月にかけて、資金繰り不安が再燃する恐れがあり、政府は支援に万全を期す。

 【後日記】『商工中金、1500億円増資 完全民営化、3年半先送り』(2009/4/24日経より転載)

 政府・与党は二十三日、商工組合中央金庫に対し千五百億円を増資する方針を固めた。政府がまとめた追加経済対策で貸付枠が三兆円超に拡大するため、財務基盤の強化が必要と判断した。2013年から15年としていた完全民営化の時期も三年半先送りする。

 商工中金は中堅・中小企業の資金繰りを支援する「危機対応業務」を昨年十二月に導入した。三月末までに三千八百億円の利用があり、景気後退の深刻化で今後も利用が伸びると見込まれている。

 政府は追加経済対策で貸付枠を九千億円から三兆三千億円に拡大することを決定。商工中金の貸し付け拡大に伴い自己資本比率が低下しており、貸し付けが抑制される恐れが指摘されていた。商工中金の設置法を改正し、新たに千五百億円の「危機対応準備金」を創設する。

 中小企業などへの融資が大幅に増加するため、政府は「リスクを取る一方で完全民営化を進めていくことは矛盾する」(望月晴文経済産業次官)と判断。政府保有株の売却時期を17年四月から19年四月までの間に先送りする。

 【後日記】『量的緩和って何?』(2009/5/8日経より転載)

 欧州中央銀行(ECB)が金融機関への資金供給策の拡大を決めた。政策金利以外の手段で金融を緩和する枠組みで、日本銀行や米連邦準備理事会(FRB)と並ぶ広義の「量的緩和」といえる。

 Q 通常の金融緩和とどう違うのか。

 A 通常なら中央銀行は政策金利の変更(利上げや利下げ)によって金融調節する。だが政策金利の水準がゼロ近辺になったり、景気が大幅に悪化したりする場合には金利変更のみでは金融緩和の効果を浸透させられない。伝統的な政策金利の変更に対して「非伝統的な手段」とも呼ばれる。

 Q 量的緩和とはどういうことか。

 A 日銀は当座預金残高を金融政策の目標とした2001年から06年の政策を量的緩和と呼んでいる。現在は量的緩和とは呼んでいないが、利下げが限界にきているなか長期国債や社債の購入で資金供給を拡大している。FRBは金融危機を受けて当初、証券化商品の購入など焦点を絞って資金供給したが、長期国債の購入にも踏み切り市場全体に資金を供給する姿勢を鮮明にした。
 BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは中央銀行が資産購入により資金を供給し「中銀のバランスシート(貸借対照表)が膨らむような政策は量的緩和といえる」と話す。ECBのトリシェ総裁は厳密には「量的緩和ではない」としているものの、日米欧とも利下げ以外の手段で金融市場に供給する資金量を増やす広義の「量的緩和」と位置付けられる。

 Q 量的緩和の効果は。

 A 潤沢に資金供給するほか、金融市場のリスクを軽減する効果がある。FRBは取引が敬遠されている証券化商品を購入し、市場のリスクを引き受けた。利下げは翌日物など短期の金利引き下げには効果があるが、ECBは資金供給期間を一年に延長することで、中長期的な金利低下効果を狙ったといえる。

 【後日記】『政策金融を活用した主な危機対応策』(2009/5/22日経より転載)

★政投銀・商工中金を通じた大企業・中堅企業向け低利融資(計2兆円の融資枠→10兆円へ拡大*)

★政投銀を通じた企業からのCP購入

★日銀によるCP・社債の買い取り

★国際協力銀による先進国事業向け融資(米欧などに進出する日本企業の出先や国内親会社に融資)

★政投銀による産業再生法認定企業への出資(出資が焦げ付いた場合、国が損失の5-8割を補てん)

★4兆円枠の官民折半の緊急融資制度(検討中*)

注.*は実行に必要な予算案・法案が未成立

 【後日記】『企業支援オペ 日銀、1.1兆円供給』(2009/7/11日経より抜粋)

 日銀は10日、社債などを担保に金融機関へ資金を供給する「企業金融支援特別オペ(公開市場操作)」を実施した。応札額は1兆1301億円となり、前回(3日)に続き1兆円を超えた。返済日は10月5日で、今年度第2四半期の9月末を越える期間での初の供給となる。根強い資金需要を裏付けた形で、同オペの延長に関する議論に影響を与えそうだ。

 特別オペは社債やコマーシャルペーパー(CP)を担保に金融機関に対して年利0.1%で貸し出す仕組み。約1兆3千億円を供給した4月16日のオペの返済日が今月15日に設定されており、この時に応札した金融機関の大半が今回、借り換えに動いたとみられる。

 日銀はCPを買い取るオペも10日実施した。3000億円の予定額に対し応札額は270億円で、応札額が予定額を下回る「札割れ」が続いた。6日に実施した社債の買い取りも札割れだったが、いずれも日銀は「安全網」と位置付けており、利用が少なくても問題はないとの立場を取っている。

 【後日記】『政投銀 エルピーダと投資契約』(2009/8/7日経より転載)

 改正産業活力再生法(産業再生法)の施行を受けて、日本政策投資銀行は7日にもエルピーダメモリと投資契約を結ぶ方針を固めた。出資額は約300億円で、政府がその8割を実質的に負担する。政府が打ち出してきた金融危機対策の目玉の一つである、公的資金を一般企業に注入する枠組みが動き出す。

 エルピーダは産業再生法に基づく公的資金注入の第1号案件。政府は6月末に産業再生法の適用を認定し、支援に乗り出した。政投銀が優先株を引き受ける形で約300億円を出資する。

 政投銀は投資契約の際に、「エルピーダが産業再生法に基づいて作成した事業計画を着実に実行する」など複数の条件をつける見通し。出資が安易な企業救済にならないよう、条件を厳しくチェックする。

 エルピーダは日本で唯一、パソコンなどの基幹部品であるDRAM事業を手掛ける半導体メーカー。グループで6000人弱の従業員を抱え、雇用への影響も大きい。経営が不安定になれば半導体供給に悪影響を及ぼしかねず、政府は電機メーカーなど産業界の国際競争力を維持する観点からも経営基盤の強化が必要と判断している。

 【後日記】『公的な企業支援策』(2009/8/8日経より転載)

 政府や政府系金融機関による出資や融資といった企業支援策。金融危機が深刻になった昨年秋以降、政府は日本政策投資銀行などを通じて企業に公的資金を注入したり、運転資金を貸したりする制度を拡充した。健全な企業の破綻を予防し、景気の底割れを防ぐ狙いだ。

 政投銀は主に大企業の資金繰りや経営を支援。企業再生支援機構は中小・中堅企業を対象とし、出融資のほか債権放棄など取引行の利害を調整する点が特徴。先端技術を持つ企業に出資する官民ファンド「産業革新機構」も7月末に発足した。

 <主な公的企業支援>

 企業再生支援機構:地方の中小・中堅企業などが対象:取引行に債権放棄などを促し、過剰債務を圧縮

 日本政策投資銀行(緊急対応業務):主に大企業を支援:低利融資や資本注入

 産業革新機構:官民で先端技術開発に投資:技術力のあるベンチャー企業の支援も想定

 【後日記】『銀行保有株 買い取り額 伸び鈍化』(2009/8/9日経より抜粋)

 政府と日銀による銀行保有株買い取り額の累計が7月末時点で1760億円に達したことが分かった。6月末に比べて14.7%(計226億円)増えた。買い取り実績を徐々に増やしているが、伸びは鈍化。景気回復への楽観論と悲観論が交錯するなか、7月の日経平均株価は1万円を一つの節目に上下する展開だったため、見極め姿勢を強めた金融機関が多かったようだ。

