日銀は十七日午後零時五十分の定例金融調節で、八千億円の資金を即日で吸収する手形売りオペを実施した。
この日は朝から資金余剰感が強かった。預金の引き出しなどに備えて銀行などに日銀への積み立てを義務付けている準備預金の残高見込みは、朝の時点で七兆三千億円。今回の積立期間で必要な所要準備額(一日平均で四兆八千六百億円)より多めの資金があり、金利に低下圧力がかかりやすかった。
日銀は午後二時四十分にこの日二回目となる四千億円の資金吸収オペを実施。無担保コール翌日物の加重平均金利(速報)は0.305%と、日銀の誘導目標(0.3%)に沿った水準に落ち着いた。
十六日に新たに「補完当座預金制度」が始まるのにあわせ「日銀が潤沢に資金を供給する代わりに翌日物金利がある程度下がるのを許容するのではないか」との観測も一部に浮上していた。同制度はこれまでに無利子だった当座預金に0.1%の金利をつける内容で、金融機関は市場でこれより低い金利で資金を運用せずに済むため、翌日物金利の事実上の下限となる。日銀は金利が低下しすぎることを気にせず、大量の資金を供給できるようになる。しかも日銀は十三日に複数の資金供給オペを組み合わせ、十七日に五兆六千億円の資金を供給する用意をしていた。市場では十七日以降には資金供給がさらに増えるとの憶測を呼び金利がやや低下気味だった。
もっとも、どれだけ超過準備があるかは、今回の積立期間が終わる十二月十五日まで分からない。積立期間の終盤に向けて資金余剰感が強まり、当座預金に資金を積み増す金融機関があってもおかしくない。年末に向けて資金需要が強く意識される局面も想定される。
以上、日経より。
【後日記】『国債現先買いオペ 計5兆円を供給』(12/2日経より転載)
日銀は一日、金融機関から国債を一定期間買って資金を供給する国債現先買いオペを実施し、計五兆円の資金を供給した。短期資金の調達金利上昇に大量供給で対応した。
資金を供給する期間は三-四日と三-十日の二種類。それぞれ四兆円、一兆円を供給した。一回のオペで四兆円を供給するのは2006年三月に量的緩和政策を解除して以来、最大規模。
三日は法人税の国庫納付日にあたり、資金需給が逼迫しやすい。主に証券会社が資金を調達する際に利用するレポ(現金担保付き債券貸借)取引では、三日から始まる取引の金利が大幅に上昇する可能性があった。
同オペの結果、レポ金利の代表的な指標である東京レポ・レート翌日物(二営業日後開始)は前週末より0.026%低い0.475%となった。
【後日記】『国債購入増額』
日銀は国債購入額を従来の毎月一兆二千億円から一兆四千億円に増額する。市場で流通する国債の量が減り、長期金利を下げる効果が期待できる。
国債の新規発行額は2008年度当初予算では約二十五兆円だったが、景気対策や税収減で補正後は約三十三兆円に増加、09年度も当初予算で三十三兆円に達する見込み。日銀の年間の国債購入額は今回の増額で二兆四千億増え、十六兆八千億円。今後も国債増発が見込まれるなかで、日銀の国債買い増しは、市場の需給安定要因になる。
日経12/20より。
【後日記】『利下げ 借り入れ負担軽く』
日銀が政策金利を年0.3%から0.1%に下げたことで、銀行の預金金利が下がって預金者が受け取る利息は減る見通しだ。一方、企業の借り入れ金利や住宅ローンの金利は下がり、借り入れ負担は軽くなる。金融機関もより低い金利で資金を調達できるので、積極的に貸し出しを増やすことが期待される。
金融危機のあおりで、短期市場で資金を調達できなくなった金融機関向けに日銀が担保の範囲内で資金を貸し出す補完貸付(ロンバート)金利も0.5%から0.3%に引き下げた。
日経12/20より。
【後日記】『30年債利回り 4年10ヵ月ぶり低水準』
新発三十年物国債の利回りが2.025%と急低下(債券価格は上昇)した。日銀が国債買い入れオペの対象に三十年債を新たに加えると発表し、受給が大幅に改善するとの思惑から買われた。
三十年債や二十年債などいわゆる「超長期債」は生命保険会社や年金基金が主要な投資家層となっている。これまでは生命保険商品の予定利率などに見合う水準である2%台前半で推移してきたが景気悪化が長引くうえ日銀が買い手として登場するならば、目先は金利低下によるキャピタルゲイン(値上がり益)を見込めるとして買いが集まったようだ。