 政府と日銀は昨秋の金融危機を受け、株式の買い取り制度をそれぞれ今年から再開した。政府の「銀行等保有株式取得機構」による7月の買い取り額は102億円。日銀の営業毎旬報告によると、日銀の買い取り額は124億円だった。

 金融機関が保有する株が値下がりすると、自己資本比率が低下する。経営体力が落ち、融資しにくくなる恐れがある。現行制度は時価で買い取るため、株価水準が低いときに政府・日銀に持ち込めば売却損が発生する。

 【後日記】『九州の中小再生 ファンドで支援 中小機構など30億円で』(2009/8/9日経より抜粋)

 中小企業基盤整備機構と、大分銀行や福岡銀行など九州の金融機関は10日、総額30億円の中小企業再生ファンドを設立する。九州各県の再生支援協議会が手掛けた再生計画にもとづいて、出資や債権買い取りなどの再生支援を行う。九州全域の企業を支援対象とするファンドの設立は初めて。

 ファンドには中小機構が全体の半分にあたる15億円を出資するため、民間ファンドに比べ長期にわたり支援を続けられる。

 中小機構出資のファンド設立は19件目。これまでは各県に設立したファンドに、その県内の金融機関しか加わらなかったため、支援対象も県内企業に限られていた。

 【後日記】『政府の主な中小企業向け資金繰り支援策』(2009/8/14日経より転載)

<経由する金融機関:支援策/内容/実施額>

信用保証協会:緊急保証/民間金融機関の融資を100%保証/12兆8457億円

日本政策金融公庫:セーフティネット貸付/中小・小規模企業向け融資/3兆4179億円

日本政策金融公庫:マル経融資/小規模企業を対象に無担保無保証で融資/664億円

商工中金:危機対応融資/中小企業向けの融資/7568億円

 注.セーフティネット貸付と危機対応融資は2008年10月~09年7月、緊急保証制度は08年10月31日~09年7月31日、マル経融資は09年4月~7月

 【後日記】『REIT支援の官民ファンド 40社が300億円出資』(2009/8/26日経より抜粋)

 不動産投資信託(REIT)の資金繰りを支援するため9月中に官民が設立する「不動産市場安定化ファンド」に対し、民間企業約40社が300億円規模で出資することが25日、分かった。出資企業には三井不動産など大手不動産会社のほか金融機関などが含まれており、不動産市場の正常化に向けREIT関連企業の多くが参加する。

 安定化ファンドは4500億円規模を想定。このうち借入金で約3600億円、日本政策投資銀行からの劣後ローンで約600億円を賄い、残り300億円は野村証券が企業からの出資を募っていた。

 【後日記】『金融庁 信組に公的資金』(2009/9/12日経より転載)

 金融庁は11日、全国3位の信用組合である山梨県民信用組合に、新しい金融機能強化法に基づき450億円の公的資金を資本注入することを正式に決めた。信組に同法を適用するのは初。地域経済の停滞を背景に不良債権が増加しているため、国の資本支援によって地域の信用収縮を防ぐ。みちのく銀行、きらやか銀行、第三銀行への公的資金注入も同時に決定。合計で1150億円に上る公的資金を9月末に資本注入する。

 新しい強化法に基づく公的資金の資本注入は、今年3月末に実施した札幌北洋ホールディングスなどに続く第2弾。昨秋の金融危機後の株価急落や実体経済の低迷によって動揺した地域の金融システムの安定化を図る。

 山梨県民信組は過去に信組の中央機関である全国信用協同組合連合会の資本支援を2度受けていた。金融庁は全信組連を通じた信託方式で、当面必要な資本額を上回る450億円を注入。抜本的な不良債権処理と累損の一掃を促す。

 第三銀に300億円、みちのく銀ときらやか銀には各200億円を注入し、不良債権などの処理を加速させる。みちのく銀の杉本康雄頭取は同日の記者会見で「株価の大幅な下落などがあっても、地元企業を十分サポートできる態勢が整う」と語った。

 9月末までに国が優先株などの引き受けを通じて公的資金を注入する。

 【後日記】『産業再生法 認定500件 施行10年で』(2009/9/15日経より転載)

 企業の財務体質強化や事業再生を支援する産業活力再生特別措置法(産業再生法)の認定件数が1999年の施行以来10年で500件に達した。持ち株会社による大手銀行や百貨店の経営統合を後押ししたほか、8月末には半導体大手エルピーダメモリへの公的資金注入にも結び付いた。世界的な金融・経済危機を脱却する過程で、利用のペースは増えそうだ。

 産業再生法はバブル経済崩壊後の日本経済を立て直す目的で、99年10月に施行された。企業が不採算部門からの撤退といった事業の再構築計画を所管官庁に提出し、認定を受ければ株式発行に伴う登録免許税の優遇措置や分社化手続きなどで恩恵が受けられる。

 みずほフィナンシャルグループなどのメガバンクや、大丸・松坂屋、伊勢丹・三越などの巨大百貨店の持ち株会社の設立に適用され、大型再編を側面から支えた。昨秋以降の金融・経済危機で資本不足に陥った企業を支援するため、今年4月には事業会社に公的資金を注入できる機能も追加し、エルピーダが第1号案件となった。

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2008年12月12日 (金)

非正規労働者 失業時に低利融資

 融資額の上限は用途に応じて異なる。入居初期費用に使う場合は五十万円、家賃補助は月額六万円で最長六カ月、生活・就職活動向けは百万円とする。融資後六カ月以内に就職した場合は、返済の一部を免除する。

 非正規労働者は契約解除に伴って、会社の社員寮を追い出されるケースが相次いでいる。厚労省は失業直後に必要になる緊急資金を用立てることで、雇用不安の広がりに歯止めをかけたい考えだ。以上、日経より転載。

 【後日記】『寮付き求人 4000件確保へ』(12/16日経より)

 厚労省は失業者の住宅確保策として全国に13000戸ある雇用促進住宅の空き室の開放を週内に始めるが、首都圏は失業者の数が地方に比べて多い。

 そこで、厚労省は東京労働局管内の公共職業安定所で社員寮などへの住み込みが可能な求人あっせんを十八日までに千件増やし、四千件確保する。渡辺厚労副大臣が十五日、明らかにした。

 一方、派遣契約を打ち切られるなどして失業した派遣社員らの住宅確保に関する窓口相談が全国187カ所で十五日午前に始まった。

 【後日記】『介護職の資格 受講料給付』

 東京都はホームヘルパーの資格取得を目指す低所得者を対象に、講座受講料や受講中の生活費の一部を補助する制度を2009年度に導入する方針。非正規雇用の増加などで、働く貧困層(ワーキングプア)が社会問題化する一方、介護現場では人材不足が深刻。介護現場への人材供給と、低所得層の生活安定を目指す。実現すれば、全国初の制度となる。

 対象者は課税所得が50万円以下の世帯を想定する。こうした世帯は、都内で60万世帯程度とみられる。単身世帯の場合は年収176万円以下、三人家族では同320万円以下が目安となる。

 介護現場で働く基礎的な資格となるホームヘルパー二級を取得する際、受講料を肩代わりする。補助額は約10万円。都は「専門学校や通信講座など、民間事業者の講座費用を賄える」(都福祉保健局)としている。受講期間中は就労時間が削られるため、受講期間中に10万円の一時金も支給する考え。

 09年度の予算要求額は3億8400万円。都は400人の新規就労を見込んでいる。この制度でヘルパー二級を取得した人を雇用した介護事業者には、一人当たり60万円の奨励金も支払う予定。資格取得者が円滑に正規雇用に就けるよう後押しする。

 都がこうした施策を打ち出す背景には、介護現場の深刻な人材不足がある。都が都内の特別養護老人ホーム等を対象に行った07年度の調査で、特養の73%が運営上の緊急課題として「人材確保」を挙げた。東京労働局がまとめた十月の都内の新規求人数も、建設業や製造業が前年同月比で20%以上減る中、医療・福祉だけは同16%も増えた。

 ただ、介護職に就くことができた場合でも、給与面では厳しい状態も予想される。都の調査では、特養の常勤の介護職員の年収は387万円。人材確保が難しい理由について、特養の80%が「給与水準が低い」と回答した。給与水準が低いことが響き、特養の常勤の介護職員の約六割が勤続年数が五年未満となっている。

 以上、12/17日経より。

 387万円かぁ・・・確かに安いけど、、、嘆くほどでもないような。。。

 【後日記】『失業で住居喪失 労金が低利融資』(12/20日経より)

 全国に十三ある労働金庫は失業に伴い社宅や寮からの退去を余儀なくされた非正規労働者が新たに住宅を借りる費用や引っ越し費用に充当できるよう低利融資を始める。対象は①解雇や雇い止めによって住居を失った②就職の意欲がある③預貯金、資産が無い④世帯主-の条件を満たす人。公共職業安定所が資格要件を審査、一~二日で融資する。

 金利は固定で1%(保証料0.5%が別途必要)。融資限度額は雇用保険受給者の場合が50万円、そうでなければ176万円。六カ月の据え置き期間中は利息のみの返済で済む仕組みにする。

 【後日記】『失業者に空き家 家賃を下げ提供』(12/23日経より転載)

 国土交通省は派遣契約解除などで失業し住居も失った人向けの支援策として、都市再生機構(UR)の空き家約二万三千戸を割安な家賃で提供する。あらかじめ期限を決めて賃貸する「定期借家」の仕組みで最長二年、家賃を通常より二割程度下げる。さらに地方自治体が運営する公営住宅の入居条件も緩和するなど、全国で最大三万八千戸程度の住宅を失業者対策に振り向ける。

 麻生太郎首相の進める生活防衛のための緊急対策の一環として、金子一義国交相が二十四日に公表する。

 【後日記】『職業訓練中に生活費貸与』(12/24日経より転載)

 厚生労働省は2009年に、職業訓練中に生活費として月額最大十二万円を貸し付ける制度を創設する。派遣契約を解除された失業者らを対象とする。訓練後に就職するなど一定の条件を満たせば貸付資金の返還を全額免除する。訓練生の生活費を保証し、訓練を受けやすい環境を整備することが狙い。

 扶養家族を持つ訓練生には月額最大十二万、単身者には同十万を貸し付ける。正社員経験が少ないなどの条件を満たし、訓練後に就職できれば貸付資金の返済を全額免除。就職できなくても熱心に職探しをすれば八割程度を免除する。

 派遣労働者など非正規社員の多くは簿記やIT(情報技術)などの職業能力が低く、失業すると再就職しようとしても難しい。このため職業訓練を受けやすいよう生活費を保証し、職業能力を養ってもらう。

 【後日記】『政府、公務員宿舎を開放』(12/27日経より転載)

 非正規労働者の解雇が相次ぐなか、政府は解雇に伴って社員寮などから退去を求められた人を支援するため、国家公務員宿舎を開放する。まず財務省が二十六日、全国七百七十五戸の提供を発表。他の中央省庁にも協力を求めた。

 政府の雇用対策は2008年度第二次補正予算案の成立まで動き出せないものが多い。雇用の急速な悪化に追いついていないとの批判も出ている。予算なしでも可能な国家公務員宿舎の活用で政府の対応をアピールする。

 宿舎は地方自治体に貸し、住民向けの住宅支援策に活用してもらう。具体的な貸し出し条件などは自治体が決めるが、入居は原則半年以内で、家賃は平均で月一万二千円程度。雇い止めなどで一時的に住宅が必要になった人を対象とする。

 国家公務員宿舎には財務省が管理する合同宿舎八万八千戸と各省庁別の宿舎十三万七千戸がある。

 【後日記】『再就職の支援を強化』

 厚生労働省は2009年に派遣契約の解除などによる失業者の就業支援を強化する。履歴書の書き方から面接の受け方指導、職業紹介までを一貫して支援するため、専属の担当者を約三十カ所の公共職業安定所(ハローワーク)に配置する。支援体制を整え、再就職しやすい環境を整備する。広がる雇用不安に歯止めをかける狙いだ。

 職業経験の少ない失業者は、次の職に就くまでに時間がかかることが多い。こうした失業者の多いハローワークに、専門の担当者を配置する。職業相談を担当制にして、きめ細かに支援する。

 東京、愛知、大阪の大都市圏には非正規社員だった失業者を一貫して支援する新たな拠点を既に設置している。同様の拠点は今後、北海道と福岡にも設置する。

 以上、2009/1/4日経より転載。

 【後日記】2009/1/8日経より転載。

 東京都は2009年度、失業した非正規労働者らがホームヘルパーの資格取得を目指す際、講座受講料を全額補助する事業を始める。受講期間中の住宅を紹介・あっせんするほか、生活資金の貸し付けも実施する予定。ヘルパーとして正規採用した事業者には助成金を出す。09年度の養成目標は千人程度で、事業費は八億円を見込んでいる。

 七月の知事査定で決めた。昨年十一月にまとめた09年度予算の要求段階では、低所得者向け事業として四百人程度を想定していたが、雇用情勢の悪化を受けて大幅に増やした。

 都内では介護現場の人材不足が深刻になっている。資格取得支援を通じ、雇用対策と介護人材の確保を同時に進める。

 介護現場で働くための基礎的な資格となるホームヘルパー二級の受講料を肩代わりする。補助額は十万円程度になる見通し。この制度でヘルパー二級を取得した人を正規採用した事業者には、一人当たり六十万円の採用助成金を支払い、円滑な就労を後押しする。

 【後日記】『公共職業訓練』(2009/1/14日経より転載)

 職業能力開発促進法に基づく事業で、ハローワークに相談した求職者などを対象に、三カ月-一年間程度、製造技術やOA事務、経理など就職に必要な技能を身に付けるために実施する訓練。離職者向けのコースは無料。年間十五万-二十万人が受講しており、独立行政法人の雇用・能力開発機構がこのうち七-八割を実施、残りを都道府県が実施する。

 雇用保険の失業手当の受給資格がある人には、受講手当や通所手当も支給される。在職者や新卒者向けの訓練コースもある。

 同機構は昨年十二月、廃止されることが閣議で決まったが、職業訓練は、別の独立行政法人である高齢・障害者雇用支援機構や都道府県に移管して継続する。

 【後日記】『40万人雇用創出 緊急対策』
 日経2009/1/16より。

 経済財政諮問会議で首相が関係閣僚に実行を指示する、としています。具体的には介護や保育、環境対策など、需要はあっても人手不足が目立つ分野で雇用を増やすとのこと。介護と子どもの保育を一体で手掛ける「フレキシブル支援センター」を設立するといいます。地方自治体と共同で全国に三千カ所設け、一カ所あたり五-十人を雇うそうです。

 環境分野では、希少な金属を回収するため、家庭で眠っている古い携帯電話機やデジタル家電を集める職員や、観光地の清掃員などの雇用を進めるといいます。こうした事業を手掛ける非営利組織(NPO)を国や自治体が支援するのだそうです。

 また、自治体にある紙の行政記録を電子化する担当者の採用でも、数万人の雇用を見込んでいるとのことです。

 【後日記】『受け皿あるのに 新たな挑戦へ意識改革を』(2009/1/19日経より転載)

 山形県米沢市。電気自動車の心臓部となるリチウムイオン電池を手掛けるベンチャー企業、エナックス(東京・文京)の工場が全国から技術者を引き寄せる。六十人とまだ小所帯だが、大半が事業の将来性に期待する二十代の若者だ。