日銀は国債買い入れオペを月二千億円増額することも決めた。二十年債の買い入れ額も増加が見込まれ、新発二十年物国債の利回りは1.915と、三年五カ月ぶりの低水準をつけた。
日経12/20より。
【後日記】12/30の日経より要約。
債券相場で超長期債の利回り急低下が続いている。新発二十年物国債の利回りは1.720%、新発三十年物国債は1.755%。
超長期債は中短期債や長期債に比べると利回りの低下が急で、「全体的に利回りが低下する中で、これまで主要だった生命保険会社以外の投資家が買い始めているのではないか」(国内証券)との指摘がある。
【後日記】『レポ金利、大幅低下 日銀が国債現先買いオペ』日経2009/1/17より転載。
十六日の短期金融市場で現金担保付き債券貸借取引(レポ)金利が大幅に低下した。十六日から準備預金の新しい積み期に入り、日銀がこれまで通り積極的な資金供給をするかどうか注目されていた。この日は日銀が国債を金融機関から一定期間買って資金を供給する国債現先買いオペを積極的に実施したことで、目先の資金不足懸念が薄らいだ。
レポ金利の代表的な指標である東京レポ・レート翌日物(二営業日後開始)は、今週に入ってから0.24%台で高止まっていたが、十六日は前日に比べ0.062%低い0.178%と四営業日ぶりに0.1%台まで低下した。
日銀は十六日に計五兆円の国債現先買いオペを実施。期間は二十-二十一日の四兆円と二十-二十七日の一兆円。「日銀がこれまでと同様に資金を供給する姿勢が確認できた」(セントラル短資の金武審祐氏)ことで、参加者に安心感が広がった。
【後日記】『日銀の当座預金急増』(2009/1/17日経より転載)
金融機関が日銀に持つ当座預金の残高が膨らんでいる。昨年十二月の積立期間(十二月十六日-今年一月十五日)の平均額は十一兆一千五百億円と、前月より35%増えた。日銀が政策金利と同水準の0.1%の金利を当座預金に付けているため、市場で運用せず日銀に預ける金融機関が増えている。金融機関どうしの取引が細る「市場機能の低下」を懸念する声が出ている。
日銀は市場に大量の資金を供給しても金利が下がり過ぎないように、昨年十一月半ばから当座預金に0.1%の金利をつけている。十二月に政策金利である無担保コールの誘導目標金利を0.3%から0.1%に引き下げた半面、当座預金金利は据え置いたため、市場での運用よりも日銀への預け入れを選択する金融機関が増えた。
当座預金で金利を付ける対象は、預金を取り扱う銀行などが法律で積み立てを定められた準備預金を超える部分と、証券会社など準備預金の義務がない金融機関の当座預金。利息が付く金額は十一月が一兆三百七十億円、十二月は三兆八千五百五十億円に膨らんだ。都市銀行や外国銀行など業態や規模を問わず、当座預金を積み増す動きが広がっている。
その一方で、金融機関が日々の資金繰りに使うコール市場の残高は一月十五日時点で十七兆円弱と、一カ月前と比べ9%減った。
【後日記】『コール取引急減 危機対策の「副作用」』(2009/2/7日経より転載)
金融機関が日々の資金繰りに使うコール市場の取引が急速に細っている。日銀が六日発表した一月の市場残高は前年同月に比べ33%減の十六兆五千六百六十三億円と、五年四カ月ぶりの低水準になった。金融危機対策の一環で金融機関が日銀に持つ当座預金口座に金利が付くようになった結果、コールでの運用を減らして日銀に余剰資金を預ける金融機関が増えていることが背景とみられる。
コール市場は金融機関が日々の資金過不足などを調整する短期金融市場の中核で、無担保コール翌日物金利は日銀の政策金利になっている。
とくに低調なのが翌日物の取引で、一月の残高は前年同月より六割近く急減。取引相手の信用力に不安を抱いた金融機関が資金運用を手控える傾向にあるほか、「日銀の金融政策の副作用が出ている」との指摘がある。
日銀が昨年十二月に政策金利を0.1%に下げた後、金融機関の運用意欲が低下した。当座預金に付く金利が政策金利と同じ水準になったため、信用リスクを負ってまで市場で運用するより、日銀に資金を預けた方が安全と考える金融機関が増えているという。