 昨年には技術力の高さに注目した自動車部品世界四位の独コンチネンタルが出資、ダイムラー向け電池も受注した。「この一年、開発と試作で休む暇がない」。鹿児島県出身の篠原功一(27)の声は明るい。

 製造業を中心に進む猛烈な人員削減。だが目を凝らせば、各地で雇用を生む新事業の胎動に気づく。

 雇用創出効果は四千人-。三菱重工業は風力発電機の国内生産に力を入れる。直接雇用は約千人だが、一万点超の部品を造る中小メーカーへの波及を含めると雇用規模は四倍に膨らむ。巨大な羽根を支える軸受けや歯車に高い精度が要求され、自動車などの部品製造で磨いた日本のものづくりの技が生きる。

 こんな先行事例がある。風力、太陽光など自然エネルギー産業に力を入れるドイツ。家庭や事業所への手厚い導入支援策で関連産業が短期間でぼっ興した。2001年に生産を始めたQセルズは世界最大の太陽電池メーカーに育ち、風力発電所でも多くが働く。自然エネルギー産業の従事者は二十五万人に達した。

 日本も追う。環境省は「日本版グリーン・ニューディール構想」を通じ、五年後に環境関連ビジネスで八十万人以上の新規雇用を狙う。環境も雇用も成長も。実現のカギは施策を繰り出すスピード感が握る。

 環境・エネルギー分野だけではない。「一緒に農業革命を起こそう」。外食大手のサイゼリヤが福島県白河市などに持つ自社農場の責任者、矢作光啓(34)の呼び掛けにメーカーなどから十四人が転職した。

 昨秋、中国製のピザ生地に有害物質メラミンの混入が発覚した同社。安全な食材の確保は生命線だ。人事評価に生産性指標を導入、長時間労働を排しながら高品質の作物づくりを目指す。製造業の雇用調整は生産工程管理などを担った人材獲得の好機となる。

 政府は企業の農業進出を後押しするため農地借用の要件緩和など制度改革を検討中だ。実現すれば、戦後ほぼ一貫して他産業への労働力の供給源だった農業が新たな働く場として再生する可能性が広がる。

 次の課題は人材をどう流動化させるか。未曾有の雇用危機のなか、労働力の「偏在」は依然残る。

 今月八日、居酒屋大手のモンテローザ(東京都武蔵野市)が都内で開いた採用説明会。愛知県の自動車関連企業で派遣の仕事を失い、「正社員として働きたい」と訪れた男性(38)は少数派だ。五百人の正社員募集に対し説明会への参加は十三日時点で全国で約百人。採用実績は四十七人にすぎない。受け皿はあっても、職種や地域を越えた移動への抵抗感はなお強い。

 第一生命経済研究所は「労働需給のミスマッチが失業率を押し上げている」と指摘する。同研究所の分析では「希望条件がかみ合わないための失業」が「仕事が減ったためも失業」を今も上回る。日本総研主席研究員の山田久(45)は「新しい職場に飛び込む働き手の意識改革、それを支える行政や企業の支援が必要だ」と強調する。

 例えば沖縄県が挑む雇用創出。高速回線の無償供与などの優遇措置により、IT(情報技術)企業の数が八年間で七倍の約百六十社、雇用者数は八倍の約一万五千人に増えた。物流費がかさむなど製造業の立地に不向きとされてきた同県。ITが豊富な若年労働力を吸引し、民間の力が主導する形で産業の姿を変えた。景況感の悪化ペースは本土より緩やかだ。

 雇用のけん引役だった自動車、電機の失速に直面する働くニホン。技術革新で新事業を創造し、流通・外食、介護などへの人材供給で内需を興す。雇用危機の克服には産業構造をつくり替えるほどの取り組みが求められている。 =敬称略(「働くニホン」取材班)

 【後日記】『都09年度予算案から』(2009/1/21日経から転載)

 厚生労働省によると、昨年十月から今年三月までに職を失った、または失う見込みの非正規職員は全国で八万五千人。東京都内だけでも千七百人にのぼる。石原慎太郎知事は「世界的な金融危機の影響が深刻化し、先行きの不透明感から都民の不安は高まるばかり。都民に安心をもたらし希望を指し示す予算とすることを基本とした」と強調した。その代表例が雇用・景気対策の推進だ。今回、関連予算を28.9%増やした。

 雇用対策の柱は、安全網の拡充。職を失った人が当面の生活費を得られるように、市区町村と連携して、日雇いで計五十万人分の公的雇用を創出する。

 都が道路や公園での枝きり、除草、橋梁の塗装などの作業を中小事業者に発注。この事業者が延べ二十万人を雇い入れる。さらに市区町村が福祉施設での奉仕活動、放置自転車対策など、雇用創出効果の大きい事業をする場合、その事業費を全額補助。これで延べ三十万人分の雇用を作り出す。

 失業者の生活支援では緊急無利子融資も始める。単身者には一年間に百二十万円、家族がいる場合は二百四十万円を貸し出す。使途に制限を設けず、返済は一年間の据え置き後、七年以内とする。

 さらに二十二歳以下の子どものいる家庭には、三百万円まで貸し出すほか、学費などを別途融資する。返済も一年間の据え置き後、十年以内とする。予算の一部を08年度補正に計上しており、二月から受け付けを開始する予定だ。

 非正規職員が正規社員になることも促す。このため、民間に委託している非正規職員向けの職業訓練の人数を2.3倍の四百二十人に増やす。これまでは三十歳半ばまでが対象だったが、四十歳半ばまで拡大するのが特徴。訓練内容も情報技術(IT)、医療、福祉が中心だったが、マンション管理、不動産管理などを加える。

 景気対策では、中小企業の資金繰りを支援する制度融資の枠を08年度当初予算の二倍以上の二千五百億円に拡大する。柱は昨年十月末に創設した「経営緊急融資」の拡充だ。素材生産業、一般土木建築工事業など六百九十八業種が対象で、売上高が一定以上減少している中小企業に融資する。

 融資枠は二億八千万円。信用保証協会の保証を全額受けられる。国の制度と似ているが、違いは金利の低さ。貸付期間により1.9-2.4%で借りられる。従業員が二十人以下(卸売・小売業、サービス業は五人以下)なら、保証料の半額を助成してもらえる。

 まずは市区町村で要件を満たすか認定してもらったうえで、民間の金融機関に行くと、融資の可否を審査してくれる。

 【後日記】『29カ所で地域雇用創造』

 厚生労働省が「地域雇用創造実現事業」の実施地域を青森県大鰐町や鳥取市など二十九カ所にすると発表したようです。都道府県や市町村、経済団体で構成する地域雇用創造協議会が地域の求職者を雇い入れ、地場産品の販路開拓などの事業にあたる仕組みだそうです。日経2009/1/21より。

 【後日記】『自治体の緊急対策空回り』

 首都圏の自治体が相次いで打ち出した緊急雇用対策が空回りしている。失業者を臨時職員として直接採用する施策だが、総じて応募は低調で、雇用拡大につながっていない。あくまで臨時雇用で期間も短いとあって、求職者が希望する条件とズレが大きいことなどが要因とされる。実効が上がっていない半面で追随する自治体は多く、今のところ自治体の横並びだけが目に付く結果となっている。

 自治体は行財政改革で人員削減を進めており、失業者を正規職員に雇用するのは難しい。「(臨時雇用は)再就職先を見つけるまでの生活支援策」(東京都板橋区の担当者)との位置づけだ。

 再就職を目指すある男性は「雇用対策をしているという役所のパフォーマンス」と手厳しい。

 雇用問題に詳しい日本総合研究所の山田久主席研究員は「介護や飲食業など人手不足の業界もあり、自治体が一律に直接雇用するのは無駄。職業訓練などを通じて雇用のミスマッチ解消に取り組むべきだ」と指摘する。

 以上、2009/1/31日経より抜粋。

 なお、厚生労働省が公表した全国の非正規労働者の雇用状況によると、東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県で三月末までに職を失う非正規労働者は一万七百四十一人に達するそうです。

 【後日記】『公務員人気も正職員か臨時職員で大違い』産経ニュース(2009.2.7 19:15)より転載。

 公務員人気を背景に、全国の自治体が「派遣切り」などで職を失った人を対象に、緊急雇用対策として職員を募集する動きが広がっている。ただ、正職員には応募が殺到するが、臨時職員は採用枠が埋まらないケースも目立つ。

 公務員の追加募集は昨年12月、同志社大のキャンパスを抱える京都府京田辺市が学生の内定取り消し対策として打ち出し、全国の自治体へ広がった。

 大阪府吹田市は年齢制限を撤廃し、59歳以下の募集に踏み切ったところ、採用枠5人に40~50代を多く含む約760人が殺到。9日の締め切りを前に倍率150倍を突破した。

 また、8日に筆記試験を行う大阪府摂津市では、採用枠10人に対し、応募者は28都道府県の1077人に。担当者は「ここまで多いとは…。会場を市役所から変更し、大学のキャンパスを借りた」と驚く。

 一方、派遣切りなどの救済措置として打ち出された臨時職員の採用は逆の結果に。100人の採用計画を立てたさいたま市への応募はわずか8人。3カ月以内を条件とした吹田市でも10人枠に4人しか集まらず、担当者は「雇用期間が限られ、魅力に欠けるのかも」と戸惑いを隠せない。

 【後日記】『試行採用を経て正規雇用』(2009/2/9日経より)

 東京都世田谷区は来年度、求職者を新たに正規雇用した区内の事業者に最大三十六万円を支給する。国の「トライアル雇用制度」を活用、求職者を試行採用する企業に補助金を出す。試行期間後に正規採用した場合に、区が独自に資金の一部を補助する。人材が不足している介護事業所などを主な対象に想定している。

 トライアル雇用制度はハローワークが求職者を企業に紹介し、研修を受けながら三カ月間働く仕組み。試行採用した企業は国から月四万円の補助金を受け取れる。区は試行期間中は国が支払う補助金と同額を上乗せする。

 試行期間後に正社員になったら、最大三十六万円を補助する。09年度に五十人の正社員化を目指す。

 【後日記】『「障害者を雇う施設に発注を」 厚労省、自治体に通知』(2009/2/13日経より転載)

 障害者の雇用情勢が悪化しているとして、厚生労働省は十二日までに、障害者を多数雇っている事業所や福祉施設に物品や業務を積極的に発注するよう、全国の地方自治体に通知した。

 同省は通知で、障害者の多い事業所や福祉施設が扱う商品やサービスを十分に把握するよう要請。文具などの物品、クリーニングや清掃などの業務を優先的に発注するよう求めている。

 障害者雇用を巡っては昨年秋以降、解雇が倍増するなど環境が急激に悪化。同省は今月六日、「障害者雇用維持・拡大プラン」を策定して対策強化に乗り出し、十日には日本経団連に雇用の維持拡大などを要請した。

 同省は「民間に雇用確保をお願いする以上、行政も率先して取り組んでほしい」と話している。

 【後日記】『職業訓練中でもアルバイト可能 厚労省、生活に配慮』(2009/2/21日経より転載)

 厚生労働省は二十日、職業訓練期間中に生活資金を貸し付ける制度の利用者にアルバイトを解禁すると発表した。年収二百万円を上限に認める。都市部では貸付金だけで生活することが難しい。アルバイト収入を得て、生活しやすい環境を整備する。二十三日から実施する。

 厚労省は派遣労働で働いていた失業者らを救済するため、訓練期間中に生活費の一部を貸し付ける制度を用意している。公共職業訓練の受講者なら制度を利用できる。

 貸付額は単身者なら月額十万円、扶養家族がいれば同十二万円だ。訓練に専念してもらうため離職者にアルバイトを認めていなかった。

 【後日記】『都の就職支援制度 登録者1000人突破』(2009/3/3日経より転載)

 東京都が昨夏に低所得世帯向けに新設した就職支援制度の登録者が一月末時点で一千人を突破したことが二日わかった。雇用保険の給付期間がすぎても再就職先が見つからない三十-四十歳代の登録が急増しているという。景気回復の兆しが見えないなかで、都は2009年度は二千三百人の登録を見込んでいる。

 都産業労働局が東京都議会の経済・港湾委員会に示した資料によると、昨年七月設けた低所得者向けの「東京都就職チャレンジ支援事業」の一月末時点の登録者数は千三百三十一人だった。一月に四百八十一人が登録した。都は「予想を上回るペースで増えた」(産業労働局)としている。

 就職チャレンジ支援事業は低所得者に最長六カ月間の職業訓練を提供。訓練中に月額十五万円程度の奨励金を提供する。家計を支える世帯主が対象で四人家族だと年収が三百八十万円以下であることなどが条件。

 事業開始した当初は知名度の低さから登録者数は低調だったが、景気が悪化した昨年十月から登録者が急増した。

 【後日記】『障害者の解雇急増』(2009/4/4日経より転載)

 昨年秋以降の世界同時不況の影響で、障害者の解雇が急増し、二月までの五カ月間で1446人に上ることが三日、厚生労働省のまとめで分かった。二月だけで約450人が解雇されており、同省は企業向けの補助金を新設するなど対策を強化している。

 障害者を解雇した企業はハローワークへの届け出義務がある。同省によると、解雇者数は昨年度上半期は787人と例年並だったが、下半期に急増。十二月が265人、今年一月は370人と増加を続け、二月は452人に達した。昨年度は二月までの十一カ月間で計2233人となり、六年ぶりに2000人を超えた。

 ハローワークを通じた就職件数も昨年四月-今年二月で3万9569人と前年同期比2.7%減。近年は年約10%の伸びを続けていたが、減少に転じた。

 【後日記】『障害者 就職7年ぶり減 08年度 解雇も1.8倍に急増』(2009/5/16日経より抜粋)

 2008年度にハローワークを通じて企業などに就職した障害者は四万四千四百六十三人で、07年度より2.4%減ったことが十五日、厚生労働省のまとめで分かった。前年度割れは七年ぶり。

 解雇数は二千七百七十四人で、前年度(千五百二十三人)の約1.8倍に達した。上半期(四-九月)は七百八十七人で例年並みだったが、リーマン・ショックをきっかけに景気悪化が深刻になった下半期(十-三月)は千九百八十七人と急増。

 障害者雇用促進法は企業に一定割合の雇用を義務付けており、同省障害者雇用対策課は「弱い立場の障害者が真っ先に解雇されているわけではない」としつつも、「憂慮すべき状況」と指摘。二月に「障害者雇用維持・拡大プラン」を策定し、企業向け助成金の拡充などの対策を強化している。

 【後日記】『雇用危機を読み解く』(2009/5/18日経より抜粋)

 連載第15回目は”求人・求職 ミスマッチ解消が課題に”です。

 事務職や生産・労務職といった職種は求職者数が求人数を大幅に上回っていて、有効求人倍率(2009年二月時点)がかなり低くなっている。これに対し、保安職、専門技術職、サービス職といった職種は、求人数が求職者数を上回っており、有効求人倍率も均衡値である一倍を超えている。人手不足の代表的な職業は、介護職員等の福祉関連職種、看護師、医療技術者、接客、ソフト技術者などである。

 求人に関しては即戦力の人材を求めすぎる傾向が強く、条件に合った高い職業能力を持った求職者がなかなか見つからないため求人が充足しない場合が多い。他方、求職者は過去の職業経験にこだわりすぎる傾向が強く、求人の多い未経験職種があってもちゅうちょしてしまう。