東短リサーチの飯田潔上席研究員は「コール取引の停滞が長く続くと、いざ資金が必要なときに市場で確実に調達できない不安感が強まる」と危惧する。
かつて日銀が政策金利をゼロ%にし量的緩和政策を採ったころにも指摘された市場機能の低下が起きつつある。
【後日記】『資金需要に落ち着き』(2009/2/14日経より転載)
金融機関の日々の資金需要が落ち着いている。民間どうしで取引するレポ(現金担保付き債券貸借)金利が低下基調にあるほか、日銀が実施している金融機関から将来売り戻す条件付きで国債を買い取る「国債現先買いオペ(公開市場操作)」の落札金利も落ち着いている。
レポ金利の代表的指標である東京レポ・レート翌日物(二営業日後開始)は月初に0.2%台で推移していたが、十三日は0.144%に低下した。
同じ期間資金を供給する日銀の国債現先買いオペの最低落札利回りも月初の0.2%台から下がり、0.1%台前半で安定している。
十三日は日銀準備預金の積み立ての最終日にあたるが、「一月中から順調に積み立てが進み、金融機関の最近の資金需要は弱い」(短資会社)という。
【後日記】『国債買い取り 増額 財政出動にらみ先手』(2009/3/19日経より抜粋)
日銀が十八日、長期国債の買い取り増額を決めた。白川方明総裁は記者会見で「今後の国債増発への対応は年頭に置いていない」と強調したが、市場では政府の追加財政出動に伴い予想される国債増発を意識した対策との見方が根強い。
日銀の長期国債買い取りは金融機関から国債を買って、資金を供給する仕組み。
日銀には保有する長期国債の残高を、自ら発行し市中に出回る日銀券(お札)の発行残高以下に抑えるという内部ルールがある。現在は長期国債保有残高は四十四兆円で、日銀券残高は七十六兆円。約三十兆円の余裕があるが、月一兆八千億円を買い続ければ単純計算では一年で約二十一兆円になる。
【後日記】『日銀当座預金残高が急減』(2009/4/4日経より転載)
日銀の当座預金残高が急減している。三日の残高は約14兆9000億円と、直近のピークである三月三十一日(約22兆円)から7兆円ほど減少した。年度末を越えて資金繰りへの不安が後退したことに加え、潤沢な資金供給で金融機関による準備預金の積み立てが通常より早いペースで進んだため、日銀が資金供給量を減らしていることが背景にある。
セントラル短資によると、毎月十五日が最終日となる金融機関の準備預金への積み立ては三日までに必要額の79%達した。これまでの平均よりも12ポイントも早く進んでおり、「十五日までは資金を取り急ぐ動きは出なさそう」(同短資の金武審祐)という。
【後日記】『金融危機下での日銀の主な金融政策・金融システム安定化策』(2009/4/12日経より転載)
2008年9月・・・欧米中銀などと通貨交換協定。国内にドル資金を供給
10月・・・政策金利を7年7カ月ぶりに引き下げ(0.5%→0.3%)
12月・・・政策金利を再び引き下げ(0.3%→0.1%)/企業金融支援特別オペを導入/長期国債の買い取り増額(月1.2兆円→1.4兆円)
2009年1月・・・コマーシャルペーパーの買い取りを導入(上限3兆円)
2月・・・銀行保有株の買い取りを再開/社債の買い取りを導入(上限1兆円)/企業の資金繰り支援策などの期間を延長
3月・・・長期国債の買い取り増額(月1.4兆円→1.8兆円)
5月・・・大手銀などへの劣後ローン供与の開始(上限1兆円)
【後日記】『金利1%上昇で利払い1兆円増』(2009/7/3日経より転載)
1990年代に相次いだ経済対策や社会保障費の増加を背景にした国債増発で、国と地方を合わせた日本の借金残高は約800兆円。これは国内総生産(GDP)の約1.7倍に相当し、先進国の中で最悪の水準だ。
長期金利が1%上がると、年間の利払いが1兆円以上増えるといわれる。金利が上昇すれば財政の持続可能性への懸念が強まり、国の信用力に疑問符がつく恐れもある。
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