 求人企業は採用条件を緩和して未経験者も含めて採用選考し、社内での育成を強化する必要がある。新卒者が良好な就職機会に恵まれないと、その後のキャリア形成が進展しないという社会状況は、企業の中途採用における即戦力志向が強すぎることが影響している。

 求職者に関しては、求人が多い職種へ就職活動を広げるとともに、場合によっては職業訓練を受講するといった努力が必要である。

 【後日記】『離職者自立 後押し』(2009/7/20日経より抜粋)

 雇用保険制度と生活保護制度の間をつなぐ「新たな安全網」が10月から本格的に動き出す。厚生労働省が低所得者らを対象とする「生活福祉資金貸付制度」の融資条件を緩和し、連帯保証人がいなくても借りられるように改めるためだ。原則年3%の貸付金利は連帯保証人がいれば無利子、保証人がいなくても年1.5%に下がる。

 融資条件の見直しは政府が2009年度補正予算に盛った施策の一環。このほか、雇用保険の失業給付を受けられない長期失業者らに職業訓練を条件に生活費を支給する事業が7月に始まった。職と住居を失った失業者に住宅手当を支給する緊急措置も10月に始まる。

 政府はこれらの施策を連動させ、職を失った人が生活保護に頼る前に自立するための手助けをする「新たな安全網」の構築をめざしている。

 <失業者や低所得者に対する安全網>

 ○雇用保険制度・・・失業給付

 ●就職安定資金融資(新設)・・・離職に伴い住居を失った人への貸し付けなど。昨年末から。

 ●訓練・生活支援給付(新設)・・・失業給付のない人などに職業訓練を条件に給付金。7月末から訓練開始。

 ●住宅手当(新設)・・・職と住居を失った人に手当を支給。10月から。

 ●生活福祉資金貸付・・・低所得者らに低利融資。10月から金利引き下げなど条件緩和。

 ○生活保護制度・・・最後の安全網

 【後日記】『福祉系に応募殺到』(2009/7/30日経より転載)

 就職難の一方で、職業訓練自体の人気は根強い。1番人気は介護福祉系のコース。仕事の厳しさなどからこれまで人気が低かったが、安定した求人を求めて応募が殺到している。

 「本来はすべての希望者に機会を提供したいが・・・・・・」。熊本県で失業者向けの職業訓練を実施している熊本高等技術訓練校の担当者は肩を落とす。今年度の受け入れ人数は昨年度の約10倍。充実ぶりは全国でも目立つが、5月に開いた8コースには定員(160人)の倍以上の350人が殺到、半数以上が適性試験でふるい落とされた。

 1番人気はこれまで「仕事がきつくて給料も安い」と敬遠されていた介護福祉系。安定した求人を受け、2日開講のコースでも40人の定員に152人の応募があった。再挑戦でも優遇措置はないため、何度も落ち続ける人から「これが最後のチャンス」と頼み込まれたり、入校をあきらめた人もいるという。

 東京都内でも介護サービス科の競争率は6.5倍。昨年は定員割れだったが「資格も取れるため応募がひっきりなし」(産業労働局能力開発課)だ。財務管理(10.4倍)や貿易実務(8.9倍)など事務系は全体的に人気を集める一方、メカトロニクス(0.7倍)や機械加工(0.6倍)など求人の少ない製造系は定員割れとなっている。

 【後日記】『失業者救済の住宅手当制度 廃業の自営業者にも支給』(2009/8/3日経より転載)

 厚生労働省は職と住居を同時に失った失業者を救済するため、10月に創設する住宅手当制度の詳細を固めた。自営業を廃業したケースも対象とし、2年以内に離職した人に最大6カ月間支給する。受給者には公共職業安定所の職業相談(月1回)や地方自治体の担当者の面接(月2回)を受けることを義務づける。住宅の確保を支援し、就職活動をしやすくする。

 同制度は雇用保険と生活保護の間をつなぐ新たな安全網のひとつ。2009年度補正予算を盛り込んだ。支給額は地域によって異なる。例えば東京23区の単身世帯については月5万4千円弱を上限に、受給者が借りた住居の家賃分を支給する。手当は受給者に直接手渡すのではなく、住居の貸主や、貸主から委託を受けた事業者の口座に振り込む。

 アルバイトなどで一時的な収入があったり、単身世帯なら50万円程度の預貯金があったりしても受給できるようにする。

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2008年12月 8日 (月)

世代間の不公平 是正 基礎年金 目減り防ぐ

 日経の年金制度改革研究会による第二次報告です。以下、要約。

 研究会は厚生年金などの報酬比例部分(二階部分)について、特に保険料のすべてを積み立てる完全積み立て方式に変更できないか検討した。可能なら、払った保険料は運用益がついて本人に戻る。世代間の不公平は消えるし人口構成の変化にも強い理想的な案だ。

 しかしそれを導入すると現役世代の負担が大きい。日本の年金制度は当初、完全積み立てを建前としていたが、保険料に比べ年金額を増やしすぎたことなどから、保険料をその時々の高齢者への給付に回す賦課方式に事実上変わってきた。完全積み立てに移る時、現役世代は高齢者への給付の財源負担と、自分用の積み立ての二重の負担を避けられない。

 厚生労働省の2004年財政再計算をもとに推計すると、報酬比例部分に関しては、すでに支払いを約束した額から支払い準備のため過去に積み立てた分を差し引いた二百七十兆円(積み立て不足)を何らかの形で処理する必要がある。

 仮にその全額を現世代の個人、企業が負担するとすれば、制度完成まで四十年を費やすとしても、年平均で約七兆円の負担となる。一方、二百七十兆円の「元本償還を想定しない国債」を発行し償還負担を将来世代に求める案もあるが、毎年数兆円の国債金利は払う必要がある。程度の違いはあれ現役世代が二重の負担をかぶるのは同じだ。

 厚生労働省の2004年試算によると、厚生年金(基礎年金を含む)の給付と負担の現状は、1935年生まれでは払った保険料を政府と同じ想定利回りで運用するのに比べ、その8.3倍の年金を受け取れる。05年生まれではこれが2.3倍だ。

 この試算は分母となる保険料総額に企業の負担を含めておらず、受け取れる年金の倍率が実際の二倍になっている。また将来の保険料負担や年金額を今の価値に換算する際にからくりがあって、負担を小さく、給付を多くみせている。

 日本総合研究所の西沢和彦主任研究員はこの二点を考慮し厚労省の公表データを基に「05年生まれの給付・負担倍率は0.8倍にとどまる」と指摘する。掛け金を政府計画と同じ利回りで運用した場合に予想されるだけの金額すら戻ってこないのだ。

 これは過去に年金額を高くしたのに、それに見合うだけ保険料を上げるのを政治が怠ってきたことのツケである。

 研究会は二階年金の掛け金の一部をその加入者のため積み立てるよう提案した。その財源は基礎年金部分の税方式化で企業の負担が浮く三兆円強の大半。併せて急激な負担増を避けるためにも今の賦課方式の年金額とその保険料をある程度の時間をかけて二割減らす。

 年金給付の上昇を機械的に抑えるのが現行制度のマクロ経済スライド。2004年の年金改革で採り入れた。年金をもらう高齢者が増える一方で掛け金を払う若い世代が減り、年金財政のやり繰りが苦しくなっているためだ。

 その仕組みはこうだ。年金の給付水準はそれまで、新しく給付額を確定する人(新規裁定者)は初めの年金額を賃金上昇率に連動させ、すでに確定した人(既裁定者)の年金は物価上昇分だけ上げてきた。04年の改革後は給付額の引き上げ幅を賃金や物価上昇率から0.9ポイントを差し引いた水準にとどめることになった。厚生労働省は23年度までこのやり方を続ける方針だ。

 研究会はこの給付抑制策をとらず、年金額を賃金や物価の上昇率に見合って引き上げるよう提言した。月六万六千円の給付が実質的に目減りするのを防ぐのが狙いだ。ただし物価や賃金が下がったら給付額も下げるのはやむを得ない。

 この賃金・物価との完全連動方式に変えた場合、現役世代の手取り収入に対する年金給付額の割合を示す「所得代替率」はどうなるか。基礎年金の所得代替率は、マクロ経済スライドを適用すれば04年度の約17%から23年度は約14%へ約3ポイント下がる。改革案だと23年度でも約17%の水準が維持される。

 研究会は基礎年金(共通年金)の税方式化で浮く企業の保険料負担約三兆七千億の一部を使いパート社員らを全員、厚生年金に加入させるべきと考えた。

 政府はパート社員の厚生年金加入を促すため、今は「週三十時間以上」の勤務者を対象にしているのを「二十時間以上」に拡大する方針だ。その場合も月給九万八千円以上の人に限る。

 その理由はこうだ。九万八千円は厚生年金保険料を計算する際の月収(標準報酬月額)の下限。これに約15%をかけた一万四千円余りが今の厚生年金保険料だ。国民年金保険料は収入に関係なく定額(今年度一万四千四百十円)である。低所得の人に加入対象を広げて九万八千円の報酬月額の下限を下げると、低所得の人は国民年金保険料より低い負担で基礎年金のほか報酬比例年金も受給できるという不公平を生む。

 基礎年金を二階の報酬比例部分と切り離して消費税方式にすれば、その部分は皆が公平に負担するので、こうした問題は解消する。九万八千円未満でも厚生年金に加入できるようなり、パートで働く利点が増す。小規模企業にはパート社員の保険料の負担がつらいという問題もある。だが共通年金を税方式にすれは厚生年金保険料は安くなるので、パート社員を加入させやくなる面もある。

 一次報告に対しては基礎年金(共通年金)の財源を消費税で賄うために税率を5%上げると、増大する医療や介護の費用に充てるための消費税増税が難しくなるという声が多かった。二次報告では共通年金の機能を充実させるために、消費税率の上げ幅を6.5%に増やした。食料品などへの軽減税率の導入を考慮せずに計算すると税率は11.5%になる。年金改革だけで税率を二ケタにすれば、それ以上、大幅に消費税を増税しにくくなるという意見が出るのはもっともだ。医療、介護の財源をどう手当てするか。三つの考え方を示す。

 第一は効率化を目指す制度改革を推し進め、無駄を徹底して省くことだ。それ自体が財源不足の幅を小さくするだけでなく、保険料や税、窓口負担の引き上げを国民が受け入れる素地を整えるためにも必要だ。

 例えば、2006年度時点で約17%の後発医薬品の普及率(数量ベース)を欧米並みの40%程度へ高める。また診療報酬明細書の完全電子化を急ぎ、治療法の標準化を確立する。

 さらに病院と診療所との機能連携を強めて重複する検査や受診を解消する。内閣府が一定の前提のもとに試算したところ、これらを徹底すれば年間で五千億円を超す医療費の削減効果を期待できるという。

 政府は急性期医療の機能強化や介護を担う人材の増強などのため、25年度までに消費税率で4%、健康保険料で2%程度の引き上げが必要という推計を出した。これは医療を原則、公的な制度で賄う前提だが、高度で先進的な医療は一部を私費で負担する仕組みを広げれば税金と保険料の引き上げ幅を圧縮できる。

 第二に高齢世代の医療費は税金の比重を高める一方、現役世代は保険料を中心に運営するなど、各世代の特性に応じた財源構成を工夫する制度改革だ。

 後期高齢者医療は給付費の五割を税、四割を現役世代の保険料からの支援金で賄い、残り一割分だけ高齢者本人に保険料を求めている。人は年をとるにつれ病気やけがをしやすくなる。保険原理が働きにくい高齢者には税の投入割合を高めてもよいのではないか。

 現役世代は高齢者ほど病気やけがをしない。このため相互扶助の考え方に基づく保険の仕組みになじみ、保険料中心に財源を賄うのが理にかなうだろう。

 企業の健康保険組合や協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)には病院・診療所が患者に提供する診療内容や診療報酬の請求が適切か否かを厳しく点検する役割が求められる。保険料という自主財源をもとにすればこそ節約努力に身が入る。

 今年は高齢者医療向けの支援金の重さに耐えられず解散した健保組合も出た。こうした事態を防ぐためにも、現役、高齢世代それぞれの医療費の財源のあり方を再検討する必要がある。

 第三に増税する場合、消費税も多少は引き上げる余裕があるほか、消費税以外にも増税候補がある。

 厚生年金や国民年金の保険料は全額、非課税扱いになっている。政府税制調査会の資料では1997年度に基礎年金部分の所得税の減収額は八千億円あった。基礎年金を消費税方式にして保険料控除がなくなると給料のうち課税される部分が多くなり、所得税収は増える。保険料廃止に伴い企業もその分、利益が増えるので法人税収も五千億円前後増える可能性がある。また無年金や極端な低年金の人がいなくなるので、高齢者向けの生活保護費を四千億円程度、圧縮できるという推計もある。

 裕福な高齢者に相応の負担を求めるのも選択肢だ公的年金等控除は年金収入がいくら高くても非課税枠が残る。所得税の減収は年一兆四千億円に達する。

 また相続税は約一兆五千億円あるが、納税者数は相続人の5%弱に過ぎない。昔は老いた親の面倒を子供が見ていた。相続税を幅広く課税し社会に還元してもらうのはおかしくない。

 保険料の一部を積み立てるとき、その部分をどう運用するか。研究会は様々な方法の長所と短所を検討した。

 一つの方法は自動車損害賠償責任保険と同様に加入は国が義務付けるが、保険料の徴収やお金の運用・管理、年金の支払いを民間に委ねるやり方だ。役人による年金記録漏れや、使い込みなど社会保険庁を通すことに伴う問題も避けられる。基礎年金部分の消費税化により財源徴収が国税庁に移るのと併せ、社保庁の業務を大幅に縮小できる。

 参考となるのは部分積み立て方式を導入しているスウェーデンだ。政府機関である年金保険機構(PPM)のクリスティーナ・カンプ報道官によると、民間が約八百種類のファンドを提供。最高五つまで自由に選べる(PPMも指数連動型の標準ファンドを用意する)。乗り換えも手数料なしで自由にできるので「一日に一万-一万二千人がファンドを入れ替えている」(カンプ氏)という。

 個人ごとの勘定になれば、年金制度への参加意欲も高まるだろう。PPMは「みなし積み立て」(賦課方式)部分と民間ファンドなどによる積み立て部分を合わせた年金受取額の見込みを年一回、加入者に郵送している。

 一方、積み立て部分の運用を年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に一括して委ねる案も考えられる。2007年度のGPIFの運用資産に対する手数料率は0.03%。国民のコスト負担は小さい。運用機関の規律を保つための仕掛けも必要だ。

 積立金の運用方法と、それに密接に関連する保険料徴収の方法は、社保庁と国税庁を一体化する「歳入庁」構想など、議論を深める必要がある。

 マクロ経済スライド・・・2004年の年金制度改革で導入された年金給付の水準を自動調整する仕組みのこと。少子高齢化で年金財政が悪化するのを防ぐため、今後20年間程度に限り、物価の伸びよりも年金受給額の増加を抑えることをめざす。現役世代の加入者の減少率と、年金を受け取る期間が長くなることを意味する平均余命の伸びを勘案した「一定率」を物価上昇率から差し引き、年金額に反映する。
 「一定率」は平均余命の伸びの分が0.3%、実績値を使う現役世代の年金加入者の減少率は0.6%程度と見込まれ、合わせて0.9%程度とされている。物価の下落時には、年金額を減額改定するものの、この仕組みによって減額幅を増やすことはない。(8/11日経より転載)

 【後日記】『自・民7議員が「税方式」提言 年金改革、政府に挑戦状』(日経12/26から転載)

 自民、民主両党の衆院議員七人が二十五日、年金制度の抜本改革を求める提言を共同発表した。党派を超えて年金改革の合意を探る努力は、小泉政権下で厚生労働省が主導した2004年改革後の課題だ。提言は内容に詰め切れていない点があるが、超党派での取り組みを世に問う初の試みになる。現行制度での微修正で乗り切ろうとする政府や与党厚生族に挑戦状を突き付けたといえる。

 提言に名を連ねたのは自民が野田毅、河野太郎、亀井善太郎の三氏。民主は岡田克也、枝野幸男、古川元久、大串博志の四氏。六月に勉強会を発足させ、九回の会合で合意に至った。

 柱は三点。第一は各年金の役割の明確化だ。一階部分の基礎年金は退職後の生活保障、二階の報酬比例年金は所得再配分を排した自助の制度に衣替えする。第二は財源の手当て。それぞれの機能に対応し、一階は消費税などの税金、二階は社会保険料を充てる。

 第三は二階部分の積み立て方式への移行。現役の勤め人がそのときの高齢者の年金原資を負担する賦課方式をやめ、払った保険料は将来、自分に戻る仕組みを目指す。この移行過程では、これまでに年金の支払いを約束した額から支払い準備として積み立てた分を引いた二百七十兆円の不足解消策が課題になる。「二重の負担」の問題だ。

 財源として一階の税方式化で浮く企業の保険料負担の活用などを例示した。もっとも二重の負担が現役世代にのしかかると、世代間格差の緩和を目指す改革の理念に逆行する可能性もあり、二重の負担の解消には五十年以上の年月をかけることを想定している。

 これらは八日公表した日本経済新聞社の年金制度改革研究会の第二次報告の考え方と共通する点が多い。異なるのは二階を積立型に完全移行させるか、部分積み立てにとどめるかだ。本社研究会は二重の負担が今の勤労世代に集中するのは望ましくないと判断し部分積み立て方式を選択した。超党派提言は二重の負担を年金制度から切り離し、政治責任に基づいて解消方法を決め、実行するという。

 この取り組みは超党派協議の嚆矢と位置づけられる。議員自らがパソコンを持ち寄って改革案を詰めたという。共有しているのは今の年金が将来への持続性を約束できないほど制度疲労を起こしているという危機感だ。

 提言には詰めるべき点が残っている。それぞれが案を持ち帰り党内議論をどう収束させるかも課題だ。来るべき衆院選はまたも年金改革が争点になるのは間違いない。小選挙区制やマニュフェスト(政権公約)選挙の定着で、両党とも対立政党との違いを強調することに懸命だが、野田、岡田両氏は「政権交代しても年金制度はころころ変えられるものではない」と指摘した。その通りだろう。

 日本経済は想定外の少子化や長寿化、成長力の伸び悩みなど構造変化に直面しており、その変化は年金制度の不確実性を高める。にもかかわらず、首相官邸の社会保障国民会議や厚労省の審議会は小手先の策を重ね現行制度を延命させることに汲々としてきた感がぬぐえない。提言は政府への警鐘でもある。(編集委員 大林尚)

 【参考】『年金改革で政府試算』
 5/20の日経によれば、首相が設置した社会保障国民会議の雇用・年金分科会は、09年度から基礎年金の財源を全額税で賄う場合に必要となる税率引き上げ幅(消費税換算)について、四パターンを示したそうです。

 紙面では、日経が以前から主張している通り、大見出しが『未納分減額なら増税圧縮 「小さな税方式」』となっています。我々の世代(専業主婦とその配偶者はどうだか知りませんが)的には、『過去の保険料+国庫負担分を加算して給付』するケースを支持したい気分ですが、ここはぐっと堪えて日経案で手を打つべきでしょう。何にせよこのままでは若者が悲惨過ぎます(と言えば聞こえは良いのですが本音を言うと我々自身が心配です)。

 もちろん逃げ切り確定世代は現行方式を支持するでしょうが、彼らは政府提示のどの案にしたってアドバンテージを軽く保てるでしょうから、頑迷な態度は慎んで欲しいものです。

 【参考】『国民年金保険料 軽減対象者 3倍に増加も』
 国民年金で保険料支払いの免除・猶予制度の対象となる人は、実際の約三倍に膨らむ可能性があることが厚生労働省の推計で明らかとなった。免除や猶予は本人の申請に基づいて実施しているため、こうした差が生まれているもよう。

 厚労省は年金改革の一環として国民年金の保険料を軽減し、軽減分を税で補助して将来の満額給付につなげる策を検討中だが、現状のままでは軽減対象者が大幅に増える見通しとなった。日経11/18より。

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租税条約の改正加速

 日本政府が各国と結んでいる租税条約の改正交渉を加速させている。今月にオーストラリア、フィリピンと相次ぎ新条約を発効。スイスとも条約改正のための交渉を始めた。租税条約は企業や投資家に対する二重課税の防止など二国間の課税権の調整のために結ぶ条約。政府はサウジアラビアなど資源国との条約締結交渉も加速させている。日経より。

 【後日記】『クウェートと租税で合意』とのこと。2009/1/14の日経より。

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うーん、時間がない・・・

 4時半起きで寝るのは1時前後だ。辛抱できん。よっぽど好きな仕事ならまだしも。・・・何とかせねば。

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2008年12月 4日 (木)

やっと、帰ってきたー

 東京に。つーかーれーたー。やっぱ、自分ん家がいいよ。仮免受けてから来たんで尚更つーかーれーたー。でも、かろうじて東京戻ってくる前に受かったな。しかし、前回落ちて今回受かったその違いが不明だわ。前のが良かった気すらするが・・・金ばっかふんだくりやがって。教習所ってヤツは。転校用の書類をもらったはいーんだが返金が一銭もない。ふざけた教習所だよ。

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2008年12月 2日 (火)

有限責任事業組合(LLP)

 2005年八月の有限責任事業組合契約法の施行で可能になった事業形態。出資比率に関係なく利益を自由に配分できるほか、取締役会の設置が不必要など経営上の制約が少ない利点がある。出資者の責任が出資額までに限定され、存続期間も設立時に明記するため、ベンチャー企業や大企業間の共同事業などで活用するケースが増えている。日経の用語解説より。

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C型肝炎、70%以上が完治

 今日の日経『人こと』は米系製薬会社シェリング・プラウの鳥居社長でした。以下、部分抜粋。

 同社が開発した強化型インターフェロンと抗ウイルス剤を併用する最新治療法で、完治の確率は十五年前の2%から70%以上に。「C型肝炎は治る病気になった」と訴える

 ・・・これまでは高額な治療費が障害となり、受診率は二割程度にとどまっていた。四月からは国の助成制度が始まり、収入に応じ月一万円から治療できるようになったものの「まだ治療法や助成があることを知らない人も多い」。各地での啓発活動に一層力を入れる考えだ。

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比ミンダナオ島、和平進まず

 キリスト教が人口の九割を占めるフィリピンでイスラム反政府勢力の活動が先鋭化している。南部ミンダナオ島でイスラム反政府組織「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」と比政府の戦闘が激化。両者の和平交渉が進展しないことから、国際停戦監視団の中心だったマレーシア部隊が全面撤退することになった。停戦監視団はブルネイ十人、リビア四人、日本二人の十六人だけになる。

 戦闘激化の要因として、MILF内部の分派が組織命令を逸脱してキリスト教居住区などへの攻撃を繰り返していることがあるとされる。政府は空爆で報復し、事態は泥沼化している。11/29の日経より。

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